甘すぎない恋愛心理学

曖昧な関係が続くのはなぜ?“怖れ”が作る恋愛の構図と、関係を動かす言葉の選び方【読者相談】

腕組みして向き合う男女

浅野さんへの質問

4ヶ月前に彼から距離を置きたいと言われました。

なのに今は、“曖昧な関係”に戻ってしまっています。

彼は会社を辞め、地元に戻るたびにお土産を持って会いに来て、日曜夜は一緒に過ごしてから帰ります。ほぼ毎日、LINEも来ます。先日、旅行に行ったこともありました。

でも、彼から今の関係に関しては何も言われません。こちらから聞かなければ、何も言わないだろうと感じます。

かつて彼は、「今は会社のせいで結婚も付き合いも無理」と言いました。

でも今、会社を辞めたのなら、関係は戻るはず。

「言わなくても分かってくれるよね?」という空気感を彼が醸してきて…

私は都合のいい存在? 親友? 恋人? 永遠のパートナー?

その境界を自分で曖昧にしてしまっているのではないかと思うと、モヤモヤします。

彼に聞けないプライドも、不安もあります。関係を崩したくないから、言葉にできないままです。

どうした方が良いのか、アドバイスがあったらいただきたいです。

ネタ募集ネーム:SYさん

「会ってはいるけど、関係ははっきりしない」
「彼が何を考えているのか分からない」
「好きだけど、私ばかり気持ちを使っている気がする」

曖昧な関係の中にいると、時間が止まったような気がしますよね。

進展しているわけでも、終わったわけでもない。

でも、離れられない。

そんな状態が続くと、「私はどうしたいんだろう」と自分でも分からなくなってしまうことがあります。

今回のご相談(SYさん、ありがとうございます)も、まさにそんな“曖昧な関係”の中に立ち止まっているケースのようにお見受けしました。

彼からの連絡はある。会えば優しい。でも、関係の名前はない。

その中で、どこまで信じていいのか、自分をどう保てばいいのか。

誰でも迷うのではないでしょうか。

曖昧な関係を作る感情は”怖れ”

曖昧な関係を作る感情は「怖れ」であることが多いです。

たとえば、“大切に思うものを失いたくない”という目的を守ろうと思うがゆえに怖れを感じることってありますよね?

つまり、”曖昧さ”というのは、怖れを直視しないためにクッションのような作用をしているのです。

このように書くと「曖昧さ」そのものをネガティブに見てしまう人もいらっしゃるかもしれませんが、僕がお伝えしたいことはそうではありません。

望むか望まないかは別にして、「曖昧にしてでもこの関係を続けたい」。

そんな気持ちがあるから、曖昧な関係が続くのではないでしょうか?

