「俺が悪い」と言う男性心理|投げやりな言葉の裏にある無力感と罪悪感
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は男女関係の中で、男性から飛んでくるこんな言葉をテーマにします。
「もう全部俺が悪い」
これは二人の関係が悪くなったときに使う、男性の常套句の一つかもしれません。
反省しているようにも聞こえるし、投げやりにも聞こえる。
どこか話ぶりから彼の気持ちが閉じているような感じも残る。
この言葉が出てくる場面では、男性の中に、単なる謝罪や開き直りでは説明しきれない、少し複雑な心理状態が立ち上がっていることがありますね。
ただし・・・
「全部俺が悪い」
「…俺が悪いのか?」
「どうせ俺が悪いんだろ」
この言葉、実は似ているようで、実は少しずつ温度が違うのですよ。
温度が違うということは、男性側の心理状態も異なる、ということです。
そこで今日は「俺が悪い」と話す男性心理を、言葉のニュアンスごとに分けて解説してみたいと思います。
Index
「俺が悪い」にもいろんな意味と温度がある
「俺が悪い」という言葉、実はひとくくりにできません。
ざっくり分けると、こんな3つの温度差があります。
- 開き直り:「もう全部俺が悪いでいい」(もうこれ以上考えたくない、という投げ出し)
- 自問:「俺が悪いのか?」(まだ答えが出ていない、揺れている状態)
- 拗ね:「どうせ俺が悪いんだろ」(半分投げやり、半分被害者的なニュアンス)
同じ「罪悪感」というキーワードで括られがちですが、男性の中で起きていることは、実はこの3つで結構違います。
一つずつ見ていきましょう。
「全部俺が悪い」に潜む無力感
「全部俺が悪い」という男性。
その内側で影響している心理は「無力感」です。
無力感とは「自分には力がない」という感覚をもたらす罪悪感ですね。
つまり「自分が全て悪い」と言うしかないぐらい、今の関係をどうすればいいか、その手立ても、その可能性も見えていない。
そんな男性の気持ちがうっすら見えてくるわけです。
うーん、これ、男性の気持ちとしてはけっこう大変な状態なんですよね。
「本当は、今の関係をどうにかしたいと思っている。
けれど、実際にこの場や起きたことをうまくまとめる方法も思いつかない」。
そんな気持ちを抱えているわけですからね。
この状態にある男性は「今の状況や関係を良くしたい気持ち」も持っていながら、しかし、詰んでる感も抱えています。
だから苦しいわけです。
この苦しさを切り離すとき、「どうしたら関係が良くなるか」を本来は考えたいのですが、その余力も知恵も残っていない。
だから、関係を切り離そうとする。
結果、俺が悪いという言葉を使い、なんとなく「もう分かってくれ」というニュアンスを醸し出す。
このあたりに「もう全部俺が悪いでいい」という男性の本音があるのです。
ただ、このとき男性は忘れています。
自分が周りを思い切り突き放している、という事実を。
・・・ここなんですね、揉めるもと、もとい、無力感の影響が見えるところが。
「俺が悪いのか」と自問してしまうとき|まだ答えが出ない揺れ
一方、「俺が悪いのか?」という言葉は、「もう全部俺が悪いでいい」とは少し違う場所から出てきます。
これは、まだ現実を受け取りきれていない状態なんですよね。
「自分に非があるんじゃないか」という疑いと、「いや、そこまで悪くはないはずだ」という抵抗が、頭の中で行ったり来たりしている感じです。
場合によっては、「この関係はダメになるのか?」という疑いと、「ダメになってしまうかもしれない」という落胆が行き来している状態とも言えます。
このとき男性は、答えを出したくて聞いているというより、誰かに”そうじゃないよ”と言ってほしくて聞いていることも多いです。
でも、その聞き方が「俺が悪いのか?」という、どこか突き放したような言い方になってしまう。
だから聞かれた側としては、「なんで今それを聞くの?」「私に決めさせるの?」と戸惑うことになりがちですよね。
本人としては、まだ揺れている最中。
まだ罪悪感が固まりきっていないが、罪悪感を感じるという、苦しい段階とも言えますね。
「どうせ俺が悪いんだろ」に滲む拗ねと自己防衛
そして「どうせ俺が悪いんだろ」。
これは、先の2つとはまた違う響きがあります。
「どうせ」という言葉には、あきらめと、ちょっとした拗ねが混ざっています。
「言ったところで、どうせ俺が悪いってことにされるんだろ」
そんな、予防線を張るような言い方なんですよね。
これ、実は「傷つく前に、自分から傷つきにいっている」ような心理でもありますし、相手に対する当てつけのような状態です。
