人に優しくされると居心地が悪いのはなぜ?|好意を素直に受け取れない心理
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、クライエントさまから「この件についてブログで書いて」とリクエストをいただいた質問にお答えしようと思います。
テーマは「人に優しくされると、なぜか居心地が悪くなる」。
優しくされるのが嫌いなわけではない。
むしろ、ありがたいとは思っている。
しかし、人から気遣われると、とにかく落ち着かない。
何かしてもらうと、すぐお返しのことを考える。
恋人が大切にしてくれるほど、なぜか少し離れたくなる。
「・・・なんで私、こんな反応するんだろう?」
という話ですね。
これ、恋愛だけでなく、友人関係でも、職場でも、家族の中でも起きうること。
そして僕は、この手のご相談をうかがうとき、単純に「好意を受け取るのが苦手なんですね」とだけ見ているわけじゃないんですよね。
今日はそんな話をまとめてみます。
Index
いただいたご質問の概要はこんな感じです
私は昔から人に優しくされると、なぜか居心地が悪くなる。
彼が迎えに来てくれたり、体調を気遣ってくれたりすると、嬉しいと思うけれど、「そこまでしてくれなくてもいいのに」と思ってしまう。
プレゼントをもらうと、すぐに「何を返せばいいんだろう」と考えてしまう。
友人が何かしてくれたときも、「悪いな」「迷惑じゃなかったかな」と思ってしまうクセがある。
特に彼が優しくしてくれたり、大切にしてくれるほど、少し距離を取りたくなる。
どうして、優しくされるほど落ち着かなくなるのでしょうか。
優しくされるということは、相手がこちらに近づいてくることでもある
さて。
今回のケース、僕ならば、
「相手がこちらへ一歩近づいてきたときに、あなたの中で何が起きているんだろうね?」
と見るかなぁ、と思います。
そして、そのきっかけとなってる出来事は、「相手の気持ちがこちらに向いている状態」じゃないだろうか、と。
たとえば、
人から優しくされる。気遣われる。助けてもらう。好意を向けられる。
ここを、「自分にとって良いこと」と見るよりは
「相手の気持ちや関心が、こちら側に向かってきている状態」と見てみる感じ。
普段なら、「私は私、あなたはあなた」という感じで、ある程度距離が保たれているところに、相手から何かしらの好意なり、気持ちが向かってきて、近づいてくる。
「大丈夫?」「手伝おうか?」「迎えに行くよ」
これって、心理的な距離が一段縮まる出来事でもあるんですよね。
もちろん、それを純粋に「嬉しい」とか「安心できる」と感じる人もいます。
でも、人によってはその瞬間に、
「あ、近い・・・」
と感じる人もいるんですよねぇ。
それが、「ちょっと居心地悪い」「落ち着かない」や、
時には、「避けたい」や、「好意を向けられたら速攻で返したい」という反応につながることがあるんですよね。
「嬉しい」の前に、別のものが始まっていないでしょうか
ここから書くことが、僕ならば最も気にするところかな、と思います。
「人から優しくされたあと、あなたの中で何が始まるのか」。
そして、これはおそらくあなたの中で、今まで当たり前のように起きていた反応かもしれない、と。
たとえば、
- 「何か返さなきゃ」
- 「こんなにしてもらって悪いな」
- 「期待に応えなきゃ」
- 「嫌われないようにしなきゃ」
- 「この人を好きでい続けなきゃ」
- 「何か裏があるんじゃない?」
- 「このまま近づかれたら、断れなくなりそう」
そう感じるとしたら、その反応は何を意味しているのか、と。
相手から届いたのは「優しさ」。
でも、こちらの中では、
優しさ+義務
になっていたり、
優しさ+罪悪感
になっていたり、
優しさ+警戒
になっていたりする。
もしそうだとしたら、逃げたくもなれば、素直に受け取ろうとも思えないですよね。
シンプルに「ありがとう」で終わる話なのに、心の中では、
「さて、このあと私は何をどうしたらいいんでしょう?」
とまで反応しているとしたら、優しくされるほど疲れるのも、不思議ではないと思いませんか?
