こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、読者の方からいただいたご質問へのお返事を書いてみようと思います。
今回のご質問は、いわゆる「うまくいっていない恋愛相談」というより、
関係がよくなろうとするときに、なぜか不安定になる、そんな局面のお話です。
実はこれ、ご質問としてはかなりレベルが高い内容です。
だからこそ、解説もちょい難しめになるんですけど、しかし、同じ状況で悩んでいる方にとっても有益な内容だと思うんですよね〜。
なので、今日の文章は、「すぐ答えがほしい人」よりも、「自分の心の動きを、ゆっくり理解したい人」向けに書いています。
少し考えながら読む内容ですが、今のあなたの状態と重なるところがあれば、拾えるところだけ拾ってくださいませ〜。
よろしければお付き合いください。
Index
いただいたご質問はこちら
浅野先生へのご質問
「彼が“私の変化”に戸惑うとき、どう接すればいい? 〜「支える私」から「隣に立つ私」へ移る瞬間に起きること〜」でお世話になった毛糸です。
改めて彼と私の関係を整理した上でご相談をさせてください。
私と彼は30代カップルです。彼の方が5歳年上です。出会いはマッチングアプリで、交際歴は5年が過ぎました。
私はアプリを退会しています。彼は今もアプリに在籍をしています。
私には持病があり、定職に就くのが難しい状態でした。今は症状も落ち着いてきたので就活中です。
昨年の夏頃に、彼がマッチングアプリに登録をし続けている理由について話し合いました。経緯は以下の通りです。
・私が彼にLINEでガトリング砲を撃ってしまった
(原因は彼がアプリをやめないことに我慢の限界が来たから)
→彼から「信用されてないってことだよね。不安にさせてごめんね」「直接話し合おう」と返信がきた
→数日後に彼と直接話し合い。
彼は以下のことを話してくれました。
「年齢的に結婚に対して焦りや不安がある」
「結婚して親や兄弟を安心させたい」
「結婚するなら共働きがいい。毛糸ちゃんが働けるか見守ってきたけど、病気のことあるし僕から仕事について言えなかった。毛糸ちゃんの症状を悪化させたくなかった」
初めて彼の本音を聞いて、彼が葛藤していること、アプリを使っていることにしか目が向かなかった自分の幼さに気づきました。
彼と話し合ってから、私は日記を書いて自分の反応の癖を見つけたり、就活をしたりと工夫をしています。彼のアプリ在籍についても、不安はありますが、心の余白が出てガトリング砲を撃つことが格段に減りました。
今の私と彼は、関係の移行期と同時に、昨年の夏頃の傷つけ合い後の関係修復もしている状態なのだと思います。
彼とは今も日常会話のLINEをしたり、会ったりしています。しかし、どこか彼の中に薄い壁や抵抗感があるように感じています。
お互いの心が揺れて、移行期前の関係性に無意識に戻りそうになる時もあります。
今回のご質問は3点あります。
- 関係の移行期と関係修復が重なった時、どのような段階を踏みながら関係修復をすればいいのか?
- 関係の移行期の中で、無意識に以前の関係に戻ろうとしてしまう心理構造とは何か?
- 彼が以前の関係に無意識に戻ろうとしてしまう時に、私が「やらなくてもいいこと」とは何でしょうか?
