こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、
「別れたい気持ちはあるのに、決断がつかない」
そんなときに、心の中で起きていることを整理してみます。
このブログでは、親密感や絆、関係の育て方について書くことが多いのですが、
別れる・離れるという選択が、いつもネガティブとは限りません。
別れたことで次のステップに進めた方もいますし、
離婚を決めたあとに、より良い関係を築けた方も実際にいらっしゃいます。
ただ、別れること自体よりも、
「別れの決断に向かうための“気持ちの整理”が追いつかない」
という理由で、決断が怖くなることがあるんですよね。
今日は、そのあたりの話を。
Index
別れも一つの選択。ただ、決断には“気持ちの整理”が必要なこともある
今回扱うのは、
「相手が納得してくれないから別れられない」という話とは少し違います。
たとえば、こんなケースです。
- 浮気・不倫などの問題があり、これ以上関係を続けるのが苦しいと分かっている
- 夫婦関係が凍りついたように冷めていて、これ以上が想像できない
- それでも「別れる」と決めようとすると、急に怖くなる
頭では、もう限界かもしれない、と分かっている。
でも、別れるとなると、
- 次に出会えるのか
- 生活はどうなるのか(経済面・環境面)
- 親や周囲はどう見るのか
- 自分の人生は立て直せるのか
いろいろな不安が立ち上がって、首が回らないような状態になる。
今も辛い。未来も怖い。
この状態は、本当にしんどいものだと思います。
別れを決断できない理由|気持ちの整理がつかないときに起きていること
別れを決められない理由には、いろいろあります。
経済的な不安、子どものこと、住まい、周囲の目、相手の反応。
どれも現実的な要因ですし、そこを無視していいわけでもありません。
ただ、個人セッションの場でお話を伺っていると、
現実の理由以上に、“気持ちの整理が怖くて止まっている”
という方に出会うことがあります。
もう少し言い換えると、
「気持ちを整理し始めた瞬間、今まで押し込めてきたものが一気に出てきそうで怖い」
という感じです。
たとえば、何年も頑張ってきた方ほど、
カウンセリングという場ですら、気丈に振る舞われることがあります。
「私、大丈夫です」「もう慣れてます」「泣いても仕方ないので」
もちろん、本当にそういう側面もあるでしょう。
ただ、心の中では、
踏ん張ってきた気持ちを緩めた瞬間、自分が保てなくなる予感
があることも少なくありません。
だから、整理に触れられない。
すると、何が起きるかというと、
- 自分を保つためにエネルギーを使い続け、無気力になりやすい
- 不安や怖れが募って、未来に希望を感じにくくなる
- 自分の可能性を信じられなくなっていく
結果として、
「自分がどうしたいのか」が分からなくなる
ことが起きます。
傷ついた、というより「何度も愛そうとした私」の存在
「別れたい。でも決められない」
というご相談を伺っていると、
ある光景が見えてくることがあります。
それは、
「傷ついた」以上に、何度も家族を守ろうとし、関係を修復しようとし、愛そうとしてきた私
の存在です。
こういう方ほど、よくこう言います。
「私の愛し方が間違っていたのでしょうか」
「何を直せばよかったんでしょう」
この問いが出てくること自体、すでにしんどいはずです。
もちろん、関係を見直す視点が役に立つ場合もあります。
ただ、この場面では、
「正解探し」よりも先に見つめてほしいものがある、
と僕は感じることが多いんです。
それが、
何度も立ち上がってきた自分の存在です。
浮気をされたケースなら、
「私にも理由があるのでは」と考えて、自分を訂正し続けてきた方もいます。
それ自体、自己責任的で“立派”に見えることもあるでしょう。
ただ、何度も何度も、
自分の価値や愛情の価値が削られるような経験をしながら、
それでも守ろうとしてきた。
その内側に、
- 言葉にならない悔しさ
- 誰にも伝わらなかった悲しみ
- 本気だったからこそ崩れた自信
そういうものが眠っているのは、自然なことだと思います。
そして、ここが大事なのですが、
「私の思いは誰にも伝わらないのではないか」
という感覚が強くなると、
別れの決断が鈍ることがあります。
なぜなら、決断の先にある未来を想像するとき、
自分の足場(自分への信頼)が揺れてしまっているからです。
別れたあとを考えると、不安しか出ない。
それは、勇気の問題というより、
心の足場が崩れかけている状態
なのかもしれません。
「自分を見つめ直す」=自分を責め直す、ではない
ここでよくあるのが、
「別れられない私が悪い」
という自己批判です。
「他の人ならとっくに決めてる」
「私が弱いから」
「私が依存してるから」
そう責めてしまう方もいます。
でも、ここで言いたいのは、
見つめ直すことは、責め直すことではありません。
むしろ、こういう確認です。
- 私は、どれほどの思いでこの関係に向き合ってきたのか
- 私は、何を守ろうとしてきたのか
- 私は、どこで自分の足場を失っていったのか
評価や正解の話ではなく、
事実として、自分の履歴を確認する
という感じですね。
そして、その過程には痛みが伴うこともあります。
「そんな簡単に触れられたくない」
「理解されたくない」
そう感じる領域があるのも自然です。
ただ、ガチで向き合ってきた人ほど、
「私、こんなに必死だったんだな」
という事実を見ること自体が、苦しいプロセスになることがあります。
でも、その苦しさは、あなたが必死に頑張った証拠でもあるわけです。
決断が怖いのは「決める力」の問題ではなく、“位置”の問題かもしれない
決断に必要なものは、「意志の強さ」だけとは限りませんよ。
実際には、
今の自分がどんな心理状態にいるかで、決断の難易度が変わる
ことが多いんですよね。
足場が崩れているときに、
未来に向かって「決める」ことは、そりゃ怖い。
なにが起きるか分からないですしね。
だから、先に必要なのは、決断のテクニックというより、
自分の足場(立ち位置)を取り戻す手当なのだと思います。
ゆっくりでも、一つ一つ気持ちを言葉にして、ほどいていく。
すると、「決めようと頑張る」より先に、
自然に“選べる位置”に戻っていくことが起きます。
”別れと決断”にまつわる関連記事はこちら
- 決断できない心理とは? 優柔不断・損失回避だけでは説明できない「決められない理由」
- 正しい別れを選んだはずなのに、心が苦しい理由|自己否定が残る心の仕組み
- 結局のところ、答えなんて出ないと感じるときに
最後に
別れは一つの選択です。
続けることが正しいわけでも、別れることが正しいわけでもない。
ただ、決断が鈍っているとき、そこにはたいてい理由があります。
特に、「傷ついた」以上に、「何度も愛そうとした私」がいる場合、
その気持ちの整理なしに前に進むのは、かなり怖いことなのかもしれません。
傷ついたまま、また誰かを好きになることなんて、なかなか想像できないことでしょうし。
もし今、決断できない自分を責め続けているなら、
責める前に、一度だけ、こう問い直してみてもいいかもしれません。
「私は、どれほどの思いで、この関係に向き合ってきたんだろう?」
「私は、どこで自分の立ち位置を失ってしまったんだろう?」
その確認ができたとき、
決断は「気合いでやるもの」から、
「自分の位置に戻った結果、選べるようになるもの」へと、少し変わっていくのかもしれません。
今日はこの辺で。
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