恋愛の心理学

彼に「ちゃんと向き合えている」とはどういった状況を指すのでしょうか?

浅野さんへの質問

はじめまして。よろしくお願いします

今の彼にちゃんと向き合えていないのではないかという不安があります。
彼とは遠距離恋愛で1年に1回、まとまった休みに数週間会えるという状況です。
毎日連絡はとり、手紙やちょっとしたプレゼントをたまに贈りあっています。

彼は家族に紹介してくれたり、行きたいと言ったところに連れて行ってくれたり、とても大切にしてくれるのが伝わってきます。手を繋いでくれたり、言葉での愛情表現もしてくれます。

ただ彼に100%向き合えてるのか疑問です。遠距離のせい、というのもあるとは思いますが。
理由としては、元彼に会うと気分が揺さぶられる自分がいることや、彼といるときに全くイライラしない、と言った部分が挙げられます。
私は元彼とお付き合いしている時は気持ちが乱高下しており、ものすごく楽しいか、ものすごくイライラしている、という感じでした。しかし今はとにかく気持ちが一定で落ち着いている、と言えば聞こえはいいですが、自分がこんな人だったのか不思議に思ったり、元彼のことを忘れていないから向き合えずにただ落ち着いてるのではないかと心配になったりしています。

ちゃんと向き合えている、とはどういった状況を指すのでしょうか?
もちろん元彼のことは大好きでしたが、今は今の彼に向き合いたいし、もちろん大好きだと思っています。ただ簡単に人のことを大好きだと思いすぎではないか?等も思ってしまいます。

また、彼と会えていない時期に元彼と関係を持ってしまったことがあり、罪悪感でいっぱいですし、絶対にバレたくないと思っています。不誠実だから別れた方が彼のためなのかもしれませんが別れたくはありません。今はものすごく反省し、彼と人生を歩みたいと思っています。

ネタ募集ネーム:タピさん

タピさん、はじめまして。ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m

そしてお待たせしました。今日はあなたのご質問にお答えしますね。

今回のご質問は「今の彼にちゃんと向き合えている、とはどういった状況を指すのでしょうか?」ですね。

では、ご質問にお答えしていきます。よろしければお付き合いください。

「パートナーと向き合う」とはどういうことか

さて、ここでの「パートナーと向き合う」という言葉の意味は「自分自身がパートナーと向き合う意欲を持つこと」と「信頼して関わること」と言い換えられます。

自分からパートナーのことを愛するという意欲と、パートナーが向けてくれている気持ちを受け止める、といったイメージでしょうか。

相手の期待に応えるとか、相手のために犠牲的に尽くす(無理して頑張る)ということではないんですよ。

ちょっと難しいニュアンスの話になるのですが、「パートナーの気持ちを感じ取って、それに反応すること」なんです。

この話は、かなり感覚的なモノでもありますので、もう少し詳しく解説しますね。

僕たちは「自分なりの考え方の中でパートナーを理解して、その上で接する」ものですよね。もちろん善意で、ですけども。

例えば、相手に好意や行動を自分なりの解釈で受け止めて相手に感謝したり、自分なりに相手の気持ちを推し量って反応する、なんてことは、日常の中で頻繁に起きることで、いちいち問題にする必要のないことだと僕は考えているところです。

 

具体的には「パートナーがプレゼントをくれたとしたら、その事実に対して嬉しいと感じる」って場合がありますよね。

これが、自分なりの考え方の中でパートナーのことを理解している、という状態だとまずは思ってみてください。

 

ただ、ここで「自分なりにパートナーの気持ちを想像したり、感じ取る」という部分に意識が向くとどうなるでしょうか。

パートナーがプレゼントをくれた事実以上に、「相手がどんな気持ちでプレゼントを選んでくれたのか」といった部分に意識が向き始めるわけですよね。

相手が自分のことを考えてくれた、と感じられることが嬉しい、といった風になっていくわけですよね。もちろんこれも「相手のことが好きだから」という要素があってのことだと思うのですけどね。

 

更にここで「自分の中にあるパートナーに対する信頼(愛情)」をいう要素が加わるとどうなるでしょうか。

「信頼を持って接している相手が自分のことを考えてくれていたんだ」と思うと、どうでしょうか。これはかなりグッと来ますよね。更に深く感謝できたり、相手の気持ちの大きさを感じて嬉しくなるし、愛されているなぁって心から感じ取れるようになりますよね。

このように自分の気持ちと相手との関係性が信頼でつながるために必要な要素が「パートナーと向き合う」という言葉であって、その意味ではないか、と僕は考えています。

よく「人は見たいように物を見る」なんていいますけど、僕たちはどこかで「自分で考え、自分で判断する」ということが癖づいています。それもまた自分を信頼して生きていくために必要な要素ですよね。

