恋愛の心理学

別れの後で「私、彼のことが本当に好きだったのかな?」と感じるとき

今日は失恋や別れの後の恋愛・結婚についてのお話です。

例えばこんなケース。

過去に、本気で愛そうと頑張った元彼がいました。

その恋愛は、どこか一方的なもので、元彼は私の思いに気づかず、最後は辛すぎて私から別れることにした。

その後、付き合い始めた彼。もちろん彼から私を好きになってくれた。

その彼と付き合い始めて数ヶ月。

今、「愛されてる」実感はあって喜べるはずなのに、私の気持ちは喜んでいない、というご相談。

彼が私のことを好きなのは分かる。きっとこの人となら長く続きそうだとも思う。

けれど、私の気持ちがついていかない。

彼って頼りないし、彼のダメなところばかり目につくようになる。もちろんそんな自分が嫌でもあるけれど。

私、本当にこの人と付き合いたいのかな、と思うとモヤモヤするんです。

「私なりにパートナーを頑張って愛したけど、別れることになった恋愛(結婚)」のあとで、その恋愛がうまく総括できずに悩んでしまう。

そんなご相談を伺うことも少なくないんですよね。

そこで今日は「私、彼のことが本当に好きだったのかな?」の深層心理についてコラムにしますね。

「私、彼のことが本当に好きだったのかな?」と感じる理由

「私、彼のことが本当に好きなのかな?」と感じる心理として考えられることは

やはり失恋や別れを選択することはとてもつらいことなので、本人の実感以上に痛烈な心理ブロック(防衛的な心理)を作ることがあるという場合が多いです。

いわゆる「もう愛せないし頑張れない。恋愛や結婚と向き合って頑張ることは避けたい気分だ」と感じることが多いんですね。

彼がいないことを求めているわけでもないし、恋愛自体がほしくないわけじゃないけど、以前のように情熱的になれないといいますか。

それぐらい元彼のために本気で頑張った場合、「自分の思いが届かなかった」という事実が、強力に無価値感(自分の愛は価値がなかった、届かなかった、愛する人を幸せにできなかった)を刺激するわけです。

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無価値感や喪失感を抑圧するために必要な「本当に好きだったのかな?」という疑問

もし、あなたが本気で別れた彼を愛した事実があるなら、それは承認され

「私の愛情には価値がある」

と感じていいわけですが、なかなかそうはいかないことも多いものですよね。

むしろ「なんで私はあんなに頑張っていたんだろう」という気持ちになりがちなんです。

だから「元彼」のことがアタマから離れないようになります。

別れたあとしばらくの間、「どうしてこうなったの?」「何が足りなかったの?」「どう愛したら分かってくれたの?」と、ついつい考えてしまう場合も多いようです。

ここで感じているのは無価値感や喪失感のような感情であることが多いんです。

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ただ、こういった気持ち(感情)って、できれば感じていたくないものですよね。特に、自分の気持ちを立て直すためには、できる限り感じたくない感情。

