日常に使える心理学

やたら責任を押し付けられやすい人の特徴とその対処法

今日はクライエントさまからのリクエストをいただいて記事を書きますね。いただいたリクエストはこんな感じです。

私は仕事上でいわれのない指摘(文句)を言われることが多かったり、仕事上の責任をすべて押し付けられるようなことが多くて困っています。

本来、私が担うべき責任ではないことまで、急に上司から「それってあなたの責任だよね」と突きつけられることが多くて、正直頭にきています。(上司自体は悪い人ではありません。)

こういったことが起きるのは今に始まったことではなく、昔からずっとそうです。ちょっと気が強めの人から「あなたが悪い」「あなたがしっかりしていないからだ」と言われてばかりで、正直うんざりしています。

思い返すと、私は昔から強く言われると黙ってしまったり、私が悪かったのかな?と考えてしまい、何も言い出せなくなる癖があります。これが責任を押し付けられる理由なのでしょうか。

どうにかしてこんな自分を変えたいと思うのですが、一体どうしたらいいかがわかりません。(だからブログの記事にして何度も読めるようにしてほしいです。)

今回は仕事でも恋愛でも同じなのでしょうが「相手からやたら責任を押し付けられやすい」というお悩みに対して、どのように考えて対処いけばいいか、という話をまとめていきます。

よろしければどうぞ。

やたら責任を押し付けられやすい人の心理・特徴

今回扱うのは「仕事などの責任を急に押し付けられやすい」だとか、「仕事をポンポン投げられても断れずにいる」とか、「それって君の責任だよねと言われるといつも自分(だけ)が悪いような気がして何も言い出せなくなる」なんてケースですね。

実際、この手のご相談は少なくないんですよ。はじめは恋愛のご相談から始まったカウンセリングであっても、途中からこのような仕事上の問題や対人関係の問題を扱うようになることは稀なことではないんです。

さて、では「やたら責任を押し付けられやすい人の心理・特徴」とはどのようなものでしょうか。

最もわかりやすい特徴は「断ることに対して罪悪感を感じやすいこと」でしょうね。

いわば「Noを伝えること=人を傷つけること、相手の気分を害すること」という意識が強く、人を傷つけたくない、相手の気分を害したくないという気持ちが強すぎるがゆえに、相手の言い分を受け容れてしまうわけです。

もちろん人を傷つけることを望むだとか、相手の気分を意図的に害するように振る舞うとしたら、それは成熟した態度ではないと言えるでしょう。

人は誰かの喜びになりたい、相手の役に立ちたいという願いを持っていて、それを実現することを通じて「人からアテにされる存在になっていく」もの。このようなプロセスを経て「自分自身の心が成熟していくものだ」という考え方があります。

この考え方から「意図的に相手を傷つけること」を見るならば、何らかのそうしてしまう事情があるのでしょうが、しかし成熟した態度ではないよね、ってことになるんです。(だから昔の人は「人を呪わば穴二つ」(人を呪うと相手と自分の墓穴を掘る事になるよ)といったのでしょうね。)

ただですよ。

だからといって「私は誰も傷つけたくないから、できる限りNoという意思表示はしない」と決めて生きることもまた難しいことですし、人に対して平気で文句をいう人を毛嫌いして「絶対あんなふうにならない」と決めて生きることもまた自分に制限がかかりますよね。

まぁどんな事情があるにせよ、もしあなたが「可能な限りNoという意思表示をしないという生き方」をするとしたら、それはそれで周囲から「非常に分かりにくい人」という認識を持たれかねないのです。

実はこの「YesでもNoでもはっきりと意思表示しないこと」が、やたら責任を押し付けられやすい人の特徴の一つでもあるんですよ。

 

では、なぜNoという意思表示をしない人が責任を押し付けられることになるのでしょうか。

カウンセリングの中でもよく「私が何も言わないから、相手にナメられてるのかも」なんてお声を伺うこともありますけど、それは競争心や劣等感から見た考えですよね。

僕の視点では、それが直接的な理由になることはない、と考えます。

実際に相手が人を馬鹿にするタイプなら別ですが、そうでもないのに「相手にナメられている」と考えてしまうと、ついつい報復を考えてしまうことが少なくなく、いわば賢い解決方法を導けないかもなぁ、と僕は思うのです。(もちろん「相手にナメられていると思うとムカつく〜!」というお気持ちは丁寧に聞かせていただいているところなんですけどね。)

