夫婦の価値観が合わないのはなぜ?心理学で読み解く”すれ違い”の正体
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は「パートナーシップと価値観」の話を、少し真面目に心理学的な視点で見つめてみます。
「夫と、価値観が合わないんです」
「妻と、根本的なところで、考えが違う気がして」
こういうお話、カウンセリングでよくうかがいます。
よく言われる「価値観の相違」。
離婚理由の中でもかなり上位に挙げられるこの理由。
ただ、よく考えてみると「価値観の相違って何を意味しているのか」って、なかなか語られていない気がするんですよね。
そもそも価値観の相違って何を示すものなのか。
合わないと何が起きるのか。
そして、合わせるべきものなのか。
どうすれば関係性が良くなるのか。
僕の臨床経験や心理学の知見も交えながら、いろいろと書いていきますね。
Index
「価値観が合わない」って、具体的にはこういうこと
価値観が合わない、と一言でいっても、いろんな場面がありますよね。
たとえば、結婚に対する考え方。
「結婚したら、相手を裏切るようなことは、絶対にしない」という価値観の人がいます。
一方で、「人の気持ちは移ろうもの。将来、気持ちが変われば、深くつながることも、離れることもあるだろう」と考える人もいる。
どちらもその人の中では筋が通った考えなんですよね。
でも、この二人が夫婦だったら・・・うーん、大事なところがすれ違いそうですね。
片方は「愛を選ぶことが当然」、片方は「変わることもある」。
子育てでも、そうですよね。
「子どもの行動を整えるべき」と「まず、子どもの気持ちを聞いてあげたい」。
どちらも子供のことを考えているには違いない。
他にも、実家との付き合い方もそうでしょうね。
「親は大事にして、なるべく顔を出すもの」と「それぞれの家庭が優先で、ほどよい距離でいい」。
・・・どれも、あるある。
だから、価値観の相違が離婚の理由として上位を占めるのか。
そう納得してしまう僕がいますよね、はい。
ただ、心理的に見て、価値観の相違ってどういうことやねん、という部分まで考えてみると、こんなことが言えるんですね。
そもそも、価値観って何なのか
心理学の視点で見る「価値観」とは、
「その人の行動や選択の、根っこにある動機」と捉えられています。
目に見える行動の、その奥にある、大事にしているもの。それが、生き方やライフスタイルとして、表に現れてくる、と。
つまり、さっきの「顔を出す・出さない」みたいな行動は、価値観そのものじゃなくて、価値観が表面に出てきた”結果”なんですよ。
本質的なものは、もっと奥にあるというか、その人の性格や学習の結果、環境からの影響などさまざまな要素で構築されてきたもの、のようなんです。
*
価値観に関して語るうえで外せないであろう、シャローム・シュワルツという心理学者がいるんですけどね。
彼は、文化を超えて、人間には共通する基本的な価値観がだいたい10種類ある、と整理しました。
たとえば、安全、伝統、自己決定、刺激、達成、博愛・・・とかですね。あえて全部は挙げませんけど。
ただ、僕がカウンセリング現場で感じるのは、この個々の価値観の違いよりも、もっとざっくりとした、「そもそもの前提」のような部分でのズレが起きていることが多いということなんですよね。
実は、この基本的な価値観10個、バラバラに規定されているのではなく、大きく2つの対立軸に、整理されているんですよ。
そして、多くの夫婦やカップルのすれ違いを見ていると、この大きな軸のズレがけっこう効いてる気がするんです。
ズレの正体は、たぶん「大きな軸」にある
じゃ、その大きな軸ってなんやねん、という話なんですけどね。
一つ目の軸は「変化を好むか、安定を好むか」。
新しいこと、刺激、自分で決めて動くことを大事にする人。これが「変化」側。
一方で、安定、秩序、これまで受け継いできたものを大事にする人。これが「安定」側。
先程書いた「気持ちは移ろうもの」と「裏切らないのが当然」という例。
これ、まさに大きな軸の違いですよね。
移ろいを自然とみるのが変化側、愛し続けることを選ぶのが安定側。
どちらが正しい、間違っている、という話ではなく、大きな軸で見たときに、すでに反対の方向を向いてる感じがしますね。
2つ目の軸は、「自分の成し遂げることを大切にするか、周りとの調和を大切にするか」。
