恋愛・夫婦の心理学

元カレではなく「幸せだったあのころ」への執着とその手放し方

元カレではなく「幸せだったあのころ」に執着する

昔を思い出している女性実際にカウンセリングの中で、元カレ・終わった恋愛に関するお話を伺っていると、確かに「元カレ」のことが忘れられない、という場合もあるのですが、中には「私が幸せだった経験(あの頃)」というものが忘れられないとお感じになっている方も少なくありません。

今日は恋愛に関する執着の中でも「幸せだったあのころ」に関する執着について扱ってみたいと思います。

よろしければお付き合いください。

一般的に恋愛における執着は「好きだった人」に向けられると解釈されることが多いようですし、実際にそのようなお話を伺うことは多いです。

好きな彼といい関係を構築できていることで感じる親密感や、恋愛がうまくいっている事実がもたらす安心感、「今が幸せだ」という実感は、私たちにとって好ましい感情です。

だからこそ、「この感情をずっと感じていたい」と感じるものです。

ときには親密感や安心感を感じることで、一人では感じられないような前向きな気持ち・意欲を持てたり、気持ちが萎えそうなことも頑張れる、なんてことが起きることもあるのです。

実際のご相談の中でも「彼がいるときは前向きな自分でいられたんです」とか「彼といたときは、今までとは違う自分でいられた気がします」といったお話を伺うことは本当に少なくないことなんです。

だからこそ、彼がいなくなった事実が辛いものになることもありますし、もう一度彼を振り向かせることで「あのときの私に戻りたい」という思いを持つ人も少なくないんですね。

ここに一つの執着を見ることができるのです。

※「恋愛での執着とはなにか」については以下の記事に詳しく書いていますので参考になさってみてください。

愛情と執着の違いについて愛情と執着の違いについて今日はまとめています。そもそも執着とは「自分のためになにかにしがみついている状態」で、相手を愛している状態とは全く異なるものなのですよ。...

※また、僕が監修を担当したリクルート社・セキララゼクシイさまの記事もご覧いただければと思います。

執着心とは?執着が強い人の特徴と手放す方法を解説!診断表も

ただ、このような執着は、一見すると「元カレに対するもの」のように感じるかもしれませんが、実際は「幸せだったあのころ」「その当時の自分」、つまり恋愛を通じて今までとは違う自分になれたという経験に対するものである場合も少なくないのです。

言い換えるならば「一人では感じられなかった素晴らしい自分」に対する執着であり、今の自分はそうではないことに対する失望や自責の念を感じている、ということでもあるのです。

 

実際、「元カレや終わった恋に対する執着」のお話を伺うとき、僕から「今も彼が好きなんですね」と伺うと、ちょっと間が開いて「でも、そうでもないような気がするんですけどね」とお話しいただく方もいらっしゃいます。

確かに元カレのことが好き、といえばそうなんだろうけど、そこまで彼のことはもう・・・とも思う。

彼がいないことで、失恋当初の「すごく寂しくて仕方ない」という感覚があるわけでもない。(寂しいは寂しいけれど)

この場合、どこか「元カレに執着している」というより、「恋」、もしくは「あの頃恋をしていた私」に執着しているとも考えられなくないんですよね。

これは「ロマンス」に執着している、とも言えますし、幸せだった「あのころの自分、感覚」に執着している、といえるのかもしれません。

心から彼を愛せている自分に価値を感じる私たち

ただ、「心から彼を好きになることでもっと自分を好きになる」ということは一つの恋愛がもたらす心理作用だと考えることができます。

私たちには自尊感情があり、「自分以上に誰かのことを好きになることで、より強い自己肯定感を感じる」ものですからね。

逆に言えば、「誰も好きになれない」「好きな人との関係が終わること」で、今の自分に魅力や価値を感じられなくなることが起きる、ということなのです。

ちょっと話はそれますが、実際に長くパートナーを亡くされた方から、こんなお話を伺うことがあります。

「浅野さんね、私、今までは夫がいたから、時々大変だなと感じる食事の用意やお洗濯も、今までだったら手を抜かなかったんですね。
でも、夫を亡くしてから、自分のためだけに食事を作るとなると、時々億劫になるんですよ。やっぱり私、寂しいんでしょうか。気力がでなくって。」

これは「愛する人・与える対象」を失ったことで感じる「行動動機の喪失」とも言えるのですが、自分が誰かの役に立っている、誰かのために生きているということがもたらしていた充実感や自尊感情を感じられなくなった状態だ、と見ることもできるのです。

そう考えると、僕たちは何者にも依存せず生きることは難しいと考えることができます。(ロマンスは依存心のカタチの一つであり、大人が表現できる依存である、といえますからね)