むしろ「ナメられている」という発想の真逆が「いわれのない責任や文句を押し付けられやすくなる理由」なのだと僕は考えています。

あなたがあまりハッキリとした意思表示をされないから、相手はあなたのことをあまり理解できず「警戒されている」という可能性もあるのではないか、ということです。

人はとにかく「分からないもの」に怖れを抱きます。対人関係で言えば「相手が何を考えているか分からない」という状態が最も悩ましいわけですよ。どうしたらいいかも分からないし、相手が無反応であればあるほど困っちゃいますよね。

恋愛で例えるならば「彼とちょっと揉めたあと、彼が何も言わなくなってしまった。謝りのLineを入れても返してこないし、電話をしても出ない」としたら、ちょっと不安になりません?次第に「いい加減に反応ぐらいしてよ!」といった怒りを感じないでしょうか。

職場の例で言えば「あなたが何をお願いしても、反応が薄かったり、こちらの伝えていることを聞いているんだか聞いていないんだか分からない人がいた」としたら、これもちょっとイライラしませんか?

このイライラは「怖れ」を感じているから生じる怒りなんです。怖れをそのまま感じたくないので、怒りを使って怖れに蓋をするようなイメージですね。

 

つまり、あなたがもし、何らかの意思表示をしないでいると(言いたいことを隠しすぎていると)、相手はそのあなたの態度に何らかの怖れを抱き、その怖れを感じたくないから怒ってしまったり、つい強くあなたに迫ってしまうなんてことが起きる可能性があるのです。

逆に言えば、あなたのことを責めない人、理解してくれる人がいるとしたら、それは「その人がとてもいい人だから」という理由だけにとどまらないわけですよ。

「相手はあなたを見て、今どのような状態なのかが理解できている」からこそ、あなたを見ても怖がってはいないということなんです。分かっているから、普通に接することができるし、どう接したらいいかが分かる。

そう考えると、もしあなたと揉めたり対立する人がいるとしたら(利害関係において対立している場合は別ですが)、相手はあなたのことをよく理解できておらず警戒心を抱いている、と考えられるのです。

自分の意志を明確にすることへの怖れ・抵抗が更に問題を大きくする

ということで、「やたら責任を押し付けられやすい人」が、その状況を変えていくための対処法を考えていくならば、やはり「しっかり意思表示できる自分になる」ということがポイントになってくるのです。

が、そうは言えども、長くカウンセリングをさせていただいておりますと、そんな簡単な答えで問題が解決してくれるケースのほうが稀だ、という実感があるわけですよ。

確かに「言いたいことを言えばいい」「自分の意見を伝えればいい」という考え方は間違っていないのでしょう。

が、あまりにサクッと言い過ぎてないかい?と僕は思ってしまうわけですね。

確かにあなたに分かりにくさがあって周囲から警戒されていて、だから強い言葉や文句が飛んできているなら、あなたが「分かりやすくなること」によってその状況は解決の方向に向かうこともあるでしょう。

が、あなたがあまりハッキリとした意思表示をされないとしたら、そこにも何らかの事情があるはずですよね。誰も好き好んで自分の意見を殺さないと思うのです。

なにより日常の中で、自分の気持ちを上手に解放できずとてもしんどい思いをしているのはそのご本人であって、他の人ではないわけですからね。

だとしたら、「どうして言いたいことを言わず、Noをハッキリ伝えないのか」という部分にもフォーカスして、その事情を解きほぐすことも大切なことではないか、と思うわけでございます。