一つは、成功したい、認められたい、力を持ちたい、という方向。
もう片方は、身近な人を思いやりたい、みんなの幸せや公平さを大事にしたい、という方向。
これも、夫婦であるあるですし、個々の仕事に対する向き合い方もこの軸で見るとけっこう「あぁ〜そういうことか」と思えることが増えると思いますよ。
片方が「仕事で成果を出して、家族を養うのが俺の役目」と思っている。
しかし、もう片方が「そんなことより、家族で気持ちが通い合ってるほうが大事でしょ」と思っている、とか。
その前提には、夫婦や結婚に対する価値観というより、より本質的な価値観のズレがある、みたいなね。
この「大きな軸」でズレてると、細かい話し合いをいくらしても、なかなかかみ合わないのかもしれない。
前提が違いすぎて、話をしても、伝わりきらないし、理解しきれない。
そんな事が起きるのかもしれない。
ただ、どれだけ話し合っても、お互いを理解しきれないのは、何かが劣っているから・・・ではないですよ。
価値観の大きな軸の向きが違うということであって、優劣ではない。
言い換えるなら
「そもそも相手の軸で世界を眺めたことがなかった」
みたいな話なのかもしれないわけです。
まぁ、見たことがないものを見たことがあるというのは、明らかに嘘ですからねぇ。
だから、正直な方ほど「んなもんしらんし〜」とおっしゃるのではないか、と。
そう考えると、相互理解とは、「未知との遭遇」というか、「世界ふしぎ発見!」みたいな感じですかねぇ・・・。
価値観が合わないと、何が起きるのか
では、価値観が合わないと何が起きるか、なんですけども。
表面的には、行動や意見がぶつかりますよね。
たとえば、「なんで顔を出さないの」「なんでそんなに厳しくするの」と。
でも、ほんとに悩ましいのは、その向こう側なんですよ。
自分の本質的な価値観が相手と通じ合わないと、「自分の生き方そのもの」がちょっと揺れますね。
「自分の価値観を変える必要はない」「自分軸で生きるんじゃ〜」と思う一方、近くにいる相手のあり方の影響を受けないわけじゃない、というか。
だから、表面的には「なんであなたはそうなの?」「君と話し合っても埒が明かない」と言ってはいる。
けれど、心のどこかで
「なんか・・・一緒にいても自分は相手のためになっていないんじゃないか」
「二人が一緒にいても、相手は幸せじゃないんじゃないか」
と、いわば「自分は相手の幸せのためにいい影響を与えていないんじゃないか」みたいな感覚(観念)を感じ始めていたりするんですよ。
ただねぇ・・。
多くの人にとって、この感覚を感じることが嫌なんですよねぇ。プライドが許さないというか、自分をマイナスに捉えることに抗いたくなる、というか。
だから、「別れる」という選択がちらつくのかもね、と僕は見ているんです。
「自分の価値観が否定されたから、こんな人とは一緒にいれない」。
そんな気持ちになることもあるのかもしれませんが、それはおそらく自分自身を過小評価した結果か、まだ心が未発達な部分があって、自分ではなく相手を変えようとしてしまっているか、どちらかなんだろうな、と僕は考えるのです。
もっと深い部分では「愛し合いたいし、分かり合いたいし、相手を幸せにしたい」と願うのが大人。
ならば、価値観の相違が導くものは、「おめー、話がわかんねー人間だな」ではなく、
「私がそばにいても、あなたはきっと幸せになれない(かも)」
という「悲しき予言の自己成就」みたいな側面があるのかもしれないんですよね。
・・・いや、この視点で見ない限り、価値観の相違からくる衝突は、マジでストリートファイトっぽくなるので、危険かな、と。
じゃあ、価値観は「合わせるべき」なのか
世間ではよく「価値観をすり合わせましょう」と言われます。
それもわかるんです。
わかるんですけど、「合わせる」って、人のよっては「自分を消す」みたいな認知になってることがあって。
そこに一定のリスクがあるかなぁ、と僕は考えていたりしますよ。
どちらかが自分の価値観を消す、引っ込める、なかったことにする、となりがちというか。
だから、その場は収まっても、引っ込めたほうに、じわじわ感情がたまっていく。
ただ、そもそも論になってしまいますが、「価値観が合わなくても幸せそうな夫婦」っているじゃないですか。
考え方はぜんぜん違うのに、なんか、うまくやってる二人。
その人たちは、価値観を「合わせた」んでしょうか?
自分を消したのでしょうか?
