親の恋愛パターンを引き継ぐ私たち 〜社会的学習と「愛し方の癖」の心理学〜
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
恋愛や夫婦関係の相談を受けていると、こんな声をよく伺います。
「あんな親のようにはなりたくないと思っていたのに、気づけば似たような関係を繰り返している」
実はこれ、珍しいことではないんですよね。もちろん例外もあるんですけど。
心理学的には「学習」と呼ばれるものの影響と考えることができます。
つまり、私たちは“親の関係のあり方”を無意識に観察し、それを“自分自身の愛し方や愛する人との関係を作るパターンモデル”として学んでしまうわけです。
Index
私たちは「愛の形」を“見て”学ぶ
カナダの心理学者アルバート・バンデューラは、社会的学習理論の中でこう述べました。
「人は自分の経験だけでなく、他者の行動を観察することで学ぶ」
これを「観察学習」と言います。
子どもは、親がどのように愛し、どうやって衝突を乗り越え、どんな距離感で関わるのかを日常的に観察しています。
そしてその観察の中から、「愛するとはこういうこと」「関係を続けるとはこういうこと」という“無意識の方程式”を形成していくことがあるのです。
たとえば、
- 母親がいつも我慢していた家庭では、「愛する=耐えること」と学びやすい
- 父親が怒りっぽく距離を取る関係では、「愛する=近づくと壊れる」と感じやすい
- 両親が仲が良いけど会話が少ない場合、「愛する=空気を読むこと」と信じてしまう
こうして作られた“学習の結果”は、そのまま大人になってからの恋愛・結婚の中で再現されることがありますね。
親の恋愛パターンを“再演”してしまう心理
なぜ私たちは、わざわざ同じような関係を繰り返してしまうのでしょうか。
それは、「親の関係の中に安全を感じるから」です。
たとえ親の関係が不健全であったとしても、子どもにとってそれは「見慣れた風景」なんですよ。
親の愛し方がいい悪いという話とは別に、脳にとって“馴染みがある”ということは、それだけで安心できることでもあるんですよね。
つまり、親の関係や「親が持つパートナーとの向き合い方」は、いつしか心に刻まれるもの、と言えるわけです。
だから大人になってからも、無意識に「親が選んだ男女関係」や「親が選んだパートナー像」と似た関係、似た人を選び、同じパターンを再現することがあります。
この心理は社会的学習理論と同時に、愛着理論でも説明されます。
人は、自分の中にある“つながり方の型”をもとにして、関係を築こうとする。
それが良い悪いではなく、“慣れた形”として機能してしまうんですね。
「親の恋愛パターン」を手放すには
もちろん、ご両親の関係が良好だった場合はいいのでしょうが、実際のカウンセリングでは
「親とそっくりな恋愛パターンを持っていて、苦労が絶えない」
というご相談を頂く場合もあります。
では、どうすれば親の恋愛パターンを引き継がず、手放すことができるのでしょうか。
僕はカウンセリングの現場で、次の3つのステップを意識してもらうようお話ししています。
① 見てきた“愛の型”を言葉にしてみる
まず、自分の親(または育ての親)がどんな関係を築いていたかを思い出してみましょう。
その上で、「どんな場面で、どんな言葉や態度を学んだか」を具体的に書き出してみる。
たとえば、
- 「母はいつも“我慢すればうまくいく”と言っていた」
- 「父は“愛してる”と言わなかったけど、仕事で家族を支えていた」
それらが、今の自分の恋愛観にどう影響しているかを見つめることが第一歩です。
② “再現していること”に気づく
次に、今の自分の恋愛や人間関係の中で「この感覚、どこかで味わったことあるな」と思う瞬間を観察してみましょう。
それがまさに、親のパターンを再演しているサインです。
ある意味で、親のパターンをコピーしている自分に気づくことで
「本来の自分のありたい姿、本来の自分にフィットした恋愛スタイルとは違うのではないか?」
と思いやすくなります。
この「本来の自分にフィットした恋愛スタイル」を見つめ直すことが超重要なのです。
親とは違う個性を持った私、にフィットした「愛し方」を見つける。
それは親の愛し方を否定することではなく、違っていいのだ、と理解することです。
親の愛し方の中にも良い意味で参考にできることはたくさんあるはずです。
ただ、まるっとコピーするだけではなく、自分らしい愛し方を模索すること。
そのプロセスの中で「私」が存在していることに気づく人も少なくないんです。
③ 「違う関わり方を選ぶ練習」をする
その上で、“観察した型ではない愛し方”を選ぶ練習をすることです。
たとえば、
- いつも我慢してきた人は、「助けて」と言ってみる
- 距離を取ることで関係を守ってきた人は、「怖いけど一歩近づく」を試す
- 何でも受け入れてきた人は、「今の自分にはそれはできない」と伝える
この小さな「違う選択」の積み重ねが、親のパターンから自分自身を切り離していく鍵になります。
親の恋愛パターンを“理解して変換する”方法
親の恋愛パターンを引き継ぐことは、決して悪いこととは言い切れないものです。
なぜなら、それは「愛をどう扱えばいいか」を学ぶための最初の教材だったからです。
大切なのは、「その型を理解して、使いこなすこと」。
たとえ似たような関係を選んだとしても、 今度は「なぜそうしてしまうのか」を理解した上で選ぶことができれば、 それはもう“引き継ぎ”ではないのです。
愛し方は、学び直すことができます。
学習は影響を受けたら終わり、というものではなく、新しい学習を持って書き換えられるものですからね。
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まとめ
僕たちは、親の関係を見て「愛の形」を学びました。
その学びにはきっと価値があります。
しかし、それがすべてではありません。
だからこそ、その続きを自分の人生で書き換えていくことができる。
それが「大人になる」ということの、心理的な意味なのかもしれませんね。
あなたがどんな愛を学び、どんな愛をこれから選びたいのか。
それを見つめる時間を、少しだけ取ってみてくださいね。
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