こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、読者の方からいただいたご質問にお答えします!
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ご質問内容はこちら
浅野先生へのご質問
交際歴5年になる30代カップル、彼の方が私よりも年上です。
彼はスマホを見るのが癖になっているようで、デートや、室内でのスキンシップ時もスマホを離しません。彼がスキンシップに集中し始めると、スマホを手放します。
何を見てるのか聞いてみたら「ニュースとか天気予報」と言っていました。SNSも見ていますが、私が一緒に彼のスマホを見ても問題はないようです。
私と彼の出会いはマッチングアプリです。結婚にはまだ至っていません。
理由は、私の持病の影響で、仕事に就けない期間があったからです。現在は持病も落ち着いてきたので就活中です。
私と彼は、お互いに共働きを希望しています。
彼は私の持病のことも知っています。
「毛糸ちゃんの持病もあるし、僕から就職を急かして病状を悪化させたくなかった。でも結婚への不安と焦りがある。感情だけで結婚を決めるのは無理。経済基盤が整わないと結婚は難しい。闇雲にアプリを使っているわけじゃない。保険の意味で残している」と、今年の夏頃に初めて将来のことやアプリ在籍の理由を具体的に話してくれました。
彼がこうした話題をしなかったのは、私の持病を考慮していたからです。今年の夏頃に話してくれたのは「直接話さないとニュアンスが伝わりにくい」と彼が判断をしたからです。
彼は今もアプリに在籍をしています。私はアプリに在籍を続ける理由を聞いたので納得をしています。
むしろ彼と話をしたことで、関係性は深まってきました。
丁寧に私との関係を築こうとしてくれる彼ですが、お部屋デートの最中にアプリを開いていたこともありました。彼は通知が入ったから開いただけで悪気はなかったそうです。
彼は一緒に出かけた時、私に「写真を撮って」と、スマホを私に手渡す時もあります。
lass=”yoast-text-mark” />>彼のスマホの通知が見えてしまった時に「撮影していたら通知が見えちゃった」と私が言ったこともあります。彼は通知内容や相手を開示してくれました。
私は、彼がスマホに触るのは癖だと感じているので「一緒にいる時はスマホに触らないで」とは言いたくないのです。
こうしたスマホの使い方をする彼とどのように向き合えばいいのでしょうか?また、彼にとってスマホは、心理的にどのような存在の可能性があるのでしょうか?
ご回答していただけると嬉しいです。よろしくお願い致します。
ネタ募集ネーム:毛糸さん
「スマホを離せない」は、現代の“安心装置”
まずお伝えしたいのは、スマホを離せない=依存しているとは限らない、ということです。
たとえば、スマホは情報を得るだけではなく、「安心感を得るための装置」として機能していることがありますね。
何らかの不安や緊張を和らげるために、“手元に安心を置いておく”という行動といいますか。
なので、いただいたご質問を僕が見る限り・・・
今回の彼の行動も「あなたを無視している」わけではなく、おそらく無意識的に安心を確保する手段としてスマホを持っている可能性はあるのかな、と思います。
スマホを離せない人の“心の構造”
もう少し心の仕組みを見てみましょう。
スマホ依存的な行動には、次の3つの心理が重なっていることが少なくないんですよね。
- 刺激への慣れ:常に情報を受け取る状態が「平常」になっている
- 不安の回避:沈黙や間を不安に感じ、スマホで埋めようとする
- 自己調整の手段:「今ここ」に集中できないときの心の安定装置
特に、今回の彼のように「悪気はない」「隠し事もない」というケースでは、 ③の「自己調整装置」としての使い方が強い印象です。
もはやスマホを見ることが習慣化している、という感じで。
つまり、スマホは“外界との接点”であると同時に、「自分を落ち着かせるための壁」でもあるんですね。
“彼のスマホ”が象徴している関係性
