恋愛のことで悩んでいるときに、
「それって母親との関係が影響してるんじゃない?」と言われたら、どう感じますか。
「またそういう話?」と白ける人もいるかもしれませんし、「いや、それは関係ないでしょ」と反発したくなる人もいるかも?
まぁ、恋愛に親子関係が影響しているって、一般的に考えたらよくわからない話ですしね。
実際、母親との関係がギクシャクしていても、パートナーがいる人もいますし、今幸せに過ごされている方もいますしねぇ。
そもそも僕も「恋愛には母親関係が影響しますよ」と昔からお伝えしているので、それってもう聞き飽きた・・・なんて思われる方もいるかもしれませんね。
・・・僕もそういった方のお気持ち、わからんでもないのです(笑)
まぁ、「なにかにつけて母親との関係がどうのってうるさいよ」と思う方の気持ちもね。
また、僕自身、何でもかんでも母親との関係が改善したらいいと話しているわけでもないのです。
人には事情が色々ありますし、人生の持っていき方も色々ですしね。
ただ、母親との関係がうまくいっていない人が、恋愛や夫婦関係で同じような距離感の問題を抱えるケース、僕の臨床現場ではたしかに多い、ということも事実です。
なので、今日は改めて「恋愛と母親との関係」をテーマにテキストをまとめてみたいと思った次第です。
Index
恋愛に忍び込む「距離感パターン」
母親と不仲、あるいは関係が冷え切っていた場合、
そこで学んだ距離の取り方が、そのまま恋愛にも持ち込まれます。
たとえば・・・
- 近づくと衝突する経験をしてきた人は、恋愛でも無意識に距離を置く
- 遠ざかると拒絶される経験をしてきた人は、相手を離さないよう必死になる
母親との関係は、人生で最初に経験する「親密さ」のモデル。
だからこそ、恋愛や結婚生活の中でも“ベースの距離感”として働きやすいのです。
無意識の「再演」
この距離感は、頭で変えようと思ってもなかなか変わりません。
なぜなら心は「安全だった方法」を優先するからです。
たとえば・・・
母親に対して本音を言うと必ず否定された経験があれば、恋人にも本音を飲み込むクセが残る。
逆に、母親に放っておかれる寂しさを経験していれば、恋人との距離が少しでも開くと強い不安が出る。
これは過去の関係を、今の関係で“再演”してしまうパターンといえますね。
そして本人は、「なぜか同じような恋愛になる」と感じやすくなります。
「優しい沈黙」という落とし穴
ここでややこしいのが、「優しいつもりで黙る(何も言わない)」という行動パターンを持つ人がいることなのかもしれません。
たとえば、母親と衝突を避けるために沈黙を選んできた人は、「恋人や夫との間でも、相手を思って言わない」という沈黙を繰り返します。
(それが逆にふれて「パートナーには過干渉になったり、相手を束縛する」なんて人もいますけどね)。
この手の沈黙、相手から見ると「わかりにくさ」だけでなく、「壁」や「距離」に見えることがあります。
結果的に、関係がぎこちなくなったり、「何を考えているかわからない」と言われる原因になるのです。
とくに、好きな人のことは誰しも「知りたい」ですからね。
何も言ってくれない、何も話さない、となると、それだけでパートナーはストレスを感じるのです。
母親との間で学び取った認知やパターンの修正がポイント
ここまで読むと、「じゃあ母親との関係を変えないと無理なの?」と思うかもしれません。
結論から言うと、「母親との関係を改善することで、距離感のパターンを変えることはある程度可能」だと僕は考えています。
なぜなら、母親との間で「近づいても大丈夫」という経験を少しでも積むことで、新しいパターンを“安全なもの”として学習するからです。
これは、恋愛や夫婦関係の距離感づくりに影響します。
今の母との関係は良好だけど、昔の母のことが苦手で・・・という場合
ただ、過去の母親とのやり取りの記憶や、そこで学習したパターンがそれで書き換わってくれればいいのですが
「今の母とは関われるけど、過去の母との関わりが心の凝りになる」
ということもありえます。
僕もそのような話、たくさん伺ってきましたよ。
たとえば、「今のお母さんとは話し合えるけど・・・昔の母のことは今でも苦手」と。
でも、それはとても自然な気持ちといいますか、そりゃそうですよね、と僕は思うのです。
特に、自分にとって「子供時代の母」という存在は、大きいですからね。こちらは子どもですし。
その時期に何かしら学び取った、間違った感情や認知・・・
たとえば、私は無力だとか、私は母に近づいても何もできない、とか、母親に望まれていない、とか・・・
そういった認知が今の恋愛に影響を与えていることも多々あるんです。
これって結局「過去の母との関わりで学んだ回避方法だけでなく、自分に対する誤解、間違った認識などが残っている」ってことなんですよね。
だから、過去の母のあり方を理解しながらも、「自分自身が身につけている近しい人との関わり方を自覚しながら、それを少しづつ変化させていく」という、カウンセリングでもよくご提案する方法で取り組むことに意味が出てくる、と僕は考えています。
なので、僕の考え方としては
「母親との関係改善」が目的・ゴールなのではなく
「母親との間で学び取った認知やパターンの修正」が重要だと思っていますよ。
ただし「子どもの視点」では認知の修正が難しくなる
ただ、そのためには「母に文句を言っている子供」のポジションのままでは、なかなか認知が変容しないんです。
このポジションにいるということは、母の影響が強く、自分の意志で自分の認知などを決められない、ってことになりかねないのでね。
つまり、母を理解するという「”オトナ”のポジショニング」が必要で。
それが要は「今の母を理解したり、仲良くする」ということにつながるのです。
つまり、オトナとして親を理解する位置にいることが、自分にとってメリットをもたらすと僕は考えていますよ。
確かに母親との関係は、自尊感情とつながっているので、改善することで自己価値が高まる側面や、日常の中で安心して過ごしやすくなる、というテーマもあるのですが、ここではあえて分かりやすさのために、この視点は省いています。
学び取ったパターンの影響をほどく方法
また、今すぐ母との関係は変えられなくても、ある程度、その影響をほどくことはできます。
- 過去の前提を自覚する
「近づく=悪化」という思い込みが、自分の行動を制限していると気づく。
- 小さな主張やお願いを試す
たとえば、パートナーに「週末に一緒に出かけたい」と軽く言ってみる。
大きな衝突を起こさずに希望を伝える練習になります。 - “距離を変えても壊れない”経験を積む
パートナーや友人が自分を受け止めてくれる小さな成功体験が、脳の記憶を書き換えていきます。
これは時間のかかるプロセスですが、過去の延長線上にない関係を築く第一歩です。
「恋愛は母との延長ではない」と実感を得ることも大切
母との関係が影響を与えるのは事実です。
ただそれは「一生同じパターンを繰り返す」ことを意味しません。
むしろ、恋愛や夫婦関係は、母との関係では得られなかった安全や安心を取り戻すチャンスでもあります。
近づいても大丈夫、意見を言っても関係は壊れない。
そういう経験を重ねることで、「母との延長」から抜け出せます。
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まとめ
母親との不仲が恋愛や夫婦関係に影を落とすことは、確かにあります。
でも、その影響は絶対ではありません。
母との関係で学んだ距離感を、そのまま無意識に使い続けるか。
それとも、新しい距離感を少しずつ育てていくか。
選択肢は、今のあなたの手の中にあります。
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