ただ、パートナーシップは一人で生きていくという関係のことではありませんよね。

だからこそ「パートナーがどんな気持ちでいるのだろう」とか「どんな目で私を見てくれているのだろう」といった気づきが必要なんです。

これは相手に興味を持つ、相手の様子をしっかり知ろうとする意思によって可能になります。いくら信頼しているパートナーであっても、自分とは違う人間ですからね。相手の様子は見ようと意識しないと見れないもので、そうでないと自分の想像だけで判断してしまうんですよね。

かつ、パートナーと向き合うということは「信頼して関わること」が必要になります。

ここではアカウンタビリティ(自分の感情や選択は自分の責任であるという原則)が重要で「今のパートナーは私が選んだ人」という意識が欠かせません。

よく恋愛ごとでは「縁あって」とか「〇〇のお導きで」といった言葉が使われますし、僕も嫌いじゃありませんよ。よく使いますしね〜。

が、このご縁は「自分の意思で結ぶ(受け入れる)」ものですよね。

自分が相手を見て、信頼して、愛をもって接すると決めたから、今ここにご縁があるわけですよね。

例えば、相手次第な発想や、状況的に仕方なかったからといった事情があったにせよ、選んだのは自分だということになります。

むしろ、自分が選んだという事実を受け止めているからこそ、相手の様子もよく見えるでしょうし、相手の気持ちで感激できることも増えるわけです。

逆に、謙虚さではない意味での「自分は何もしていない」「自分は選んでいない」「自分にはそこまでの価値はないのかも?」といった気持ちでいると、自分から相手を信頼することは難しく、どこか一線引いた感覚が残ったまま(心から繋がれない感じ)になってしまうこともあるんですよね。

これは無価値感や罪悪感の影響だと言えます。

つまり、何かしら自分自身が今のパートナーや二人の関係に向き合えない内面的な事情を抱えていると、向き合うことが難しくなるのです。

だから、「自分なりの考え方の中でパートナーを理解する」といい部分で止まってしまうこともよく起きることです。

いわば、パートナーが自分に向けてくれている気持ちが、想像していた形ではなかったとか、想像以上に強いものだった、なんてケースがそれに当たります。

まぁ、僕たちはどうしても「自分(の都合)で、受け取りやすいように人の気持ちを扱う」ことがあって、この状態にあると向き合うことは難しくなる、ということでもありますよね。

カウンセリングでも「まさか自分がそこまで愛されていたなんて」と、相手を失って初めて気づくといった話を伺う機会も稀ではありませんけど、これもまた「向き合うことができずにいた」ということなのかもしれませんね。

もちろんいいかどうかは別の話ですけれども。

なぜ「パートナーと向き合うこと」が難しいのか

さて、ではどうして「パートナーと向き合うこと」が難しいと感じることがあるのでしょうか。

ここには様々な理由が考えられ、これこそ正解!といった答えがあるわけではありません。

まさにケースバイケース、と言えるでしょう。

例えば、パートナーが全く自分のことを愛してくれない、むしろひどく扱ってくるというケースなら、そりゃなかなか向き合うことが難しいでしょう。こちらが向き合っても、相手が向き合ってくれないのならば、場合によっては、別れを考えることも悪い選択ではないかもしれませんよ。

また、ただ単純に、愛だとか恋だとか、イチャイチャすることが、とんでもなく恥ずかしすぎて苦手で、相手の気持ちを受け止めるだなんてことをしたら恥ずかしすぎて死んでしまいそうだ、なんて場合も、向き合うことは相当に感情的なハードルが高いかもしれません。(実際に恥を感じて死ぬとはないと思うのですが)

ただ、まぁ全般的に言えることがあるとしたら、「失うことを怖れているから向き合えない」という人が多いかな、と僕は感じています。

いわば喪失への怖れ(不安)です。

僕たちは人を愛したいし、喜ばせたいし、相手にも幸せになってもらいたいという気持ちを持っています。

が、その一方で「もし大切な人がいなくなってしまったらどうしよう」という怖れ(不安)も感じやすいのです。

今がこんなに幸せで、最高のパートナーと出会えたと思っているのに、もしこの人を失ってしまったら私はどうなっちゃうのだろう、と考えてしまうのです。

これは万が一「喪失」をむかえたならば、そのとき感じるであろう痛みや辛さを和らげたいとか、そんな事態に備えたいといった気持ちから起きることでしょう。

これは、今までに手痛い失恋や喪失体験を経験した方にとっては、切実な問題です。

もう二度とあんな辛い気持ちになりたくない、と思うから「本気で向き合わないほうがいい」と感じてしまうわけです。

が、これは「自分の愛情や信頼を止める」ということになるので、「愛していないのは私」「相手の気持ちに十分に答えられていないのは私」といった罪悪感・無価値感を感じることになる、という意味で切実な問題なのです。

