こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

恋愛や夫婦関係の相談を受けていると、よく耳にするこの一言。

「私じゃなくていいよね」

それは、

パートナーとのケンカの直後でも、

別れ話の場面でもないことが多い、というか。

たとえば、

なんとなく会話が減ってきた夜。

相手のスマホを見るでもなく、テレビを見るでもなく、同じ空間にいるのに、どこか一人でいるような感覚。

その沈黙の中で、ふと脳裏に浮かぶ。

「……私じゃなくていいよね」

結構切ない感覚がしますよね。

実際、この言葉は、恋愛や夫婦関係の相談の中で、

とても静かな、しかし重要なタイミングで語られることが多いんですよね。

そして、「ずっとそこに埋もれ続けることは嫌だ」と思うんじゃないでしょうか。

いくら自分が選んだパートナーとの関係であっても、です。

ただ、この言葉、男女でまったく違う意味を持っているんです。

同じセリフでも、感情の背景や心理的構造は正反対。

だからこそ、本当は相手にそんな気持ちにさせたくなかったとしても

気持ちがすれ違ってしまうことも少なくありません。

今日はそんな話をまとめていきます。


女性が言う「私じゃなくていいよね」──“必要とされない痛み”

女性がこの言葉を口にする時、それは

愛されていない悲しみ」でもあり「必要とされていない痛み」の表現であることが多いです。

「他の誰かでもよさそう」
「私がいなくても大丈夫そう」

そんな感覚を覚えたとき、心の奥からこの言葉がぽろっと出てきます。

ここには、「見捨てられたくない」よりも「私をちゃんと見てほしい」という祈りのような願いが隠れています。

心理学的に見ると、これは単に「愛されたい」という欲求ではなく、関係の中での自分の立ち位置や存在意義が揺らいでいるサインです。

人は誰かとの関係の中で、自分の存在を確認しながら安心感を得ています。 だからこそ、「私じゃなくていいよね」という言葉は、相手との絆が見えにくくなった瞬間に生まれる“存在確認のつぶやき”なのです。

そして、相手との絆が揺らぐと、自分の存在価値を確認したくなる心の動き、とも言えますね。

つまり、「私じゃなくていいよね」は

「あなたに必要とされたい」「愛を確かめたい」というメッセージでもあるのです。

一見ネガティブな言葉に聞こえるかもしれませんが、 その根底には“関わりたいという思い”が存在していることも少なくないですよ。

・・・すでに”心のコップの水が溢れていなければ”ですけどね。


男性が言う「僕じゃなくていいよね」──“罪悪感からの退場宣言”

一方で、男性が口にする「僕じゃなくていいよね」はまったく違う意味を持ちます。

それは“罪悪感から生まれた自己否定”であることが多いのです。

「俺がいたら、彼女がもっと苦しむかもしれない」
「いないほうが、あの子は幸せになれる」

そんなふうに考えて、静かに身を引こうとする。

これは“逃げ”のように見えて、実は「相手を傷つけたくない優しさ」が根っこにあります。

心理学的に言えば、これは罪悪感とその防衛反応の一種です。

自分が誰かを傷つけてしまったと感じると、「自分がいないほうがいい」と考えることで、 痛みや責任感から自分を守ろうとするのです。

ただし、これは「自分を責めながらの優しさ」とも言えなくもないのです

本来は相手を守りたいのに、その方法が「退くこと」になってしまう。

その点が、女性の「関わりたい愛」とは真逆の構造なのです。


男女で真逆に働く「思いのしくみ」

同じ「私(僕)じゃなくていいよね」という言葉でも、 女性と男性では“愛の方向性”が真逆です。

性別 感情の中心 心理的メカニズム 隠されたメッセージ
女性 必要とされたい・見てほしい 愛着不安(不安型愛着) 「私をちゃんと見て、選んで」
男性 罪悪感・自己犠牲 罪悪感による防衛(回避型愛着に近い) 「僕がいたら君を苦しめてしまう」