だから、半ば無意識的に「抑圧」されていきます。

不安や悲しみだけでなく、自分の愛情の価値、に対する不安や疑問も、時間をかけて日常を過ごすうちに、徐々にではありますが感じないように抑圧していくわけです。

このプロセスを経て、ものすごくいい気分になるわけではないのですが、「それなりに昔の自分に戻れたかな」と感じるようになっていくものです。

以前のように仕事もできるし、友達とも付き合えるようになり、自分自身が別れから回復している感じがするんですよ。

だから、その後、新しい彼ができて恋愛が始まるとしたら、「そろそろ私も恋愛を楽しめるかな」と彼への期待も感じます。

ですが、実際は、なかなか気持ちが盛り上がらないし、昔のようにときめかないことも少なくないようで。

一言で言えば「この彼でいいの?」「これでいいの?」と感じていたり、「本当に彼のこと好きなの?」と疑問を感じる状態になりやすいんです。

その結果、自分の気持ちが「昔とは違う」という違和感を感じ、その理由を探し始めることが起きるのです。

これが今日の記事のタイトル「私、彼のこと本当に好きだったのかな?」という疑問に繋がる、というわけです。

「彼のこと本当に好きだったのかな?」は「本気で誰かを好きになることが怖い」というサイン

そう考えると、「彼のこと本当に好きだったのかな?」は「本気で誰かを好きになることが怖い」というサインのようなもの、と考えることができそうですよ。

そもそも多くの人が(遊びじゃないなら)「この人と恋愛するなんて絶対無理」って思う人の好意を受け容れることはないと思いませんか?

カウンセリングでお話を伺っていても、「この人は無理、生理的に無理、愛せない」と思う彼の好意を受け容れている方は稀ですよ。

たしかに今、気持ちが持ち上がっていないとしても、それなりに彼の良さを感じているから、恋愛となっている場合が多いんです。

しかし、実際は、彼との関係喜べないし、積極的に愛する気持ちを感じられないんですよね。

そんな自分に対しても、次第に疑問を感じ始める。

すると、自分への疑いが投影となって、次第に彼のことを疑うようにもなるんです。

ただ、意識としては彼を疑っていますから、「彼の頼りないところ、めんどくさいところ」が目についたり、関わる中で「気持ちがすれ違う」場面ばかり意識していくことになるんです。

そんな経験をすると、どうしても恋愛自体に対してあまり良いイメージを持てなくなったり、誰かを好きになろうとしてもなかなか沿う感じきれなくなってしまうもの。

このとき、「彼のことが好きじゃないのかも?」ではなく、「もう恋愛のために頑張れない、頑張りたくない」と感じている、という可能性は否定できないんですよね。

もちろんその気持も尊重されるべきこと、と僕は思うんですけどね。

つまり、「本気で誰かを好きになることが怖い」というサインのようなもの、と考えることができそうですよ。

ただ、「もう一度愛することが怖い」と素直に表現できる方は稀なのです。

自分の中にある愛情は消えていないけど、ちょっと愛し合うことに対して警戒心を抱いている状態、とも言えそうです。

本気で向き合った恋愛のあとで感じるダークストーリー

実は、自分なりに本気で向き合ったけれどうまくいかなかった、その後の感覚って、一つの挫折状態と似ているんです。

僕がいつもお伝えしている「挫折」とは、「誰とも心がつながっていない状態で起きた限界・失敗」を意味します。

つまり、別れに至った過去の恋愛の中で起きていた「自分の心の動き」そのものが、元彼以外に誰ともつながっていない状態で、「元彼にだけ自分の気持ちが届けば(わかってもらえれば)、それでいい」と感じていた可能性が高いんです。

どこか、どれだけ元彼に気持ちが届かなくても、元彼を愛しぬくというミッションは自分ひとりで完遂するべきだ、と考えていたのかもしれません。

いわば自立の状態ですね。

他の誰かに「恋愛がうまくいっていない事実」を知られることを恥にしていた可能性があるんです。

だから、自分で「占いもいった」「さまざまな恋愛心理やテクニックを学んできた」という女性のお話、たくさんうかがっています。それこそ必死になって。

もちろんその学びは尊いものですよね。

ただ、恋愛について「学ぶこと」は素晴らしいことですが、「誰かと心がつながった」ということではないですから、自立状態は変わっていなかったのかもしれません。

そこで「これだけ学んでも恋愛がうまくいかない」と感じたとたら、それこそ責められるものは自分(の愛情・存在)となってしまいませんか?

