恋愛の心理学

違いが認められないと「犠牲」と「コントロール」にハマるもの?

浅野先生に質問です。

先生のブログの更新が何よりも楽しみな忍耐女子です。以前にも質問したことがありますが、その節は大変ありがとうございました。

忍耐女子の私が彼に「好きなの?」と聞いたら「君はプライドが高い」と言われました 浅野先生へ質問です。 はじめまして。先生のブログ、毎日楽しみに拝見しています。 彼は仕事の面でも人柄の面でも尊敬できる素敵な人で...
もし、彼をどう攻略するかより大切なことがあるとしたら「彼をどう攻略するかより大事なことがあるとしたら」:なかなか鉄壁な自立男子の牙城を崩せないとき、何をどう考えていくかのヒントになればと思いテキスト化しました。よろしければどうぞ。...

ブログを読んで、別れの危機を何度か乗り越えましたが、自立&忍耐男子と女子の組み合わせで、相変わらず難しい関係が続いています。

 彼は頼りがいのある、信頼できるパートナーで、困ったことがあると真っ先に相談するのですが……。

「根本がいじわるだから、相手にいじわるで返されている」「人のためにと一生懸命頑張ってもやり方が悪いから、雑に扱われてしまう」等、手厳しい言葉が飛んでくるので、責められている気がして悲しくなり黙り込んでしまいます。

すると、「ほら!そうやって自分のイライラをすぐ態度に出すから、『我慢』っていつも言ってるよね?なんで直らないの?全然言うこと聞かないからアドバイスする気にならない」「人を平気で傷つけるくせに相手に受け入れてもらおうとしても、誰も受け入れんよ」とトドメの一撃が……。

気持ちが落ち着くと、私を思っての発言ということもよくわかり、直そうと思うのですが、彼が望む「結果」が出ずダメな自分に嫌気がさす……の繰り返し。

「いじわるって何した?」「結果って何?」と聞いても、「散々言ってきたのにわからないの?」と言われ、途方に暮れてしまいます。最近では、このムードになるのが怖く、素直に思っていることを話せなくなってきました。

また、彼から「会いたい」とは言わないので、私から誘うのですが、些細なこと(返信がすぐ来なかった、服装が好みじゃない等)を理由にこっぴどく拒否されてしまいます。そのくせ、私が何もしないと「必要とされていない」と不機嫌モード。
 
難しい彼ですが、ほぼ毎日電話をくれるし、私なりに理解しているつもりです。しかし、私には彼との関係の中で成功体験がなく、私では彼を喜ばせられないのではないかと思い始めました。

一方、彼は私に「相手がどう思うかじゃなくて、君はどうしたいの?」とよく尋ねますが、「自分軸で生きる」という課題を与えられている気がして、ここで自分を変えたいという気持ちもあり、諦めきれません。

王道は「自分を認める、癒す」ことだと思いますが、私はどうしたら彼を笑顔にできますか?

ネタ募集ネーム:あいちゃんさん

あいちゃんさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m

なるほど、なるほどですね。いや、あなたは彼のために大変に尽くされているように僕は思うのですけど、どうでしょうか。

しかし彼さんってきっと頼りになる方なのだろうな、と、その発言も手厳さから感じているところです。いや、結構まっすぐきますねぇ。いいか悪いか別にして。

少なからず僕の考え方では、人って否定ばかりしていると問題を解決する能力を失ってしまうものだと思うので、僕は何が良くて何が悪いって考え方はあまり使わないんですけどね(法や社会のルールなどの問題以外はね)。

さて、ここに書かれている彼の様子だけをうかがうと、典型的な自立男子(自立&隠れ依存)パターンのようですよ。彼は与えることは考えるけれど(与え方は別にして)受け取らない人のようですね。

このタイプの人って、受け取らないが転じて、「人を認めない」言動につながることもあるのでね。僕にはそのように見えました。いいか悪いか別にして。

さて、今回のご質問は「どうしたら彼を笑顔にできるか」なので、それに沿って回答してみたいと思います。

では本編へ。

パートナーに手厳しい男性の内面とは

受け取らない人、他人に厳しい人っていますよね。自立が強い人ほどこうなりがちなんですけどね。

その中には、パートナーに対して説教じみたといいますか、強い言葉で迫る方もいるようです。

実はこのような人の心理っていくつか存在しますよ。決して一つではないのです。だから「男の人はこうだから」と考えないほうがいいように僕は思いますよ。

今回のご相談にあるようなケースなら

・愛と怒りを混同してしまうタイプ
・恥ずかしがりゆえの怖がり

この複合タイプかなーと僕は感じますね。

「愛と怒りを混同してしまうタイプ」とは、感情を強く抑圧している人に見える傾向です。

愛も怒りも悲しみも喜びも、その感情を感じると「情動」が起こりますよね。多くの場合、その感情はなにかを自分で自覚できる事が多いものでしょう。

ただ、カッチカチに感情を抑圧している人ほど、何かしらの情動は感じますが、それがどんな感情かがわからないのです。例えば愛や愛おしさを感じても、それが何かがわからない。