ちなみに、彼がスマホを手放さない背景には、 単なる習慣以上に、「心理的な間の取り方」が隠れている場合がありますよ。
恋愛関係では、相手との距離を近づけすぎると“緊張”を感じる人がいますね。
このとき、人は無意識に「少し距離を置いて心を整える」行動をとります。
たとえば、無言になる・トイレに立つ・飲み物を取りに行く、などなど。
それと同じように、彼にとってスマホは「適度な心理的距離を保つための道具」になっている可能性がありそうですね〜。
スキンシップの直前までスマホを見ているという点も、「今から近づく」という緊張をゆるめるための“手段”として使っていると考えられます。
これは彼の誠実さを疑う話ではなく、「彼なりの心の守り方」として見たほうが自然かもしれませんね。
スマホに“意味づけしすぎない”ことが大切
ご相談者さんは「スマホをやめて」とは言いたくないとのこと。
このスタンスはとても健全で、関係を壊さない賢い選択だと思います。
なぜなら、スマホという「モノ」に過度な意味づけをすると、 彼の防衛反応が強まってしまうからです。
心理的距離のバランスを保つためにスマホを使っている人は、 それを奪われると、逆に「不快感」を感じたり、「安心材料を禁じられた」と感じることもあります。
それが”妙な過干渉”と認識されてしまうこともあるんですよ。
とがいえ、スマホであれPCであれ依存と呼べるほどどっぷり使っているとしたら、それはまた別の問題なので、指摘が必要な場合もありますけどね・・・。
今回の場合は、彼との間で、「安心を別の形で作っていく」方向を意識していきましょう。
マッチングアプリが“消せない”心理
今回のご相談には「彼がまだマッチングアプリに在籍している」という点も書かれていましたね。
スマホなどのデジタルデバイスは、もはやコミュニケーションツールとしての機能のほうが強い気がします。
つまり、人とのつながりの入口になっている、ということ。
スマホもマッチングアプリが「出会いの場」であると同時に、 “保険”や“安心装置”として機能することもあるのです。
ちなみに、心理的に見ると、アプリに在籍し続ける理由には次のようなパターンがあります。
- 関係が壊れたときの“逃げ場”を確保しておきたい
- 自分がまだ誰かに必要とされる感覚を保っていたい
- 可能性を閉じる怖さ(=自由を失う不安)を感じている
特に「自由を失う不安」は、誠実な人ほど抱きやすいもの。
“誰かを選ぶ”ということは、“他の選択肢を手放す”ということでもあります。
その覚悟を決める前に、心理的な保険を残しておきたい・・・。
彼の言う「保険の意味で残している」は、この心理構造に近いのかもしれませんね。
大切なことは、彼がアプリをどう使っているかではなく、「アプリを残すことで何を守ろうとしているのか」を見てあげることかもしれません。
とはいえ、万が一の話・・・。
「彼は私の不安を見てくれないなんて状況で、こちらから理解するなんてありえな〜い」
なんて思われる人もいるやもしれません(毛糸さんは違ったとしても、です)。
ということは、このアプリの問題は、これからお二人が“安心できる時間を増やしていく”方向で、 二人の信頼を少しずつ育てていくといいですよ、というサインかもしれませんね。
スマホやアプリの向こう側にある“信頼”を育てる3つのステップ
① スマホやアプリの話ではなく、「安心」の話をする
「スマホばかり見ているね」と責めるのではなく
「あなたといる時間はめっちゃ安心するわぁ」と伝える。
話題を“目の前の行動”から“関係の質”に移すのがポイントですかね〜。
*
ただ、余計なお世話かもしれませんが、彼のスマホやマッチングアプリの使い方で不安を感じる方も少なくないと思います。
そう感じること自体、ある意味しゃーないことなんですよね。
ここで何をお伝えしたいかと言うと・・・
自分の不安や気がかりな部分を無視して「めっちゃ安心するわぁ〜」と演じてほしいという意味ではないのですよ、このご提案は。
僕にネタを送ってくださるぐらいなので、何かしら気になることがお有りなのかな?と感じていたりもします。
