自分らしさ・生き方に悩むとき

「このまま何も残らない」の正体 〜答えは“今までのあなた”にある〜

遠くを眺める女性

「このままでは私の人生に何も残らない」

「私は何も残せていないのではないか」

今日は、30代後半から40代・50代の皆さんのカウンセリングをさせていただいている中で、お聞かせいただくお悩みの根底に流れるこの感覚についてのコラムです。

もちろん、カウンセリングに起こしいただく皆さんだけではなくて、仕事に育児に家事に勤しむ皆さんの中にもふと湧き上がる感覚ではないのかな、と思います。

この不安、そして結論って、おそらく突発的に湧いたものじゃないと思うんです。

たとえば、誰かの期待に応え続けて、家と職場の“穴”を埋め、余白は後回し。

やるべきことはやった。

でも「私がやりたかったこと」はメモの片隅で寝ている。

そんなときに、自己実現を目指して頑張っている同性の姿をSNSで見るたびに、心がざわつく。

そんな実感をお持ちの方も少なくないんじゃないでしょうか?

「このままでは何も残らないかもしれない」

その不安は、ある意味自分自身への疑いがベースになっています。

僕自身、カウンセラーとして思うことは「このままでは何も残らないかもしれない」という不安はある程度小さくすることはできるので、その上で未来のことを考えてみるのも、一つの方法かな、と思います。

ということで、今日はそのあなた「将来への不安」と、そんなときにできることを少し丁寧に見にいきます。

結論だけ言えば、多くの場合、“あなたのここまでの歩み”の中に、すでに残っているものと、置いてきたものが静かに並んでいます。

そこを見直すと、今の不安は“自分自身の今後を見つめ直すヒント”に変わることも少なくないんですよね。


将来不安は”プロセスの記憶”を伴うもの

「このままでは何も残らないのではないか」

その不安は“あなたの人生の価値”によって生じているものではなく、あなたの“プロセスの記憶”から生じています。

つまり、あなたがあなたの今までをどう捉えているか、ということなのです。

もちろん自分の人生をどう解釈するかなんて個人の自由です。

僕も「こう思うべき」といいたいわけじゃありませんよ。

ただ、明らかに「自分の人生の価値」を見失った捉え方をしていれば、それが未来にも投影されてしまい、同じことが続いてしまうという、未確定な未来への不安に踊らされてしまいます。

不安は“重なる”と強化される

そもそも漠然とした将来不安は、複数の要素が重なるときに影響力が大きくなります。

多くの場合、「お金」「ケア」「つながり」の3つの要素が混じり合うと強力な将来不安になると考えられますね。

「将来不安」は“お金×介護×孤立”の複合体(経済×環境×心理)

資産形成・老後・健康・親介護リスクへの不安が重なるほど、“このまま何も残らない”という言語化になりやすいようです。

生命保険文化センターやシンクタンクの意識調査でも、暮らし・老後資金・物価への不安が強い傾向が確認されます(女性で顕著)。

不安が強いと短期安全志向が増し、自己実現投資(学び/副業/転身)が後回しになる、とも言われています。

お金に対する不安

将来の不安を刺激するものに、お金という要素がありますね。

ただこれ、「今、お金が足りているかどうか」より、「その流れが見えているか」が安心を左右するんです。

企業や団体に対する信頼も同じでしょ?使途不明な流れがあるだけで不穏な感じがしませんか?

自分自身もそれと同じなんです。

収入の先行き、物価、教育費、住宅、老後資金…。

その流れが見えないと「このままでは何も残らないかもしれない」という思いが強まっていきますね。

ケア(育児・親介護)に対する不安

いわゆるケア(育児・介護)の不安も将来の不安を刺激しますよね。

育児なら、今目の前の不安、小1の壁の不安、兄弟が増えたときの送迎・病児対応の体制、塾・習い事の費用弾力。

育児中に、パートナーとの不和が勃発するというのはわかりやすいケースで、パートナーの転勤可能性や単身赴任のシナリオだってありえるかもしれない。

いわば「どこまでを家庭で担い、どこからを外部に委ねるのか」の線引きがつかないまま時間だけが進む焦りもあるでしょう。

また、親介護の“兆し”にまつわる不安も大きな要素ですよね。

「親が最近よく物をなくす」「薬の飲み忘れが増えた」。

それが“加齢”なのか“サイン”なのか判断できない不安。

遠方の親の体調が「LINEの既読」でしか読めない距離感。

また、ダブルケア(育児×介護)の不安もありますね。

たとえば、保育園と病院、参観日と通院、運動会とリハビリ・・・。カレンダーの日程が重なるたびに、誰かを“諦めさせる”選択を迫られる罪悪感を感じることもあるでしょう。

