浅野さんへの質問
はじめまして。
付き合って1年になる年下の彼とのことで悩んでおり、過去のブログも読んだのですが、モヤモヤと落ち着かず、質問させていただく事に致しました。
彼との付き合いは1年。半年ほど前に彼から同棲の話があり、アパート更新月を待って引っ越し予定でした。
ですが、元々夜の営み以外のスキンシップがない彼で、最近はそれすらも仕事の疲れでで断られるようになり、喧嘩に発展し下記のようなことを言われました。
私のことが好きなの?と聞くと「好きだと思うときもあるけど、忙しくて考える時間がない」
私が会いに来ない方がいいのかと聞くと「どっちでもいい。会えないのはうーん(嫌かも)。でも一人になりたいときもある」
同棲についても「更新が近いからと無理にしたくないし、今は将来についても考えられない。一人の時間も今より減るし嫌だ」
別れた方がいいのかと聞くと「そうしたいならそうすればいいんじゃない」
私としては別れたくなく、忙しい、一人の時間も欲しいならと、私の方から距離を置くことを提案しましたが、それも「好きにすれば」と言われてしまいました。
嫌わらているわけではなさそうですが、非常に受け身で、彼が何を考えているのかさっぱり分からりません。
なにもかも「そうしたいならそうすれば」と言うばかりで、自分の意見を言ってくれません。
距離を置くことで、マンネリが解消したらいいなと思いますが、自分の意見を全く言わない男性と、今後もお付き合いしていけるのか不安です。
このような男性の心理はどのようなもので、どんなことに気をつけておつきあいをしていけば良いでしょうか。
アドバイスがありましたら、是非教えてください。
ネタ募集ネーム:まみさん
まみさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m
今日はあなたのご質問にお答えしますね。
なるほど。彼が「そうしたいならそうすれば」とばかり話すわけですね。非常に受け身で困るというまみさんのご意見もごもっともだよなぁ、と思いながら質問を読ませていただいたところです。
さて、今回のご質問は「なにもかも「そうしたいならそうすれば」と言うばかりで、自分の意見を言ってくれない彼の心理とはどのようなものか。またどんなことに気をつけてお付き合いをしていけばよいのか?」ですね。
恋愛でも夫婦関係でも、いや対人関係全般的に言えることだと思うのですが「反応が乏しい(わかりにくい態度)」というのはなんともやりづらいわけですよね。
「なんでもいい」だとか「大丈夫です」とだけ答えられると、何がよくて何が大丈夫なのか分かりませんから、まぁ関わろうとする側が何もできないわけですよね。
ただまぁいいか悪いかは別にして、このような反応をする人って少なくないのかな〜と僕は思っていたりしますけどね。
では僕なりの回答をお伝えしますね。
よろしければどうぞ。
Index
「そうしたいならそうすれば」とばかり言う人の心理について考える
まず「そうしたいならそうすれば」を連発する人の心理について見つめていきたいと思うわけですが、「そうしたいならそうすれば」という言葉は「怒りの表現(一形態)だ」と考えることができます。
僕が学ぶ心理学の中では、「怒りの表現には大まかに分けて3つの形がある」と言われれています。
・「直接的に怒りを表現する」形態
・「ひきこもる(自分の内面にこもる)」という形態
・「何もしない・相手に反応しない」という形態(受動攻撃)
今回のご質問を見ると、彼はあなたのアプローチに反応していない様子が見て取れます。
このような態度は受動攻撃的な行動と見ることができそうですね。
まぁ、実際に彼という人を見て判断しているわけではないので正確なことは申し上げられないわけですけど、一般的にこのようなケースでは「受動攻撃」について考えるのが妥当かな、と僕は思うわけでございます。
*
さて、受動攻撃を分かりやすく事例を使って説明すると、こんな感じなのです。