また、誰かを心から愛することで感じる意欲や「今の自分が好きと感じられること」って大いに有り得ることだと言えるのです。

「幸せだったという経験」に対する執着が起きる心理的背景

話を戻しましょう。

ただ、すべての人が「幸せだったという経験」に対する執着を感じるわけではないのです。

たしかに大切な人との別れは痛いものだったけど、次の恋愛・幸せに向けて行動を起こす人もいます。

新しい恋人に対して恋愛感情を抱く人もいます。

この違いはどこから生じるのか、という部分が、この手の執着について考えるときの重要なポイントになります。

実際、その答えは千差万別、人それぞれで違う、と言えるのですが、一つの支店として「その方がロマンスをどれだけ感じてきたか?」「恋愛や親密な人との中で十分に親密感を感じられていたか?」といった部分に、執着が起きるかどうかの違いを見ることができます。

なぜ、それほどあなたにとって「その恋」「その彼とのロマンス」が貴重に感じるのか?執着したい理由が生まれるのかな?と見るんです。

その多くは、幼少期からのその方の親密な人との関係、そのあり方にあることが多いです。

子供の頃から親密な人(両親・家族・友人など)に、遠慮していたり、言いたいことを言えていなかったり、迷惑にならないように、と、いわゆる「いい子・いい人」の役割を担ってきた方が、その典型例になります。

誰にも迷惑をかけないように振る舞うという意味では理性的でいい人なのです。ただ、いつも「人が自分を受け止めてくれている」といった親密感、安心感を感じにくい状態にあったとも見ることができます。

このような方の場合、大人になって、恋人ができて、初めて自分の心が開く、どこか拡大するような、そんな感覚を感じる経験をされる方も少なくないのです。

その彼と出会って「自分がいいなと思った人と深く関わることがようやくできた」という経験が、なかなか言葉では表現しづらいのですが「深い充足感」となることもあるのです。

そこでようやく「自分を好きになれる気がした」とおっしゃってくださる方も少なくないですしね。

ずっと我慢していた安心感、親密感、自分が自分であっていい、といった感覚が、恋愛によって手に入った。

しかし、いろいろあってまた手放すことになった。

こうなると、自分を受け容れて愛してくれた「元カレ」の存在も大きいわけですけど、そこで感じた「ロマンス」「安心感」「親密感」がものすごく貴重になる、と考えることもできるのです。

だから、ついつい幸せだった頃の自分を思い出しては、その当時の記憶に浸りこむなんてことも起き得るでしょうし、あの頃に戻りたい、あの頃の私に戻るにはどうしたらいいか、とお感じになる場合もあると思うんです。

これ、確かに「執着」なので、今が満たされないという意味で問題になりやすいのです。

が、その心情を思うと「しゃーないよな」と僕は思いますし、誰もその方を責めることはできないのではないかな、と僕は感じるのです。

それぐらい「誰にも負担をかけず、迷惑にならないように」と頑張ってこられたその方を、否定することは難しいでしょうから。

が、しかし、そのような背景から「幸せだった頃の記憶、自分」に執着するならば、次の恋愛って相当に遠いものになりますし、「また同じような経験をするのは辛い」と感じて、恋愛や親密な人を作ることに対する防衛的な気持ちが生じても不思議ではないのでしょう。

だから、彼というより「終わった恋」「幸せだった頃の記憶、自分」に執着している場合、そうしたあなたの心のなかにある原因を取り除いていくことが一つのテーマになるでしょうか。

とはいえ、それはより自分と深く向き合って素敵な恋愛・親密な関係を作りやすくなる自分への変化を求める視点であって、今回のテーマ「幸せだったという経験への執着を手放す方法」とは違う話になりますから、この話はここまでとします。

また別の機会に自分への変化についてはまとめますね。

「幸せだったという経験」に対する執着を手放して、次の恋愛・幸せに向き合う方法

もしあなたが「幸せだったという経験」に対する執着を手放して、次の恋愛・幸せに向き合うならば、言い方はちょっとドライに聞こえるかもしれませんが「幸せだった経験」を心のなかで完了させ、手放すことが求められます

ただ、それは「あの彼はもう戻ってこないんだ」「あの幸せは終わったんだ」と自分に言い聞かせることではないのです。

実際、ご相談の中でお話を伺うと、「もう終わったんだ」と自分に言い聞かせようとされている方とたくさん出会いますが、おそらくやればやるほど苦しくなる場合が少なくないでしょう。

なぜなら、幸せだった事実を無理やり終わらせようとしても、自分の内面が「あの頃の経験、自分」を何度も思い出そうとするならば、どうしても過去の記憶に浸り込んでしまうものだからです。

また、その自分を責めたところで過去の記憶は消えないし、逆に自分の気持の置所を求めるような気持ちが強まって、また思い出そうとしてしまうことが増えるでしょう。

これはひとつの「禁止の心理」の効果で「私たちは心のなかで禁止したものにより興味を持ってしまう」からです。

※禁止の心理については↓の記事で詳しくご紹介しています。

忍耐女子がもつ「禁止(タブー)」を手放しセルフイメージを高めよう 【忍耐女子が心を癒やすと最強になる理由 その28】忍耐女子さんが持つタブーとは「自分を表現してはいけない」。自分の願い、気持ちを我慢して表現しない生き方を続けているのです。そうしているうちにセルフイメージがネガティブになるから、更に忍耐することになるのですよね。...