仕事をお持ちの方は、さらに時短や急な休みが続き、チームに迷惑をかけている自責感も出てくることも。

それによって「重要アサインから外れるかもしれない恐れ」を感じたり・・・。

「働ける私」と「家族を支える私」が綱引きする中で、どちらの私も納得していない苦さ。

これが続くと、どうしても「このままでは何も残らないかもしれない」って感じやすくなります。

ただ、この時点でもう心は悲鳴を上げている、このままでは戦えないって思う自分もいるんじゃないでしょうか?

心理の不安(忍耐女子/深読みさんに出やすいパターン)

忍耐女子さんや深読みさんは「私が頑張れば丸く収まる」という観念が強く、助けを求めるのが“わがまま”に感じられる人が少なくないんです。

また、先回りシミュレーションが得意な忍耐女子さんや深読みさんは、最悪ケースまで一気に飛振ことが多いんです。

だから、「いま」の余白・余裕が消える。

「良い”ケア”」を理想化して自分を採点し続け、及第点を永遠に与えない自分を責め続ける方もいるかも知れない。。

さらに言えば、パートナーとの関係の不安や、親とのコミュニケーションの問題。

パートナーに頼れない問題は大きいですし。

他にも、親からの「迷惑をかけたくない」という言葉に、ではどうすればいいのか聞けない後ろめたさ。

忙しい毎日で子どもに「待たせた」その一瞬が、その日はずっと胸に残ってしまう人もいるでしょうし。

そう感じるひとほど、「何も残せていない、できていない」と感じがち。

そこで、先行きの不安を強烈に強化しているのはパートナーとの関係、ケアの多さもありますけど、なんといっても「孤立(つながりの不足)」でしょうね。

忙しい人ほど、つながりは勝手に細ります。

弱ったときに連絡できる人が思い浮かばない状態は、不安を倍増させる要素。

辛くて握ったスマホ、友達のLineに「ちょっと話聞いて」の一言が送れないのは、あなたがプライドが高いのではなく「なんとか一人でこの状況を切り抜けよう」とする意志の現れではないでしょうか。

なぜ、人は「何も残せていない」と思うようになるのか

では、ここで心のしくみも少しだけ解説します。

多く「このままでは何も残せないのではないか」という不安を抱える多くの方が「完璧待ち」に陥ることが多いんです。

要は、確実性が見えないと動けない。あるいは“白黒思考”。

やるかやらないか、できるかできないかの世界です。

それはまるで投資するなら元本保証じゃないと、という確実性を求めるような意識とも言えるでしょうね(元本保証を求める気持ちが悪いという意味じゃありませんよ!)

ここで重要なポイントは、「やるかやらないかの選択肢しか無くなってしまうこと」であり、「気持ちのグラデーション」が消えることです。

本来は柔軟に受け止められる情報、できごとも、グラデーションが消えると「いいか悪いか」だけでジャッジしてしまうのです。

そこへSNSの「うまくいっている誰か」との比較が加わると、「私にはできない」「私は行動できていない」と、今の自分を否定する材料が揃ってしまう。

このとき、人は「失敗できない」と感じます。

失敗したら「何も残せていないことと同じ」と思いますからね。

・・・ここで、正直な僕の本音を話すと

「んなもん、どっかの他人の人生と自分の人生比べてどーします?」

なんですけど、不安に煽られるとそうはいかなくなるんですよね〜。

さらに「私は何もできていない、動けていない」と感じるようになる、といいますか。

その気持ちは痛いほどわかりますよ。

「このまま何も残せない」の背景にある”自己存在感”の揺れ

このような心理的背景には、「役に立てていない私は価値がない」という自己存在感の揺れがあります。

ただ、自己存在感は“結果の大きさ”で持つものではない、という性質があります。

だから、いくらキラキラした自分になろうとしたとて、そもそも完璧待ちで「役に立てていない自分」という概念を持っている以上、成功したとて喜べない、目標が天井知らずになるという、いわば「完璧主義の罠」が待っていることが多いのです。