「小さなお子さんがお母さんと買い物にでかけ、お菓子をかってと駄々をこねた。しかしお母さんはダメ〜と伝えた。すると子供が急に床に寝そべって、動きませんよ、何もしませんよとストライキを起こした」
ここでお子さんが「なんでお菓子を買ってくれないの!」「お母さんなんて嫌いだ!」と大きい声を出したり、お母さんの悪口を言うなど、怒りを直接的に表現した場合、表現した側の印象や評価が下がる恐れがありますよね。
一方、受動攻撃の場合は、まぁ周囲の同情や理解がもらえる可能性を残せるわけです。
先ほどのお母さんと子供の例でいえば、その親子の事情を知らない人からすると黙ったり傷ついている態度を見せている方が弱いもの・被害者のように見えてしまう可能性は否定できないわけですよね。(ま、多くの人はお菓子が買ってもらえずに子供がダダをこねているのね、と思うでしょうが。)
その結果、受動攻撃を受けた側(お母さんと子供の例ならば母親)が加害者のように見えて、周囲からするとその印象が下がる、なんて可能性があるのです。
つまり、自ら反応しないこと、何もしないことで、暗に「相手が悪いんだよ」「自分は悪くないんだよ」と状況をコントロールしようとしているのかな、と考えることができます。
または「自分から何をして欲しいのか」など、自分の思いを何も言わずに黙っていたら、相手は対処しようがないわけですよね。
このように相手を困らせて自分に興味を持ってもらおうとするマイナスのアプローチだと考えることもできそうですね。
*
かといって、それがいい・悪いという話を僕はお伝えしたわけでもないんですよ。
少なからず僕は「なぜ彼はそういった行動に出るのか」と考えるだけなのです。
もちろん、このようなパートナーの態度で困ってしまう方のお気持ちも大切にされるべきことだと思います。
ただ、このような受動攻撃は日常の中でまぁ頻繁に見かけることですね。
例えば、彼や彼女とケンカして、あまりに自分の気持ちをわかってもらえずに腹が立ち、急に黙ったり無反応になった経験ってないでしょうか?僕はありますよ(^^;
まぁ多くの方が一度や二度、試したことがある行為ではないかな、と思うのです。しかも、そのような行動に出たときって、あまりいい気分じゃないわけですけどねぇ。
そう考えると、彼の言動の是非は別にして、あなただけじゃなく彼もあまりいい気分じゃないのかもね?と僕は思うわけですね。ま、それこそ彼の自作自演と言ってしまえばそれまでになっちゃうんですけどね。
「そうしたいならそうすれば」という態度が示すものは依存である
さて、「そうしたいならそうすれば」とばかり言う人の態度。
これって感情としてが怒りの表現なのですが、その態度としては「依存」なんですね。
「自分のことを分かってもらいたい」だとか、「分かってもらえないからイライラしていますよ」という気持ちの表現でもあるのですよ。
場合によっては、依存的な態度を使って相手の状態をコントロールする、いわば「自分を変えずに相手を操作したい」という思いの現れだとも言えます。
このように書くと相手からの悪意めいたものをを感じるかもしれませんが、これには悪意があるケースと、そうではないケースに分かれます。
まぁ悪意がある場合なら、それは意図的であり、相手が嫌がることをしているというわけでして、流石に僕もどうかなーと考え込んでしまいますけれど(そうなる事情があると理解しつつもね)
悪意がない場合は、いわばこのような行動が「癖」になっていて、半ば反射的にこのような態度をとってしまうことのほうが多いようです。
かつ、その深層心理には「自分が相手と積極的に関わってもいい効果は得られないだろう」といった罪悪感、無価値感が影響していることが少なくありません。
平たく言えば「人と関わる」「愛し合う」「理解し合う」といった人とのつながりの経験が不足している(自立しすぎている)か、もしくは、ひどく人との関わりの中で傷ついた経験があるか、そういった可能性を見つめたほうがいいのかな、と僕が思うわけでございます。