ご回答していただけると嬉しいです。
ネタ募集ネーム:毛糸さん
では今回は
- 関係の移行期と、関係修復が重なったとき、どう進めばいいのか
- なぜ人は、無意識に以前の関係に戻ろうとするのか
- そのとき、自分が「やらなくてもいいこと」は何なのか
今日はこの3点を、いわゆる「正解」ではなくて、心の構造の話としてお伝えしてみますね。
これは「問題が増えた」のではなく、「心や関係の構造が変わり始めた」サイン
まず、最初にお伝えしたいことがあります。
今回のケース、関係が壊れかけているとは限らないと、僕は感じています。
むしろ、これまでの関係の在り方が、もう合わなくなってきた。
そんな移行期に入っているように見えるのです。
これまでの関係には、
- 支える側/支えられる側
- 我慢する役割/守る役割
- 言わないことで保ってきたバランス
そういった「役割」が、うまく噛み合っていた時期があったのだと思います。
ただ、人は変わります。
体調も、状況も、価値観も、心のあり方も・・・。
そして変わり始めたとき、それまで成立していた関係の配置が、少しずつズレてくる。
それが、今起きていることなのではないかな、と思います。
関係の移行期と、関係修復が重なるときに起きること
今回の関係には、実は二つのプロセスが同時に走っています。
ひとつは、傷つけ合った記憶を、もう一度「安全」にし直す修復のプロセス。
もうひとつは、これまでの役割を降りて、対等な関係へ移行していくプロセス。
この二つが同時に起きると、関係はどうしても不安定になるんですよねぇ。
もはや”神様の意地悪”としか思えないような話なんですが、実際そういったことは多々起こります。
たとえば・・・
今日は落ち着いて話せたのに、翌日はなぜか距離を感じる。
前より分かり合えているはずなのに、なぜか不安が増える。
でもそれは、ある意味”しゃーないこと”といいますか。
揺れながら進んでいる、という感じなんです。
「修復が終わってから移行する」「移行してから修復する」
そうきれいに分かれることは、現実にはほとんどありません。
これはちょっと意地悪な話に聞こえるかもしれませんが・・・
ご相談を受けていると「あなたと別れたくない、私変わるから!」というお声を伺うことがありますが、おそらくこのプロセスで役割から降りられることはあまりないかなぁ〜、と僕は見ています。
もちろんそのお気持ちは分かるんですよ。
ただ、自分のマイナス要素をさらに否定し役割を強化する(より良い人になるなど)となるケースが多いですかね。
なので無理が来る・・・。
ので、僕から「いやいや、無理しなくていいっす」とお伝えすることになる、といいますか。
もし、「修復が終わってから移行すること」があったとしても、そこには一旦関係が落ち着いた、という事実だけがある、というか。
実際、自分自身が「いい人でいる」「相手にとって理想の自分でいる」という役割が抜けきっていなかったりする事が多いです。
もちろんその役割が悪いわけじゃないんですが、なんていうんでしょう・・・
毛糸さんがお感じになったことがあるかもしれないであろう、心の窮屈さというか、不安というか、なんだか心が軽くなっていない感じ、みたいなものが残りやすいですね。
なので、本当に変化を伴いながら修復していく関係は
「行ったり来たりしながら、少しずつ形が変わっていく」。
それが特徴かもしれませんね。
なぜ人は、無意識に「以前の関係」に戻ろうとするのか
関係が揺れ始めると、人はよく、以前の関係に戻ろうとします。
それは、後退したいからではありません。
理由は、とてもシンプルで
「人は「安心」を、知っている形で感じてしまうから」です。
以前の関係には、
- 役割がはっきりしていた
- 我慢の仕方も分かっていた
- 衝突の仕方も予測できた
良くも悪くも、「慣れていた」。
だから不安になると、幸せな未来に向けた方向や成長した方向ではなく、慣れた感覚に戻ろうとする。
これは後退ではなく、防衛反応なんですよね。
・・・よく僕たちの人生の先輩から「昔は良かった・・・」なんて言葉聞く機会ありません?
これは昔を懐かしんでいるという側面もありますけど、「昔だったら今の自分のあり方でよかった」と感じている、という側面もあるんです。
これが僕たちのスタンダードなあり方、と言ってしまえばそうだと思いますよ。
なので、関係がよくなろうとする途中ほど、「前のほうが楽だった気がする」という錯覚が起きやすいのです。
あ、ここであえて”錯覚”という言葉を使いましたけど、この言葉は先のプロセスを見通したうえで選んだ言葉です。
実際、移行期にいる方にとっては錯覚ではなく、事実のように感じると思います。
逆に言えば、それぐらい「今感じる不安や心の揺れがしんどい」ってこと、とも言えます。
もちろんこれは自分だけでなく、パートナーも同じなんです、きっと。
なぜなら、慣れていないから。
この揺れ方、このしんどさ、この不安の湧き方は、今まで役割によってガードされていたので、受け入れている最中は結構、いや、かなり悶えます(^^;
