夫婦のための心理学

恋愛中も「寂しさ」を感じる心理とその対処法

考え事をする女性

「今、彼がいるんですが、ずっと寂しいんです」

「彼女がいるんですけど、ずっと寂しさを感じているんです」

こんなにそばに好きな人がいるのに、どうしてこんなに寂しいんだろう?

そんな風に悩んだことはありませんか?

恋愛をすると、恋人がいる喜びや満たされた気持ちを感じる一方、心の奥底にある孤独感が浮き彫りになることもあります。

そこで今日は「恋愛中の寂しさを抱えるあなた」に向けた、恋愛をしていても寂しさを感じる理由について心理的に解説していきます。

よろしければどうぞ。

「寂しい」という言葉の意味

さみしいという言葉を抱えている女性

まずは「寂しい」という言葉の意味を見つめていきましょう。

「さみしい」とは

(1)あるべきものが欠けていて、物足りない、物悲しい気持ち。
(2)人の気配がなく、心細いほどにひっそりしている。
(出典:Webilo辞書

また、「寂しい」と「淋しい」の意味の違いは、次の通りです。

「寂しい」は、物足りなさ、ひっそりした様子、孤独感などの幅広い意味を表す語。
「淋しい」は、人が孤独を感じているニュアンスで用いられる語です。(出典:Webilo辞書

このような言葉の意味から考えてみると

男女関係、恋愛や夫婦の仲で登場する意味としては

「あるべきものが欠けていて、物足りない、物悲しい気持ち」

として捉えてみると、いろいろ見えてくることが多いと僕は考えています。

ただし、何が欠けているのか、何が物足りないのか、なぜ物悲しいのか、の理由は人それぞれ違うと僕は見ているわけです。

また、さみしさを「誰も(彼・彼女・味方)がいない」「一人ぼっちになってしまう」という意味合いで使われる場合も多いですよ。

このあたりの言葉の意味の違いは、その人の生き方、心の成長プロセス、過去の経験などで異なってくると言えるんです。

※ちなみに心の世界ではさみしさを「寂寥感」と表現することもあります。

恋愛中に「寂しい」と感じる理由とその心理

では、なぜ恋愛中なのに寂しいと感じるのでしょうか。

その理由を恋愛心理的に見つめると以下のようなことが考えられるのです。

一人ぼっち感を感じている

まずはいわゆる「一人ぼっち感(孤独感)」です。

一人ぼっち、だから寂しい、というわけですね。

これは、実際に彼や彼女と会えない、連絡が取れないという場合もそうですし、彼や彼女と喧嘩している場合などが考えられますね。

また、どこかで自分自身が普段から人間関係の中で心のつながり、親密な感じを感じ取れないがゆえに一人ぼっち感を感じている場合もあります。

パートナーにかまってもらえないから

やはりパートナーからかまってもらえないと寂しいと感じやすくなりますよね。

これはよく女性の皆さんから伺う声なんです。

ここでの「かまってほしい」とは、子どものようによしよしと扱ってほしいわけではなく、「私と関わってほしい」とか、「パートナーの意識や愛情が自分に向いていることを確認したい」という意味合いになることが多いようです。

つまり、二人の間にコミュニケーションが減ってしまうと寂しさを感じやすいということなんですよ。

あ、このコミュニケーションにはスキンシップも含みますよ。

そもそも愛し合うことには「関わり合うこと」「二人が寄り添うこと」といった意味が内包されているものなんですよ。

だから、関わり合いが少ない男女関係には、どうしても寂しさはつきまといやすくなるのです。

自己肯定感の低さ

自己肯定感が低い場合も、恋愛中でも寂しいと感じやすくなりますね。

自己肯定感を感じようとしている女性
自己肯定感がまったく感じられないときの対処法「自分自身をもっと肯定しなきゃ」なんて肯定感は存在しないでしょう。自分を肯定するってことは「するべき」ことより、より自分を理解し許していくこと。それすらするべきことじゃなく、自分と向き合うと選択することなんです。...

