感情を抑える人は、相手の気持ちがわからなくなる? 〜「不機嫌なのは分かるのに、理由が分からない」すれ違いの心理〜
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
最近、こんな感覚を覚えたことはありませんか。
相手が不機嫌そうなのは分かる。
でも、何に怒っているのかは分からない。
こちらが何かした気もするし、
でも「これだ」と思い当たる理由は見当たらない。
気まずい空気のまま時間だけが流れて、
「聞いたほうがいいのかな」
「でも、余計に悪くなりそうだし」
そんなふうに、言葉を飲み込んでしまう。
夫婦や恋人との関係で、理由の分からない距離を感じたことがある人は、決して少なくないと思います。
実はこのすれ違い、
相手の性格や機嫌の問題というよりも、
もっと手前のところで起きていることが関係している場合があります。
それが、
「感情をマスクする(感情のマスキング)」
という心の反応です。
ここで言う「マスク」とは、感情を感じないようにすること。
あるいは、感じているけれど気づかないふりをすること。
怒り、寂しさ、不安…。
そうした感情を長いあいだ抑えていると、
自分の中で起きていることが、だんだん分からなくなっていきます。
そして皮肉なことに、
自分の感情が分からなくなるほど、相手の感情も見えなくなっていく。
そこで今日は、感情を抑えてきた人ほど陥りやすい、関係のすれ違いのパターンについて、
僕のサイトではおなじみの、
「深読みさん」「忍耐女子」
という2つの視点から、整理してみたいと思います。
Index
感情を抑えてきた人に起きやすい、静かなすれ違い
ここからは、感情をマスクしてきた人に起きやすい、
代表的なすれ違いのパターンを見ていきます。
タイプは違って見えても、
どちらも「感じないことで関係を守ってきた人」に起きやすい反応です。
相手の気持ちを「考えすぎてしまう」深読みさんのケース
深読みさんは、相手の気持ちを一生懸命に読み取ろうとします。
ちょっとしたLINEの返事、声のトーン、表情の変化。
小さな違和感も見逃しません。
でもその深読みは、
自分の感情をマスクしてきた結果として生まれている場合があります。
たとえば、自分の中の「怒り」や「寂しさ」を抑え込んでいると、
相手の怒りや寂しさも感覚としては掴みにくくなります。
その代わりに、「相手はこう思っているはず」と頭で分析するようになる。
結果として、
相手の感情を“感じて理解する”ことができず、誤解だけが積み重なっていきます。
つまり、深読みさんの誤解は、
感情を感じる力が弱まっているサインとも言えるんですね。
感情を我慢し続けた結果、分からなくなる忍耐女子のケース
一方で、忍耐女子さんは、感情を抑えて耐えることにとても長けています。
寂しい、悲しい、不安・・・
本当はそう感じているのに、
「私が弱音を言っちゃダメ」と自分に言い聞かせてきた。
ところが、
そうやって感情を抑え続けていると、
相手の「寂しい」「もっと一緒にいたい」という気持ちも、だんだん理解できなくなっていきます。
「そんな小さなことで弱音を言うなんて」
「私はもっと我慢してるのに」
そんなふうに、相手の感情を無意識に切り捨ててしまうこともあります。
結果として、相手は、
「この人は全然わかってくれない」と感じ、少しずつ距離を取るようになる。
忍耐という美徳が、逆に親密な関係を壊してしまう。
これが、忍耐女子さんの抱えやすい矛盾なんです。
すれ違いの正体は「感情がマスクされたまま」関係を見ていること
ここまでの話を、いったん整理してみましょう。
- 自分の感情を抑えるほど、相手の感情も感じ取りにくくなる
- その結果、「わかってもらえない」という不満が双方に溜まっていく
つまり、
マスクされた感情そのものが、人間関係のフィルターになってしまうのです。
このフィルターを通して見ると、
相手の言葉や態度は、どうしても少しねじれた形で伝わってしまいます。
感情を取り戻す小さなステップ
じゃ、このようなケースではどうすればいいのか?という話なんですけど。
マスキングされた感情があるから引き起こす問題なのであれば、
「感情を取り戻すこと」が求められる、ということなんです。
ただし、そもそもマスキングされた感情って
「マスキングしたほうがリスクが少ない」と感じている可能性も少なくないんですよね。
自分の感情にマスキングするということは、
「感じたくない感情や、感じていると耐え難いと感じるなにかがあった」
という事情があったというケースが多いんです。
なので、
理屈通り簡単に感情を取り戻すことができない場合も少なくない。
なので、「とにかく感情を取り戻せばいい」と考えるよりも、
もっと丁寧に、慎重に取り組むべき課題だと僕は思っていますよ。
ちなみに、僕のオススメはこんなステップになります。
-
感情に名前をつける
日々感じる感情に名前をつけて丁寧に見ていきます。たとえば、「ちょっとイラっとしてる」「少し寂しい」など。これくらい軽い言葉でOKです。
-
安心できる相手に伝える
たとえば「今日ちょっとさみしいな」と思うなら、信頼できて安心できる人に伝えてみる。「今日は休みたいな」くらいでもいいですね。とにかく人に言ってみること自体が大切。そういう意味でのカウンセリングの効果は大きいですよ。
-
「もし自分がマスキングしてきた感情が理解できるとしたら?」と考えてみる
もし、自分が抑圧し隠してきた感情を取り戻し、それを使って大切な人(パートナーや家族など)のきもちが理解できるようになったとしたら?と考えてみることです。
このあたりの動機の作り方次第で、取り組む意欲も変わってきますし、未来の自分像もイメージしやすくなりますよね。
これを続けると、「感情を感じる力」と「相手の気持ちを理解する力」が少しずつ戻ってきます。
「深読みさん・忍耐女子さん」の奥にある優しさ
最後に大切なことをひとつ。
深読みさんも忍耐女子も、もともとは優しい人なんです。
相手の気持ちを害さないように、自分の感情を抑えてきた。
その優しさが結果的に「感情のマスク」となって、関係のすれ違いを生んでいるだけ。
だからこそ、感情を取り戻すことは「自分勝手になる」ことではありません。
むしろ、相手の気持ちを理解できる自分を取り戻すことなんです。
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まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
今回お伝えしてきたのは、
- 感情を抑えてきた人ほど、相手の気持ちが見えにくくなること
- その結果、関係の中で「わかってもらえない」というズレが生まれやすくなること
という、実はちょっと深い話でした。
深読みさんも、忍耐女子さんも、
どちらも関係を壊さないために、感じない選択をしてきた人です。
それは決して弱さではありません。
ただ、そのやり方が長く続くと、
自分の感情だけでなく、大切な人の気持ちまで、少しずつ見えなくなってしまう。
もし今、
「相手が何を考えているのか分からない」
「距離がある気がする」
そんな感覚を抱えているなら、
まずは関係をどうこうする前に、
自分の中で、感じないようにしてきたものがなかったか
少しだけ振り返ってみてもいいのかもしれませんね。
感情を取り戻すことは、急ぐものでも、正しくやるものでもありません。
ほんの小さく、
「今、ちょっと疲れてるな」
「少し寂しいかもしれないな」
そんなふうに気づくだけでも、関係の見え方は、少しずつ変わっていきます。
大切なことは、
相手をわかろうとする前に、
自分の感情と、もう一度つながり直すこと。
そこから見える景色は、きっと、今までとは違うはずです。
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