こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
「人に頼めない」「お願いするのが苦痛」「頼りたいのに頼れない」
そんな感覚に、心当たりはありませんか。
「人に頼むのが苦手」というご相談、これまで何度も伺ってきました。
自分で頑張ること・愛することは正しいと信じてきた人ほど、
誰かに頼ることを「裏切り」のように感じてしまうことがあります。
それは弱さではなく、そういう世界を生きてきた、という事実です。
しかし、実際は自分を疑ってしまう。
頼めない自分は、弱いのではないか。
甘えていると思われるのではないか。
迷惑な人間だと思われるのではないか。
そうやって一人で抱え込み、
「だったら自分でやった方がいい」と生きてきた人たち。
けれど僕は、この悩みを
性格やコミュニケーション能力だけの問題だとは考えていません。
人に頼めない人には、そうせざるを得なかった“世界の見え方”がある。
今日は、
「人に頼めない人は、どんな世界を生きてきたのか」
その心の風景を、できるだけ丁寧に言葉にしてみようと思います。
Index
「お願いするのが苦痛」になる心理はどこから来るのか
人と距離を取るようになったきっかけは、
もしかすると「嫌われた経験」ではなかったかもしれません。
誰かに合わせすぎて疲れた。
空気を読みすぎて、居場所が分からなくなった。
本音を出したら、関係が壊れた気がした。
そんな経験を重ねるうちに、
「一人でいられる自分」のほうが安全だと感じるようになった。
それは、逃げだったのかどうか、当時の自分には分からなかったのだと思います。
ただ、振り返ってみると、
当時の自分なりに“人と関わるために選んだ方法”だった
そう見える部分もあるんじゃないでしょうか。
つまり、「お願いすることへの苦痛・抵抗感」って、
「誰かに拒絶された経験」から来ているとは限らないんですよね。
むしろ多いのは、
「きっと拒絶されるだろう」
という予測や思い込み。
だから選択肢が、
「一人で頑張る」「自分で抱える」
しか残らなくなってしまう。
その結果、余裕がなくなり、追い込まれ、
「どうして私はこんなにしんどいんだろう」と悩む。
これは「頼り下手」というより、世界を安全に生き延びるために身につけた反応なんです。
人に頼めない人に多い「恥ずかしさ」と人間関係の距離感
人に頼むのが苦手な人の多くは、いわゆる「恥ずかしがり屋」でもあります。
ここで言う恥ずかしがり屋は、
顔が赤くなるタイプ、という意味ではありません。
「自分を見せること」
「未完成な自分を知られること」
それ自体が、強い恥(リスク)に感じられる状態。
だから、親密な関係ほど距離を取ろうとするのです。
結果として、
- 距離が遠すぎる人に、急に親密さを感じたり
- 近しい人に、ずっと遠慮してしまったり
人との距離感が、極端になりやすいんですね。
「人との関わり方がよく分からない」
でもそんなこと、今さら誰にも聞けない。
だから一人で悩み続ける。
それが「人に頼めない」状態の土台にあることは、少なくありません。
無意識に人を遠ざけてしまう「人に頼めない人」の行動パターン
もう一つ、よくあるのがこれです。
人に頼めない人ほど、
無意識のうちに拒絶的なサインを出していることがあります。
たとえば、
- 目線をすぐ外す
- 正面で向き合わない
- 「別にどっちでもいいです」が口癖
本人にそのつもりはなくても、
周囲から見ると、
「関わらないでほしい」
「距離を保ちたい」
というメッセージに見える。
結果、相手は距離を取る。
それを見て、さらに人が怖くなる。
このループが続くと、
「やっぱり一人でいい」
という結論に辿り着きやすくなるんです。
「何かを与えないと愛されない」と感じてしまう心理構造
人に頼めない人のお話を伺っていると、一つの共通点が浮かび上がってきます。
それは、
「何かを与えないと、愛されない」
「役に立たない自分には、価値がない」
という感覚。
ここでは、罪悪感や無価値感という言葉より、
「利用価値で世界を見てきた」と言った方が近いかもしれません。
・役に立つかどうか
・迷惑をかけないかどうか
・ちゃんとしているかどうか
この基準で、自分も他人も、評価される世界。
そんな世界で生きていれば、
「お願いする」ことは、価値が下がる行為に感じられてしまう。
だから、頼めない。
完璧でいようとする。
失敗が怖い。
これは弱さではなく、生き残るための適応なんだと思うのです。
失敗が許されない世界で育つと、人は人に頼れなくなる
失敗=無価値。
そう感じる世界では、人を信じる余裕なんて持てません。
だから、