そういう意味では無理はしないでいただきたいな、と思います、ハイ。
② 一緒に“スマホを置ける時間”を決める
あと、スマホでもなんでもそうなんですけど、「禁止」ではなく「提案」として共有するのが効果的なことが多いですね。
例えば、「映画を観てる間だけはお互いスマホを置こうか」など、 限定的なルールから始めると抵抗が少ないみたいですよ。
*
ただ、この場合、相手がいわゆる”いい子ちゃんパターン”を持っていて「相手の提案を受け入れればいい(言うことを聞けばいい)」と感じている場合は、ちょっと注意が必要です。
昔、どこかの記事で書いたと思うのですけど(関連リンクに貼っておきます)
”いい子ちゃんパターン”を持つ人は、「ちゃんとルールを守れば問題ない」と考えている反面、「隙あらばルールから逸脱したい」という欲求を隠し持っている可能性があるんですよねー。
なので、「二人で決めたこと」となっていない。
彼女がそうしてほしいと言ってきたことを受け入れただけ、と解釈している可能性があるんです。
だから、「約束守ってんじゃんか」「ちゃんと言うこと聞いてるんだからいいでしょ?」と、別の場面で自己主張を強める可能性があり・・・。
その姿を見て「え、私や二人のこと考えてくれていたわけじゃなかったんだ」とショックを受けられる女性の皆さまのお声は、もうわんさか聞いておりますよ。
ただ、どんな動機にせよ、「あなたの意見を受け入れている」には違いないので、そのあたりはちょっと広い視点を持って見ておきたいですよね。
このあたりの”いい子ちゃんパターン”の罠にハマらないようにはしてもらいたいな、と思います。
③ “スマホを見ても大丈夫な関係”を目指す
最終的なゴールは、「見ていても不安にならない関係」でしょうね。
これは“信頼の再定義”が必要になります。
相手の行動を変えるよりも、自分が安心して二人で過ごせる土台を育てるほうが、長期的に関係を安定させます。
この場合、相手の不安に対応するように、自分の中の不安が結構な確率で蠢いていることが少なくないもの。
例えば、彼が「未来ちゃんとやっていけるんだろうか」といった不安を抱えているとき。
こちらも「私は彼の支えになれるの?」「選ばれているの?」「彼を喜ばせられるのかな?」といった、ちょっと質の違う不安を抱えていることが少なくないんです。
この場合、「自分が抱えている不安」にフォーカスして、そのケアや手当を行うといいんですよね。
すると、不安ベースではなく、信頼ベースで相手と向き合うことが可能になってきますから。
かつ、信頼ベースで向き合うと、多くのパートナーさんは「その信頼に応えよう」とするでしょう。それが大人ってもんだと思いますし。
なので、不安を隠し持って我慢し続けると、信頼の再定義が難しくなりがちなんですよね。
そのあたりの不安のケアを含めて、カウンセリングでは扱わせていただいていますけどね。
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まとめ:スマホやアプリの“向こう側”にいる彼を見よう
ということで、今日の回答は以上となります。
いかがでしたでしょうか?
今回のケースでは、彼が誠実に対話をしてくれていること、 通知内容を隠さないことなどからも、信頼の基盤はしっかりあります。
だからこそ、彼の「スマホを持つ手」ではなく、 その奥にある“安心したい心”を見てあげてほしいのです。
と同時に、あなたご自身の不安なども丁寧に寄り添ってケアしていただきたいのです。
こういった様々な思いは何が正しくて、何が間違い、といった話ではないんですよね。
そう感じるのだからしゃーない、ということ。
その上で、より良い関係を作るためにできることに取り組んでみるのがいい感じです。
スマホを通じて世界とつながる時代だからこそ、 「スマホの扱い方」は、いまやパートナーシップの鏡でもあります。
そこに“悪意”ではなく“安心への欲求”が見えるなら、 あなたが感じている不安は、少しずつ和らいでいくのかもしれません。
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