自己肯定感とは「ありのままの自分の存在を好意的に受け入れ、肯定的に認める感覚」を言います。

つまり、自分の価値を認められていない状態であると、まず自分自身が「私は愛されるに値しない」と感じ、そう判断してしまいがちなのです。

その結果、相手が愛してくれていても、それがうまく感じ取れなかったり、相手の愛情を疑ってしまう事が増え、寂しさを感じやすくなってしまうのです。

パートナーに対して絶対に言えない隠し事がある

パートナーに対しての隠し事がある場合も、恋愛中に寂しさを感じやすいですね。

ここでの隠し事は「もう墓場まで持っていかなきゃ」と思えるような言い出せない事から、自分自身の自信のなさ、コンプレックスなどまでいろいろ考えられますよ。

だから、自分自身が自分を偽るような感覚で恋愛してしまうことになる。

この自分を偽っている感覚は、相手との心のつながり、信頼を感じにくくする作用を持ちますから、どうしても恋愛していても寂しさを感じやすいのですよね。

恋愛に対しての理想が大きい

どこか恋愛に大きな理想を抱き、期待をし続けている人も寂しさを感じやすくなるでしょう。

自分が思い描く理想の恋愛と現実の恋愛のギャップで寂しさや満たされなさを感じてしまうのです。

恋愛に理想像を持つことは自由です。また、理想の恋愛を手に入れるために努力することも間違っているわけじゃありません。

ただ、現実の恋愛との間に大きなギャップを感じると、どうしても失望感を感じやすくなります。

結果、今の恋愛に価値を見出せなくなるので寂しさを感じやすくなるのです。

過去の恋愛の傷の影響

これは、過去の恋愛で深い傷を負い、今の恋愛にも不安を抱いている場合です。

過去の傷の影響で心を開くことができず、パートナーの愛情や優しさを上手に感じ取れず、寂しさを感じてしまうのです。

恋愛やパートナーに対して過剰に適応しようとしている

実は、恋愛そのものやパートナーに対して過剰に適応しようとしている人も、寂しさを感じやすくなりますね。

この考え方は、ある意味多くの方が持っている「寂しさを感じる理由」とは逆のベクトルの話になるでしょう。

例えば、恋愛中、彼や彼女のために自分のことは一切横において、相手のことばかり考えたり、相手のためにだけ行動する人がいます。

それは「フラレる不安を払拭したい」という補償行為(埋め合わせの行動)の場合もあれば

「パートナーができると、自分のことは横において、相手のことばかり考えてしまう」といういわば恋愛スタイルである、という場合もあります。

心理学講座のシンボル
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このとき、どちらにしても、恋愛中に「自分という主体」が心の中で感じ取れなくなっていることが少なくありません。

これが、恋愛やパートナーへの過剰適応状態、と言えるんですよね。

僕たちは「自分という主体」を感じ取れているときに、相手の愛情や優しさを感じとれるようになります。

自分がいないのに「相手は優しくしてくれる」と思うなら、それは相手の優しさへの評価であって、こちらの実感でないことが多いのです。

このように自分が感じ取れない状態になると、多くの場合、パートナーの価値観や要求に従って恋愛をすることが増えます。

つまり、自分が満たされる、愛される、という感覚が、内面的にも関係性の中でも無くなっていきやすくなるのです。

その結果、寂しさや虚しさ、やるせなさや、恋愛するといつもめっちゃ疲れ果ててしまう、なんて状況になってしまう場合があるのです。

「寂しさ」の解釈がすれ違っている

また、パートナーとの間で「寂しさ」の解釈がすれ違うと、恋愛中の寂しさが増幅する場合がありますね。

例えば、

「彼は私の気持ちなんて見てくれていない、だからすごくさみしい」

という思いを抱えている女性がいるとしましょう。

この「寂しさ」は、「私はこんなに好きなので、相手には届いていないみたい」という思いから生じているとしましょうね。

しかし、その寂しさを彼が

「あぁ、君は一人になることが嫌なんだ」

と解釈したとしたら、さてどうなるでしょうか?という話なんですよ。

僕たちは、全く悪気なんてないのですが、「自分のものさし」で、相手の感情を判断することがありますね。

人は見たいようにモノを見る 〜違いを認めるから感じられる愛もある〜人は見たいようにモノを見ると自分や相手に対して認めることができると、自分の言動にも意味を感じられますし、お互いの違いを認めるから感じられる愛情や思いやりも増えてきますよ。...

これは認知バイアスともいえる場合があると思いますし、また「投影」ともいえるだろうと僕は考えています。

つまり、自分にとっての「寂しさ」の解釈を使って、相手の寂しさを解釈するわけです。

だから、先の例であれば

彼女さんが「寂しい」と彼に言うと、彼は「俺、今一緒にいるじゃん」なんて反応を返す可能性が高いわけですよ。

彼は「寂しい」を「一人だ、孤独だ」と解釈しているから、そう反応する。

しかし、彼女のいう「寂しい」は、「ちゃんと私の思い届いてる?私のこと好きなの?」という彼の意識への問いかけであったり、彼の反応を求めるための言葉であったとしたら・・・。

ね、いいか悪いか別にして、「なんかめっちゃ寂しい恋愛になりそう」って思いません?