つまり、“彼とのつながりを保ちたい”という目的なしには、曖昧さも怖れも生じないのです。

彼との関係を続けたい、または関係をどうにかしたいという想いがあるからこそ、自分の立ち位置がよくわからない”モヤモヤ”が生まれているのだと思いますよ。

そういう意味では、今感じている曖昧さ、モヤモヤを否定的に見すぎることもまた問題なのかもしれませんよ。


曖昧な関係は“怖れを共有する場所”にもなる

ただ、曖昧な関係にも一定の問題というか、リスクが存在します。

それこそ「お互いがはっきり言葉にできない“怖れ”を少しずつすり合わせている」というリスクです。

これはいわゆる「言わなくても分かるよね?」という雰囲気や空気感にとなって、二人の間に漂うわけです。

例えるなら、霧や靄がかかった状態、と言えるでしょうか。

ここをクリアにしようとすることが怖いのです、お互いに。

つまり、二人共「どちらかがリスクを取って踏み込めば、関係が壊れてしまうかもしれない」と無意識に思っている可能性がある。

ただ、人間、見えない不安に囲まれると”自分のこと”しか見えないもので、相手も同じ不安を抱えているとまではなかなか思えないのかもしれません。

だから、言葉にしないことを選んで、その曖昧さに”安全”を見出そうとする。

でもその安全は、実は不安の鎧でもあるので、いつかははっきりしなきゃと思うのだけど、ふたりとも動けない、なんて状態になるんでしょうね。


モヤモヤを抱えることは“自分を犠牲にする”ことになり得る

曖昧な関係を放置する=モヤモヤを受け入れる、という選択もあります。

でも、それはしばしば“犠牲的”な関係を強いることになります。

そもそも、犠牲的な発想の根っこには「誠実さ」があります。

相手のために不快なこと、嫌がることはしたくない、という誠実さです。

が、それが行き過ぎると、いつも自分を後回しにし、言いたいことを飲み込み、彼のペースを優先してしまうのです。

そのとき、あなたが得るものは「安心」ではなく「彼が鈍感であるという痛み」なんですよね。


モヤモヤを手放す方法:自分から愛情を表現する

さて、このような曖昧な関係を同前に進めたらいいか?なんですけどね。

ぶっちゃけ何もしないと今のままかもしれません。

・・・別に脅しているわけじゃないですよ(^^;

先に書いたように、

「何もしない、何も起きない、けれどなぜか一緒にいるという関係」

そこに、そこはかとなーい不安を打ち消す、希望のような曖昧な何かを感じるのでしょう。

それを解消するために”一歩踏み込む”ということは、ある意味「関係性が変わるリスクを取るということ」でもありますよね。

だから、踏み込むのが怖い、と感じる事が多いはずなんです。

そして怖がること自体、普通というか、そりゃそーっすよね、という話なのです。

ただ、関係性をより良い方向に変えるとか、自分の人生を前向きに変えるとき、必要なのは努力より「リスクを取ること」なんです。

いかに彼に合わせても、彼に尽くしても、関係が穏やかになることはありえても、関係性の中の構図って変わらないことが多いんです。

そして、もし、あなたがそのリスクを取る第一歩を踏み出したいならば・・・

「あなた自身の思いを言葉で表現すること」。

これ抜きに語ることはできないかな、と思います。

もちろん、自分のために何も言わず彼の前から去る、という選択肢もあります。

その一方で、

「私はこう感じ、これだけあなたを思っている」「私はこの関係をこうしたい」

そんな言葉を、あなたなりにで構いませんから、丁寧に紡ぐことです。

相手に“どう思っているの?”と突っ込むよりも、まずあなたの立ち位置を明らかにすることでしょう。

※とはいえ、この伝え方一つで関係性ってガラッと変わるので、どうすれば相手により伝わるか?と整理しておくことがおすすめではありますけどね。カウンセリングの中でもお手伝いしています。


彼との関係を前に進めたいなら:ギブ(与える)という選択

関係を前に進めたいなら、「与える」という行動が関係を動かす力になります。

ただし、これは自己犠牲ではなく、あなたの想いを誠実に届ける“与え方”です。

与えることで、相手に「私はこういう人だ」と気づかせ、相手も応答せざるを得ない領域を作る。

そのとき生まれるのは、押し付けではなく、自然な応答の可能性なのです。

その上で、自分の内面を整えながら、相手の見えない境界線を受け止めていきましょう。

たとえば、彼が「黙る」「言わない」態度をとる背景にある事情や怖れに、自分なりに思いを向けてみる、とかね。

それを否定せず、「まず受け止める」態度を持つことが、関係を動かす鍵になることもあります。

ぶっちゃけた話、「恋愛の駆け引き」だけを考えるなら黙っていたほうが楽なんです。

つまり、「相手にどう思っているの?と聞く」ことで、いわば心理的な立ち位置として優位に立ちやすいでしょう。

僕もこの仕事をしていて、この駆け引きばかりしている人のお話を伺うことがないわけじゃないのです。

が、「相手にどう思ってるか聞き続けても自分の答えは出ない」のかもしれませんよ。

あと、黙り過ぎたり、「どう思ってるの?」と聞きすぎることで関係を壊している人もいますしね・・・。


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ただ、見えないものを“見えるものにする努力”はできます。

モヤモヤを抱えたまま関係に身を置くことより、「私はどうしたいか」「この関係に意味を見出せるか」を問いながら少しずつ言葉を紡ぐこと。

その行為自体が関係を動かす可能性を秘めています。

もし「どこから始めたらいいか分からない」なら、カウンセリングという“整理の場”を活用してみてください。

関係の曖昧さを、一緒に丁寧に見つめられる時間になるかもしれません。

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