恋愛の心理学

あなたが大切にしたいのはパートナー?今の関係?

大切にしたいのはパートナー?それとも今の関係?

「あなたが大切なのは、目の前のパートナーですか。それとも二人の今の関係でしょうか。」

これもカウンセリングのプロセスの中で出てくるテーマで、見えないことですけどかなり重要なことでもあります。

いわゆる「夫婦や恋愛における価値観の相違」を作るものでもありますから。

あなたの恋愛観で感じる感情は変わる

恋愛や夫婦関係において「相手(パートナー)が大切だ」と感じている人と、「二人の(今の)関係が大切だ」と感じている人と、ざっくりわけて2つのタイプの人がいると僕は考えています。

「相手が大切だ」と感じている人は、恋愛や夫婦関係でも「相手とのつながり」を実感できていることが多いですし、お互いに親密感を感じ、喜びを分かち合っていることを望んでいることが多いと思います。

また、二人の関係で、不安や怖れを感じても自分自身を見失うほどまでにはならないことが多いようです。

一方、「今の関係が大切だ」と感じている人は、今ある現実に安心している人が多く、どこか二人のつながり、絆を感じにくいかもしれません。

ただ、二人の関係において「充実感」や「自己有用感〜相手や家族の役に立っている感覚・二人の関係を大切にしている実感〜」を望んでいる事が多いでしょうか。

なにより事実として「二人が一緒にいること」を重視するので、自分が相手のためになっているかどうか(相手は自分のためになっているかどうか)を気にしていることが多いでしょうね。

 

親密感を感じられる対象は「関係」ではなく「相手」

さて、ここで「パートナーとの親密感を感じる」ことを考えるならば、やはり「関係」より「相手」を大切にする意識を持ったほうが、より強く感じられるでしょう。

だから、もし「相手」を大切にしている人が、パートナーとの関係で悩むとしたら、「本当に私が相手のそばにいることが、本当に相手のため(喜び)になっているのだろうか」と考えたり、「どう愛したらより深い親密感を感じていけるだろうか」と考えることが多いのでしょうね。

一方、二人の「関係」を大切にする人は、「自分にとって二人が一緒にいる(恋愛関係・夫婦関係にある)ことが大切」だと感じている場合も少なくないものです。

だから、もし「関係」を大切にしている人が、パートナーとの関係で悩むとしたら、「どうしたら一人ぼっちにならないか」「本当に自分の存在が、パートナーとの未来のために役立つのだろうか」と考えたり、「どう頑張ったらお互いが安心できる関係になっていけるのだろうか」と考えることが多いのでしょうね。

この違いは、パートナーシップに「喜び」を求めているか、それとも「役に立つ・安心」を求めているかの違いだろうと僕は見ています。

これは余談ですけど、僕にも過去、「関係」を重視していた時期があったことを思い出しますよ。

「恋愛がしたい」という気持ちが最優先で、その相手として誰を選ぶか、と考えていた時期があったな、と。

今思うと、順番が逆じゃね?と思うんですけど、ぶっちゃけた話、その当時は「相手のことは好き、それは間違いない。しかし必ずしも今の相手でなくとも人を好きになり、相手を大切にしようと思える」と考えていたこともありますよ。

だから「自分は相手のことが好きだ」と胸を張って言える、とも思っていたんです。

この話は、比較的男性から伺う事が多いのですけどね。

ただ、僕の場合、どんな人と一緒にいても僕の虚しさは消えなかったことも思い出します。おかしいですよね、大切な人と一緒にいるのに虚しさは消えないって。ただ今思うと、自分が何を大切だと思っていたのか、その違いによって自分の感じている感情も変わっていたんだなと思うのです。

こう、改めて文字にしてみると、結構エグいな〜と自分でも思っちゃうんですけどね。もし自分が逆の立場になったとしたら、結構しんどいな〜と思っちゃうんですけど。

いや、エゴって別の意味でスゴいなと実感する次第です。

 

「パートナーが大切」という言葉の意味は人それぞれで異なる

そう考えますと「パートナーが大切」という言葉の意味ですら、人それぞれで異なるということです。

「私は相手のことを愛しているんです、好きなんです」という言葉も、「相手」自体を対象に感じている人と、恋愛、結婚の相手や二人の関係(その対象)として感じている人がいるってことです。

だから、お互いの価値観が合う場合、つまり「お互いに相手重視」もしくは、「お互いが二人の関係重視」ならば、すぐ問題にはならないでしょうね。

問題が起きやすいのは、お互いの「大切にしたい対象」がすれ違っているケースが多いでしょう。

つまり、「私:関係重視、相手:相手重視」、もしくは「私:相手重視、相手:関係重視」という場合ですね。

この前提をもとに、今恋愛や夫婦関係で悩んでいて、友達などに相談した、というケースを想定してみると、次のようなことが考えられます。

例えば、今、パートナーとのことで悩んでいる人が、「恋愛(夫婦)関係がうまくいっているであろう友達」に相談したとして。

その友達が「関係」を重視しているなら、「まぁ関係なんてそんなものよ」「お互いに我慢したり、もっと頑張らないとね」みたいな話になることが多いでしょうね。

二人の「関係」を重視するなら、お互いへの思いや存在の優先順位はどうしても下がるでしょうから。だから「二人の関係を壊さないために何をするか」と考えているはずで、その考え方に基づいたアドバイスが返ってくるでしょう。