ある意味、ちょっと先読みが過ぎるような反応が、そこにあるのかもしれないですね。
ちなみに、「よくしてもらうと申し訳なくなる」という反応については、こちらの記事でも詳しく書いています。
好意であれ悪意であれ、「相手から向けられたもの」に揺れすぎることがある
で、ここから少し話を広げますよ。
今日解説している話は、「優しくされると居心地が悪くなる」という話に限ったものではないです。
- 人から優しくされると、ものすごく揺れる。
- 人から批判されても、ものすごく揺れる。
- 相手が不機嫌だと、自分まで落ち着かなくなる。
- 期待されると断れない。
- 褒められると妙に居心地が悪い。
これらが全部同じ心理だ、という意味ではないんですよ。
ただ、僕が意識する部分は、
「相手から何かを向けられたとき、自分の心がかなり大きく動く」
という共通点です。
たとえば、相手が怒っている。
すると、「私が何とかしなきゃ」になる。
相手が優しい。
すると、「私も何か返さなきゃ」になる。
相手が期待している。
すると、「応えなきゃ」になる。
こうなると、相手の感情や行動がこちらに届くたびに、自分の気持ちまで意識していないところで一緒に動いちゃうんですよ。
この手の話を、僕は「人との距離の問題」として見つめることがあります。
確かに、事実として起きていることは、相手の言動(優しさなど)に対するあなたの心の反応、なんですけどね。
この手の反応って、少なくとも僕がお話を伺っていると、心理的な距離がある相手より、近しい相手との間で目立ってくることが多いんですよね。
境界線がなくなる、というより「自分の側まで背負ってしまう」
「境界線」という言葉があります。
簡単に言えば、
「ここまでは私のこと」
「ここからはあなたのこと」
という心理的な線引きですね。
ただ、優しくされると居心地が悪い人が、必ず境界線がないとは限らないんですよね。
普段はちゃんと保てていることも多いです。
仕事もできる。
人付き合いも普通にできる。
一人で行動するのも平気。
むしろ、しっかりしている人も少なくない。
でも、誰かがこちらにぐっと関心を向けてきた瞬間、その境界線が少し揺れる感じ、と書くと分かりやすいですかね?
そこでは、相手の優しさがこちらに向けられたことで、自分の中の何かしらの反応が起きている、と見ることができるんですよ。
ただ、その反応だけ取り出して書いても、非常に分かりにくい話になるので(^^;
あえてこのように書くと、少し分かりやすくなるんじゃないでしょうか。
たとえば、
- 優しくされるたびに、「この人をがっかりさせちゃいけない」といった責任を感じる。
- 相手の優しさを期待と解釈して「ちゃんと相手の期待に応えなきゃ」と思う。
- 真面目に「この好意を無駄にしちゃいけない」と思う。
相手の興味関心を、何か「背負っているもの」に変換しているようなイメージですね。
つまり、
相手の好意で居心地が悪くなる、というより、相手に近づかれたことで増えた“背負っている感じ”がしんどい
という話かもしれないわけです。
なので、優しくされると、居心地が悪くなったり、自分の負担が増えたように感じる、という話。
もちろん、相手の優しさや期待が重たいニーズの場合もあるので、そう言い切れる話でもないですが、こちらの反応だけを考えると、こんなこともありえるよ、という話です。
ただし、「優しくしてくれる人なら全部受け取れ」という話ではない
人から優しくされると居心地が悪い。
だから、「あなたが受け取れないだけです」と全部自分の問題にする必要はありません。
世の中には、優しさの形をしながら、一方的に距離を詰めてくる人もいます。
頼んでいないのに何でもしてくる人も・・・。
断ると不機嫌になって、「こんなにしてあげたのに」と言う人も(^^;
優しくしたことを理由に、こちらの自由まで奪おうとする人もいるかもしれない。
そういったケースでの「居心地の悪さ」は、役に立っている可能性があるわけです。
