その彼女とのカウンセリングは「彼女自身の失恋」から始まりました。
「その当時付き合っていた彼と別れそうで、なんとかよりを戻したい」
そんなご相談から始まったカウンセリングでした。(今回のお話はクライエント様にご許可いただいた話です。)
しかし、彼女はその彼とはお別れすることに。
失恋、ですね。
カウンセリングの中でできる限りの手立てを僕もお伝えしましたが、時すでに遅く、二人のプロセスは別れる方向に進んでいったのです。
しかしその数カ月後、彼女は僕にこう伝えてくれたのです。
「浅野さん、新しい彼ができました!そして、彼と結婚することになりました!」
えぇ〜!そうなんですか!と僕が驚いた次第ですが、彼女のプロセスは急展開を見せ、ご結婚という形でカウンセリングを卒業してくださったのです。
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長くカウンセリングの現場におりますと
「その当時のパートナーとの別れ→新しい恋愛が見つかって結婚まで決まっちゃう」
そんなプロセスのお供をさせていただくことって稀じゃありません。
要は、別れのプロセスが終わることで、幸せにつながるプロセスが始まる事が多いってことなんですけどね。
というか、僕はこのプロセスのお供をすることが多いタイプのカウンセラーだと思います。
そこで今日は「失恋のどん底にいた彼女が幸せな結婚を得た理由」について、心理的な考察を含めてコラムにしたいと思います。
Index
失恋のどん底にいた彼女が幸せな結婚を得た理由
さて、今回ご紹介させていただくその彼女は、失恋のどん底にいたのです。
しかし、その数カ月後、彼女が幸せな結婚を果たします。
その彼女が幸せを得た理由について、僕なりに考察してみると、次のようなことが言えるのです。
「別れへの不安はとらわれによって生じる」
つまり、彼女は一度その当時お付き合いしていた男性と別れたくないという強いとらわれを抱えていた。
そのとらわれこそが彼女のプロセスをとどめていたのです。
よって、その彼との別れがきっかけで彼女のプロセスは前に進んでいった、というわけです。
実際、その彼女は「彼と別れたくない」という執着もあって、なかなか不安の多い時期を彼女も過ごされました。
しかし、その時、実際に彼女の内面で起きていたことは「別れへの不安を刺激するとらわれの影響」のほうが強かったのですね。
彼女は何かにとらわれていた。
だから、その当時の彼とも別れられなかったし、別れることをとても嫌がっていたんです。
失恋への不安は「とらわれ」によって生じる
そもそも失恋への不安は「別れることで生じる痛み」や「自分自身の一部を失ったような痛み」を感じることに対する不安だ、といえます。
ひらたく言えば「傷つきたくない」ということ。
ただ、多くの失恋への不安は「とらわれ」によって生じていることが多いんです。
人によって何に囚われているかは違いますが、何かしらの思考や感覚などにとらわれているので、失恋に対する恐れ、別れることへの怖さが消えなかったのです。
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その彼女にとっての傷つきとは「別れることでひどい寂しさを感じること」でした。
彼女自身、子供の頃から人と深く関わることが苦手で、人見知りの傾向がありました。
友達であっても心を開いて関わることが苦手で、いつも寂しさを感じていたのです。
だから、彼女はこんな思考にとらわれていたのです。
「もし、今の彼と別れたら、ものすごい孤独と寂しさに襲われるに違いない」
だから、彼女は僕のカウンセリングを使ってでも、なんとかその当時の彼と別れない方法を探していた、というわけです。
「とらわれ」から解放されると自由な選択肢が生まれる
もちろん僕もカウンセリングの中で、彼女のご意向を大切にさせてもらい、その彼と別れない方法を一緒になって考え、ご提案させてもらっていましたよ。
ただ、その話の中でも僕がずっと気になっていたことがあるのです。
「どうして彼女はこんなに必死になって彼と別れない方法を探しているのだろう?」