しかし、別の「関係がうまくいっている友達」に相談したとして、その友達は「お互いが愛し合うこと」を大切にしているとしたら、「うまく愛せないって辛いね」「その気持ち、分かってもらえないって辛いよね」「相手は恥ずかしがってるんじゃない」といったアドバイスをする可能性がある、ということです。

実際に、恋愛・夫婦カウンセリングでも「二人の関係が壊れちゃうことが怖くて、なんとか関係修復したい」というお話も伺います。

そこでは「私は二人の関係を大切にしているのに、相手はわかってくれない」という不満を伺うこともあります。

もちろんその心情はとても理解できるものです。その気持は大切にしたいと思うんです。

ただ、今のパートナーシップにおいて、「相手」が大切なのか、それとも「今の関係」が大切なのか、そのあたりの「目的意識」が曖昧になっているケースも少なくないのかな、と感じることも少なくない、が僕の実感です。

そしてあなたにも大切にする対象への意識があるように、相手にもその意識があります。

そのあたりがどのようになっているのか、見つめていくこともお互いを理解していく材料になっていくでしょうね。

ただ、この話を「何を愛することがよりよいあり方なのか」と判断する材料にすると、まぁ余計な問題が出てきちゃうので、「自分やパートナー、二人の関係について現状認識をするヒント」として捉えていただくといいと思うのです。

そして「あ、耳が痛い話だわ。私は相手じゃなくて関係を大切にしてるのかもしれない」と思った方&僕のクライエントさま。

大丈夫、皆さんはそのように気づいている時点で、どう相手を愛したらいいんだろうと悩んでいませんか?

だからホントに大丈夫。あなたはきっと親密感を選べるようになりますよ。

 

大切なのは相手か、それとも関係か。その違いを作る心理。

さて、この「相手」が大切だと感じるか、それとも「関係」が大切だと感じるかの違いを作るものって一体何でしょう。

一つの考え方ですけれど、その違いを作るものは「自分自身の感情のあり方〜投影〜」だと僕は見つめることが多いですね。

要は、自分が大切な人と関わるときに、「自分が相手の喜びになれる(なりたい)」と願っていれば、愛する対象は人、つまりパートナーになるわけです。

しかし、そう思えない何かしらの事情がある場合。

たとえば、

どこか自己肯定感を感じられずにいたり
コンプレックスなどがあり、自分を否定的に見つめている部分があったり
家族や結婚自体にあまり良いイメージがなく、それを取り戻そうとしていたり
過去の失恋や離婚などであまり積極的に人と関わりたくなくなっていたり
そもそも恋愛自体に高いハードルや遠慮がある

などの事情があると、パートナーをダイレクトに愛しても、「相手は喜ばないんじゃないか、迷惑なんじゃないか」というふうに深層心理で感じちゃうんですね。

だから、相手より間接的な「二人の関係」を大切にしようと考えるようになるわけです。

そう考えると、「関係」を大切にしようとしている人も、相手のことを想っているのですよね。だから「どちらがいい悪いと考えないでね」といつもクライエントさまにお願いしているのです。

ただ、「関係」を大切にすること自体悪いことじゃないんですけど、愛情の表現がどこか間接的になるので、お互いの思いが伝え合いにくく、親密感が感じにくい、といった状態になりやすいかもしれませんね。

ここをどう感じるか、どう考えるかが、みなさん自身の選択になると思いますよ。

ただ、どんな人も親密感は大好きですし、感じるとものすごく良い気分になりますからね。

親密感をうまく感じられないと自分自身がエネルギー不足に陥って、恋愛や夫婦関係がしんどい、虚しい、喜べない、つまらない、と感じることが増えるかもしれませんね。

これが恋愛・夫婦生活の「燃え尽き感」を作る理由になっていることもあるんですよね。

さて、最後になりますが

もし、自分自身がもっと「相手」と関わりあって、安心感や喜びを感じられる毎日がいいな、と思われるならば、やはり自分自身を見つめて、自分の価値を受け容れたり、過去の悲しみを癒やしたり、と、自分は相手の喜びだと感じ取れるように癒やしを進めてみるといいですよ。

自分を癒やした分だけ、親密感を選びやすくなりますからね。

自分がより良い存在だ、喜びだ、と感じられる分だけ、人との関わりに喜びを見いだすことができるようになります。だから、「二人の関係」も「相手」も大切にできる状態が整うというわけですね。

繰り返しになりますけど、この話はどっちが良くてどっちがダメかと考えるより、自分はどんな幸せを望んでいるのだろう、と自分自身を見つめていく参考材料にしてみてください。

今の関係があなたの望むものなのかどうか。

そこはきっと嘘がつけないでしょうし、いい感情を感じるパートナーシップを手に入れたほうがより幸せを実感できますものね。

今回のコラムが皆さんの何か参考になればと思っています。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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