すれ違う夫婦の心理

パートナーの気持ちがわからないときの心理学的アプローチ

深読み女子

「なんで、私の気持ちをわかってくれないの?」

「この人、ほんとに私のこと好きなのかな…?」

いわば「パートナーの気持ちがよくわからない」というお悩みです。

これ、カウンセリングでもよく出てくるお悩みでもあるんですよ。

でもこれってよくあるお悩みであるからして、実は「よく起きること」でもあるわけですよね。

心理学的に見ると「わからなくなりやすい心の仕組みがある」とも言えるんです。

そこでこの記事では「パートナーの気持ちがわからなくなる理由」と「そんなときのアプローチ方法」について解説してみたいと思います。


そもそも、なぜ気持ちがわからなくなるのか?

ストレスで余裕ゼロ

ケンカの真っ最中とか、不安がピークのときって、人間は「相手を思いやろう」なんて余裕がゼロになります。

脳の中では扁桃体(恐怖・不安をキャッチする場所)が大暴れして、冷静さをつかさどる前頭前野が弱まる、なんて言われることもありますね。

だから、普段なら「ちょっと疲れてるだけかな?」と流せる表情も、「絶対怒ってる!」と早とちり。

逆に相手の言葉が全然耳に入らない、なんてことも。

まぁ、ようは「自分の身を守るモード」に入ってしまうので、相手の心を読むアンテナは強制的に折りたたまれてしまうんですね。

“言わなくても伝わるでしょ”問題

長く一緒にいると、「わざわざ言わなくても分かってるよね?」と思いたくなりますよね。

これ、心理学では「透明性の錯覚」と呼ばれます。

「透明性の錯覚」とは、自分の考えや感じていることが、実際以上に他者に伝わっていると考える傾向のことです。

だからこそ実際のパートナーシップの中で

  • 「私こんなにイライラしてるのに、なんで気づかないの?」
  • 「俺が疲れてるの、見れば分かるだろ?」

…というちょっとウンザリとした気持ちになるやりとりが続いてしまうことも。

ただまぁ、残念ながら、私たちはエスパーじゃないのでね(^^;

よほど親密でいる期間が長い関係でない限り、言葉にしないと9割方伝わっていませんよ。

むしろ「伝わってるはず」と思い込むからこそ、すれ違いが起きやすいんです。

愛着スタイルのクセ

さらに関係をややこしくするのが「愛着スタイル」です。

  • 不安型の人は「嫌われた?」と過敏になりやすい。
  • 回避型の人は「感じること」そのものが苦手で、本音を隠すクセが強い。

この組み合わせが最悪にハマると、「一方は気にしすぎ、もう一方はそっけなく見える」というおなじみの構図ができあがります。

たとえば、不安型の彼女が「最近冷たくない?」と詰め寄る。

すると回避型の彼氏は「なんでそんなに責めるんだ」とシャットダウン。

結果、彼女はますます不安になり…と、まさに心理学の教科書に載ってるようなループが回り始めるんです。


これら以外にも理由はいくつか考えられますけどね。

ここまでの話を的めると、「相手の気持ちがわからない」と感じるのは、人間の脳の仕組みや心理的クセが絡んでいるから、という見方ができるわけです。

そういう意味では

「分からないのは普通なんだ」

そう知るだけでも、ちょっと気持ちが楽になりません?


どうやって“なんとなく分かる”精度を上げる?

相手の気持ちを100%理解することはなかなか難しいですよ。

ただ、「なんとなく分かる」の精度は上げていけるんです。

ここでは、ちょっとした視点の工夫を紹介します。

簡単に取り入れられることから、ちょっと慣れないと難しいものまでありますけど、参考にしてみてください。

1:要約して確認する

これは相手の意見を要約して返すことで、確認してみる方法。

例えば、「つまり、今日は休みたいってこと?」と一度まとめて返す。

ある意味でカウンセリングでも使われる方法ですが、意外とパートナーとの間でも効くことがありますよ。

2:タイムアウトを取る

言い合いが激しくなってしまって、お互い“心が洪水状態”のときは、何を言っても逆効果、なんてこともありますね。

たとえば、感情が高ぶった状態(心拍数100以上など)では、理性的な判断が難しくなることが研究で分かっていますしね。

この場合はタイムアウトを取ることも有効です。

「20分だけクールダウンしてから話そう」と一旦切るのも大事です。

3:仮説で寄り添う

「きっと怒ってるんだ!」と決めつけずに、「疲れてる?それとも怒ってる?」と“仮説”で聞く。

心理学では「メンタライズ」と言われる考え方ですね。

メンタライズとは、 自分や相手の言動の背後に「気持ち・考え・意図」があると想定して理解しようとするプロセスを指します。

例えば、「あの人は怒っているように見えるけど、実は不安だからかもしれない」とか「自分がイライラしているのは眠れてないせいかも」といった、“心の仮説立て”をしてみることですね。

こちらの気持ちも大切ですが、それだけで相手を断定しない姿勢がキモなんです、はい。

4:パートナーの「考えグセ」を理解する

人にはそれぞれ「考え方のクセ」があります。たとえば、

  • 不安になると「最悪のシナリオ」を先に想定するタイプ
  • 悩むとまず黙ってしまうタイプ
  • 冗談めかして本音をにじませるタイプ

こういう「クセ」を知っておくだけで、表面的な言動に振り回されずに済むことが増えます。

「また黙ってる」じゃなくて「今は言葉にできないモードなんだな」と捉えられる。

これってすごく大事な一歩なんです。

5:愛する視点で見る

ちょっと抽象的に聞こえるかもしれませんが、実はこれがけっこう効きます。

よほど利己的な人でない限り、パートナーって「本当はあなたにプラスのアプローチをしたい」と心の奥底では思ってるんですよ。

ただ、それがうまくできなくて…

  • 黙っちゃったり
  • 困った顔をしたり
  • 密かに悩んでいたり

そんな姿になってる可能性があるわけです。

「この人、どうせ私のこと分かってない」と決めつける前に、「あぁ、この人も不器用にがんばってるのかもな」と見てみる。すると、相手の沈黙や不器用さも少し違った景色に映るんです。

こんなフレーズがおすすめ

  • 「私の理解だと、〇〇ってこと?違ってたら教えて」
  • 「昨日のこと、私は不安になった。だから10分だけ話したい」
  • 「言いにくいことを言ってくれてありがとう」

逆に「なんでそうなの?」と責める口調や、正論を先に出すのは逆効果になりやすいですね。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

「パートナーの気持ちがわからない」って、実は自然なことかもしれません。

ただ、「わからないのなら興味を持たない」という姿勢を取ると、おそらくよりわからなくなりますね・・・・。

大切なことは、“わかろうとする意識”。

もちろん完璧に分かり合う必要なんてなくて、「私はこう感じたけど、合ってる?」と確認できる関係がいちばん安心できるのではないでしょうか?

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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