そんなに彼のことが好きなのだろうか?とも思いましたが、そこまで好きなら手放す選択も考えるでしょうし、いくら好きでも一緒にいて辛いなら離れたほうがいいと考えることもできるはず。
もちろんそれがいいかどうかは別にして。
だから、彼と別れない方法をご提案しながら、こんなご質問をさせてもらったのです。
「彼のことが好きな気持ち、僕なりにわかります。でも本当にあなたが怖れていることってなんでしょうね?」
彼女はこう言ってくれました。
「もう一人ぼっちは嫌なんです・・・・」
詳しい話は省略しますが、彼女は幼い頃にお父様をなくされていたのです。
それから彼女の家族は大変な時期を迎え、お母様もお子さんをお育てになるために必死で働かれていた。
家族はある意味で心のつながりを失い、彼女はその寂しさの中で我慢して過ごされてきたのです。
だから、彼女にとって「幸せな恋愛や結婚、家庭を持つこと」は大きな夢でした。
その夢のためならどんなに苦しくても彼を受け入れようと決めていたのです。
だから、彼女は僕に「別れない方法」を質問してくださったのでしょう。
ただ、僕がお伝えしたことは、別れない方法以上に、次のようなことをお伝えしました。
彼女が「一人ぼっちになるというとらわれ」から解放され、心の中に自由な選択肢が生じるために、ですね。
「そうなんですね、あなたはずっと一人になる、家族がバラバラになることを怖れていたんですね。一人ぼっちになることが怖かったんですね。
それは本当に不安だったと思います。
でも、今のあなたはきっと一人ぼっちにはならないと思います。」
なぜですか?と僕に聞いてくださる彼女に、こんなふうにお伝えしました。
「今の彼と一緒にいるとしても別れるとしても、できるだけ納得したいんじゃないでしょうか?
ただ、一人ぼっちになってしまうというあなたの中のとらわれ感がそれを止めているのではないでしょうか?
だから少し考えてみていただきたいんです。
あなたの中からもし『私は一人になってしまうというとらわれ』が無くなったとしたら、あなたはどんな未来を手に入れたいって思います?」
そこから彼女とのカウンセリングは「一人になってしまうというとらわれ」を手放していくプロセスへと進んでいったのです。
幸せなプロセスの流れに乗るために必要だった「とらわれからの解放」
彼女とのカウンセリングでは
「私、一人になってしまうのでは?(彼と別れてもまた幸せになれるの?)」というとらわれから生じる不安を解放することがポイントでした。
言い換えるならば「孤独感・分離感」といった感情の影響をどれだけ小さくするか、ということ。
こういった不安が強い状態になると、全く頑張れなくなるか、もしくは、頑張り過ぎちゃうんですよね。
その結果、疲れ果ててしまい「もう恋愛はいいや」と諦めてしまってチャンスを逃すこともありえます。
日常の中で、これ以上不安を感じたくなくて、考えすぎたり、力みすぎたりしますから、つい彼女らしさが発揮しづらくなるのです。
だから、自分らしくないんだけど、しかし「不安に飲み込まれないための手段」必要になってくるわけです。
彼女にとってのそれは「何があってもその当時付き合っていた彼と別れないこと」だったのです。
もちろんそれがいいかどうかなんて誰にも語れません。
ただ、あまりに頑張ろうとすると、それが彼女らしさ(魅力)を覆い隠すという矛盾を生むんですよね。
とにかく「幸せなプロセスの流れに乗るために必要だった「とらわれからの解放」。
このプロセスを進めて、彼女自身がとらわれから自由になったことで、彼女は彼女本来の魅力を発揮することができるようになったんです。
結果、彼女が次に出会った人が、今後の人生を共に歩む人だったという、まぁある意味理想的な結末がやってきてくれたわけですよ。
もし、このテキストをお読みになっていただいている方の中に、なかなか思うように幸せのプロセスがやってこないと思われているならば、一度自分自身が何にとらわれているかを見つめて見てもいいかもしれませんね。
僕でよければいつでもお手伝いしますのでね。
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