こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、恋愛や夫婦関係に限らず、仕事や人間関係全般で起きやすい

「正しさ」と「幸せ」がズレてしまうときの心理について、

ひとつの具体例を通して整理してみたいと思います。

よく、こんな言葉を耳にします。

「正しいことをしているはずなのに、なぜか報われない」

「間違ったことはしていないのに、関係がうまくいかない」

もし、あなたがこう感じたことがあるなら、

それは性格や努力不足の問題ではないのかもしれません。


「正しさ」とは何か ─ 自分を守ってきた成功法則

この記事で扱う「正しさ」とは、

道徳的に正しいかどうかという意味ではありません。

もう少し具体的に言うと、

「自分がこれまで生き延びるために身につけてきた成功法則」

のことを指しています。

よって、経験、ノウハウ、知恵や知識と言い換えてもいいかもしれないですよ。

心のレベルでは「学習の結果」みたいなものです。

たとえば、

  • 頑張っていれば、いつか認められる
  • 人に迷惑をかけなければ、関係は壊れない
  • 自分がしっかりしていれば、物事はうまくいく

こうした考え方は、多くの場合、

あなたをここまで連れてきてくれた大切な知恵です。

問題は、その正しさが「今も機能しているかどうか」なんですね。


正しさが幸せをブロックした一つのケース

ここで、カウンセリングで実際によく出会うケースを一つ紹介します。(架空のケースです)

例えば、ある女性の事例。

その女性はとても努力家、かつ、情熱的な人。

彼のことはもちろん、家庭のこと、自身のお仕事のこと、様々な部分で

「私が頑張ろう」と一生懸命だったのです。

しかしそんな彼女を見て、彼は内心

「そこまで頑張らなくても・・・」
「いつも無理してない?」

と感じていたのです。

彼女が大切だから心配していた、というわけです。

彼女が頑張りを否定したいわけではないけれど、

口に出すこともなかったけれど、

「彼女はいつも自分のやり方にこだわるよな」

と感じていた。

それでも、二人はお互いを理解し頑張りながら、関係を続いていたのです。

だから表面的に文句を言い合うことはあっても、

「相手を理解しよう」という気持ちで向き合っていた。

しかし、彼女はいつの間にか心も体も疲れ、元気をなくしていきます。

正しさが心も体も疲れ果てさせるとき

次第に、溜め込んだ不満を、彼にぶつけるようになっていきます。

「なんであなたはいつもそうなの?」
「私がこれだけ頑張っているんだから、もっと分かってよ」
「なんでこんなこともできていないわけ?」

このとき、彼女は理解していませんでした。

その不満自体に罪はないにせよ

「そこまで頑張らなくても」と感じていた彼の気持ちを、

目に見えない形で否定していたことに。

しかし、

彼女の心も燃え尽きを起こしていたので、

気持ちのバランスが取れなくなっていたのです。

しばらくの間、そんな関係が続いたあと。

ついに彼がこう言いはじめます。

衝突が別れにつながるとき

「もう一緒にいても意味がないだろう」と。

そこで彼女は大変驚いたのです。

「まさか信じていた人に裏切られるなんて!」と感じ、彼を責め立てます。

しかし、彼の気持ちは変わりません。

変わるどころか、彼女に向かってこう言い放ちます。

「君みたいに自分勝手な人とはもう一緒にいられない。もっとしっかりした人だと思っていたよ。」

彼女はその言葉で深く傷つきます。

なぜなら彼女は情熱的な人。

甘えたことを言わない、大変な努力家でもあったからです。

衝突のあとの原因探し・・・でも答えが見つからない

ただ、二人とも、なぜこのような結末になったのか

分からないままだったのです。

「あれだけ支え合った二人がどうして対立することになったのか」

彼女はこう考えていました。

「私が彼にひどいことを言ったからですよね。

私が素直じゃなかったし、可愛い女じゃなかったから・・・。」

彼はこう考えていました。

「彼女のことをよく知っていたのに、

彼女を説得しようとせず、結果的に守ってあげられなかった僕の責任だ」

その根っこには「二人の正しさ」の対立があったのです。

彼女も彼も、自分の価値観の中に存在する

「自分の愛情や相手への気持ち」という答えだけを眺めていたのです。

「これから二人でどうしていこうか」

そのシンプルなコミュニケーションが消えていた。

なぜなら二人とも「相手のやりたいようにしてあげたい」と願っていたから。

黙って受け止めればいいと信じてたから。

しかし、その結果”対立”を生んでしまった、と考えられるのです。


正しさが強くなるほど、人は孤立しやすくなる

ここが、少し厄介なポイントです。

正しさは、

自分を守る力が強い分、人とつながる力を削ってしまう

ことがあります。

なぜなら、正しさの裏側には、

「自分で何とかしなければならない」

という前提が隠れているからです。

すると、無意識のうちに、

  • 頼らない
  • 委ねない
  • 期待しない

という姿勢が固定されていきます。

その結果、

誰かと一緒に幸せになる回路が、使われなくなってしまう

これは、性格の問題ではありません。

生き延びるために身につけた戦略が、

次の段階では足かせになっているだけなのです。


幸せを選ぶことは、正しさを捨てることではない

ここで、よく誤解されやすい点を一つ。

「幸せを選ぶ=正しさを否定する」ではありません。

むしろ大切なのは、

「その正しさは、今の自分を幸せにしているか?」

と問い直すことです。

かつては必要だった正しさも、

今のあなたには重すぎるかもしれない。

そして、正しさを少し緩めたところに、

初めて入ってくる感情があります。

  • 安心して頼る感覚
  • 不完全でも一緒にいられる感じ
  • 一人で頑張らなくていいという実感

これらは、正論の先には出てきません。

関係の中で、初めて育つ感覚なのです。


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最後に

正しさは、あなたを守ってきました。

だから、無理に手放す必要はありません。

ただ、もし今、

「愛しているのに、なぜかうまくいかない」

と感じているなら。

それは、正しさの影響と、そのあり方をチェックするタイミングなのかもしれません。

正しさは必要なもの。

しかし幸せは、正しさの延長線上にあるとは限りません。

ときには、

正しさを一度脇に置いた場所に、

人とのつながりや、安心が待っている

こともあります。

どちらを選ぶかは、あなたの自由です。

でも、その選択肢があることだけは、

知っておいてください。

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