夫が「一人になりたい」と言い始めた。
そんな言葉を聞くと
『私と一緒にいるのが嫌なの?』
そんな絶望感に打ちひしがれ、心は不安でいっぱいになることがあるやもしれません。
しかし、この言葉の裏側には、彼があなたに伝えたい、そしてあなた自身が知っておくべき大切なメッセージが隠されていることもあります。
そこで今日のコラムは「夫が一人になりたいと言い始める理由」を心理学的な視点からの解説していきます。
夫の言葉の背景にある心理について、そして、今の状況を乗り越えるためのヒントをお伝えします。

「一人になりたい」と言う夫の心理的特徴
実は、夫が「一人になりたい」と言う背景には様々な心理が隠されています。
単なる一時的な感情から、夫婦関係に潜む問題の表れまで、その理由は多岐にわたります。
自分と向き合う時間を欲している
男性は一般的に、問題解決やストレス対処において、一人になり感情や考えを整える傾向があります。
一人になることで、自分自身の内面と向き合い、思考を整理しようとする傾向があります。
そのため、常に誰かと一緒にいることよりも、自分の時間を大切にし、自由な空間を確保したいと考えることがあります。
特に、仕事や趣味など、女性には理解しにくい部分については、一人で楽しみたいという気持ちがあるかもしれません。
ストレスの影響
仕事や人間関係など、様々なストレスを抱えている可能性があります。一人で過ごすことで、これらのストレスから解放されたいという気持ちの表れかもしれません。
コミュニケーション不足
夫婦間のコミュニケーションが不足している可能性があります。伝えたいことがうまく伝わらない、あるいは、相手との間に深い溝を感じているのかもしれません。
夫婦関係に深刻な問題を抱えている可能性がある場合、夫側の愛情が冷めてしまったり、お互いの価値観が合わなくなったと感じているのかもしれません。
変化への恐れ
生活の変化や新しい環境に適応することに不安を感じている可能性があります。
一人でいることで、これらの変化から一時的に距離を置こうとしているのかもしれません。
自己肯定感の低下
夫の仕事や人間関係での挫折などにより、自己肯定感が低下している可能性があります。
一人で過ごすことで、自己肯定感を回復しようとしているのかもしれません。
回避行動
夫婦間の問題から目を背けたい、あるいは、問題に対処する能力がないと感じている可能性があります。
一人でいることで、これらの問題から一時的に逃れようとしているのかもしれません。
孤独感
実際には誰かと一緒にいても、心のどこかで孤独を感じている可能性があります。
一人で過ごすことで、この孤独感を解消しようとしているのかもしれません。
「一人になりたい」と言う夫の本音を探る
さて、「一人になりたい」という夫の発言は、今の状況によってもその解釈や本音が異なることがあります。
その点について少し解説していきますね。
夫が一人になりたいと言いながら、今も関係が継続する場合
夫が「一人になりたい」と言いながらも、今も関係が継続する場合。
この場合の夫側の心理としては
「明確に別れを決断するまでには至らないが、一緒にいることで嫌な感情を感じたり、我慢することが増えている」
という場合が少なくないです。
例えば、一人になりたいという夫が家に帰って来る、ちょっとした会話がある、一緒の空間で過ごせる、といった状態の場合。
夫側の心理としては「本当は伝えたいことがあるけれど、伝えることにためらいを見せている」なんて場合が少なくないんです。
なので、この場合は「妻と一緒にいたくない」というより「一緒にいることで感じる何かしらの思いや気持ちがあって、それが消化できない」と考えたほうがいい場合もあります。
つまり、夫婦の間でコミュニケーションが不足していたり、妻側の気持ちが落ち込みがちで、その様子を見ている夫の無力感を刺激していたり、なんてケースが少なくないんです。
だから、もし一緒にいられる時間があるなら、「そんなに私と一緒にいたくないのかも?」という思い込みで行動しないことがおすすめです。
夫が一人になりたいと言って、家を出ていった場合
夫が一人になりたいと言って、家を出ていった場合。
この場合の夫の心理としては
「妻と一緒にいることで感じる感情から遠ざかりたい」
となっていることが少なくないんです。
それまで夫側も我慢をつのらせていたり、言いたいことが言えなかっただけでなく、共に過ごすことで感じる感情を受け入れきれなくなっている場合が少なくありません。
なので、この場合は、妻側が無理に追いかけると夫側が更に逃げる、といった様相を呈することが少なくないんですよね。
ただただ悲しい話なんですけど。
ただ、この場合も「そんなに私と一緒にいたくないのかも?」という思い込みだけで行動しないことがおすすめではあります。
夫が一人になりたいといったときの対処法
夫が「一人になりたい」と言った場合、慌てず冷静に対処することが大切になりますね。
とはいえ、なかなか冷静でいられない場合もあると思いますし、そう感じることもまた悪いことじゃありません。
今からご紹介することを参考にしていただければと思います。
夫の気持ちを否定せずに受け入れる
「そんなことないよ」と否定したり、「どうして?」と問い詰めることは、彼の気持ちをさらに遠ざける可能性があります。
「一人でいたい」と伝えてくる、彼の気持ちを一旦受け止めてみましょう。
もちろん、受け止めることもまた辛いことではあると思います。
そんなときは奥様側の味方も必要になると思いますよ。
ただ、夫の意見に反発すると、夫もあなたに自分の意見を受け入れさせようとしてくる可能性があります。
まずは「話を丁寧に聞く」という姿勢を持つことがベターだと言えそうですよ。
その上で「なぜそう思うのか」を尋ねてみてもいいでしょう。
例えば、「どうしてそう思うの?」「具体的に何が辛いのか教えてくれる?」など、具体的な質問をしてみること。
丁寧に聞くことで、相手も本音を伝えてくれる場合があります。
自分の気持ちと夫の気持ちの線引を明確にする
これはものすごく重要なことなのですが、「自分と夫の気持ちの線引を明確にすること」がおすすめです。
例えば、夫が「一人になりたい」と伝えてきたとき、「そんなに私と一緒にいたくないの?」と思う場合もあるでしょう。
もちろんそう思うお気持ちもよくわかりますよ。
ただ、夫の発言を受けて「そんなに一緒にいたくない?」と感じているのは、奥様側であることが多いです。
夫がなぜ一人になりたいと思うのか?
その理由は「一緒にいたくない」だけとは限りません。
夫のストレスの有無、仕事や人間関係の問題、健康問題など、彼にストレスを与えている要因が他にもあるやもしれません。
だからこそ、「そう思っているのは誰か?」を明確にすることは大切なことです。
特に「自分の感情を相手に映し出す」という「投影」の作用で、あたかも夫が一緒にいたくないと言っているように感じて、すごく傷ついてしまうケースも多々ありますからね。

