こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

失恋や仕事のミス、家族とのすれ違いなどがあると、ふとこんな声が出てくることがあります。

「もっと頑張れたはず」
「私が悪かったのかな」
「なんで、あのとき…」

この自己否定って、気合で止めようとしても止まらないことが多いんですよね。
止めようとするほど、逆に頭の中で反芻が増える。

今日は、このループが起きる“心の仕組み”を整理したうえで、ほどいていくための現実的な手立てとして、セルフコンパッション(自分への思いやり)を紹介します。


自己否定は「反省」ではなく、心を守る反応になっていることがある

まず最初に、ここを明確にしておきます。

自己否定は、必ずしも「あなたがダメだから」出てくるわけではありません。
むしろ、真面目で責任感が強い人ほど、自己否定を使って心を守ろうとすることがあります。

どういうことかというと。

人は、つらい出来事が起きたとき、二つの恐れを抱えやすい。

  • 二度と同じ痛みを味わいたくない
  • この先どうなるか分からないのが怖い

このとき、心は「分からない」を放置できないんです。
だから、強引にでも理由を作ります。

「私が悪かった」
「もっと頑張れば防げた」

こうやって自分を責めると、世界は少し“分かった”感じになります。
(原因が自分にあるなら、次は努力でコントロールできる気がするからです。)

つまり自己否定は、痛みを整理するための応急処置として働いていることがあります。

ただ、この応急処置は長期運用に向いていません。
続けるほど、心が消耗していきます。


「もっと頑張れたはず」が止まらないときに起きやすい3つのズレ

現場でよく見るのは、だいたい次の3つがセットになっているケースです。

1)反省が“攻撃”に変わっている

反省は本来、次の一手を見つけるためのものです。
でも自己否定が強くなると、反省の形を借りた自己攻撃になります。

「次はどうする?」ではなく、
「なんでできなかった?」が続く。

これ、地味に心が削れます。

2)「当時の自分」の条件が無視されている

今のあなたは、当時より少し落ち着いて見える。
だから「もっとやれた」と思える。

でも当時のあなたには、当時のキャパと事情がありました。
疲労、恐れ、時間、環境、関係性の圧…。

そこを無視して“理想の自分”だけで裁くと、自己否定が強化されやすいです。

3)「痛み」を処理する前に“結論”を出そうとしている

痛みが残っている状態で、結論を急ぐと、だいたい苦しくなります。

心の中ではまだ「納得していない」のに、頭だけが答えを出そうとするからです。

このとき必要なのは、結論ではなく、痛みの扱い直しです。


セルフコンパッションは「甘やかし」ではなく、回復の手順

セルフコンパッションという言葉は、誤解されやすいんですよね。

「自分に優しくしましょう」
この言い方だけだと、甘い話に聞こえることがあります。

ただ、ここで言うセルフコンパッションは、気分の問題というより、回復の手順です。

ざっくり言うなら、

  • 自分を責めてエネルギーを失うより
  • 回復して、次の一手を選べる状態に戻す

そのための技術、という位置づけです。


自己否定をほどく3ステップ

ここからは、忙しい日でも回しやすい形に落とします。

大きく変えようとしなくて大丈夫です。

まずは小さくやってみましょう。

STEP1:自分を責めている“言葉”を、そのまま書き出す

頭の中で反芻しているものは、外に出すと扱いやすくなります。

紙でもスマホのメモでもOKです。

  • もっと頑張れた
  • 私が悪い
  • あのときこうすべきだった

ここでのコツは、整えないこと。うまく書こうとしないこと。
“そのまま”で出すことです。

STEP2:「当時の自分の条件」を1行だけ添える

次に、その出来事のときの自分の条件を、1行で書きます。

例えば、

  • あのとき私は、かなり疲れていた
  • あのとき私は、怖さを抱えていた
  • あのとき私は、余裕がなかった

これで、自己否定が少し“現実”に戻ります。

STEP3:友人に言うなら何と言うか、同じ言葉を自分にも置く

ここがセルフコンパッションの核です。

友人が同じ状況なら、あなたはたぶん、こういう種類の言葉をかけるはずです。

「それはしんどいよ」
「よく耐えたね」
「今は落ち着くのが先かも」

それを、そのまま自分にも置きます。
感情が動かなくてもOKです。置くだけでいい。

ここで目的は「元気になること」ではなく、自分を殴る手を止めることです。


それでも自己否定が止まらないときに起きていること

ここまでやっても止まらない場合があります。

そのときは、あなたが弱いのではなく、扱っている痛みが大きい可能性があります。

失恋、裏切り、挫折、家庭の問題…。

こういう出来事は、頭で整理する前に、心が揺れます。
その揺れを一人で抱えるのが難しいときは、外部の力を借りたほうが回復が早いことがあります。

(友人でも、専門家でも、信頼できる場でもいい。)

セルフコンパッションは「一人で全部やる」ための技術ではなく、回復の方向へ戻る技術です。


最後に

自己否定が強い人は、だいたい真面目です。
そして、だいたい責任感が強い。

だから「自分を責める」という方法で、どうにか前に進もうとしてしまう。

ただ、そのやり方だと、心が先に尽きます。

今日お伝えしたいのは、

責めるより、回復を先にしていい

ということです。

回復すれば、次の一手が選べる。
選べる状態に戻ることが、結局いちばん強いです。


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浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
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