だから、「何でもかんでも優しさを受け取れるようになろう」という話ではない、と僕は考えています。
ただ、「相手のことは好きだし、相手の気持ちは嫌じゃないのに、なぜか居心地が悪くなる」としたら、「境界線」について少し見つめ直してもいいんじゃないか、という話です。
相手の事情と、自分の反応は分けて見たほうがいいですよ、うん。
カウンセリングでは、どこを見ていくのか
こういったご相談では、
「どうして人が近づいてきたときに、そこまで心が揺れるのか」。
「何を背負うと思っているのか」。
「どこまで近づかれると怖くなるのか」。
そのあたりを見ていくことが少なくないですね。
たとえば、過去に、
- 誰かの期待に応えることで関係を保ってきた。
- 優しくされたあとに、何かを求められた経験がある。
- 人から頼られることは多かったけれど、自分が頼ることは少なかった。
- 近づいた人との関係で、強く傷ついた経験が残っている。
様々な事情で、近づかれることに抵抗感を残す場合がありますよ。
これは当然のことながら、人によって事情が違うわけですけどね。
だから、「優しくされるのが苦手な人は○○です」とは断定できる話ではないと思っています。
ただ、相手が近づいてきたときに起きる反応を見ていくと、
「ああ、私は優しさが嫌だったんじゃないんだな」
と分かることがあります。
これは優しさから逃げたい反応というより、近づかれたときの反応に近い。
そう理解できることはかなり大きな理解ですからね。
少し整ってくると、何が変わるのか
この反応が少し落ち着いてくると・・・
いきなり「人の好意を何でも喜んで受け取れる人」になるわけではないんですよ(笑)
それはキャラが180度変わった、みたいな話なので、ちょっと非現実的。
ただ、たとえば・・・
彼が迎えに来てくれたときに、「次は私が何か返さなきゃ」まで一気に進まず、
「ありがとう、助かった」で、一度止まれる事が増えたりします。
プレゼントをもらったときも、すぐ同じ金額のお返しを探さず、
「これ嬉しいな」を先に感じられるので、お互いの空気が良くなったりする。
逆に、今日は一人でいたいときには、
「優しくしてもらったんだから会わなきゃ」ではなく、
「今日は一人でいたい」と素直に言えたりもするわけです。
つまり、
相手が近づいてきた瞬間に、自分の選択肢まで相手に渡さなくて済むようになる。
この違いが大きいと思うんですよね。
最後に|優しさを「優しさのまま」受け取れるとき
人に優しくされると居心地が悪い。
それは、相手に近づかれたときの反応、とも言えますし。
相手の期待。相手の気持ち。お返し。責任。これからの関係。
その時、自分自身がいろんなものを一緒に背負いすぎているのかもしれないですよ。
相手が差し出したものと、自分がそのあとに付け加えたものを、一度分けてみてもいいんですよね。
まずは、そう理解してみることなんだと思います。
それでも反応が止まらないなら、カウンセリングで扱ってみてもいいかもしれない。
理想としては
「相手の好意を感じながら、自分の距離も自分で決められる」
そんなところに戻っていけると、人との関係は、今までより少し楽になるのかもしれませんけどね。
ということで、今日はここまで。
ご質問ありがとうございました〜。
こちらの記事も参考にどうぞ|関連記事
「優しくされると申し訳なくなる」が強い方はこちら。
▶ 人からよくされると申し訳なくなるのはなぜ?|恋愛で“愛される立ち位置”に入れない心理
「自分からは与えられるのに、相手からの好意は受け取れない」という方はこちら。
▶ 与えるけれど受け取らない人の心理を解説する──好意を向けられると距離を取ってしまう理由
「恋愛になると、愛されるほど逃げたくなる」という感覚が強い方はこちら。
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