ちょっと極端な表現をすれば「自分のことを理解してもらえる」とは思っていない感じなんですよね。それぐらい自分が愛され、理解されるという感覚を感じられていないって可能性があるわけです。
ここでのポイントは「人から理解されない(と思いこんでいる)自分が、積極的に相手に対して与える側に立ってもいい反応や効果が得られないのではないか」という思い込みなんだろうと思うのです。
だから「自分は与えるだけでもらえるものがいつもない。苦労するだけで損じゃん!」みたいに感じている人も少なくないのかもしれませんね。
もちろんこの思い込みがいつも正しいわけじゃないんですけど、相手の理解を期待してまた傷ついたり失望することを恐れているなら、最初から、相手に対して期待もしないし、求めもしないし、積極的に関わりもしない、という態度をとる人がいても不思議ではないんですよ。
それぐらいこのような態度をとる側も疲れている、とも言えそうです。
そして、このような思い込みは今すぐ培われるようなものではなくて、何度も同じような経験を積み重ねていくうちにそう思い込むようになるのでしょう。
つまり、もしあなたのパートナーが「そうしたいならそうすれば」といった言動を連発するならば、それがすなわちあなたに向けられたものだとは限らないってことなのです。
もちろんお互いにケンカが続いていたなど、実際に揉めに揉めたなんて場合は別なんですけど、いきなり相手がこのような言動をとってきたなら、それこそ相手のパターンだと考えてみたほうがいいでしょうね。
また、このパターンは「怒り」の表現なので、「そうしたいならばそうすれば」と言われるたびに、なんとなく「君が悪い」「自分は悪くない」と言われているような感覚を覚えますので、そのあたり気持ちの切り分けに関しては、しっかりと見つめておかれる方がいいかと思います。
「そうしたいならそうすれば」ばかり言う彼との関わり方
さて、このような態度をとる彼との関わり方についてですが、基本的には「自分がブレないこと」が重要です。
それは「頑固になってね」ということではなく、相手と自分は違う存在だという認識、境界線をしっかり意識しておく、ということなのです。
つい恋愛でのパートナーとの関わりの中では、心から相手とひとつになりたいと思いますし
(そう思えなきゃ好きってことじゃないと思う人もいますし)、情も愛も、相手のためになにかしてあげたいという愛情も持つからこそ、相手との境界線が曖昧になってしまうことがあります。
また、こちらの気持ちもちゃんと受け止めてほしいし、誤解のないように気持ちを伝えたいからこそ、こちらもまた相手をコントロールしたくなってしまうことが少なくないわけです。
こうなるとなかなか思いが伝わらずに悩ましい状態になることが多いわけですね。
安心感を与えてみることを考えてみよう
だから、このような態度を取る人とか変わっていくことを考えるならば、まず相手を安心させてみることから考えてみるといいのではないでしょうか。
このような怒りの表現をしている人に「何に怒っているの?」と聞いても「何も怒ってないし」と返されるのがオチといいますかね。まぁ素直に教えてくれないことのほうが圧倒的に多いかもしれませんよ。
素直に言えたら受動攻撃は必要ないわけですしね。
それぐらい相手は何かしらの感情を感じることを恐れていますし、過剰な恐れやストレスを感じて、人を受け付けない状態にある、と言えるのかもしれません。
このような「自分を守ろうとするモード」にいる人ほど、周囲の人の思いや配慮に気づく余裕がないものです。
そのような時は、相手の安心感を高めるような声かけを心がけてみるといいんです。
こちらから、自分の考えを連発して伝えようとしたり、相手や二人のことを過剰な心配をして関わったり、なんとか相手の気持ちを聞き出そうとする態度はあまり効果的ではありません。
ひとまずあなたがその場所を離れたり、落ち着くまで時間を置いたり、ゆったりとした声で言葉をかけたり、相手の気持ちが落ち着くような工夫をしてみるのはどうでしょうか。