そして、このタイプの人にとって最も分かりやすい感情は怒りなんです。怒りは分かる。だから愛や愛おしさを感じてもそれを怒りだと認識して起こり始める人がいるってことなんです。

ね、女性の皆さんからするとそんなこと起こり得るの?と思われるようなことだと思います。が、実際にあるケースです。最近はなかなかお見かけしないケースでもありますけどね。

次に恥ずかしがり&怖がり、という部分について。

そもそも恥ずかしがりさんは怒りっぽいのです。

恥ずかしがりさんほど「恥」を感じたくないので、「恥」をとことん怖れます。それが転じて恥をかきたくない恥をと怖れ、必死になり、恥を感じる場面と出くわすと急に怒り出します。

別に恥をかいたってどってことないですし、恥を感じたところでただかわいくなるだけなんですけど、それが嫌なんですわねぇ。恥という感情を受け入れられないわけです。

このタイプの人はとことん恥をかかない生き方の中で成功しようと考えています。だから、恥をかいている人をどこか遠ざけたり、人によってはこバカにしている傾向がありますから、自分が語ることの多くがいわゆるド正論(その人にとっての正論)となることが多いんです。

だから「そんなこともわからないの?」「できないって恥ずかしい」的な発言が多くなるはずです。(分からないこともできないことも何ら恥ずべきことじゃないんですけどね。)

そのような人がパートナーを心配していたり、愛しているとしたらどうなるでしょうか。

例えば、パートナーが悩んでいるとしたら、その男性もなんとか助けたいのです。好きだし愛おしいし苦しんでほしくないと思うものでしょうよ。

しかし、自分なりにアドバイスしても相手が元気にならないときに怒り始めるんですね。

自分が必死に相手にド正論を伝えているにも関わらず、相手の問題が解決しない、悩みが消えないとき、「自分は相手のために何もできない」という無力感を感じるのです。

ここに「無力な自分→恥だ」という感覚があります。

同時に、何もできないという罪悪感がくっついた感覚を覚え、嫌な気分がするのです。

そこに、男性がよく考えそうな「問題があるなら解決しよう」という問題解決思考が乗っかるとどうなるでしょうか。

そうです。

「君にこうすればいいっていつも言っているのになんで聞かないんだ!」と詰め寄ってくるというわけですね。「散々言ってきたのにわからないの?」という発言もそ子から生じているものでしょう。

もちろんこのような男性の言動は女性を責めている感じになると思いますし、それが辛いという女性のお話はたくさん僕も伺っているところです。そんなに怒らなくてもいいじゃない、ってそのとおりですよ、うん。

ただ、男性の本音の部分では「もう俺に心配させないでくれよ、めっちゃ不安になるやんか」のように、パートナーが元気がない、問題を抱えていることを心配し不安を抱えていることが多いでしょう。

それぐらいパートナーの悩みを何とか解決したいと思っている人も少なくないのですよ。

ただ、男性の感情自体が整っていないので、まぁあまりいいとは言えない言動になることも少なくないのです。

だから、どうか男性も自分の感情を整えることに興味を持ち、実際に癒やしを進めていただきたいな、と僕は願ってやみません。

 

違いが認められない人たち

また今回のご質問にある問題は「自分と相手の違いが認められない」という部分が問題を作っていると僕は考えます。

いくら結婚しているから、愛し合っているからと言って、自分と相手が全く同じだなんて、まずありえない話でしょう?

だから、お互いが違って当然だし、意見も価値観も悩むポイントも同じである必然性なんてないわけですよ。

その一方で、僕たちの恋愛感情には「相手と身も心もひとつになりたい」という思いが強く存在しているわけですね。

ここがまぁ厄介な問題を作るのですよ。

相手と自分が違うとどこか分かっていても、「身も心もひとつになりたい」と願うパートナーには、自分と同じ感情、意見、価値観を所有していてほしい、ってどこかで願っちゃうわけですよ。

その結果、自分と同じ感情、意見、価値観を持つように相手に迫る人が出てくるわけです。

冷静になれば相手と自分は違う、と分かるのですが、恋愛感情があればあるほどその線引が難しくなるんですね。

それがひどくなると、相手に対して強い要求をぶつけたり、相手をコントロールしようとするようにもなることがありますよね。

また、相手に従いすぎる、尽くしすぎてしまうという方も「相手と自分の違い」を認められずにいる場合があります。

この場合、「身も心もひとつになりたい」と感じたときに、自分を否定しちゃうのですよ。

だから相手の意見に従うし、相手の思ったように振る舞えない自分にガッカリするし、相手の価値観に合わない自分を責め罰することにも繋がります。

これこそ「犠牲」ですよね。

しかしそこに恋愛感情があるならば、相手を強く求めることになりますから、なかなかこの犠牲をやめられずにいる方もいるわけですね。犠牲をやめたら一つになれない、私の願った恋愛が成就しないと感じるからです。