とりやすいコミュニケーションを取っていく
現時点で、夫と取りやすいコミュニケーションを取っていくことも考えていきましょう。
例えば「夫にしてもらったことに感謝する」とか「おはよう、お休みの挨拶をする」などできることはいろいろあります。
コミュニケーションが上手く取れない状況であると、どうしても心が折れてしまいがちになりますよね。
そのお気持ちもよく分かる気がします。
ただ、だからといって、挨拶もしない関係は、冷え切っていく一方です。
できることを少しづつ、焦らずに取り組んでみてください。
自分自身の言動を振り返る
また、自分の行動として、何か彼を傷つけてしまうような言動はなかったか?なども振り返ってみましょう。
ちょっとした一言が夫を追い込んでいたり、傷つけてしまうこともあろうかと思います。
もちろん夫婦で起きることの殆どはお互い様的な部分があるのですけどね。
何がすれ違う理由だったのか?を知ることで、改善できることも見つかりやすくなりますからね。
ただし、この振り返りは「夫婦がすれ違ったポイントを知るためのもの」であって、自分を責めたり問題探しをするものではありませんよ。
「妻の感情が沈んでいる」という理由が多いと理解してみる
また、僕のカウンセリング経験上、「妻の感情が沈んでいる」「いつも妻が不機嫌」という理由から、夫が一人になりたがっている場合も少なくないんですよ。
いや、意外と多いと思います。
その理由は「妻の感情が沈んでいる理由が分からないから」なのです。
つまり、夫が、妻の感情をサポートする手段や手立てが見えていない時期を長く過ごしていた、というケースも散見されるわけです。
もちろん気持ちが沈んでいる奥様側が悪いと考える必要はないのです。
ただ、多くの男性は「妻がごきげんでいること」を望みますし、そのために何ができるかを自分なりに考えている人もいるのです。
しかし、その現実がうまく手に入らないと感じた時、夫側に無力感なり、罪悪感なり、あまり感じていたくない感情を感じる機会が訪れるわけですね。

このような夫側の深層心理には「妻に対する思い」が隠れていることが多いのです。
しかし、その思いを持っていることが辛い(妻の気持ちが沈みがちだ)と感じることが、一人になりたい気持ちを刺激することもある、といいますかね。
だから、無理にご機嫌でいることより、奥様側の気持ちのケアを進めて、奥様の気分が良くなり生きやすくなることで、夫婦関係が改善していくケースも実際にあるんですよね。
最後に
「一人になりたい」という言葉の裏には、彼の心の奥底にある様々な感情が隠されているかもしれません。
そして、この経験を夫婦関係を深めるためのきっかけにしていきましょう。
そして、奥様側も一人で抱え込まず、信頼できる友人や家族、そしてカウンセラーに相談してみてください。
何よりあなたご自身が、この状況を乗り越えるために自分を大切にしてくださいね。
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