「まだ大丈夫」と思うのは、「もう無理」の裏返しかもしれない|彼との未来が見えないときの心理
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、読者さまからいただいたご相談にお答えします。
テーマは「今の彼と一緒にいられないと思いながらも、判断がつかないとき」。
別れたいと思う。
けれど、別れを選ぶことにも躊躇がある。
そんなときの心の揺れについてのご質問をいただきました。
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いただいたご質問はこちら
浅野さんへの質問
こんにちは。
いつも拝見しています。
こんな相談を送っていいのかと迷いながら、うまく整理できないまま書いています。
今お付き合いしている彼がいますが、正直、この人との未来はもうないのかもしれない、と感じています。
大きな喧嘩があったとか、決定的にひどいことをされたわけではありません。
でも、一緒にいてもどこか満たされないというか、ずっと苦しい感じが消えません。
何度か気持ちを伝えたり、自分の見方を変えようとしたり、「私が求めすぎなのかもしれない」と考えてみたりもしました。
できることはやってきたつもりです。
彼にも彼なりの事情や不器用さがあるのだろうと思いますし、全部を相手のせいにしたいわけでもありません。
むしろ、ここで別れを選んだら彼を傷つける気がしてしまいますし、ここまで一緒にいたのに、私だけが見切りをつけるみたいで申し訳なさもあります。
でもその一方で、
「これから先もこの人と一緒にいたいか」
と自分に問いかけると、どうしても前向きな気持ちになれません。
会えば普通に過ごせる日もあります。
彼が優しい日もあります。
だから、そのたびに「まだ大丈夫かもしれない」と思い直します。
でも、しばらくするとまた苦しくなります。
そしてまた、「もう無理かもしれない」と思う。
その繰り返しです。
本当はもう答えが出ているのに、私が認めたくないだけなのかな、とも思います。
でも、別れを選ぶのが怖いだけなのか、まだできることがあるのか、自分でもわからなくなっています。
私は逃げようとしているだけなのでしょうか。
それとも、こういうときは無理に答えを出さなくてもいいのでしょうか。
ネタ募集ネーム:ライラックさん
「まだ大丈夫」と思うのは、自然なことでもあります
ライラックさん、ご相談ありがとうございます。
ご質問を拝見してまずお伝えしたいのは、
「まだ大丈夫」と思うこと自体は、とても自然なことだということです。
相手との関係を大切にしてきた。
簡単に終わらせたくない。
できれば壊したくない。
ここまで一緒にいた相手を、自分の判断で傷つけるようなことはしたくない。
そうした思いがあれば、すぐに「もう無理です」と割り切れないのは、ある意味当然かもしれないですよ。
特に、誠実に関係を育てようとする方ほど、しんどさを感じたときにもまず、
「私の見方を変えれば何とかなるかもしれない」
「もう少し理解したら違って見えるかもしれない」
「ここで諦めるのは早いのかもしれない」
と考えやすいものです。
それは冷たさの反対側にある反応ですし、関係を雑に扱いたくない気持ちの表れでもあるのでしょう。
ただ今回は、“別れることへの罪悪感”だけではないようにも見えます
今回のご相談を読んでいて、僕が気になったことをお伝えします。
それは、ライラックさんの中にあるのが、単に「別れることへの罪悪感」だけではなさそうだ、ということです。
もちろん、彼を傷つけたくない、申し訳ない、という気持ちは本当にあるのでしょう。
そこは軽く扱わないほうがいいと思います。
ただ、それと同じくらい、あるいはそれ以上に、
「どうしても一緒にいて辛いと感じてしまう自分」を、何とか変えようとしてこられたのではないか
という印象があるんですよね。
気持ちを伝えた。
見方も変えようとした。
求めすぎなのかもしれない、と自分を疑ってきた。
つまり、相手との関係を続けるために努力してきただけではなく、
“この関係をしんどいと感じてしまう自分”のほうを調整しようとしてこられた
そんな風にも見えるのです。
ここ、けっこう大事なところです。
なぜなら、人は「この関係は苦しい」と感じたとき、その感覚をそのまま受け止めるより先に、
「そう感じる自分のほうが間違っているのではないか」
「私が未熟なのではないか」
「もっと大人になれば、もっと理解すれば、乗り越えられるのではないか」
と、自分をそちらに合わせようとしてしまうことがあるからです。
でも、それが長く続くと苦しくなります。
まさに彼に「早く気づいて」というメッセージを出し続けているような状態に近くなると思うので。
そうなると、「続けることが辛い」だけじゃなく「こちらの気持ちも届いていない」という二重構造で心が削れてしまうんですよね。
「一緒にいて辛い」と感じる自分を変えようとすると、より追い詰められやすい
関係に迷いが生まれたとき、たしかに見方を変えることが役立つ場合もあります。
相手の事情を理解することが、関係を柔らかくすることもありますし。
ただ、何度も見方を変えようとしてもなお、
「これから先も一緒に、とはどうしても思えない」
「会っているときは普通でも、また苦しくなる」
という感覚が残り続けているのだとしたら、そこにはそれなりの事情があるはずです。
その感覚が、自分発のものなのか、それとも彼との関係において生じるものなのか。
そこは丁寧に見たほうがいいです。
誰しも、自分が選んだパートナーのことを悪く思いたくもないし、今の関係を否定的に見たいとは思わないのかもしれません。
じゃなきゃ、一緒にいないですしね。
ただ、そうであっても
「いや、まだ大丈夫」
「私が考えすぎなだけ」
「ここで苦しいと感じるのは、逃げなのかもしれない」
と何度も押し戻していると、こちらの選択肢が減っていく感覚がしませんか?