相手に責められる前に、自分で先に「俺が悪い」と言ってしまえば、それ以上は誰も踏み込んでこられないだろう、という推測もあります。
ただ、どこかで「自分だけが悪いわけじゃない」とも思っている。
そういう、無意識の自己防衛が働いていることがあります。
なので、この言葉が出てきたときほど、実は本人はいちばん責められることを恐れているのかもしれません。
とはいえ、実際には、相手を責めるような言動を取っているので、自分が責められることになるんでしょうけどね・・・。
罪悪感の奥にある「恥」という感情
ここまで3つの言葉を見てきましたが、共通して奥にある感情があります。
それが「恥(シェイム)」です。
ここでいう「恥」とは、恥ずかしさの意味ではありません。
「まるで自分自身が劣っていて、愛される価値がなく、いわばもう終わってるかのように感じる苦痛」のことを指します。
ヒューストン大学の研究者であるブレネー・ブラウン(Brené Brown)さんの研究では、「恥(シェイム)」は「自分はダメな人間だ、愛される価値がない」と感じる強い苦痛の感情であり、孤立や人間関係の断絶を恐れる心から生じるものだと言われています。
そして、罪悪感と恥は、似ているようで実は別物です。
- 罪悪感:「私は(悪いこと)をした」=行為についての感覚
- 恥:「私は(悪い人間)だ」=存在についての感覚
「もう全部俺が悪いでいい」「俺が悪いのか」「どうせ俺が悪いんだろ」
この3つの言葉は、表面上は罪悪感(何をしたか)の話に見えて、実は奥で恥(自分が何であるか)が疼いていることが多いんです。
恥が強力に疼いていると、人は「行動を振り返る」より先に、「自分ごと切り離す・投げ出す」ほうに向かいやすくなります。
だからこそ、ただ「謝ってほしい」「反省してほしい」と伝えるだけでは、あまり届かないことがあるんですね。
(この「恥」と「罪悪感」の違いは、罪悪感が強い男性の恋愛心理でも詳しく扱っていますので、あわせて読んでみてください。)
「俺が悪い」と言う男性が知らない女性の気持ち
また、このような発言をする男性ほど、「周囲や相手(女性の気持ち)」の存在に気づいていない、そんなケースが多いようです。
まぁ、それぐらい無力感や恥という感情は「自分の内面に意識を向けさせる作用」があるとも言えるんですけどね。
・・・その事情はわかるけど、だからって、突き放されたり、引きこもられたり、投げやりになられても困りますよね?
いきなり言われた方は「なんのことですか?」そう思う方もいるんじゃないでしょうか。
・・・わからない。昔から思ってたけど、男の行動って意味不明。
そんなお声は僕のもとにたくさん届いておりますが・・・。
ただ、そんな男性は知らないのかもしれません。
「それでも愛されている」ということを。(少なくともその時点までは)
ただ、そういった相手の気持ち、男性は分かっていない・・・わけではないのです。
無力感や恥はそういった「周囲の好意」をまるっと見えなくする作用を持つんですよ。
なので、「俺が悪い→責任を取って場を収めたい」と思いはじめる。
しかし、それ以外の部分に意識が届いていないのかもしれませんね。
そして、男性にこのように伝えてあげてほしいのです。
幸せになるためにとるべき行動は勝手に罪をかぶることじゃない。
お互いの気持ちを大切にすることだよ、と。
そうバシッと言い切れたら、かっこいいなぁ・・・。
まとめ
「俺が悪い」という言葉には、反省や謝罪というよりも、無力感・自問・拗ねといった、いくつもの温度差があります。
- 「もう全部俺が悪いでいい」=開き直りに見える無力感
- 「俺が悪いのか」=まだ答えの出ない揺れ
- 「どうせ俺が悪いんだろ」=拗ねと自己防衛
そして、その奥では共通して「恥(自分は愛される価値がないという苦痛)」が疼いていることがあります。
だからといって、相手を突き放す言い方や、話を終わらせてしまう態度が、いいわけじゃないと思いますよ。
ただ、もしこの言葉を聞いたとき、「責められている」「話を投げられた」と感じたなら、そこには、お互いに気持ちを大切にしたいのに、うまく扱えなくなっているズレがあるのかもしれませんね。
幸せになるために必要なのは、誰かが一方的に罪をかぶることではなく、「いま、何が苦しいのか」「本当はどう関わりたいのか」を、少しずつ言葉にしていくことなのかもしれません。
もし、その言葉の奥にあるものが気になったなら、「なにがそんなにしんどかったの?」と、問い直してみる余地は、まだ残っているのかもしれませんね。
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