こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、よく見かけるけど、いまいち正体が分かりにくい言葉。

「愛を受け取りましょう」

これについて、心理学的にできるだけ噛み砕いて整理してみます。

たとえば、こんな感覚がある方は、この記事が役に立つかもしれません。

  • 「愛を受け取るって、結局どういうこと?」
  • 「受け取ってるつもりなのに、なぜか苦しい」
  • 「受け取れないと言われると、責められてる感じがする」
  • 「受け取るって“甘え”や“依存”っぽくて抵抗がある」

結論から言うと、

「愛を受け取る」とは、“甘えること”でも“依存すること”でもありません。

もっと現実的な話で、
「相手の好意を、こちらの心が“反応できる状態”になること、と言い換えると分かりやすいかもしれません。


「愛を受け取る」とはどういうことか

まず、言葉の整理からいきます。

「愛を受け取る」というと、

  • プレゼントをもらう
  • 優しい言葉をかけてもらう
  • 褒めてもらう
  • 大切にされる

こういう「出来事」をイメージする方が多いと思います。

もちろん、それらも大事です。

ただ、ここで一つだけ区別したいのは、

「出来事(事実)」と「受け取り(心理反応)」は別物だということです。

たとえば、相手があなたのために何かをしてくれた。

その出来事は、起きています。

でも、そのときあなたの心が

「嬉しい」「ありがたい」「ああ、私は大切にされてる」

と反応できるかどうかは、別の話なんですね。

なので、この記事ではこう定義しておきます。

愛を受け取る=相手の好意や思いを、こちらの心が“感じ取って反応する”こと

ポイントは「感じ取って反応する」です。

ここが抜けると、

表面上は礼儀正しく感謝を言っていても、心の中では何も受け取れていない、ということが起きます。


ありがとうと言えても、受け取れていないことがある

「え、ありがとうって言ってるなら受け取ってるじゃないですか」

そう思われるかもしれません。

もちろん、感謝は大切です。

ただ、少し意地悪な言い方をすると、

お礼(礼儀)と、受け取り(心理反応)は違います。

たとえば、彼があなたにプレゼントをくれた。

あなたは「ありがとう」と言った。

でも心の中では、

  • 「悪いな…」
  • 「返さなきゃ」
  • 「期待に応えなきゃ」
  • 「重い…」
  • 「私なんかに…」

こんな反応が強いことがあります。

このとき、出来事は受け取っている。

でも、相手の思い(好意)に対しては、心が反応できていない。

つまり、

「事実」は処理しているけれど、「思い」には触れていない

という状態です。

これが続くと、関係の中で不思議な現象が起きます。

相手は「伝わってない」と感じ、

受け取っていない側は「頑張ってるのに、満たされない」と感じやすくなる。

これ、相談室でもよく見かける構図なんです。


なぜ「受け取ってるつもり」でも苦しくなるのか

受け取れない人の多くは、怠けているわけではありません。

むしろ逆で、ちゃんとしている人が多い。

そして、ちゃんとしている人ほど、

「受け取る=甘え」「受け取る=依存」「受け取る=迷惑」

みたいな感覚をどこかで持ってしまうことがあります。

結果として、こうなります。

  • 受け取った瞬間に、罪悪感が出る
  • 受け取ると、相手に借りができる気がする
  • 受け取ると、相手に支配される気がする
  • 受け取ると、自分がダメになる気がする

こうなると、心が自然にブレーキをかけます。

すると表面上はにこやかでも、内側では「受け取らない」が発動してしまう。

ここで大事なのは、

受け取れないのは“意志の弱さ”ではなく、心の防衛反応であることが多い

という点です。


「受け取る=甘え・依存」だと思ってしまう理由

心理学的に見ると、ここはかなりシンプルです。

多くの場合、受け取れない人は

「役割」を強く背負っています。

たとえば、

  • 私が支えなきゃ
  • 私が頑張らなきゃ
  • 私がちゃんとしなきゃ
  • 私が迷惑をかけちゃいけない

この「私が」という意識が強いとき、

受け取ることは、役割の揺れに直結します。

つまり、受け取った瞬間に、心の中でこうなる。

「私は支える側なのに、支えられる側に立ってしまった」

これが苦しい。

だから、受け取ることを避ける。

今の自分の立ち位置や、役割を守るために“受け取らない”んですね。

そして、このタイプの人ほど、

本人の中では「正しさ」になっていることが多いんです。

「私は甘えない」

「人に迷惑をかけない」

「自分のことは自分でやる」

だからこそ、周囲が優しくすればするほど、罪悪感が膨らむ。

結果として、好意から距離を取る。

こういうことが起きるわけです。


愛を受け取るとは「自分を緩めること」ではない

ここ、誤解が多いのでハッキリ言っておきます。

愛を受け取ることは、弱くなることでも、甘えることでもありません。

受け取るとは、

相手の好意を“現実として扱う”ことです。

相手があなたに向けている思いがある。

それを、

「そんなのない」

「気のせいだ」

「私はそんな価値がない」

と否認しない。

つまり、

関係の中に、もう一度戻ること

なんです。

受け取るって、実はわりと現実的で、わりと勇気がいる行為なんですよね。

だって、受け取った瞬間に、

「自分は大切にされている側だ」という位置に立つからです。

その位置は、役割が強い人ほど怖い。

だから、受け取れない。

でも本当は、受け取ることは、あなたを弱くするどころか、

関係を対等にする方向に働くことが多いです。


受け取れている人に起きる、分かりやすい変化

受け取るが少しずつできるようになると、関係の中でこんな変化が出ます。

  • 「申し訳ない」が減り、「嬉しい」が増える
  • 相手の言動を、悪く解釈しにくくなる
  • 「私が頑張らなきゃ」が少し緩む
  • 愛されている感覚が、身体感覚として残るようになる

つまり、

相手の好意に反応できるようになる

これが「愛を受け取る」の一番分かりやすい指標です。


「分かったけど、なぜか怖い」人へ

ここまで読んで、

「理屈は分かった。でも、なぜか怖い」

そう感じた方もいるかもしれません。

それ、かなり自然です。

受け取るって、気持ちの問題というより、

怖さ・罪悪感・役割の問題に触れやすいからです。

そしてそこは、意志でどうこうするより、

自分の中で何が起きているかを理解して整えるほうが早いことが多いんですね。

このあたりの「怖さ」の話は、別記事で詳しく扱います。

よろしければ、こちらも続けてどうぞ。

愛を受け取るのが怖くなるとき、心の中で起きていること─ 役割・罪悪感・「愛される側」に立てない心理

こちらの記事も参考にどうぞ


まとめ|「受け取る」は、“反応する力”

最後に整理します。

愛を受け取るとは、相手の好意や思いを、こちらの心が感じ取って反応すること。

それは、甘えでも依存でもありません。

むしろ、

関係の中に戻り、相手の思いを現実として扱うこと

です。

もしあなたが「受け取れない」側にいるとしても、

それは意志の弱さというより、

役割や罪悪感による防衛反応であることが多い。

責めなくていいです。

ただ、仕組みを知ると、少しずつ変えられる。

今日の話が、そのきっかけになれば幸いです。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたのに、どこか噛み合わない」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 正しさや結論だけを急がず、今どこに立っているのかを一緒に整理する個人セッション(カウンセリング)が人気。 キャリア16年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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