こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
普段の人付き合いは、それほど困っていない。
初対面の人とも話せるし、友だちもそれなりにいる。
仕事や雑談なら、むしろ得意なほうかもしれない。
でも、恋愛になると、なぜかうまくいかない。
距離が縮まりそうになると、急にしんどくなる。
素っ気ない態度を取ってしまったり、相手を試すようなことを言ってしまったり。
「仲良くなりたいはずなのに、なぜか自分から壊してしまう」
そんな感覚に心当たりはある方もいらっしゃるのかもしれないですね。
今日は、
「友だちは多いのに、恋愛になると親密になれない心理」について、
実際にいただいたご相談をもとに整理してみたいと思います。
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いただいたご質問はこちら
浅野先生、はじめまして。
自分の悩みについて調べているときに先生のサイトを見つけました。
私は恋愛において、相手と近くなっていくほど怖くなってしまいます。
初対面の人と話すのはわりと好きで、
男性と初めて食事に行くときも会話は盛り上がります。
「いい感じだったな」と思って、また会いたいと思うのですが、
2回目、3回目と距離が近づくにつれて、なぜかうまく話せなくなります。
仲良くなりたい気持ちはあるのに、
ぶっきらぼうな態度を取ってしまったり、
相手を試すようなことを言ってしまったりして、
結果的に距離を取られてしまいます。
友だちにはそんな態度を取らないのに、
恋愛になると、どうしても同じことを繰り返してしまいます。
私は気まずい雰囲気や沈黙がとても苦手で、
特に家族と真剣な話をすることからは、ずっと逃げてきました。
この心理は、いったい何なのでしょうか。
この壁を乗り越えて、恋愛を楽しめるようになりたいです。
ネタ募集ネーム:Reiさん
友だちは多いのに、恋愛でだけ親密になれない理由
ご質問ありがとうございます。
友達なら近くに行ける。でも、気になる人とは・・・。
なかなか胸がキュンとするお話でもあり、切実なお悩みでもありますよね。
ここでのポイントは、
「人付き合いが苦手なのではなく、親密になることが苦手」という点なのでしょうね。
仕事や雑談、浅い関係性では問題がない。
でも、距離が近づき「感情が絡み始める」と、途端に苦しくなる。
この状態は、心理学的にはよく「親密感への怖れ」と呼ばれますよね。
親密感への怖れとは、
「人と近づくことそのものが怖い」というより、
近づいた先で起こる感情や反応を、うまく扱えない感覚のことなんですけどね。
ただ、これが正解という話でもなく、以下の記事をご覧いただいて、思い当たるフシがあったら、みたいに考えてください。
▶関連記事:親密になるのが怖い心理|親密感への怖れとは?その原因と向き合い方
なぜ「知らない人とは話せる」のに「好きな人とは苦しくなる」のか
少し不思議に感じるかもしれませんが、これはとても自然な心の動きかもしれませんよ。
まず。そもそも論。
友達と恋人では、心理的な距離感の感じ方が違う、という側面です。
恋人と友だちでは「距離のルール」がそもそも違う
ここで、少しだけ心理学の視点を補足しておきます。
環境心理学者の R・ソマー(Robert Sommer) は、
人と人との距離には「物理的な距離」だけでなく、 心理的な距離のルールがあることを指摘しました。
これを一般に「対人距離(パーソナルスペース)」の概念と呼びます。
ポイントは、相手との関係性によって、許容できる距離がまったく違うということです。
たとえば、
- 友だちとの距離感
- 仕事仲間との距離感
- 家族との距離感
- 恋人との距離感
これらは、心理的にも物理的にも、同じではない、という考え方ですね。
特に恋人関係は、感情・期待・欲求・依存・傷つきやすさが一気に近づく関係です。
「友だちとは普通に話せるのに、恋愛になると急に苦しくなる」のは、
距離が一段階、いや二段階くらい急に縮むからとも言えます。
そう考えると、
友達には近づけるのに、恋人は近づきがたい、ということは、
あなたの心がその距離の違いを、正確に感じ取っているのかもね、
とも言えるのです。
ちゃんと自立してきた人ほど、恋愛でブレーキがかかる理由
人は大人になる過程で、一度「心理的な自立」を経験します。
この自立がしっかりしている人ほど、人と深く関わる場面で、無意識にブレーキがかかることがあるんですよね。
なぜなら、親密な関係では、自立のときには足かせになりえた
- 弱さ
- 怒り
- 甘え
- ニーズ
といった「コントロールしにくい感情」が出てきやすいからです。
だから、無意識のうちに、
「これ以上近づくと、自分が自分でいられなくなる」
そんな感覚が立ち上がることもあります。
家族との距離感も影響することがありますね
ご質問の中にはない話なんですが、補足として。
「家族と距離がある」「真剣な話をするのが苦手」といった状態にある場合も、
好きな人との距離は縮めにくいことがありますよ。
心理的に見た「家族」は、もっとも親密で、もっとも感情が動きやすい関係のシンボルみたいなものなんです。
もし、家族との間で
- 本音を言えない
- 気を使いすぎていた
- 話すのは気恥ずかしすぎていや
- 一人で抱え込む癖がついた
そんな経験があると、
大人になってからの恋愛でも、同じような「距離の取り方」が再現されることがあります。
これも、これまでの中で身につけた、防衛の一つなんですね。
親密になれないのは、誰かを大切にできないからではない
ここで、とても大切なことを一つ。
親密になれない人は、冷たいわけでも、愛がないわけでもないのです。
むしろ、好き、と思うから、動けなくなるだけなのです。
じゃ、嫌いと思えば平気か?というと、おそらく恋愛感情的に嫌になると思われます(笑)
近づきたい気持ちと、近づくことへの怖さ。
その両方を同時に抱えている状態って、僕はなんとも人間らしい状態だなと思うこともありますよ。
あと、僕たちは、様々な社会経験を積む中で(自信がついて)、親密な人と向き合えるようにもなるのです。
が、中には「いつまで経っても苦手っす」と思われる方もいらっしゃる。
そんな皆さまに向けて、記事を書き進めます。
「乗り越える」よりも、まず理解してあげてほしいこと
「親密になるのが苦手な自分を変えなきゃ」
そう思う方も多いのですが、
僕は、「今、そうなった理由があったんだ」と理解することのほうが先かなぁ、と思います。
理由も分からず前に突っ込んでいくのは、まるでチキンレースのようで、ちょっと怖いですよね?
相手に近づきそうになったら、フルブレーキ。
うーん、余計に悩みそう、だけでなく、心や体にも良くなさそうです。
なので、
「このブレーキは、これまでの自分を守ってくれていたものなんだ」
そう捉えてみることからはじめてみてください。
その視点を持てるだけでも、人との距離感は少しずつ変わっていきます。
また、どうしても無理だ、近づけない、という場合は、
相当心のアラートが作用しているので、「それはなんでしょうね?」という部分から見つめ直すことがおすすめです。
そこからは、ある程度
”恥ずかしさに対する慣れ(心理学でいうところの”馴化”)”の要素もでてきます。
異性と話す経験をする。
そもそもこれだけ近づきがたいぐらい好きなんだな、と思ってみる。
感情レベルのサポートであれば、恥ずかしさを受け入れられるように慣れる、という話もありますが、これもケースバイケースですね。
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最後に
友だちは多いのに、恋愛になると親密になれない。
それは欠点ではなく、
あなたがこれまで一生懸命、人と関わろうとしてきた証でもあります。
焦らなくて大丈夫です。
親密さは、頑張って作るものではなく、
少しずつ「許していくもの」なのかもしれません。
何か一つでも、参考になれば幸いです。
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