恋愛中に感じる寂しさは心の成長度合いによっても異なる

更にマニアックなお話をさせていただくとしますと、

僕たちが恋愛中に感じる寂しさは、自分自身の心の成長度合いよっても異なる、と考えることができるんですよ。

自立がテーマの若者の恋愛中の寂しさ(概ね20代〜)

例えば、最近学生から社会人になりたての時期にある人や、どこか自分の中の半人前感が消えない人にとっては、自力や自信を培うことが何よりも重視されるんです。

このようなプロセスにある人にとっての寂しさは「辛いけど引き受けなければならない孤独感、一人ぼっち感」と理解されることが少なくないです。

だから、恋愛中、自分自身が寂しさを感じても我慢しやすくなりますし。

パートナーから「寂しい」と言われると、「もう、もっと自立してよ!」なんて思うことが増えると言えるんですね。

そこそこ自信をつけた男女が感じる恋愛中の寂しさ(概ね20代後半以降)

ある程度、社会経験を積み、自信をつけることができた人にとっての「寂しさ」は

「感じたくない感情、めんどくさい感情」

として理解されることが多々あります。

要は、自信をつけるときに孤独を引き受けることが当たり前だったので、寂しさをいう感情を非常に非効率で良くないもの、というイメージを抱いている人が少なくないのです。

また、「寂しい」と感じること自体が「自信を得るまでの半人前感を想起させる」という場合も少なくないんです。

だから、自分自身が恋愛中に寂しいと感じても「そんなの当たり前」と無視したり、「寂しいと感じるなんて自分ってめんどくさいよな」なんて思っている人が少なくないのです。

また、パートナーから「寂しい」と言われると

「あなたはパートナーとして不十分な人よ(恋愛においては半人前だ)」と言われているように感じる人もいます。

え、そんな人いるの?と思われる方もいるかも、ですが、これ意外と多いパターンですよ。

愛する人がいなくなる寂しさ(30代以降〜)

また、長くお付き合いされていたり、既にご結婚されている方になると

「愛する人がいなくなる寂しさ」

を抱えている場合がありますね。

どこか一緒にいることに慣れてしまい、男と女としてのコミュニケーションが無くなってしまったり。

実際に恋愛中に喧嘩ばかりしたり、夫婦仲が良くない場合に感じる寂しさでもあります。

ちなみに、この愛する人がいなくなるかもしれないという寂しさは、確かにパートナーがいなくなるという寂しさでもあるのですが

「自分は今、誰も心から愛していないよね」

と感じているからこそ感じる寂しさでもあるんです。

だから、この寂しさを強烈に感じる人って、浮気や不倫に走るなんて傾向があるとも言えるんですよ。

なので、全く浮気や不倫なんてする意図がない人であっても、強烈に魅力的だと思える人と出会ってしまうと、「心から惹かれる人をずっと愛していたい!」という激しい情動を感じることもあるんですよね〜。

いや〜恋愛心理って複雑ですよねぇ。

◯ちなみにこのような恋愛は、愛の三角理論でいうところの「激しい愛」に該当することが多いかもしれません。

愛の三角理論の話は次のコラムにありますので、こちらもよろしければどうぞ。

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恋愛していても寂しいと感じてしまうときの対処法

では、恋愛していても寂しいと感じてしまうときの対処法についていくつかご紹介していきますね。

自分の気持ちを認める

まずは、寂しいと感じている自分を責めたり、疑問視するのではなく、その気持ちを認めることが大切です。

寂しさを感じるには何かしらの理由があります。その理由を無視しても更にさみしくなるだけなんですよ。

コミュニケーションを増やす(相手に気持ちを伝える)