未だ失っていないパートナーに対する愛を止めることで生じる罪悪感はかなり強烈なので、なぜか未だパートナーを失っていないのに、失ったほうがまだマシだと思えるほどの心苦しさを感じてしまうことにもなるのです。

今、思いつくだけの理由を書いてみましたけど、それ以外にも「パートナーと向き合うことが難しくなる様々な理由」がありますよ。

自分をより良い存在だと思えていないと、相手に悪影響を与えそうで向き合えない。

身体的なコンプレックスや、学歴コンプレックス、家族(家柄)の問題で、パートナーがいくら愛してくれても気後れして向き合えない。

まぁさまざまな怖れがあって向き合うことが難しくなるわけです。

が、先程も書きましたようにどのような事情であっても「今の自分ではパートナーを失ってしまう」という怖れ(不安)が強く感じていると、なかなかパートナーと向き合いきれないことも増えるのではないでしょうか。

 

ご質問への詳しい回答編

では、ここからはタピさんのご質問にもう少し詳しくお答えしますね。

ただ彼に100%向き合えてるのか疑問です。遠距離のせい、というのもあるとは思いますが。
理由としては、元彼に会うと気分が揺さぶられる自分がいることや、彼といるときに全くイライラしない、と言った部分が挙げられます。

私は元彼とお付き合いしている時は気持ちが乱高下しており、ものすごく楽しいか、ものすごくイライラしている、という感じでした。しかし今はとにかく気持ちが一定で落ち着いている、と言えば聞こえはいいですが、自分がこんな人だったのか不思議に思ったり、元彼のことを忘れていないから向き合えずにただ落ち着いてるのではないかと心配になったりしています。

どうやらタピさんにとっての元カレさんは、かなり影響力を持っているようですね。

かつ、タピさんは元カレさんと過ごしているとき、どこか自分らしくいられなかったのかもしれませんね。

だとしたら、今カレさんのことが好きでも、元カレさんに意識が残ってしまうこともありえますし、だから「向き合うってどういうこと?」というご質問を送ってくださったのかなぁ、と僕は想像しています。

なぜ「元カレさんの前で自分らしくいられなかったこと」が、今カレさんに向き合えな理由になるのか、と言えば、人は常に「本当の私だったらこんなことにはならなかったはずなのに」といった後悔を抱えやすいからです。

例えばの話。

もしあなたの内面で(深いレベルで)「私が元カレの前でも動じず、しっかりしていて、相手と向き合えていたならば、こんな結果にはならなかったかもしれないのに」といった後悔、悔しさ、やり残し感があるとしたら、これは「うまく愛せなかった私」に対する否定なんです。

もちろん元カレさんとの間で、きっといろんな事とがお有りになったでしょう。だから、あなたの気持ちが乱高下したり、自分らしい自分でいられなかったこともあったのかもしれませんね。

ただ、事情はどうあれ、僕たちの内面では「ちゃんと愛せなかった」「私らしい私でいられなかった」という思いがあると、どうしても自分を信頼できず、かつ、その自分を「良い自分」とは思えなくなるんです。

いわば、自分を許せなくなるんですね。

なぜ僕がこのように書いているかといえば、タピさんのご質問の中に「もちろん元彼のことは大好きでしたが」と書いてくださっているからなのです。

元カレさんのことも大切に想っていた。

そして今カレさんのことも心から大切にしたい。

それがきっとあなたという人が抱くお気持ちなのでしょうかね。

だとしたら、この状態で、あなた自身の気持ちが安定する今カレさんと出会った、と考えてみてください。

きっとすごく嬉しいし、今カレさんのことを大切に思われるはずです。

が、今カレさんと近づけなくなったり、今までのように心から向き合えなくなってしまう可能性も否定できないと思いませんか?。

それもこれも、あなたが自分を許せていないからです。どうして元カレさんと別れることになったのか、そのあたりちゃんと総括できていますでしょうか。

もし総括できていないならば、その「自分を許す」ための鍵は「元カレさん」にある、と感じやすい状況のようです。

なぜ大好きだった元カレさんとうまくいかなかったのか、私の気持ちが相手に伝わらなかったのか、そういった後悔を取り戻して、「私は私でいいんだ」と思いたいのかもしれませんよ。