もちろんそれは真実ではなくて、恋愛はそもそも相互作用で成り立つから、いわばお互いさま、なんです。自分自身の愛情やあり方の問題だけではないことも多いものです。

ただ、恋愛のプロセスの中で「誰とも繋がれていない」としたら、「挫折感」に似た感覚とたくさん出会うんですよね。

この感覚を感じているときに、自分の価値を自分で否定する理由と出会うんです。

だから、もう一度昔みたいに本気で愛そうと思っても、「やめておいたほうがいいよ」的な声が心のなかで響く。

つまり「この人だって思って今の彼と付き合う」ことが難しくなるんです。

意識では「この人だって思って付き合いたい」のだけど、自分から彼に積極的に関われなくなってしまうんです。

その結果、今の彼に甘えることも、頼ることも、愛することも、喜ばせることも、難しくなってしまう。

人によっては、全てが「彼のためになっていないこと」のように感じることもあるようですよ。だから、今の彼と別れたくなる気持ちと葛藤しながら付き合い続けている方も実際にいるんです。

それぐらい、以前の恋愛で燃え尽きていて、以前の恋愛で使い果たしたかのような「自分の(愛情の)価値」を取り戻せていないのかもしれません。

そんな私の気持ちを、誰にも表現できないとすれば、もちろん今の彼にも伝えられません。

もちろん伝えられないから、今の彼もあなたの気持ちがよくわからないのです。

たとえ「実は昔、すごい失恋をしてね」と彼に話せたとしても、彼は今のあなたのすばらしさを見ていますから、今の私の気分に共感してくれるわけではないことも多いんですよ。

むしろ男前な彼なら、「オレ、頑張るわ」「幸せにするよ」と、また積極的に関わってくるかもしれない。

・・・。

これ、愛することで燃え尽きた人にとって、かなりのダークストーリーになってしまうのではないでしょうか?

言い換えれば、今の彼がいい人であればあるほど、辛くなると思いません?

だから、更に彼の欠点や不満点に意識が向かざるを得ないのかもしれない。

これが意味するものは、確かに「引き下げの心理(相手の価値を下げて、自分の気持ちを安定させる)」ではあるのですが、よくよく見つめると「ごめん、私、あなたのことを本気で愛する自信がない」と感じるほど、「本当は愛することを諦めていなかった自分」のその後の姿、なんですよね。

放っておくと、更にこんなストーリーを描き出す(かも)

ちなみにこれは余計な話かもしれませんが・・・。

このダークストーリーを放っておくと、更にこんなストーリーを描き出すこともあります。

最悪なのは、自分が「この人だって思いたいけど思えない」けれど、今の彼がめっちゃ「いい人」だった場合です。

いい人なのに、もし別れることになったら。

私って・・・とか、もう立ち直れない、と感じることにもつながるんですよね。

だから、まるで燃え尽きたような別れのあとで、どれだけ「いい人」「素敵な彼」がいても、自分から選べなくなる人もいます。

その結果、男性に問題があったり、冷淡な男性を選んだり、絶対に心を開かない男性に安心したり、恋人や奥さんがいる男性を選んだり、自分自身が別れや離婚を繰り返したり。

逆に、完璧な男性を待ちづづけてしまい、時間を使いすぎてしまったり。

「本来は彼を喜ばせたいと願ったその気持ちが、痛みに変わる」

そんな状態になるんです。

・・・この話は不安をあおりたくて書いているわけではなくて、それほどまでに「頑張ったけど愛せなかった」という挫折に似た痛みは、さまざまな影響力をもつわけで、僕自身も丁寧に癒しのサポートをさせていただくように心がけているんです。

「私、彼のことが本当に好きだったのかな?」の癒やしを考える

さて、もしあなたが「私、彼のことが本当に好きだったのかな?」と感じた時の対処法について考えていきましょう。

「私、彼のことが本当に好きになのかな?」
「この人だって思って恋愛したいけどそう思えない」

これは、過去の恋愛の痛みやダメージが感情が未だ開放されていないときに起こります。

特に、過去の恋愛のダメージ(本気だった気持ち)に共感されていないときによく起こるのです。

「誰も、私があれだけ昔の恋愛にこだわって、頑張って愛しぬこうとした理由を知らない。」

「私が昔の彼を愛そうとした気持ちに寄り添ってくれる人はいなくて、『これから幸せになって』という応援しかやってこない。」

それだけ「昔の彼が好きだった」という私の気持ち。

その気持ちが、今はもう自分で価値あるものだとは判断できないし、支えきれない。

だから、誰かに「それでよかったんだよ」「それだけ好きだったし諦めたくなかった気持ちは分かる」と、支えてもらいたいものかもしれません。

自分では「何がダメだったの?」と思っても、そばにいる友人や家族には「その気持には十分の価値がある」と見つめていてほしいと思いません?

