「浮気や離婚問題が起きた後の夫に、どんな言葉をかけたらいいのか分からない」
「夫が『どうせ俺なんて』と口にするたび、どう反応すればいいのか迷う」
夫婦関係を修復したいと願っていても、相手の心にどう寄り添えばいいのか悩んでしまう方は多いものです。
今回は実際に寄せられたご質問をもとに、夫の心理と向き合い方のヒントを解説します。
Index
読者からのご質問
浅野さんへの質問です。
最近の浅野さんのブログを読んで、自分に向けて発信してくださってるんじゃないかと思うくらい、気付くことがたくさんあります。
私は、夫と離婚問題に発展するようなケンカ中です。
ケンカに至るまでの約1年、主人が一生懸命私の心に寄り添って、優しく接してくれていました。けれど、私はその主人にどっぷり依存して、今私が抱えてる不安を、全部主人になんとかしてもらおうと思ってたんじゃないかと思います。
「あなたが不安にさせたんだから、あなたがこの不安を取り除いてよ」くらいに思っていました。
でもきっと、不安は私が作り出してるものだから、主人にいくら優しくされたって、何されたって、自分がなくそうとしないと、不安はなくならないものだったんですよね?
だからいつまで経ってもずっと不安で、それを「俺のせいだから」って受け止めてきた主人も、いっぱいいっぱいになってしまった・・・。
そう理解できました。
ただ、主人は問題が発覚してから「どうせ俺なんて」って言葉、よく言ってたんですが(冗談半分な言い方ですけど・・)、最近はその言葉をもっと聞くようになって。
当然ですけど主人も心が疲れてるだろうから、今は主人のペースをちょっと待とうかなって思ってます。
でもそんなことを言う主人に、私はなんて言ってあげたらいいんでしょうか。
毎回悩んでしまいます。
多分、私、元が自立女子。すぐに答えが欲しくなってしまうのですけどね・・・。
ネタ募集ネーム:Yさん(一部編集しています)
『どうせ俺なんて』と言う夫の心理
浮気や問題行動の後、夫がよく口にするのが「どうせ俺なんて」という言葉です。
これは単なる開き直りではなく、いくつかの心理が隠れています。
罪悪感と自信喪失
浮気や夫婦喧嘩の後、夫は強い罪悪感を抱えやすくなります。
「自分は夫として失格だ」「役に立てていない」という思いが積み重なると、自分を卑下するような言葉が出てしまうのです。
役に立ちたいのにできない苦しさ
多くの男性にとって「家族の役に立つこと」は自尊心と直結しています。
それが叶わない状況に陥ると、無力感を隠すために「どうせ俺なんて」と言ってしまうのです。これは弱さを隠すための防衛反応ともいえます。
心の疲れのサイン
繰り返し「どうせ俺なんて」と言うとき、夫の心はかなり疲れています。
改善の努力をしたい気持ちがあっても、自分を責める思考にとらわれすぎて動けない状態ともいえるでしょう。
「どうせ俺なんて」という言葉に含まれる二つの心理
さて、「どうせ俺なんて」という言葉は、一見すると投げやりで諦めのようにも聞こえますよね。
けれど、その裏にはまぁ葛藤があるというか、大きく二つの心理が潜んでいることが少なくないんです。
1. 自罰としての「どうせ俺なんて」
まず一つは「自罰的な感情」です。
これは「自分が悪い」「自分のせいで相手を傷つけた」という強い自己否定が背景にあります。
例えば、過去の浮気や失敗に罪悪感を抱えていると、「自分は愛されるに値しない」「一緒にいると迷惑をかけるだけ」という思考に陥りやすくなります。
そうすると、相手から責められていなくても自分で自分を責めてしまい、結果的に「どうせ俺なんて」という言葉が口をついて出てくるのです。
この「自罰」は、ある意味で相手からの批判を先取りする防衛でもあります。
「自分で自分を責めておけば、これ以上相手に責められなくて済む」という心理的な安全策でもあるのです。
2. パートナーに救われたい気持ち
もう一つは、実はとても人間らしい「救われたい欲求」です。
「どうせ俺なんて」という言葉を投げかけるとき、心の奥では「そんなことないよ」「あなたは大事な人だよ」と言ってもらいたい気持ちが隠れていることがあります。
これは確かに依存的な欲求ですけど、「愛されたい」「存在を認められたい」という基本的な欲求でもあるのです。
ただ、気持ちを言葉にするのが下手な男性ほど、この気持ちをストレートに言えず、ネガティブな表現として出てしまうんですね。
また、自分が愛されたいという気持ちを持っているのだと素直に認められる男性って少ないんですね。
「愛されたい」と思っても、すぐ「いやいや、自分がしっかりしていれば愛されるはずだし」と考えてしまう。
ただ、そもそも愛されるとは、無条件で自分という存在が誰かの愛に包まれている、ということなので、しっかりしているかどうかなんて関係ない話なんですよね。
いわば、しっかりしようとする大人ほど、愛されたいと願いながらも、その愛されることを自ら拒絶している、なんてことも少なくないのです。
なので、愛されたいという欲求が消えず、ここでも悶絶するのですね(その欲求の行き先が浮気、不倫、風俗なんて形で現れているケースもあるとかないとか)。
葛藤が関係を難しくする
この「自罰」と「救われたい」という二つの心理が同時に働くと、当のご本人も苦しくなります。
「自分はダメだ」という思いが強いと、相手の優しい言葉も素直に受け取れず
かえって「本当はそう思っていないんだろう」と疑ってしまう。
一方で、心の奥では「認めてほしい」「大切にしてほしい」と切望している。
と同時に、「大切にしてほしいという気持ちを最も信頼していたであろうパートナーに示せなかったことへの罪の意識や無力感」も無意識レベルでは感じます。
