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人に頼れない、というお悩み

恋愛・夫婦関係の中で、はもちろん、仕事上の人間関係の中でも
「上手に人に頼れないことで生じる生きづらさ」
という問題があります。
よくお悩みとして伺うのは
「本当は人に頼りたい(頼らないとその先に進めない)けど頼れない」
というケースですね。
例えば、
「自分ひとりで仕事を抱えていては立ち行かないから、同僚や上司に頼りたいのだけれどもどう頼ればいいかわからない。」
「パートナーを当てにして頼りたい(カウンセラーにもパートナーをもっとアテにしてみてと言われた)けれど、頼ったら相手に迷惑になりそうだし、嫌われそうなので頼れない。」
このようなお悩みを解決していくならば
- 「頼り方がわからない」という体験的な要素と
- 「頼るということを禁止している」という感情的な要素
この両面二アプローチしていく必要があると僕は考えるんですね。
また、そもそも人に頼れないということ自体がダメだと思う必要もない、といいますか。
ここ、上手に考えて立ち回ることで「頼るか、頼らないか」を自分で決めることができるようになると僕は考えるのです。
ということで、今日は「人に頼れない」をテーマにコラムにしたいと思います。
よろしければどうぞ。
人に頼れない人の心理 〜「方法がわからない」と「禁止の心理」〜
多く「人に頼れない」とは、「人に頼りたいけど頼れない」というよりは
「人を頼る方法がわからないこと」と
「人を頼りたいという気持ちを禁止していること」によって生じることが多いです。
これ、人に上手に頼れる人からすると「どうしてそんなこと考えるの?」と思えるようなことなのです。
が、人に頼れないという思いを抱えている人にとってはかなり切実なお悩みになることが多いです。
では、もう少し詳しくそれぞれについて解説していきます。
人を頼る方法がわからない
人は、誰かを頼ることによって、いわば「頼り方を学ぶ」といえます。
もちろん頼ったところで相手が助けてくれなければ、それは失敗となるのです。
が、人に頼ることに許可が出ている人の場合は
「どうすりゃ頼れるかな」
と考えるようになるわけです。
よくあるケースとしては、兄弟を見ながら「どうすればうまく親に甘えられるか」を考えていた人、がそれ。
個人的にこれを「ワカメの戦略(サザエさんのね)」と呼んでいたりします(^^;
一方、「人を頼る方法がわからない」という状態は
「困ったとき・辛いときに人を頼れなかった経験」によって生じることが多いといえます。
要は、助けを求めたのに突っぱねられたり、相手にしてもらえなった、という経験ですね。
あとは「よく我慢できたね、いい子だね」なんて風に育てられ、愛される秘訣が我慢することとなっている場合も同じでしょうね。
すると、大人になった今でも
「頼ったら迷惑かも」「頼ると相手に嫌われるし、相手が離れていってしまう」
という怖れを抱くようになることもあるでしょう。
ただ、これは「頼れない」というより
「どう頼っていいか分からない」という状態なのです。
だから、大人になって「人に頼る必要性が出てきた」という場合に、めちゃくちゃ悩むのですよね。
(※手前味噌な話になるかもしれませんが、人に頼れない人がカウンセリングをご利用くださることには大きな意味があったりするのです)
人を頼りたいという気持ちを禁止している
また、「我慢することや、一人で頑張るということで愛される」という価値観を得てきた人であったとしても
「人に頼りたい」という気持ちがなくなるわけじゃありません。
人に頼りたいという依存心は、人間に取ってある意味必要なものでもあるので、なくなることはないのです。
だから、我慢して、一人で頑張ることで(愛されるために)人に頼りたいという気持ちを強く禁止している人が多いのです。
ただ、心の世界には「禁止は欲求を作る」という考え方がありましてですね(^^;
自分の中で禁止した気持ちは、自分の中でどんどん膨れ上がって、本来の大きさよりも巨大になったように感じるものなのです。
※禁止の心理については次のコラムで解説していますので、よろしければご覧ください。

例えば、恋愛や夫婦関係の中で「彼や夫、彼女や妻に自分の気持ちをわかってもらいたい」という気持ちがあったとしてね。
それを素直にコミュニケーションできているなら、あまり辛くはないのかもしれないですよ。
しかし、わかってもらいたい気持ちを禁止して黙っているとしたら・・・。
そう、どんどん苦しくなりますよね。
そして、いつしか「私のことを理解しようとしない相手」に怒りを覚えるようになりつつ、滅茶苦茶疲れる、といいますか(^^;
感情を禁止すると怒りと消耗感を感じやすくなる
この怒りや消耗感は、感情を禁止しているから生じることでもあります。
いわば、感情のアクセルとブレーキを同時に全開にしているから起きる、そんなイメージです。
よって、自分の気持ちの限界が来ると、めちゃくちゃ破壊的な衝動にかられたり、感情が大爆発して相手を責め立てる、なんてことが起きるのです。
が、実際、その状態になってしまうと、更に「愛されない」「相手に嫌われてしまった」「もう頼れない」という思いに駆られるという負のループが待っているのですよね。
「人に頼れない問題」の抜け道は「方法」と「自由な選択」

