こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

「信じたいのに、どうしても疑ってしまう」

こういったお声を、カウンセリングではよくうかがいます。

相手の言葉が信じられない。
行動が気になって仕方ない。
信頼しようとするたびに、どこかにブレーキがかかる。

そんな状態ですよね。

ポイントは、相手を信じようとする意志はあるけど、なかなか信じきれない、という部分です。

そもそも信じる気がなければ「相手を疑ってしまうんです」という部分で悩むより、「もう相手のことが信じられなくてしんどいし、関係を続けていっていいか分からない」となる可能性が高いので。

17年この仕事をしていて、一つ気になっていることがあります。

「相手を疑っている」ように見えて、実は別のことが起きているケースが少なくない、ということです。

今日はその話を書いてみたいと思います。


相手が信頼できないから疑っている、という実感

「本当は相手のことを疑いたくない、として。でも、なぜ疑ってしまうんでしょうね?」

そうお聞きすると、多くの方はこう答えになるんです。

相手が信頼できないから。
過去に裏切られた経験があるから。
相手の言動が気になるから。

その実感は本物ですよね。

というか、きっとそういった事実や関係の中での出来事があったのだと思います。

そこを僕も否定したいわけじゃないんですよ。

ただ、「そっか、そりゃ仕方ないですね。疑うだけの理由が揃ってますものね」で終わると、ご相談内容にお答えできているわけじゃない、というか。

そう受け止めることが間違っているとも思っていないんですけど。

ただ、そこから一歩先を、心理学を使って見つめていくと、こんな事も考えられるんですよね


投影バイアス、という仕組み

投影バイアス、という言葉があるんですけどね。

これは、自分の好み、感情、価値観を「他人に投影して認識してしまう」認知バイアスのことです。

平たく言えば、僕たちは相手も自分と同じだと思うことがある、ってことですね。

典型例は「なんでこんなこともできないの?」「それぐらい当然でしょ?」です。

自分ができることが相手もできると思いこんでいる、という話。

この考え方を今回のケースに当てはめるとこんなことが言えます。

相手の気持ちや考えを正確に把握するのが難しくなっている。

だから、自分の感情や価値観をそのまま当てはめて判断しやすくなっている。

「自分がこう思うのだから、相手も同じはず」と考えているつもりがきっとないんでしょう。

相手を信じようとされているんですから。

ただ、相手のことを考えているようで、リファレンスは自分だった、という話は普通に怒ることなんです。

それぐらい、相手を見るって結構大変というか、意識していないとできない場合もあります。

つまり、自分が不安に飲まれているときに、その自分の不安をリファレンスとして相手を見る。

まぁ、当たり前の話をあえて言葉で書いている感は否めませんが・・・。

だから、すれ違いや誤解を生みやすい。

これが投影バイアスの影響です。

特に、期待や不安が強い場面ほど、判断は主観に引っ張られやすくなるんですよね。

つまり、「相手が信頼できない」と感じているとき、実は自分の不安や失望を相手に投影している可能性があるってことなんですね。


本当に起きていること

もう少し深く言うと。

「相手を疑ってしまう」の根っこには、自己信頼の質の問題があることが多い気がします。

自分を信じている、自分はこれでいいんだと思えていると、相手の言動に多少のズレがあっても揺れにくい。

でも、どこかで自分に失望している。

自分への信頼が揺らいでいる。

自分を信じないという防衛スタイルを採用している。

だとすると、その失望が投影として相手に映る可能性は高まりますよね。

だから、「相手もこちらを信じていないんじゃないか」「どうせ裏切られる」という構えが生まれる。

本人の実感としては「相手が信頼できないから疑っている」としか感じられないかもしれません。

でも実は「自分への失望が相手に映っている」ということが起きているんですよね。

これが厄介なんです。

とにかく自分では気づきにくいから。


じゃあどうしたらいいのか

「だから自分を信じなさい」とだけ言いたいわけじゃないんです。

まぁ、信じられたらいいのは事実ですけど、信じ方の問題もあるので。

そもそも、自分が不安なときに自分を信じるって、簡単にできたら苦労しない、という話でもありますし。

一つだけお伝えしたいことがあるとしたら、

「相手を疑ってしまう自分」を責めないでほしい、ということです。

の根っこを見つめてほしいのです。

本当に相手が信頼できないことを積み重ねているなら、信じられないことも妥当なのです。

こちらが信じてあげたい気持ちを持っていても、それでも相手がその信頼に応えないなら、対等な関係にはなりにくい。相手の要因もちゃんと考えたほうがいいでしょうから。

ただ、その疑いが、自分の内面から生じているものの投影であるならば、相手の実像を正しく捉えていないことになる。

今の関係のコンディションを図り間違えている、という可能性もある。

ここは、ちょっと落ち着いて見たほうが得るものが大きそうなシーンです。

そして、もし自分自身の疑いが強いなら、それに気づくこと。

その仕組みに気づくことが、少しずつ変わっていくための入口になると思っています。

ここまで読んで「自分を疑っているからダメなんだ」と思った方がいたとしたら、それは違います。

ダメなのではなく、関係をより良くする入口がそこにある、と考えてみてください。

自分を疑うにも理由があり、ある意味必然性があるんです。

そこを無視して「自分を疑っているからダメ」と考えると、結局さらに自己否定が強まるのでね。


最後に

「相手を信じたいのに疑ってしまう」という感覚は、相手の問題だけじゃないかもしれない。

でも、自分の問題だと責める必要もない。

心の仕組みとして「そういうことが起きている」と知ることはとても重要です。

ただ、自分を疑うモードがオンのときにこの話を読むと、さらに自分を疑ってしまうので、そこは要注意。

じゃ、どないしたらいいねんと思われたら、自分を疑うループにハマっているなら、ぜひカウンセリングに来てください。

まずは落ち着いて現状整理をしていきましょう。

今日の話、どこか引っかかりましたか?

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