なぜ彼と分かり合えないのだろう ──同じ出来事でも、違う世界を見てしまう理由
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
「本当はパートナーと分かり合いたいのに、なぜかそれができない」。
別れ話が出てくるほど大きなすれ違いのときもあれば、
日常の小さな衝突の積み重ねで、気づけば「話が通じない」感じになっていることもあります。
僕のところにも、そういったご相談はたくさん届きます。
僕の目には「まだ愛が残っている」と見えるのに、言葉を交わすほどに相手が遠くなる。
そんなケースは実際にあるんですよね。
そしてこういうとき、僕たちはつい「相手が分かってくれない」「相手が変わらない」と考えたくなります。
ただ、今日の記事では少し違う角度から、ひとつの答えを考えてみます。
もし、彼(彼女)と分かり合えない理由が、あなたの“判断”だったとしたら。
Index
分かり合えないとき、ふたりは「同じ世界」を見ていない
まず最初に、今日の話の前提を置いておきます。
分かり合えない状態のとき、たいていは「どちらかが悪い」といった単純な話ではありません。
むしろ僕の見立てでは、こういうときに起きているのは、
ふたりが、違う“景色(世界の見え方)”の中に立っている
ということです。
同じ出来事でも、同じ言葉でも、立っている場所が違うと意味が変わってしまう。
それが恋愛や夫婦関係の、いちばん難しいところです。
そして、その「立っている場所」を固定してしまうものの一つが、
心理学でいうところの判断や正しさです。
「よかれと思った愛し方」が噛み合わなくなるとき
多くの人は、
「自分なりに良いと思ったことを相手に与えることが愛だ」
と信じています。
それ自体は真心ですし、間違いではありません。
ただ、相手がその愛を受け取れないとき、関係は少しずつ歪み始めます。
とくに「与えたい」「支えたい」気持ちが強い人ほど、
相手の気持ちを受け取る前に、自分の真心を差し出そうとします。
それが伝わらないと感じたとき、不満が生まれ、相手の言葉が聞こえなくなっていく。
ここから「分かり合えなさ」が始まることは、少なくありません。
分かり合えないケースの具体例(よくあるすれ違い)
たとえば、こんな会話です。
彼:今の自分は仕事もうまくいっていない。君のことは好きだけど、一緒にいない方が君のためになると思う。
彼女:辛い時も一緒にいるのがパートナーでしょ。そんなことで私は別れないよ。
彼:君は僕の気持ちがわからないんだね。最後まで理解してくれないんだね。
彼女:そんな言い方ないんじゃない。ひどいよ。
彼:俺は俺なりに考えた。それをひどいって言うのは、甘えすぎじゃない?
彼女:私はあなたのことを考えて言ってるの。二人のことを考えてるの。
彼:もういい。やっぱり別れたほうがいい。俺は自立した女の子が好きだ。
……書いていて僕が辛くなるやつですね。
しかし、こういう光景、カウンセリングの現場では珍しくありません。
この会話で起きていること(僕の見立て)
ここで大事なのは、どちらも「愛がない」わけじゃない、ということです。
彼は、
- 自分の不安(仕事の不安、無力感)を抱えている
- その状態で彼女を幸せにできない、と感じている
- だから「離れること」が守り方になっている
彼女は、
- 一緒に乗り越えるのがパートナーだと思っている
- 別れ話は「愛が消えたサイン」に見えてしまう
- だから「つなぎ止めること」が愛になっている
つまり、ここで起きているのは、
ふたりが違う景色の中に立っている
ということです。
- 彼の景色:「自分が足を引っ張る世界」「自分が重荷になる世界」
- 彼女の景色:「一緒に生きることで価値が生まれる世界」「手を取り合う世界」
同じ「別れ」の話でも、見えている世界が違うから、言葉が噛み合わない。
そして互いに、相手の言葉が「自分が一番感じたくないもの」を刺激してしまう。
すれ違いの正体|判断が生まれる立ち位置
分かり合えない場面をよく見ていくと、そこには共通点があります。
どちらも、
「この感情だけは感じたくない」
という地点に立っている、ということです。
- 彼は、情けなさや無力感、罪悪感を感じたくない
- 彼女は、見捨てられる不安や無価値感を感じたくない
だからそれぞれが、「正しい判断」に立ちます。
- 離れるのが正しい
- 一緒にいるのが正しい
判断は一見、愛のように見えます。
でも実際には、自分が崩れないための足場として働いていることが多いのです。
この立ち位置に立っている限り、相手の言葉は攻撃に見え、関係は勝ち負けに見えてしまいます。
分かり合えないのではなく、立ち位置が固定されているだけかもしれない
ここで大切なのは、
分かり合えない=愛がない
ではない、ということです。
むしろ、愛があるからこそ、怖れや罪悪感が刺激され、判断にしがみついてしまう。
立ち位置が固定されると、世界は本当にその通りに見えます。
相手は冷たく、自分は孤独で、このままでは壊れる気がする。
でも、その景色自体が、あなたのせいではなく、
これまで生き延びるために身につけてきた見え方
であることも多いのです。
分かり合いたいなら、まず立ち位置に気づく
相手を理解しようと必死になる前に、
「いま自分は、どんな立ち位置に立っているのだろう」
と見つめてみてください。
この正しさは、愛から来ているのか。
それとも、怖れや罪悪感から、自分を守るための足場なのか。
判断の下にある感情に目を向けたとき、
ほんの少しだけ、景色が緩む余地が生まれます。
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最後に|立ち位置が変わると、景色も変わる
もし、彼と分かり合えない理由があるとしたら。
それは愛が足りないからではなく、
判断が生まれる立ち位置に、ふたりとも立ってしまっているから
かもしれません。
その立ち位置に気づくだけで、すぐに関係が変わるわけではありません。
でも、「自分は今、どんな世界を見ているのか」に気づけたとき、
分かり合えなさを、誰かのせいにしなくて済む瞬間が生まれます。
分かり合いたいと思う気持ちが、まだ残っているなら。
その気持ちだけは、どうか疑わないでくださいね。
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