では、どのような状態にあると、自分の意志を明確にすることへの怖れや抵抗を感じるのでしょう。

ここにはいくつかのパターンがあるので、その代表例をご紹介しましょう。

自分が傷ついた経験から、人を傷つけることへの抵抗感が強い

過去の自分がとても傷ついたり、理解されない辛さを感じた人がいるとして、未だその傷が癒えていないとしたら、「自分が誰かに明確な意思表示をして相手を傷つける」ということに強い罪悪感を感じるでしょう。その痛みを知っているのに、自分は人を傷つけてしまったとしたら、やはり自責の念が強くなっちゃうわけですね。

だから、もう誰も傷つけない、自分の意思を言わなければいいと考えてしまう人も出てくるのです。(その結果、自分が割に合わない目にあうわけですけれども。)

この状態にあると「自分を意見を伝えることに対する葛藤」がすごく強くなるんですよね。

何を伝えても「自分が悪いのではないか」「相手に大変申し訳無いことをした」と感じてしまうので、そのご本人も超しんどいんです。自分が我慢してもしんどい、なにか伝えてもしんどい、っていう感じでね。これが慢性的な問題を作ることもしばしば起こります。

ちなみにこの場合は、きっちり過去の痛みを癒す(受け容れて、感じて、解放する)なんてプロセスを通じて、自分の意見を言えるような価値観を得ていただくようにサポートさせていただくことも多いんですけどね。

痛みの影響が少なくなれば、自分から人のことを積極的に考え、関わることも可能になりますし、自分の意志ももっと尊重できるようになりやすくなりますからね。

自分を理解しなかった人、傷つけた人への葛藤が未だ残っている

これは一つの「反面教師」的なパターンと言えますよ。自分自身が理解されず、一方的に傷ついた経験などがあると、その人のことをなかなか許せないままってこともありえるわけです。

だから「私は絶対にあんな人にはならない!」という、まぁ意地のようなものが生じるんですよね。

例えば「私は何があっても我慢するしそれが正しい!相手のことも考えず自分の気持ちをペラペラペラペラ喋るなんて、ありえへんわ!」といった怒りや強いこだわりによって、何を言われても我慢し続けてしまう人もいます。

ま、このケースの場合、僕はこのようにツッコむことが少なくないですよ。

「うーん、だったらあなたは相手のことを考えているんでしょう?そんな自分を受け止めてみるのはどうでしょう。」

自分の意見だけ述べるコミュニケーションってありえへんわけでして、そこを理解されているなら、きっとあなたは人を大切にすると思うのですが、さていかがでしょうか。

自己否定感が強い

これは「自分は人に何かしらの意思を伝えるほどの価値がない」と感じているパターンです。

自分が悪い、自分には価値がないといった罪悪感、無価値感が強いと、自分から何かしらの意思表示やアクションを起こすこと自体に「罪だ」と感じてしまうわけです。

だから、何を言われても「自分が悪いし、言い返してはいけない」と考えてしまう人も出てきますが、自分の意見を述べることは何ら悪いことではないし、Noと言わないことで揉めることも結構多いはずなんですよね。

この場合は、どうしてそこまで自己否定感が強いのかを見つめて癒やしたり、自分を肯定するプロセスを歩んでいただくようにサポートさせていただくことが多いでしょうか。

言いたいことを言ってマジでひどい目にあったという反省が強い

これは過去に調子に乗って言いたいことばかり言っていたら周囲からガチでそっぽ向かれて大変なことになった、という経験がある場合です。

まぁ若かりし頃というのは、いわば「神をも恐れぬ言動をうっかり」なんてこともありえるわけですよね。「それを言えば相手が何を感じるか」とか「相手が自分を理解して受け止めてくれている」という認識が薄かったりすると、ついやらかしてしまうわけですな。

恋愛で例えるならば「前の彼に超めんどくさい態度を取りまくって、その結果めっちゃ痛い別れを経験した。それからの恋愛は相手に尽くしたり、相手に従う恋愛ばかり続けてきた」みたいな感じです。

これは未だ過去の自分(ミス)を罰しつづけていて許していない状態が続いている、ということでもあります。(それがいいことだと考えているフシもあるのです。)

この場合は、ミスはミスとして真摯に受け止めつつ、そこから学べるものをしっかり学んだら、その経験・感情を手放して、また人を大切にする視点で関われるようになることがポイントです。