このあたりに、めちゃくちゃ頑張って副業や起業などにエネルギーを投資しても、結果辛くなり「何も残せていない感」を抱える人の心理の罠がある、と僕は見ていますよ。

このとき、自分の人生のプロセスの価値を見いだせるか、というと、なかなか難しいのではないでしょうか。

ということで、僕というカウンセラーは、「大丈夫ですから、一度自分を少しだけ振り返って、整えましょう」とお伝えするわけでございます。

そう、大丈夫なんです。

あなたはまだ何も失っていないし、あなたが成し遂げてきた過去も何も変わっていないのです。


「このまま何も残らない」を手放すためにできること

さて、ここからは「このままでは何も残らない」という思いを手放して、もう一度自分らしく前を向いて軽やかに生きるヒントをお伝えしたいんですけどね。

まず前提として、僕は心理カウンセラーで、お金のプロではないですし、教育や介護のプロでもありません。(一応、金融機関に12年勤務しておりましたけど、教員免許も持っていますので、それなりに話は理解できますけどね。)

なので、お金、教育、介護に関しての専門的なアドバイスはその筋のプロの力をお借りになることをおすすめします。

僕がお支えできるのは「あなたの存在感」なのです。

でもこれ、すべての問題の根っこにある重要な要素だと思いませんか?

「このまま何も残らない」という感覚は、あなたがあなたを見失っているときに生じます。

未来に何を思い描くかの前に、あなたがあなたであることを思い出し、評価し、肯定的に感じ、自分であることをもう一度感じること。

それをいかに無理なく行っていくかがポイントです。

基本的に「自分がこの先何を残せるか」って、まだ決まっていないことです。

しかし、「何も残らない」という前提で行動すると、真っ先に失うものが自分の存在意義なんです。

でもそんなこと、有り得てたまるか?って思いませんか?

あなたは今まで、どんな思いでキャリアを積み、家族を愛し、親のことを想い、うまくできない自分に無力感を抱いてきたのでしょう?

その向こう側に、どんな自分が見えますか?

どんな自分を感じるでしょうか?

何よりも先に取り戻すべきは、そこだと僕は思っています。

このテキストを読んでいる皆さんは、ぜひ想像していただきたい。

あなたは今まで何を行い、何を思って行動してきたかを、です。そこにあるのが本当のあなたであり、今までの、そして今のあなたではないでしょうか?

そこに気づきさえすれば「残せない」のではなく、「何を残したいか」が明確になるんです。

だから、未来に向かって具体的な行動ができるようになる。

このあたりのモチベーションの問題は精神論で語られる場合もあるんでしょうけど、僕はそう見ておりません。

少なくとも僕はそんな想いで、そしてそのまなざしで、クライエント様と向き合わせていただいていますよ。

心細さが強い時は、一人で抱え込まなくて大丈夫です。

僕のカウンセリングでは、あなたがあなたであることを大切にできるようなプロセスをいつも伴奏させてもらっています。

なにより、あなたの中に、すでに手がかりはありますから、それを一緒に見つけていきましょう。

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まとめ:今の不安は“無価値の証明”ではなく、“歩き方の記録”

「このままでは何も残らない」と感じたあなたは、何もしてこなかった人ではないんですよ、きっと。

むしろ、ちゃんとやってきた。

誰かを支え、穴を埋め、誠実に歩いてきた人。

だからこそ、残ったものと残らなかったものが分かれて見えるだけなのでしょう。

残らなかった側は、あなたが怠けたからではなく、今の”自分自身への丁寧な向き合い方”と”それにフィットした人生設計”が必要なだけ。

それで十分、動き出すことはできるんです。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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