それは「今カレさんのために」もです。それぐらい僕たちは好きな人の前でベストな自分でいたいと願うものでしょうから。

そう考えると、元カレさんのことが「大好きだった」という、過去形として書いてくださっているお気持ちに違いはないのだろうと僕は思うのです。

もちろん今カレさんが好き、というお気持ちにも間違いがないのだと思います。

が、どこかで元カレさんとの間でやり残した後悔を取り戻そうとすれば、それが愛かどうかは別にして「元カレさんと関わりたいという欲求を感じる」ものだろう、と僕は推測しています。

ただ、「元カレさんのことも大好きだった」ようですから、実際に元カレさんと会えば、気持ちが昔に戻ったような感じにもなる可能性もあり、ここではなんとも微妙な気分になられるのだと思うのです。

このような状況になると「どちらも上手に愛せていない私」といった感覚を感じやすいんですよ。

だから今カレさんが好きでも、感情的に近づけないし、相手の好意を理解できても心から受け取れない状態ができやすいんです。

ここで感じるのは寂しさや虚しさです。好きな人がいるのに寂しい、虚しい、近づききれない、と感じます。

ただ、この感情は、向き合えない何かしらの事情から生じる二次的な感情だと考えることができそうですね。

だから寂しさや虚しさを埋めようとしても、なかなか埋まらない場合が少なくないと僕は見ています。

むしろ、もう一度ちゃんとパートナーと向き合う自分に立ち戻ることでのみ、この手の感情は手放せるものだろう、ぐらい僕は考えています。

ま、それぐらいタピさんは「ちゃんと向き合いたい人」なんですよね、きっと。

それぐらい「彼を幸せにしたい」と思う人ではないでしょうか?

そのあなたが元カレさんに意識が惹かれているとしたら、なにより切なさをかかえるのはあなたのかもしれませんよね。

さて、僕は「パートナーと向き合う」という言葉の意味は「自分自身がパートナーと向き合う意欲を持つこと」と「信頼して関わること」と言い換えられる、と書きました。

でも、それがうまくできない自分を責めたり疑問視しても、あまり良い結果は導けないかもしれません。

こんなときは自分の真実をちゃんと見て、許しと手放しを進めることです。

繰り返しになりますけど、それぐらいタピさんは「ちゃんと向き合いたい人」なんですよね、きっと。

だから、今カレさんともちゃんと向き合いたいと思っていらっしゃるのですよね?

もしそうであれば、今はまだ元カレさんへの興味を無理やり絶とうとせず、しかし元カレさんのもとに自分を許す鍵を取りに走るのではなく、自分の中で気持ちの整理をしながら「本来の私ってどういう人だっけ?」と思い出せるように、元カレさんとの間で抱えた葛藤や思いを解放されていくといいと思いますよ。

たしかに僕たちは何かしらの内面的な事情でパートナーと向き合うことができずにいると、今のパートナーのことが好きでも信頼しづらい、とか、パートナーの好意や存在を喜べない、といった状況になりやすいんです。

でも、それって「今までに自分が誰かのことを本当に大切に想った(好きだった)」ということの裏返しじゃないですか?とさえ僕は感じることがありますよ。

そうでなければ、後悔もしないし、今までの自分でいられると思うのです。

それぐらい私たちには自尊感情〜誰かの喜びになりたい〜という気持ちがあり、だからこそ「ちゃんと愛せなかった私」「ちゃんと向き合えていない私」のことを許せずにいるわけです。

が、ちゃんと自分の気持ちを(私はあるべきと考えて)ごまかさず、整理を進めていくと、スッキリしますよ。

「そうかー。私は誰のことも傷つけたくないし、ちゃんと愛して喜んでもらいたい人なんだな」と思える日が来るでしょう。

このとき、次のことがきっと理解できるでしょう。

「私とちゃんと向き合えなかった人にも事情があるんだろうな。そして向き合えなかったことも苦しかったのだろうな」

「私とちゃんと向き合おうとしてくれている今のパートナーが、どんな気持ちでいるのだろうか」

これらは自分の内面の葛藤を手放し、罪悪感や無価値感で物事を見なくなり、本来の自分を自分に許すことで実現できますよ。

だから、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか?

「私が元カレと関わっていたときの自分の中で、未だ許せない部分、こだわっている何かがないだろうか?」

僕の見立てでは、タピさんがパートナーに向き合えない人のようには感じておりません。向き合える人が向き合えなくなっているのでは?と感じています。

だからこそ自分自身の理解を進めていかれではどうでしょうか、なんて風に思っております。

 

以上、なにか参考にしていただければ幸いです。

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