 

相手にあわせてばかりの恋愛ではなく、お互いを尊重できる関係へ

私には彼との関係の中で成功体験がなく、私では彼を喜ばせられないのではないかと思い始めました。

ここなんですけどね。これって「成功体験」というより、相手の機嫌を取るようなイメージじゃないですよね?例えば、相手に喜んでもらえた経験が少ない、みたいな。

もしそうであれば、おそらく相手の意見に従っちゃうことも多くなるので、成功体験自体と遠ざかっちゃうのではないだろうか、と僕は思うのです。

そして、もしあなたが二人の関係のために長い間頑張ってこられているのだとしたら、あなたがどれだけ苦心されてきたのだろう、と僕は思っちゃいますよ。

ほんと、一生懸命頑張ってこられたのではないでしょうか。

 

ただ、こうも思います。

あなたが自分を犠牲にしても「身も心も一つになる」状態には近づかないですよ、と。

犠牲と対になるものは加害者です。

この関係性では身も心も一つになるどころか、お互いの自己不信や罪悪感が強まって分離感が増してしまいます。

あなたが望む「好きな人と身も心も一つになる」状態を目指すなら、「私もOK、あなたのOK」といったWIN-WINの関係を培うことですよ。

それが結果的に相手の喜びになることに繋がります。

そのために、あなたがあなたであることに喜びを感じ、誇りを持つことですよ。

何ができるか、できないか、で悩むより、まず、あなた自身が自分をちっぽけに扱わないことです。

自分にできる精一杯の愛情表現をすること。

嫌なことや嫌だと言えるようになること。

自分にも相手にも愛を向けること。

とにかくあなたがあなたであることを肯定し、受け入れてあげてほしいのです。

言い換えれば、彼の本心はともかく、彼にあなたのことを否定させないことが重要です。この状態を続ければ続けるほど、関係はあまりいい方向に進まないもの。彼は無力な加害者になり、あなたは愛はあるけどいつも否定ばかりされる被害者になってしまいます。

だから、もしあなたが抱えている不安や問題があるなら、それを解決することが先なんですよね。

例えば、つい我慢ばかりしていたり、犠牲していたり、相手のために自分を下げてしまったり、自分の不安を受け止められない何かしらの理由があるなら、そこを癒やして手放しておかれるといいと思いますよ。

その上でこの彼とどう関わるか、なんですけどね。

「そんなに私のことを心配してくれてるんだ」と心から思えるなら、そう伝えてみることです。

そして、「辛いときは辛い」と伝えることです。

同時に、自分が相手のことをどれだけ思っているか、を伝えながら。

それでも反発はくるかもしれません。人によってはあなたを責めるかもしれません。

それでも彼のキツい言動を「私の問題をなんとか解決しようとしているのね」と理解できるなら、チャレンジしてみてもいいかもしれませんよ。

ただ、これには条件があります。

「自分が彼のことを無理なく理解できるなら」です。

無理して理解しても続かないし、結局は自分が傷つき、彼はあなたを傷つける人になってしまうので、無理は禁物です。

あー、そっか、そういうことなのね。ほんと彼は素直な人じゃないんだから、といった風に軽やかに理解できるならばトライしてみてください。

それが難しいと思うときは、一旦自分を見つめることを強力にオススメいたしますよ。

なぜなら、あなたは「彼を喜ばせる成功体験がない」とおっしゃっているからです。

おそらくその要素がなければ彼との関係は続いていかないはずなのです。つまりあなたは彼の喜びに慣れている部分があるはずなのです。

しかしあなたにその自覚があまりないようですね?

それはなぜなんでしょう?

ここをちゃんと解決しておかないと、また頑張っているのに相手を喜ばせることができない、と悩むことになるのです。

だから、例えば「どうして私はこんなに愛する人との関係で無理ばかりしてしまうのだろう」「自分は自分として素晴らしいのに、なぜ喜ばせられないと感じているのだろう」と自分に問いかけてみてください。

そこから、出てくる気付きがとても重要なのです。

もちろん無理してきた自分が悪いわけじゃないんですけどね。

 

最後になりますが、僕たちはやっぱり愛する人と身も心もひとつになりたいと願うものです。

そう思える人と出会えたことって、とても幸せなことですよね。

ただ、身も心も一つになるためとはいえ、相手をコントロールして変えようとすることは愛じゃありません。

また、自分が無理や犠牲をすることも愛じゃありませんよ。

僕たちは自分の願望を満たすためにどんな手でも使いたいと思うものかもしれませんが、そんなときは一度立ち止まるときです。

まずは、もう一度自分の尊厳、価値を見つめ直すときだといえますね。

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