選択肢がなくなると、人はより辛くなります。
本来なら、
- 少し距離を取って考える
- 今の苦しさをそのまま認める
- 何がこんなにしんどいのかを整理する
- 続けるか終わるかを急がず見つめ直す
そんな途中の選択肢もあるはずなのですが、
「苦しいと思う自分を変えなければ」となってしまうと、“この関係を続ける”以外の道が見えなくなりやすいんです。
これは、かなり追い詰められる状態になるかもしれない。
そのあたり、丁寧に「なぜこんなにも別れたいのか、一緒にいると苦しいのか」を見つめたほうが、次の一手の納得感が変わると思うんですよね。
「まだ大丈夫」は、「もう無理」の裏返しかもしれません
だから今回のご質問の中にある「まだ大丈夫」という言葉は、単なる前向きさや希望というより、
「もう無理かもしれない」と思いたくない気持ちの裏返し
として出てきている可能性があるようにも僕は感じたのですよ。
「もう無理」と思ってしまったら、本当に終わってしまいそう。
自分が悪いことをしている気がする。
彼を傷つける人になってしまう気がする。
ここまで頑張ってきたことが、全部無駄になるような気がする。
そう感じると、人はどうしても「まだ大丈夫」のほうに戻りたくなります。
それは自然な反応です。
ただ、その思いが、自分を追い込むことも無きにしもあらず、です。
実際、「それってただの恋愛や彼への執着じゃないの?」という声も聞こえてきそうな話でもありますけどね。
ただ、執着って失うとマズいものに生じるものなので、変なんですよね、単純に彼や今の関係に執着していると考えると。
「そこまで離れたくなっている理由は何?」
僕が思うのは正直その部分なんですよ。
なぜなら、「まだ大丈夫」と思っているあいだは、「もう無理かも」と感じている自分に触れなくて済むからです。
でも、触れないままでいると、しんどさそのものは消えません。
表面では関係が続いている。
でも内側では、ずっと何かが削れていく。
そういうことも、恋愛や夫婦関係では起こりうるのでしょうね。
だから必要なのは、「まだ大丈夫」か「もう無理」かを急いで決めることではない
ここで大事なのは、すぐに「別れましょう」と結論づけることでもなければ、逆に「もう少し頑張りましょう」と励ますことでもないように思います。
むしろ必要なのは、
「まだ大丈夫」と思う自分もいるし、
「もう無理かもしれない」と感じている自分もいる
その両方を、まず捉えることができるようになること、ではないでしょうか。
どちらか一方だけを正しいことにしてしまうと、また自分を追い込みやすくなります。
「まだ大丈夫」と思うなら、その気持ちにも理由がある。
「もう無理かも」と感じるなら、その感覚にも事情がある。
その両方を並べて見ていくと、少しずつ本当の苦しさの正体が見えてくることがあります。
たとえば、
- 彼を失うのが怖いのか
- 彼を傷つけるのが怖いのか
- 別れたあとに一人になることが不安なのか
- これ以上今のように一人で頑張り続けること自体に痛みを感じるのか
- それとも、他の深層心理の影響なのか
- 実は彼のことを愛せない理由をもっているのか・・・
そうしたことが少しずつ整理されていくと、ただ追い詰められている状態からは離れやすくなるのです。
最後に|「逃げかどうか」を判断する前に、自分がどれだけ無理をしてきたかを見てあげたい
ライラックさんは、「逃げようとしているだけなのでしょうか」と問いかけてくださっていますね。
もし、逃げているなら僕にご質問を送ってくださることはないと思いますよ。
そもそも、この手の葛藤は単純な話ではないことが多いんです。
もちろん、複雑な問題だと煽るつもりもないんですけどね。
むしろご質問を読んで感じるのは、
ずいぶん長いあいだ、自分の感覚を押し戻しながら関係を維持しようとしてこられたのではないか、
ということ。
それはきっとあなたの頑張りでもあり、誠実さでもあったのでしょう。
ただ、その誠実さが、自分の心を後回しにし続ける形になっていたのだとしたら、やはり辛くなってしまいますよね。
ですから今は、「私は逃げているのか」を判定するよりも先に、
どうして「まだ大丈夫」に留まってきたのか
そこを見てあげることのほうが大切かもしれません。
「まだ大丈夫」も、
「もう無理かも」も、
どちらも今の本音なのかもしれません。
無理に結論だけ急ぐと、また自分が追い詰められちゃうんだと思うんです。
ただ、自分の苦しさを見ないまま「まだ大丈夫」に居続けることも、少し慎重に見たほうがいいのかもしれません。
だとしたら、どちらかを急いで消すのではなく、その両方があることを眺めながら、
「さてどうでしょうね」と対話していくことで見えてくることもありますよ。
今回のご質問には、別れたい詳しいご事情は書いてくださっていないので、これ以上のことは書けないのですが、本当に追い詰められる前に、信頼できる人にお話されてみる方法もあります。
それが難しいときは、僕でよければいつでもお気持ちの整理のお手伝いしますよ。
別れる・別れないだけじゃなく、深層心理の影響も見つめながらお話をうかがいますので、もし必要だと思われたらご利用ください。
今回は以上です。ありがとうございました。
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- 選ばれたいんじゃなくて、存在を確かめたかっただけかもしれない(note)
- 彼・彼女と別れたいのに別れられない。その心理と別れる方法を解説します。
- 別れの決断を鈍らせる心理 ~感情の整理がつかないと決断が怖くなる~
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