だから、このような「幸せだった頃の記憶」を完了させ、その執着を手放すには、自分に幸せを提供してくれた人(ここでは「元カレ」ですが)に対する、心からの感謝や、相手の幸せを願うことになります。

そうすると、心の奥底の方から「自信」「安心感」が感じられ、幸せだった頃の記憶や自分に執着しない自分になっていくことができます。

僕は先にこう書きました。

>「心から彼を好きになることでもっと自分を好きになる」ということは一つの恋愛がもたらす心理作用だと考えることができます。

>私たちは「自分以上に誰かのことを好きになることで、より強い自己肯定感を感じる」ものですからね。

つまり「あの頃はよかったけど、今はもう・・・」と感じることが、自分自身をより切ない気分にさせていて、幸せだった頃の記憶や自分への執着を強める理由になっている、というわけです。

だから、昔のことを思い出さないようにしてね、と言いたいわけではなく、思い出してもいいから、元カレに感謝したり、相手の幸せを願えるようになることです。

『あなたと出会って私は幸せだったよ、ありがとう』とか『お互いに幸せになりましょう』と思える自分への変化を求めていきませんか、ということなのです。

僕たちのとって最もシンプルな、しかし最も思い難い手放しのメソッドは「感謝」です。

「感謝」には感情を完了させる効果がありますからね。

ちょっと切ない例ですけど、別れた彼に心からの「ありがとう」を伝えたら、その関係って本当に「終わったんだな」って感じません?だから、まだ失恋に対する後悔が残っているときほど、心からのありがとうって言いづらいことってないでしょうか。

それを言いたくない、伝えたくない、失ったことを認めたくない。

そう思うことってないでしょうか。

これ、まぁ言ってしまえば執着です。執着があるからありがとうが言えないんです。

が、僕たちは価値のないものに執着することはありません。

「自分にとって価値のあるもの」に執着するのです。

そして、その価値のあるものを大切にできない自分をちっぽけに感じ、自罰的な感情を感じたり、自分を肯定できずにいるのです。

その結果、アレだけ価値のあった幸せな記憶を、自分で価値のないもの(もう私の人生に存在しない、意味のないもの)にしてしまうわけです。

そもそも執着心とは「より今の自分をちっぽけに感じないようにするため」に持つものですけれど、実際は執着を続けることで失ってしまう自分の価値、愛情の価値もあると理解してみていただくといいかもしれません。

また、幸せだった頃の自分に執着しているときって、その当時の自分がとっていた行動を取らなくなっている場合も少なくありません。

あの頃はよくこんなことをしていたな、とか。
こんなお店によく一人で行っていたな、とか。
もっと自分のためにご褒美をあげていたり、自分を磨くために〇〇なことをしていたな、とか。

特に自分を磨く、自分をいたわるような行動について、もう一度今の日常に取り戻してみてもいいでしょう。

どこか「心にはりがあった頃の自分」の行動を取り戻す感じです。

どうしても気分が変わらないときは、行動や言葉を変えることが有効になることも多いですからね。

ただ、その行動を取ることで過去の記憶が蘇って辛いならば、その気持ちを消化して癒すほうが先なんですけどね。(無理に過去と同じような行動しないでね、という意味です。)無理して行動を変えようとして苦しむと、それはそれで逆効果になるので要注意ですね。

最後になりますが、もし、あなたが幸せだった頃の記憶・自分に執着しているならば、あなたは一度「手に入らないと思っていた幸せなどを手に入れた」のです。

もちろんそれを失った悲しみや切なさまで、僕は否定するつもりはありません。必要ならば丁寧にその気持ちを人に話す、紙に書くなどして癒やしておかれる方がいいでしょう。

その上で、元カレ、終わった恋、幸せだった頃の自分を完了させる「感謝」の気持ちを持つことで、自分の気持ちは安定するし、今度はもっと焦らず、じっくり相手との信頼・つながりを持てる恋愛をすることも可能になっていきます。

もちろん自分自身に対する承認も大切ですよ。

元カレのことを本気で好きで、大切に想っていた自分のことも「すごいじゃん」「よくやったよね」と扱ってあげてください。

それが難しいと感じるなら、まだあなたは自分を責めているのかもしれません。「ちゃんと愛せなかった自分」「愛されるような自分でいられなかったこと」を後悔しているのかもしれません。

そんな気持ちがあるならぜひ否定せず、全て「そう感じているんだな」と少し客観的に受け止めてみましょう。

じっくり気持ちの整理をしていくと、感謝にたどり着き、より凛とした自分にたどり着くこともできるようになりますよ。

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