今のままでは相手を大切にできないし、自分を許すこともできないわけですからね。

前向きなプロセスを進んでいくといいんですよね。

やたら責任を押し付けられやすい人がその状態を改善していく方法

さて、いろいろと書きましたが最後にサクッとこの状態を改善していくための方法についてまとめておきます。

今日の記事では、まず「やたら責任を押し付けられやすい人は分かりにくさがある」と書きました。

また「自分から人に意思を表明すること自体に抵抗を感じている場合もある」と書きました。

だとしたら、「自分が人に対していい影響を与えられるのだ」という自信・感覚が出てくれば「自分の意見を言えるようになる」ということになるんですよね。

具体的には

  • 自分の良いところ、美点、得意なことをしっかり認めておくこと
  • 自分から人に好意的な態度で接したり、相手のことを理解して接するように心がける(人が怖いからそうするのではなく、相手のために与えるという意識を持つことがポイント)
  • 自分を理解し寄り添ってくれた人がいるならば「その人がすごい」と相手任せにせず、相手は自分のどこを理解してくれていたのかを理解してみること。その上で、その人の視点、あり方を学ぶこと。
  • 言いたいことが言えないなら、どうしてそう感じるのかについて考えてみること
  • 理想の大人、理想の同性などを見つけて、その人の言動を真似てみるのもいい

このようなことを通じて「自分が人に対していい影響を与えられるのだ」という実感を積み重ねることがポイントです。

言い方はあれですが、何もしないで、自分のイメージだけで自分のことをよく思っても、その実感が伴わないと自信には変わらないってところもポイントです。

このような自信を感じられる状態になれば、YesもNoも言いやすくなりますし、相手に対して関わることが「迷惑なこと」ではなく「相手のためになること」と理解することもできるようになるでしょう。

ただ、そうはいえどもなかなか自分を表現することに葛藤を感じやすい人もいるかもしれませんよね。その場合は、どうかそんな自分を責めずにいてください。できないことで自分を罰しないでくださいね、お願いだから。

しっかり気持ちを整理したり、自分を理解していくことで前向きな行動を取りやすくなるものですからね。このあたりのプロセスはカウンセリングがお役に立てると思いますよ。

ということで、まぁこんな話を最後に持ってくるってのは自分でもどうかと思うのですけど(^^;

「何かにつけて人からあれこれ押し付けられやすい」というお悩みを伺うと「相手の意見をどう突っぱねるか」「どう相手にわからせるか」ばかり考えている方と出会うことも少なくないのですよ。

そのお気持ちも僕なりに痛いほど分かる気がするのです。

ただ、それは自分が人に対していい影響を与えられるのだ」という実感を積み重ねることとは、全く逆の方向に進むような感じになりませんかね。

こうなると、どうしても人との関わりがめんどくさくなったり、孤立感を強めるので、僕としてはあまりオススメではないのです。

また、こんな事も考えられますよ。

「相手はあなたの事情を考えず押し付けてくる。それに対してあなたは相手の事情も考えず突っぱねる。」

この状況、周囲の人が見たら「どっちもどっちやーん」なんて思われかねず、そう思われること自体、かなりムカつきませんかねぇ?まさに泣きっ面に蜂に塩レモン塗ってヤスリで擦ってるような状態になりますわよねぇ。

 

もちろん、あなたが何度も誠意を持って説明してもわかってくれない人がいるならば、他の人の手を借りるなど別の対処法を考えたほうがいいのですが、そうでないならば、少なからずあなたが普段から自分の話をしたり、周囲の人に理解を示せば、相手も(よほど人のことが見えていない人でない限り)あなたのことに興味を持ってくれるはず。

いわば自己開示すれば、相手の怖れも低減して「あなたを理解する目」を持とうとする人も出てきますよ。

あなたには「自分は人に対していい影響を与えられるのだ」という自信がありますか?

そして、どれだけ今の自分でいいと思いながら、人と関われているでしょうか?

あなたがいい人であればあるほど「人にいい影響を与えられない自分」を人に見せることは少ないのでしょうね。

もし、今の自分では・・・と自分を否定的に見てしまうなら、そこから修正していくのもありですよ。

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