マジで「自分はどうにかなっちゃうんじゃないか?」ぐらい思う人もいます。
でも、それくらいに思っておいて、ちょうどいいのだと思います。
そこを必要以上に恐れず、問題にせず、自分に対して丁寧に向き合い続ける、ということが大切といいますか。
彼が以前の関係に戻ろうとするとき、あなたが「やらなくてもいいこと」
ここ、とても大事なところです。
相手が不安定になったとき、ついやってしまいがちなことがあります。
- 説明しすぎる
- 成長した自分を証明しようとする
- 「前より変わったよね?」と確認する
- 相手の不安を先回りして消そうとする
どれも、誠実さや真面目さ、優しさから出る行動です。
ただ、これらは以前の役割に戻ってしまう行為でもあります。
関係の移行期でいちばん壊れやすいのは、
「安心させようとする側」が、また役割を背負ってしまうことです。
いや、それもまた優しい気持ちなんですよ。ほんとに。
ただ、その優しさが、関係を昔の配置に戻してしまうと、優しさを提供する側の気持ちがどんどん停滞し始めます。
言い方を変えれば”もやもや””悶々とした気持ち””気持ちの重苦しさ”みたいなものが増えるんです。
そして最も厄介なことは・・・
「どちらかが以前の役割に戻ると、相手も戻らざるを得ない」と感じるぐらい、優しい人が多いということ。
そうなると、以前(役割に気づいていなかった時期)ではそこまで関係の中での気持ちの動きが、より重く、閉塞感に近い感覚を感じ始めるのです。
だからこの時期は、「何かをしてあげる」よりも、妙なエクスキューズをしたり、踏み込みすぎないことが、結果的に関係を前に進める場合があります。
まぁ、言い方はアレですけど・・・
最初は役割を背負って出会った二人が、いつしか自分のあり方を取り戻し、自分のままでいるようになると、そこに絆ができる、みたいな話ですね。
ただ、これ、文字ではいくらでも簡単に書けるんです(思考で描けるイメージなので)
が、実際に自らがその状態になることって、少し時間と勇気のかかることかもしれませんね。
「支える私」をやめたあとに残る、不安について
役割を降り始めると、必ずと言っていいほど、不安が出てきます。
「これで合ってるのか分からない」
「距離が離れた気がする」
でもそれは、間違いのサインではありません。
新しい自分のあり方や関係に、まだ慣れていないだけです。
ただ、多くの場合、今までの役割やそこで得た感覚は、まぁ体に残っているというか、深く自分の中に刻まれていることが多いんですよ。
だから、すっと変わるわけじゃない。
この移行期ほど、心は揺れるし、自分が何者かわからなくなるし、未来のことも見えなくなる。
まぁ、冷静に考えてみると「役割を降りきった自分」を知らないまま、その自分が捉えるであろう先の未来を見通すことは難しいです。
いや、ほぼ無理です(^^;
役割に戻れば、その役割の視点から見る未来(今までの自分が見ていた未来)はすぐ見えるんですけど。
これが心の変化において最も難しい、というか・・・
実際に”気づく”と分かるけど、気づかないままだと不安でしょうがない、みたいな気持ちになる理由ですね。
そう考えると、心の安定とは、揺れなくなることではなく、揺れたときに、元の役割に戻らずにいられることなのかもしれませんね。
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最後に
今回のご質問を読ませていただいて、僕が強く感じたことがあります。
あなたは、もしかすると
「自分を後ろに下げてまで、相手のことを考える人」
なのかもしれないな、と。
自分が、そして相手が不安定でも、関係を雑に切り捨てず、ちゃんと向き合おうとする。
それは弱さではなく、人と誠実に関わろうとする人の特徴です。
ただ、そのぶん、自分の気持ちが後回しになることも起きやすいのかもしれません。
自分の気持ちが揺れていても、それを見せると(ガトリング砲をぶっ放すと)マズい、という学習だけが先行しているかもしれない、というか。
(※ここで言う「撃たない」は、「感じない」ではありませんよ、念の為。)
しかし、その自分はいわゆる役割を担っていた自分であって、本来の私ではないのかもしれない。
そんな視点があってもいいのかな、と僕は思いましたよ。
もしこの文章を読んでいて、
- 頭では分かるけど、感情が追いつかない
- 一人で考えていると、同じところをぐるぐるしてしまう
そんな感覚が残ったなら、それは心が「まだ変化のプロセスの途中にいる」だけなのだと思います。
カウンセリングは、気持ちを整えてから行く場所ではなく、整っていない途中のままで話していい場所でもあります。
今すぐ何かを決めなくても大丈夫です。
言葉にならない感情を、そのまま持ってくる。
そんな使い方も、ありますよ。
自分を疑ったり、責めなくていいです。
その前提だけは、どうか忘れないでくださいね。
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