・・・たぶんちょっと違うような気がします。
これは「相補性原理」がうまくハマったケースなんだと思うのです。
自分のない部分を相手に補ってもらっている。
相手にない部分を自分が補ってる。
この循環が起きているとすれば、自分の存在理由も感じやすいし、相手に感謝できたりすると思うんですよね。
だとしたら、問題は「合ってるかどうか」ではないのかもしれない。
お互いが上手に機能する、そんな価値観に至っていないだけかもしれない。
これを別の言い方をすると・・・「自力で相手を幸せにすることにこだわっているだけ」かもしれない、ってことなんですよねぇ。
うーん、思いのほか、深いところに着地してしまいましたけども。
価値観は異なるもので、優先順位が違うだけ
ここで話を少し戻しますが。
シュワルツの言う、基本的な価値観。
これ、どれかが正しくて、どれかが間違ってる、というものじゃないんですよ。
安定を大事にすることも、変化を大事にすることも。
成し遂げを求めることも、調和を求めることも。
全部、人間にとって、まっとうな価値観なんです。
ただ、人によって、その「優先順位」が違う。
何をいちばん上に置くかが違うだけ。
そう考えると、夫婦の価値観のズレって、「正しい人と、間違ってる人」の戦いじゃ、ないはずなのです。
「大事にしてるものの順番が違う二人」が一緒にいる、というだけ。
・・・こう見ることができると、少し気持ちが楽になりませんか。
相手は、間違ってるんじゃない。私も間違っているわけではない。
ただ、今は、お互いに「相手とは違うものを大事だと思っているだけ」みたいなね。
合わせるより、「持ち寄る」
だから、価値観は、無理に「合わせる」ものじゃなくて、「持ち寄る」ものなんじゃないか、と思いますね。
一番身近なパートナーに、自分の価値観を相手にぶつける。
それって何のためになされているのか?と考えてみると、
一見、「相手をコントロールしている」ように見えるけど(実際コントロールしている人もいますが)
多くは「自分があなたと一緒にいて、あなたは幸せなんでしょうか?」という問いを投げているだけのように僕は思いますよ。
人間って、「相手が自分の言う事を聞くかどうか」で、愛着の存在(心のつながり)を確かめようとする側面がありますからね。
「え、そんなめんどくさいこと、私はしてないよ」ってめちゃくちゃ思いたい部分ですけど、まぁまぁ多くの人がそれをやりますよ。人間の心理はそういうもののようですから。
もちろん僕もそんなめんどくさい自分を知っていますし、その自分を否定なんてしていません。
じゃなきゃ、いちいちエネルギーを使ってケンカしないでしょ?と。
だとしたら、「その問いの投げ方そのもの」に、価値観の問題を超えるポイントがあるんじゃないでしょうか。
どのようにして価値観の違いを超えるか、ではなく。
どのようにして、お互いがお互いを補完する、ある意味「循環する関係」に向かうために、自分に、そして相手に「投げかけるといい問いの形」を見つけるか、ですね。
まぁ、この話は国家レベルになるとかなり難しい話になると思うのですが、パートナーシップであれば実現可能になるのではないか、と思われます。
おわりに
価値観が合わない。
それ自体は、しんどいことです。
でももし、そのしんどさが指し示すものが「自分は相手の幸せを作る存在じゃない」だとしたら。
価値観云々よりも、もう一歩深いレベルで見つめ合うこともできるんじゃないだろうか。
そんなことをカウンセリングの現場で考えることはありますよ。
とはいえ、いつもそんな小難しい話をしているわけではないですけどね。
そもそも、違う人生を生きてきた二人が、同じ価値観のわけがない。
合わなくて、当たり前。
そんなことは重々承知の上で、それでも「相手を幸せにしたい」と思った自分を(相手を)、どう見るか。
・・・まあ、言うほど簡単じゃない話ではあります。
もちろん「いや、そこまでやる気はないよ」というご意見も尊重されるべきことだと思います。
ただ、このまま放っておいても対立が深まるばかり、とお感じなら、もう少し踏み込んで自分、そして相手を理解する方向に進まれるのもありかな、と。
さて、あなたはどう思われますでしょうか。
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「もっとうまく関わり合えないだろうか」
この17年、そういった方のお話を沢山うかがわせていただいてきましたよ。
どんなに辛い状況になっても、多くの人の心の根っこにはまだ愛や優しさがある。
僕はそう思っています。
まずは僕の考え方、スタンスを読んでみてください。
夫婦の問題には必ず、まだ見えていない心のロジックがある事が多いです。
思いはある、でも離れるしかない、とか。
伝えたい気持ちはある、でもなかなか伝えられない、とか。
衝突もすれ違いも、想いがなければ起こらない。
あなたの気持ちに沿いながら、状況をできる限り良い方向に進めるよう、サポートさせていただきます。
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