そもそも怒りとは『今ココにある恐れ』によって表現されることが多いものです。
つまり「自分が人と安心して関われるのかどうかが不安」なので、「なんでもいい」「好きにすれば」「どっちでもいい」という反応をすると考えてみていいと僕は思うのですね。
「えー、私はこんなにも相手のことを考えているのに、どうして不安なの?」と思うお気持ちがあるとしても不思議ではないのですが、それを受け止められるかどうかはぶっちゃけ相手次第なんです。
相手の怒りには巻き込まれないようにする
受動的攻撃を受けた場合、怒りの部分にそのまま反応しないように気をつけましょう。
相手の反応から「何も言わないってひどい」「私に興味ないんだ」「悲しいのはこっち!」と、相手の行動を見て怒りを感じるかもしれませんよね。
それはまぁごもっともなことだ、と僕も思うのです。
ただ、、相手の行動に対して直接的な怒りで表現してしまうと、おそらくあなたが望まない方向に物事が進んでいってしまいがちです。
相手に「ほーら、やっぱり怒る」とか「こっちの不安や気持ちには関心がないんだよね」と思われる可能性が高いと言いますかね。
ここでは相手の怒りに巻き込まれないように、客観的な視点を持って接してみてください。
相手の怒りや寂しさに共感してあげたいという気持ちが悪いわけではないのですが、「相手は深く関わり合うことを怖がり、だから怒ってるのかもしれない」と理解して、別の行動を選択していきましょう。
何が困ってることはある?といった質問を使うのも一つの方法
先程も書きましたけど、このような相手に対して「何で怒っているの?」と聞いても否認されやすいものです。
「辛そうだけど大丈夫?」「何か困っていることない?」と、相手のことを一緒に解決するスタンスを使うと、相手も素直に気持ちを伝えてくれるかもしれません。
それでも「別にないし」と答えてくるかもしれませんが、少なからず相手が「自分に興味を持ってもらえているのだな」と感じられる言動が効果的かな、と思います。
「こちらは相手のことを考えている」というメッセージを出しながら相手に関わってみることも一つの方法でしょうか。
自分も同じ罠にハマっていないか、見つめ直してみる
最後になりますけど、実はこのような問題を伺うと「実は自分も同じ罠にハマっていた」なんて場合も少なくないんです。
もちろん悪意などまったくないのでしょうが、相手の態度に寂しさや怒り、不満を募らせてしまい、ついつい「私の気持ち分かってる?」「私にどうしてほしいの?(と言いながら相手に肯定的な反応を見せてほしいと願っている)」という態度を使ってしまう場合も少なくないのです。
それもこれもお互いの間に怒りや恐れという感情があればあるほど、そうなってしまいやすいわけですよ。
まぁこれもしゃーないことなんですけどね。
かつ、ここでこちらが怒りや不満を我慢し続けてもしんどいわけですよ。
もし、お互いが同じ罠にハマったり、相手と関わることの恐れを抱えすぎると、二人の態度が「依存:依存」という構図になってしまう事が多く、関係が前向きに進まない事が多いですね。
かといって、こちらが我慢し続けたり、相手の反応が変わるのをひたすら待つ、というのもあまり時間的にも自分の態度的にもリスクが高そうです。
このようなときは自分自身が今を理解して、相手との距離感を上手に図ったり、与える姿勢、相手を理解する姿勢を取るほうがメリットは大きいと僕は思いますよ。
その上で、相手と積極的に関わるかどうするかを決めていくほうが、まぁ主体的な決定になるかなーと思います。
*
つい、相手との心の距離感が詰まる恋愛や夫婦関係では、こういった「関わることへの恐れ」や「それに伴う怒りが表面化する」ような状態になることは十分考えられます。
そのあたりを理解しながら前向きな関わり合いができるようになるといいですね。
以上、なにか参考にしていただけましたら幸いです。
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