恋愛中に感じる寂しさは、パートナーとのコミュニケーションが足りなくなっているときに感じやすいです。

相手に自分の気持ちを正直に伝えることで、お互いの理解を深めることができます。

いわば、知っている間柄でも「よく知り合うこと」で寂しさから卒業しやすくなるんです。

ただ、なかなか言い出しにくいこともあると思うんですよ。特に自分の秘密とか、コンプレックスのあたりは。

そんなときは、ひとりで抱え込まず、カウンセリングなどご利用になることも有効ですよ。

どのようにすればうまく話し合えるか?を一緒に考えていくこともできますからね。

自己肯定感を高める

自己肯定感が低い場合は、自己肯定感を高めることで寂しさを感じにくくなることがありますね。

ただ、やみくもに「自分の良いところを見つける」といった作業ばかり繰り返さないほうがいいと僕は考えますよ。

恋愛中、つまり、大切な人がいる状態で寂しさを感じるということは、それだけ自分自身の存在価値を疑っているという可能性が考えられるんですよ。

つまり、自分の内面に自己攻撃や自己否定が強く作用している可能性もあるわけです。

この状態で自分をよく見つめようとしても、いわば他人軸的な、一般的に好ましい自分になるための自己評価を続けてしまう方がいるんですよ。

「こんな自分じゃダメだから、自分をよく評価しよう」と言った風に。

こうなると実は自己肯定感って高まりづらいんですよね。

一般的に望ましい私になろうとすることで、自分を否定しちゃってる場合もあるのです。

自己肯定感を感じやすくするためには、いわば自分の内面的な軸を作ることであり、自分の価値観や思い、存在をきちんと守ることができる状態にするほうがいい場合が多いです。

このあたりはカウンセリングがお役に立てることも多いので、一人で難しいと感じたらご相談いただく方法もありますよ。

過去の恋愛の傷からの解放を目指す

過去の恋愛の傷から、恋愛中の寂しさを感じているのであれば、過去の恋愛の傷からの解放を目指すといいでしょう。

ここでの「過去の恋愛の傷」とは、「過去に感じた痛み、感情のこと」を指します。

その感情がまだ心の中で未処理・未開放の状態でくすぶっていると、過去と同じような傷つき方をしたくないと思い、

「好きな人でも深く関わらないほうが傷つかないから安全」

と、警戒しつづけることにもなりかねないんです。

だから、過去の気持ちがまだくすぶっているなら、解放しておくことがおすすめではあります。

例えば、ノートなどに丁寧に過去感じた気持ちを素直に「辛かった」「本当に苦しかった」といった風に書き出すなどして、解放していく方法などもありますよ。

過去の恋愛の傷を乗り越え、新しい恋愛を楽しむことを目指してみませんか。

恋愛やパートナーに対して過剰適応であることに気づく

もし、あなたが恋愛においてパートナーに過剰に適応してしまうのであれば、今以上に心を開こうとするとめちゃくちゃ辛くなりますよ。

すでに開いている心を、これ以上誰かのために開こうとするのではなく、きちんと自分を守ることから始めるといいです。

驚かれるかもしれませんが、実は社交的な人の心って普段は閉じていることが多いと言われています。

きちんと自分の心を守ることができるからこそ、最愛の人に対して開くことができるんです。

しかし、ちゃんと恋愛しなきゃ、相手のことをもっと愛さなきゃと思っちゃう、いわば忍耐女子含む自立女子の皆さんは

「すでに開いているハートをまた開こうとしてすごく苦しくなってしまい、結果彼から離れたくなって寂しさ&切なさMax」

なんて状態になっている場合も少なくないんです。

なので、「もしかして私ってそうかも?」と思われたなら

  • 自分自身の価値観や思い、どれぐらい大事にしているだろうか?
  • 人とトラブルや喧嘩、意見の衝突を避けがちで、人の価値観の中で生きている事が多くないだろうか?
  • 「自分が折れちゃったほうが早いから」と恋愛や対人関係での妥協を重ねていないだろうか?
  • 普段から「一般的な観念で見ると、私ってこういうところがダメだよね」というダメ出しばかりしていないだろうか?
  • 自分は人と比べてこういうところがダメだよね、と感じやすくないだろうか?

そのあたりチェックしてみてくださいね。

多く当てはまるとしたら、自分の心や価値観をきちんと守れていない可能性があります。

できれば、自分自身をきちんと守るために、自分の意見、考え、気持ちを認める意識を日々持ち続けていくといいでしょう。

もちろん他者と喧嘩する必要はないんですよ。

人や社会の意見を蹴散らすのではなく、自分の気持ちをきちんと認め「それでええやん」という意識を持つことです。

このあたりもカウンセリングがお役に立てることも多いので、「これ、私のこと?」と思われたなら、ぜひご相談くださいね。

最後に

いかがでしたでしょうか。

恋愛中に感じる寂しさには様々な感じる理由があります。

その理由をきちんと見つめながら対処していくことで、恋愛を楽しみ、幸せを実感しやすくなれるでしょう。

今日の記事がみなさんのなにか参考にしていただければ幸いです。

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