こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、恋愛や近しい関係の中で、こんな感覚を抱えたことがある方に向けて書きます。

「話しているのに、届いていない感じがする」

「最後はいつも、相手の結論だけが残る」

「分かってほしいだけなのに、正しさで押し返される」

この手の悩みって、説明しづらいんですよね。

暴力があったわけでも、露骨に侮辱されたわけでもない。

むしろ相手は「良かれと思って」話している。

だからこそ、こちらもどこかで「私が繊細すぎるのかな」と自分を疑ってしまう。

ただ、ここで起きていることは、性格の相性というよりも、

関係の中での“位置”の問題であることが少なくありません。

今日はそこを、できるだけ景色が立つ形で整理してみます。

いただいたご質問はこちら

浅野さんへの質問

以前ご相談した不倫相手とのことで、別れたあとも気持ちが整理できず、質問させてください。

夫か彼かで迷い、人生やパートナーに求めるものを考えた末、夫を選び、彼とは別れる決断をしました。電話では相手のペースに流されて別れられず、最終的にはメールで理由を伝えて別れました。

彼との3年間で一番つらかったのは、私の話を途中で遮り、アドバイスやダメ出しばかりされてきたことです。共感や承認を感じられず、いつも上から見られているようでした。

仕事の話でも、私が工夫して取り組んだことを説明しても聞いてもらえず、「こう言った方がいい」「楽しくやらないと」と決めつけられ、努力を認めてもらえなかった感覚が強く残っています。

その積み重ねで話すこと自体が苦痛になり、限界を感じました。別れた今も、「もっときちんと嫌だったことを伝えるべきだったのでは」とモヤモヤしています。

もう気持ちを伝えない方がいいのでしょうか。

また、彼のように人の話を受け止めず、上から言う人の心理についても知りたいです。

ネタ募集ネーム:a.mさん(一部編集させていただいています)


「嫉妬」や「不倫」より先に、ここが傷ついている

この相談の主題は、不倫か夫か、という選択の話にも見えます。

でも、心の中心に残っているのはそこじゃない。

残っているのは、たぶん、こういう痛みです。

  • 「私の話が、相手の中に“滞在しない”」
  • 「私の努力や意図が、最初から存在しなかったことにされる」
  • 「私はいつも、説明する側・証明する側に立たされる」

つまり、関係の中での立ち位置が、ずっと「裁かれる側」に寄っているんです。

ここが長く続くと、会話はだんだん「やりとり」じゃなくなります。

こちらは話しているのに、相手は処理している。

こちらは気持ちを渡しているのに、相手は結論で返してくる。

……そりゃ、疲れます。


「受け止めてもらえない人」の心理を、雑に説明しない

こういうとき、よくある説明があります。

「男性は解決したがる」

「役に立ちたいからアドバイスする」

これ、半分は当たっていることがあります。

ただ、支援としては雑になりやすい。

なぜなら、これで話が終わると、相談者側はこうなるからです。

  • 「じゃあ私が我慢するしかないの?」
  • 「私が理解してあげる側なの?」
  • 「また“ちゃんとする側”に戻るの?」

……戻っちゃうんですよね。いつもの立ち位置に。

だから、もう少し丁寧に見ます。


この関係で起きているのは「会話」ではなく「位置」の固定

受け止めてもらえない関係には、わりと典型的な形があります。

  • 相手が「話を聞く」前に、評価が入る
  • 評価が入るので、こちらは説明を増やす
  • 説明が増えるほど、相手は「はいはい」となり、さらに結論を急ぐ
  • 結論を急がれるほど、こちらは「分かってもらえない」が増えて、感情が滞留する

このループに入ると、関係の中でこういう役割が固まりやすい。

  • 相手:結論を出す人/正しいことを言う人
  • あなた:説明する人/分かってもらう努力をする人

そして、ここが本質なんですが。

この構図が固定されると、あなたの中で「喋ること」が、だんだん危険になります。

話す → すり抜ける → もう一回説明 → またすり抜ける

だから、心を閉じたくなる。

これは、防衛として自然です。


なぜ「電話だと別れられない」が起きるのか

相談文の中に、重要な一文があります。

「電話だと相手のペースにのってしまい、別れないことになってしまいました」

これ、本人の意志の弱さというより、関係の構造がそうさせていることが多いです。

電話という場は、相手のテンポと圧が、そのまま空間になります。

相手が「説明」「説得」「正しさ」を強めるほど、こちらは押される。

そして、押される側は、いつもの立ち位置に戻りやすい。

  • 「波風を立てないように」
  • 「相手の機嫌を壊さないように」
  • 「ちゃんと説明して納得してもらえるように」

……これ、もう癖というより、生き延び方の名残です。

だから、メールを選んだ判断は、かなり妥当ではないでしょうか?


「もっと言えばよかった」が残るのは、未完了な気持ちが残りすぎているから

別れたあとに残るモヤモヤには、2種類あります。

  • 言い残し(伝えたかったのに言えなかった)
  • 未完了(分かってもらえる可能性に、まだ手が伸びている)

この相談は、おそらく両方が混ざっています。

そして、未完了が混ざっていると、心はこう言い出します。

「最後にもう一回、分かってもらえたら終われるのに」

でも、ここは慎重に見たほうがいいかな、と思います。

なぜなら、その相手に「もう一度話す」ことが、

未完了を閉じるどころか、むしろ増やす可能性があるからです。

なので、気持ちの整理や感情の解放は

信頼できる人や場所など、できる限り安全な場所で行ってみてください。


「彼の心理」を知るより先に、見てほしいこと

もちろん、相手の心理も説明できます。

ただ、先に見てほしいのは、ここです。

「受け止めてもらえない相手」を選んでしまう背景には、

自分が“受け止められる位置”に立つのが怖い、という事情が絡むことがある。

これは、責める話ではありません。

むしろ逆で。

そういう位置に立つほうが、昔は安全だった人もいる。

だから、この手の恋愛を「見る目がない」で片づけると、また自分を裁くことになります。

やめましょう。そこは。


こちらの記事も参考にどうぞ


最後に

受け止めてもらえない関係で起きるのは、単なる相性の問題じゃないことがあります。

関係の中で、あなたがずっと「説明する側」「証明する側」に立っていた。

その位置が苦しかった。

だから、別れたあとも、心が「まだ言い残してる」と言う。

それ自体は自然です。

ただ、これから先に大事なのは、相手を分析して勝つことではなくて。

「私は、どの位置に立ちたいのか」

そこを自分に返していくことだと思います。

心を閉じなくてもいい場所は、あります。

そして、閉じてきた人ほど、そこにたどり着く力もちゃんと持っています。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー・トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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