女性は「関わりたい思い」。

男性は「守りたい思い」。

どちらも愛をベースにした反応なのですが、 方向が真逆だからこそ、誤解やすれ違いが生まれることもあるんですよね。

お互いに「愛している」ことに変わりはないのに、 求め方が違うだけで、すれ違ってしまう。

これが恋愛の難しさでもあり、面白さでもあるのかもしれません。

・・・ま、今が辛いときは「なーんも面白くねーよ」って思われるかもしれませんが(^^;


すれ違いを和らげるためのヒント

女性へのヒント

  • 「彼が距離を取る=愛が冷めた」ではない。罪悪感から離れる男性もいる。
  • 「見てほしい」気持ちは、怒りではなく「寂しさ」として伝える。
  • 「私じゃなくていいよね」と思ったときは、「私はこう感じた」と感情を素直に共有する。

男性へのヒント

  • 「自分がいないほうがいい」と思うとき、それは愛ではなく“自罰”の可能性がある。
  • 罪悪感を隠して距離を取るより、「どうすれば良くなるか」を一緒に考える姿勢を。
  • 「彼女のため」と言いながら、自分を切り離しすぎないこと。

どちらも「相手を想っている」という点では同じです。

ただ、愛の使い方がすれ違っているだけなんです。


こちらの記事も読まれています

まとめ:「私じゃなくていいよね」には“思い”が隠れている

「私じゃなくていいよね」「僕じゃなくていいよね」

どちらも関係が冷めた証拠ではなく、 相手を想うがゆえに生まれる言葉

女性は「関わりたい愛」。 男性は「引くことで守りたい愛」。

真逆の表現だけど、どちらも優しさから始まっている。

この構造を理解できれば、 あの一言を聞いたときの痛みが、少しやわらぐかもしれません。

今日はここまで。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたのに、どこか噛み合わない」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 正しさや結論だけを急がず、今どこに立っているのかを一緒に整理する個人セッション(カウンセリング)が人気。 キャリア16年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
「読む」から、「私の立ち位置を整える」へ

心理カウンセラー浅野寿和公式WEBのコンセプトは

「人は裁かない。でも、構造はごまかさない。」

こちらでは、心理学の知識だけでなく、

”今の自分自身”や“今ある関係を整えるための心理学”をお届けしています。

ちゃんとしてきたはずなのに、立ち位置が分からなくなったときに読む心理の話

毎月6万人が訪れるこの心理ブログでは、

誠実に頑張ってきた人が、

自分の立ち位置を見失わずにいるための“心の整え方”をお届けしています。

責任や孤独、関係の悩みなど“大人のこじれたテーマ”を、月・水・金に新作コラムで発信中。

👉 一人では解けなかったお悩みを、さまざまな視点から整理する記事です。日常の気づきにお役立てください。

一人では抱えきれなくなった気持ちを、少しずつほどく場所|無料メールマガジン

もし、一人で考えるには少し重たいな、と感じたら

文章という距離感で、もう少し整理したいと思えたら

無料メールマガジンで、ブログでは書ききれない「迷いの途中の話」もお届けしています。

週3回(火・木・土)配信しています。

あなたのペースで、心の理解を“使える気づき”に。

正しさでは動けなくなった人のための心理学講座

「わかっているのに動けない」状態は、多くの場合、努力不足ではないんです。

オンラインで受講できる”心理学講座”は、

問題解決のための行動を増やす前に、

「今、自分がどの位置で考え続けているのか」

を整理していく時間です。

自分の感覚が分からなくなってしまったときの個人セッション

それでも、

  • 考えても考えても同じところを回っている
  • 自分の感覚が、もう一人では掴めない
  • 誰かと一度、整理し直したい

そう感じたときは、個人セッションという選択肢もあります。

必要だと感じたタイミングで、ご覧ください。