さて、ここからは「人に頼れない問題」の抜け道について考えていきたいと思います。
この問題を抜け出す方法を考えるなら
「人を頼る方法を学ぶこと」と「自由な感情や気持ちの選択」が重要だと僕は考えます。
人を頼る方法を学ぶこと
これは「人を頼る方法を学ぶという視点」を持つことです。
先に
「頼れない人はどうしたら頼れるのかがわからないと悩んでおられる方が多い」
と書きました。
また、実際に人を頼って失敗したり、うっかり頼ったことで嫌われてしまったらどうしよう、という不安を抱えていることが多いものです。
もし、自分の中にその答えがないのであれば
「人から学んでみる」
という素直な発想を持ってみることで抜け道が見えることもありますよ。
いわば、上手に人に頼っている人から盗むのです、その方法を(^^;
・・・・いや、盗むというと悪意がありますね。
「人を見て素直に学ぶ」と考えてくださいな。
ただし、この学びを得るには若干の勇気が必要なこともありますよ。
隠れている心の影(生き残れなかった自分)の影響
「自分が困ったとき・辛いときに人を頼れなかった経験」を何度も積み重ねた人にとって
人を頼るということは「してはいけないこと」と認識される場合があります。
要はタブーになっているということ。
ただ、そこには「本来は頼りたかったけれど、そう生きれなかった自分」が存在することがあります。
これは自分の心のなかでだけ存在する「影」の部分です。
この心の影のことを「シャドー」と心理学では呼ぶことがあり
僕たちはこのシャドーを受け入れることがめちゃくちゃ嫌だ、と思うことが多いんです。
つまり、人に頼りたい気持ちもありながら、しかし絶対にそんな自分にはなりたくない、と意地を張る自分がいる、という矛盾が生じるんです。
だから、人に頼る方法学ぼうと思っても、なかなか素直に慣れなかったり、素直に実践できない場合もあるんです。
が、それもまた「しゃーないこと」なんです。
そう感じるにも事情があるんです。
なので
「今すぐ素直に学べなくてもいいから、こっそり情報収集して実践しよう」
ぐらいの気持ちで始めると、比較的やりやすいかもなと個人的には思いますよ。
ちなみに、カウンセリングの現場では
頑なになった気持ちを解きほぐして自分が生きやすくなるような心へのアプローチ(セッション)を考えていくことが多いですけどね。
自由な感情や気持ちの選択をする
「人に頼りたい」という気持ちは、とても自然な気持ちです。
だから、頼りたいと感じる事自体、何ら問題はないのです。
自分の気持ちに素直になって、「あぁ自分はそう感じてきたんだなぁ」と許可を出してあげることも大切なことなんです。
そこにや悔しさや悲しみが眠っているかもしれません。
それは、とても切ない気持ちで、あまり感じたくはないことかもしれない。
けれど、例えばカウンセリングのセッションなどで素直に気持ちを感じきっていくと、スッキリしていくものです。
このように自分の感情を整えていくと
「悔しさや悲しみを感じないために人を頼らない」という抵抗を減らすことができるんです。
だから、人を頼ることに対しての禁止が緩み、「人を頼ってみてもいいんだよなぁ」と許可が出やすくなることもありますよ。
頼ることが悪いことだという思い込みを手放す
また、なかなか「人に頼ることが悪いことだ」という観念が消えない場合は、次のように考えてみるといいと思います。
もし、人を頼ることで問題があるとしたら
相手が嫌がっているのに(相手との合意形成をする前に)、一方的に相手に頼ったり、強引な要求することなんでしょう。
ただ、多くの人が、相手に無理を強いてまで人に頼りたい、とまで思っていないことが多いものです。
むしろ、「うまく人に頼れないからこそ強引になる」といいますかね。
なので、カウンセリングの現場では
「頑張っていい子(いい人)を担ってきた自分」などを受け容れて、大切にしてあげる。
そんなイメージを使いながら自分を整えていくことで
「頼ることが悪い」という禁止を解いてあげることも可能になることがあります。
普段から、自分に向かって
「よく頑張ってきたねぇ」「自分は自分でいいんだよ」
と言ってあげることには、自分が愛されないという思い込みを手放す効果がありますから。
その結果、人を頼ることにも許可が出やすくなると考えることもできるのですね。
人を頼るということへの許可が、人を頼りやすい環境を作る
このようなカウンセリングの効果って、頼ることへの許可を出す意味合いよりも
「自分の気持ちを整え、素直に頼りたい気持ちを受け入れられるようになること」
に大きな意味があると僕は考えています。
その結果、自分だけでなく、他人の中にある「人に頼りたいという気持ちも許せるようになる」といいますか。
そんな寛容さを持った人の周りには、人が集まるし、支えてくれる人も自然と増えるでしょう?
その結果、頼ってもいいし、頼らず頑張ってもいい、という自由な選択ができるようになる、というイメージで僕は捉えています。
人を頼るということへの許可は、自分自身が人を頼りやすい環境を作るという意味でも、とても効果的なのです。
人を頼ることは人を育てることにもつながる
今日のコラムはいかがでしたでしょうか?
最後まで僕は「人を頼る方法」について書いていますが
そもそも「人を頼れないことが悪いことではない」という部分については、どうかご理解いただけると幸いです。
例えば、自分で納得して人に頼らないという選択をしている人もいますし、その場合は全く問題なんてないんです。
頼らなくても大丈夫なのに、無理をして人に頼る必要はないのですよ。
*
ただ、この話は「自分がどう生きるか」という話。
僕たちは、社会の中で「人を育てる・人を活かす」という教育的観点で行動を求められることがあります。
このとき、相手のために「頼る」「信頼して任せる」という選択を求められる場合があるわけですよ。
このとき、自分が人を頼れないと、仕事を丸抱えするしかなくなったり、自分にだけ負荷をかけてしまう一方
「育てるべき人に任せないから、育たない」
という問題に直面し、ダブルパンチを食らうことにもなるんです(^^;
パートナーシップであれば、相手に任せないことで「信頼されていない」と思わせることにもなりかねない、といいますかね。
それぐらい大人って与えたい(与えたら返したい)人が多いんですよ。
なので、さまざまな意味合いで
「人を信頼して頼る自分になること」にはたしかな価値がある、と僕は思うのです。
ということで今日のコラムはここまで。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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