自分らしさ・生き方に悩むとき

心の学びを深めたら雁字搦めになってしまった?そうならないための“上手な付き合い方”

疑問を感じる女性

浅野さんへの質問

ある一定期間、心理学を学び、やれ投影・シャドー・プロセス…と何でもかんでも自分に矢が刺さるループにはまり、心理学で雁字搦めになりそうなときがあります。(心理学で自分を苦しめてしまう、みたいな?)

もしかしたら、これはきっと私だけではないのでは?と思いこちらに書かせていただきました。

心理学との程よい距離感・良い関係、上手な付き合い方をシェアしていただけたら嬉しいです。

「心の法則に縛られる」経験は珍しくない?

正直、このお気持ち、よくわかる気がします。

心理学に限らず、何か新しい知識を取り入れるときに、その知識が絶対的に正しいと感じてしまうことがあるようですよ。

「これも投影?」「これは私のシャドー?」と、何でもかんでも自分に跳ね返ってくるように感じてしまうことがあるんですよね。

もちろん、皆さんが何を求めて心理に触れているかによって、考え方も異なってくると思うのですが(それも個人の自由なのですが・・・)

こう・・・自分自身の問題解決を意識したり、自己啓発的な意識が強くなると、心の法則が「人生の課題」のように感じてしまうこともあるみたいです。

(ちなみに、僕は、いわば”心理を人生の宿題にする派”ではなく、“心理って便利でありがたいツール”的スタンスでいるのですけどね)。

この点について少し心理的に(笑)見つめてみると、以下のようなことが言えるんですね。

たとえば、こんな心のクセがあります

  • 確証バイアス(Confirmation Bias)
    →新しい知識を「正しい」と前提づけて、それに合致する情報だけを集めてしまう現象です。
  • ハロー効果(Halo Effect)
    →一部の魅力的な要素(「科学的」「心理学的」といったラベル)に引っ張られて、全体が正しいと感じてしまう。
  • 過剰一般化
    →「ある場面では正しい知識」を「どんな場面でも正しい」と無意識に拡大解釈してしまう。
  • 初学者効果
    →学び始めは「これが答えだ」と思いやすい。なぜなら、自分のこれまでの経験を一気に説明してくれるように感じることがあるからですね。
    (これを僕は勝手に“心理学的悟り体験”と呼ぶこともありますけど(笑)心理学に限らず、知らなかった知識を得ると、なんだか悟ったような、うわ!すごい!って思ったことってないですか?)
  • アイデンティティ確立の一環
    →「絶対的に正しい知識」を持つことで、一時的に安心や自己の一貫性を得ようとすることもありますね。

余談ですが、僕の経験をお伝えすると・・・

これは僕のかつての捉え方によるものですが、自分自身の感情などがうまく感じられなかった頃に「やっぱりまだ未熟なんだ」「癒やされていないんだ」と思い詰めた時期がありました。

いわば”自己存在感”が揺らいでいたときは、心の法則を”絶対的に正しいもの”と捉えていた時期があったことは事実なんですね。


「心の法則に縛られた」と感じたとき、どうすればいいか?を考える

これはちょっと専門的な話なんですけど

心理学でいう“統計的に有意”とは、「偶然じゃなさそうだ」というサインであって、必ずしも絶対法則ではないんです。

だから、心理の知識は“ヒント”であって“絶対のルール”ではない、といいますか。

だからこそ、心理学の知識は“法則”というよりは、“大変価値のある一つの知識”として扱うことが重要ではないか、と僕は考えています。

でも、これを知らないと、「心の法則通りに動けない私は(もしくは相手は)おかしい」と考える方もいるのかもしれませんね。

という僕も、実は心理学を学びたての頃は、その知識のインパクトが大きくて「これが絶対に正しい答えだ」と感じていたのです。

ただ、そもそも心理の学びは“自分を裁くため”ではなく“自分と人を理解するため”のもの。

僕自身も、学びを自分探しとごっちゃにしてしまった時期がありましたが、そのあたりのことに気づいたことで、ようやく踏みとどまることができました。

多かれ少なかれ、皆さんの中にも、このような体験をされる方がいるやもしれません。

それ自体が一つのプロセスとも言えるのかもしれませんけども。

もし学びが自分を苦しめる方向に働いているなら、その段階に留まるのではなく、一度立ち止まって「この知識をどう使うか」という視点を取り戻すことが大切だと僕は思いますよ。

僕のスタンスを少しだけお伝えすると

ちなみに、僕が心理を使う理由は、「その人を判断するため」ではありません。

その人の困りごとや成し遂げたいことに対して、どのようにすると有効なアプローチができるか、を考えるために使います。

クライエントさまが「関係を良くしたい」「自分を理解したい」などと思ったときに、その一つのツールとして心理を差し出すことはありますよ。

ただ、それ以上でも以下でもありません。

「この物事の見方をすると楽になる可能性がある」とお伝えすることはあると思いますが、それはあくまで一つのご提案でしかないです。

よって、「この物事の見方が正しいし、それができないのは問題」なんて思わないですよ。

その考えは、その人のあり方を歪めたり、その人が持つ可能性を狭めるだけだと思っています。

今ではその真逆、「その方の本来のあり方や素晴らしさがどのような事情で発揮されていないのか」を見ることが多いような気がします、はい。

自分自身の癒しの意味

一方で、「自分自身をよく知り、整えること」には確かに意味があるとも思っています。

自分が心理の罠にはまっていることで、困難なこと、うまくいかないこととぶつかることもあるでしょうしね。

いい意味で心理を使って自分を見つめ直すことで、自分自身が生きやすくなることもありますし、人を傷つけたり、ミスリードしてしまうリスクを回避することだってできると思います。

心理は、個人の経験や体験だけに基づいた主観的な理論ではありませんから、とても有意義で偉大だと思います。

そういう意味では、誰から心について学ぶか、どのようなスタンスで心のことを扱うか、ってとても大切なことだと思いますよ。

僕の場合、ホントいい先生に出会いましたから、幸運としか言いようがないんですけども。

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まとめ:心理は「答え」でありながら「支え」

心理学は、自分や人を裁くためのものではなく、人を支えたり、世の中を良くしていくものだと僕は考えています。

もし、学びの中で「これもできてない、まだ未熟だ」と自分を責める方向に行っているなら、それは「学びに伴う一時的な揺れ」といえるのかもしれませんね。

心理学は、人を裁くためのルールじゃない。

人を支えるための“ヒント”なんです。

学ぶことで自分を裁くような意識が強まるなら、一度立ち止まっていただいて「他のことでも同じような捉え方をしていないか」とチェックしてみてもいいのかもしれませんね。

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