愛されたいと無邪気に求めたとて意味がないけれど、愛されたいという気持ちに蓋をして頑張っても苦しい。
この葛藤が強まると「どうせ俺なんて(どうしようもない)」と感じる人もいるわけです。
自らが望む気持ち(欲求)が満たされるわけでもなく、目の前の関係性が良くなっているわけでもない・・・。
「・・・何のために自分は生きているんだ?」と感じても不思議ではない状態ですね。
だからこそ、表面的に励ましたり否定するだけではなく、背後にあるこの複雑な心情を理解して関わることが、夫婦関係を修復する大事な一歩になります。
夫婦関係を修復するための言葉のヒント
では、このような夫にどんな言葉をかけるのがよいのでしょうか。
正解を探すより「自分の気持ち」を伝える
「どう答えるのが正解か」を探すより、「私はこう感じているよ」と自分の気持ちをシンプルに伝えることが大切です。
「私はまだあなたと一緒にやっていきたい」「不安はあるけれど乗り越えたい」など、自分軸の言葉を選ぶと伝わりやすくなります。
「責める言葉」ではなく「事実の共有」
「どうしてそんなこと言うの?」と責めるのではなく、事実や感情を落ち着いて共有することが修復の鍵です。
「あなたが『どうせ俺なんて』と言うと、私は悲しくなる」と事実+気持ちを伝えるだけでも、夫は自分の存在が意味あるものだと感じやすくなります。
「一緒に考えたい」というスタンス
「あなたの問題だから解決して」と突き放すのではなく、
「一緒に考えていこう」「私も努力するよ」というスタンスを示すと、夫の孤独感は和らぎます。
それが「修復の糸口」になることは少なくありません。
具体的にどう受け止めればいいのか
「どうせ俺なんて・・・」
この言葉を聞いたとき、反射的に「そんなことないよ!」と否定したり、逆に「じゃあどうしたいの?」と問い詰めたりすると、彼の心はさらに揺れやすくなります。
大切なことは、まず「相手の中にある自罰を否定せず、救われたい気持ちを汲み取ること」です。
相手のあり方を変えようとせず、今の相手のあり方を理解する感じ。
その上で関わっていったり、言葉を紡いでいくことがポイントですね。
そうじゃないと、相手をコントロールしたくなって気持に寄り添えなくなりますし、こちらの意図も曖昧にしか伝わらなくなりますから。
・・・え?救われたいのはこっちだわ?ですか?
うーん、それもごもっともですよね(^^;
だから、理想は自分を整えながら相手と関わる、なんですけどね。
まぁそれをお互いにできる関係に持っていけると理想的ですよね、って感じですかね。
具体的には、こんな言葉が参考になります。
- 「そう思ってしまうくらい、あなたもしんどいんだよね」
- 「私は、そんなあなたのことを理解したいと思ってるよ」
- 「役に立つとか立たないとかじゃなく、私は一緒にいたいんだよ(できれば、なぜそう思うのかの理由をつけて)」
「夫としての役割」を問うことや、「夫が私をどう思っているのかを聞き出す」ことはもっと後のプロセスでやりましょう。
「あなた自身が私にとって必要」というメッセージを伝えることで、彼の中の“救われたい気持ち”にある程度応えることができますのでね。
自分を責めすぎないことも修復の一歩
夫婦関係の修復を望む中で、自分を責めすぎてしまう方も多いです。
「私がもっとしっかりしていれば」「私のせいでこうなった」と思い続けると、かえって関係はこじれてしまいます。
大切なのは、相手を支えるだけでなく、自分の心も支えることです。
自分を受け入れることが、パートナーへの信頼や安心感につながり、結果的に関係修復を早めていきます。
こちらの記事も読まれています
まとめ
「どうせ俺なんて」と口にする夫の背景には、罪悪感や無力感、心の疲れがあります。
夫婦関係を修復するために必要なのは「正しい答え」ではなく、自分の気持ちを素直に伝える勇気です。
相手を責めず、自分を犠牲にせず、少しずつ本音を共有していくこと。
その積み重ねが、信頼を取り戻し、再び夫婦としての絆を深めていく道になりますよ。
読むから、整えるへ。
浅野寿和のブログは、考えるだけでなく“関係を変えるための心理学”を届けています。ここから、あなた自身のペースで一歩ずつ整えていきましょう。
誠実に頑張ってきた人のための、“心の整え方”
毎月6万人が訪れる心理ブログ。責任や孤独、関係の悩みなど“大人のこじれたテーマ”を、月・水・金に新作コラムでお届けしています。
👉 一人では解けなかったお悩みを、さまざまな視点から整理する記事です。日常の気づきにお役立てください。
もっと深く知りたい方へ|無料メールマガジン
ブログでは書けない“リアルな話”もお届け。考えるだけでなく、“実生活で整える”ためのヒントを週3回(火・木・土)配信します。あなたのペースで、心の理解を“使える気づき”に変えていきましょう。
- 読者限定:講座先行予約のご案内
- 登録特典:「心を整える7日間ワークブック」無料プレゼント
“大人”の日常に効く心理学講座
「わかっているのに動けない」——そんな時期を抜けるためのオンライン講座。心理を“知る”だけでなく、“活かす”90分。
毎月さまざまなテーマで開催。あなたの優しさを、使える力に整えていきましょう。
頑張ってきたのに、幸せな未来が描けないあなたへ
頑張ってきたのに、まだ心のどこかが動けない。その優しさや誠実さを、“もう一度使えるように”整えるカウンセリング。
あなたと同じように“優しさの使い方”に迷ってきた人が、ここから少しずつ自分を整えてきました。浅野が、あなたの思考と感情の流れを丁寧にトレースしながら、“自分を責めないまま関係を整える”サポートを行っています。