もちろん、それこそ別れた昔の彼に受け止めてほしかったこと、分かってほしかったことだと思うんですけどね。

しかし、なかなか「自分の中に眠る本気の愛情」ってわからないものですよ。

失恋してつらい時期を過ごせば、周囲の人は優しいから「大丈夫?」「またいい人いるよ」と励ましてくれる。

その周囲の人の気持ちもありがたいから、『今、悲鳴を上げているのは「私の愛情」なんだ』となかなか言い出せないことも多いのかもしれませんね。

自分の愛情の価値を認める意識を持とう

だから、今からでも遅くはないので、「私の愛情の価値」をどれだけ取り戻すかを考えてみるといいんですよ。

まずは

「どれだけ私の愛情(昔の彼に与えたかった気持ち)にあなたの承認や優しさを向けるか」

という部分から始めてみてもいいと思うんです。

自分を認める意識を持つことで、あなたの感情は大きく解放に向かいます。

もう抱えておけない痛みも、諦めてしまいたくなる気持ちも、丁寧に解放していけば、もう一度「本気で好きになれる私」に立ち戻っていけます。

誰でもいい、信頼できる人にちゃんと話すことなんです。

「あなたがずっと大切にしてきた、そして分かってほしい、私の気持ち」を。

逆に、いわゆる自立の状態を続けてしまうと「愛情の価値の回復」には時間がかかってしまうかもしれません。

今も変わらず、挫折感を感じやすい自立状態が続いていればなおさらに時間がかかってしまう。

これ以上傷つきはしないですが、回復も遅れてしまうわけです。

「誰にあなたの本気や愛情を見せるか」

その選択次第で、あなたの心の癒やしのプロセスは進むのか、止まるか、が決まっていく感じです。

それもこれも「私がもう一度、この人だって思う恋愛をして、幸せになる目的」のためにですね。

最後に

今日のブログで書きたい内容があまりに感覚的なものが多くて、うまく表現できているとはなかなか思えないんですが、今日はこれで終わりにします。

ただ、僕が常々カウンセラーとして思うことを最後にまとめておきたいと思うんです。

もしあなたが、誰かを本気で愛して、別れが来たとしたら、ものすごい痛みを抱える可能性があると思うんです。

その痛みは痛烈で、ときには生きてる心地がしないこともあるかもしれません。

自分が自分でないような感覚を覚えることもあるかもしれません。

それはきっと癒やされるべき感情なのでしょうね。

ただ、僕はその痛みや癒やされるべき感情だけに興味を持つわけではないんです。

どう癒やすか、はもっと先の話で、何より大切にするべきは

「あなたがどれだけ愛情を持ってその彼と接してきたのか」

という部分だと考えています。

失恋や挫折、別れに至った結果や理由よりも、僕がウンウンうなりながら(心を込めて)感じさせていただく部分は

「あなたがどんな気持ちで、どれだけの思いを込めて、その人を愛したのか」

その事実です。

だから、僕のカウンセリングを受けてくださった皆さんなら、きっと分かっていただけると思うんですけどね。

僕がクライエントさん(あなた)に、こんな声をおかけすることがありましたよね?

「それだけ本気だったんでしょ。それでいいんですよ。何も間違ってません。」

あなたは何をどう愛そうとしたのか。

僕はそこにこそ何よりあなたの価値が眠っているのだと思っています。

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浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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