- 一極集中で依存してしまったり
- 逆に誰も信用しなくなったり
- 人の失敗に過敏になったり
人との関係が、どこか極端になりやすくなります。
それは「性格が悪い」からではなく、戦場のような世界で生きてきた結果です。
人に頼めない生き方は「弱さ」ではなく、生き延びるための選択だった
ここで少し、僕自身の話をしますね。
僕もかつて、「絶対に人なんて頼るものか」と思って生きてきた人間の一人です。
助けてほしいと言う代わりに、
諦めて、遠ざかって、自分を恥扱いする選択をしてきました。
人が温かい存在だなんて、正直、分からなかった。
残ったのは、人への恐怖と、それでも折れないためのプライドだけ。
だから分かるんです。
人に頼めない生き方が、どれほど必死な選択だったか。
「世界は戦場だ」という前提に気づくことが変化の始まり
今、僕が少しずつ感じられるようになったのは、
「お互いさま」
「持ちつ持たれつ」
「支え合い」
という感覚です。
これは、誰かに言われて信じたわけじゃありません。
ただ、何より大きな気付きだったことは
「自分は今「戦場」というフィルターで世界を見ている」
「その前提の世界を今もなお生き続けている」
と気づくことが始まりでした。
頼れない理由を探すより、
自分のプライドの高さを嘆くより、
頼れない自分の至らなさばかり見つめるより、
自分はそんな人間だから仕方ない、と考えるより、
何より大きな気付きは「今、自分は世界を戦場として扱っている」ということ。
過去を振り返り、自分を愛してくれた人を思い返したとて、焼け石に水。
今、戦場を生きているなら、それは慰めにしかならない。
だから、
「自分は世界を戦場だと思っていた。だから頼れなかったのだ」
という”立ち位置のズレ”に気づくことが
「実は、そうではなかったかもしれない」という気づきをもたらす第一歩でした。
こちらの記事も読まれています
- 「自分の手で相手を幸せにしたい」と願い続けてきた人が、 苦しくなってしまう理由
- 誰かに頼れない自分って、変なんでしょうか? 〜「頼れない私」を責める前に見てほしい心のしくみ〜
- 「仲間や友達ができない」という悩みとその心理 〜補償行為と家族関係の視点から〜
人に頼めないあなたが、間違っていたわけじゃない
この記事は、「人に頼めない自分を直すための記事」ではありません。
なぜそうなったのかを理解し、
自分を責めずに立ち位置を見直すための記事です。
人に頼めないのは、弱さではありません。
あなたが生きてきた世界に、理由があっただけ。
もし今、
「この生き方を少し変えたい」
そう思える余地があるなら、
いきなり頼れるようにならなくていい。
ただ、
「この世界を戦場としてみていたのかもしれない」
そう考えてみるところからで、十分です。
人に頼めないあなたは、ずっと必死に生き延びてきた人です。
その事実だけは、どうか忘れないでください。
心理カウンセラー浅野寿和公式WEBのコンセプトは
「人は裁かない。でも、構造はごまかさない。」
こちらでは、心理学の知識だけでなく、
”今の自分自身”や“今ある関係を整えるための心理学”をお届けしています。
ちゃんとしてきたはずなのに、立ち位置が分からなくなったときに読む心理の話
毎月6万人が訪れるこの心理ブログでは、
誠実に頑張ってきた人が、
自分の立ち位置を見失わずにいるための“心の整え方”をお届けしています。
責任や孤独、関係の悩みなど“大人のこじれたテーマ”を、月・水・金に新作コラムで発信中。
👉 一人では解けなかったお悩みを、さまざまな視点から整理する記事です。日常の気づきにお役立てください。
一人では抱えきれなくなった気持ちを、少しずつほどく場所|無料メールマガジン
もし、一人で考えるには少し重たいな、と感じたら
文章という距離感で、もう少し整理したいと思えたら
無料メールマガジンで、ブログでは書ききれない「迷いの途中の話」もお届けしています。
週3回(火・木・土)配信しています。
あなたのペースで、心の理解を“使える気づき”に。
正しさでは動けなくなった人のための心理学講座
「わかっているのに動けない」状態は、多くの場合、努力不足ではないんです。
オンラインで受講できる”心理学講座”は、
問題解決のための行動を増やす前に、
「今、自分がどの位置で考え続けているのか」
を整理していく時間です。
自分の感覚が分からなくなってしまったときの個人セッション
それでも、
- 考えても考えても同じところを回っている
- 自分の感覚が、もう一人では掴めない
- 誰かと一度、整理し直したい
そう感じたときは、個人セッションという選択肢もあります。
必要だと感じたタイミングで、ご覧ください。

