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お互いに夫婦でいることがストレスだと感じる、というご相談
夫婦でいることで疲れを感じる。一緒にいても安らげない、イライラする。
毎日仕事に家事にと頑張っているけれど、一向に夫婦であることで幸せを感じない。
自分自身が燃え尽きたような感じがしていて、もう頑張れない、もう愛せないと思うことが増えた。
実際の夫婦再生にまつわるカウンセリングでお聞きすることがあるお話です。
夫婦関係に疲れる、ということは十分にありえることです。
が、どうして疲れてしまうのか、その理由まではなかなか思い当たらないことが多いのかもしれません。
もちろんどうして夫婦でいることに疲れるのか、の理由は様々考えられます。
ただ、今回は
「夫婦関係を継続させるためにいだく意識の違い」
あたりから、その理由について考えてみたいと思います。
ちなみに、今日から当面は夫婦関係のコラムを連発していこうと思っています。
このブログをご覧いただく皆さんの何かお役に立てれば、と思いつつ。
それでは、今日のコラム、よろしければご覧ください。
夫婦でいることがストレスだと感じる理由
夫婦関係でストレスを感じたり、夫婦でいることが辛くなる理由の一つは
「お互いに今の関係を維持することがストレス状態を強めたり、不安や心配などが強化される状態にあること」
と考えられるんです。
要は、夫婦が同じ時間を共有したり、一緒にいることが
気持ちの面で、時には身体的な面でも「マイナスの作用」をもたらしている
という感じです。
いわば「一緒にいるからしんどい(一人でいると楽)」という状態です。
この傾向は、僕たちの心理学でいうところの「自立:自立」のカップルに多くみられる傾向がある、といえます。
自立とは、「いかに傷つかないか(失敗しないか)を優先して一人で生きる態度」のことを示すんですけどね。
※自立に関する解説は次のコラムにまとめていますので、よろしければ参考になさってください。
自立的な態度を続けてしまうデメリット
誤解がないように先にお伝えしておきますが
「自立的な意識や態度が悪」ということでは決してないのです。
ただ、例えば、夫婦で互いの価値観や考えが一致しないことはザラに起きることですよね。
そのような価値観の不一致や考えが合わないとしても、お互いの気持ちを持ち合い、寄り添い合うことで関係はより素晴らしいものになってきます。
が、お互いが自立的な態度を取り、自立的なパートナーに関わり方しかしていないならば、
夫婦関係って「お互いの考えや気持ちの押し付け合い」にしかならないんですよね。
どこか「分かり合える」とか「分かり合う」という発想がない度合いだけ
二人でいることがただのストレスになる。
だから、本来は「パートナーや家族のために」と頑張っている仕事や家事なども
続けるだけでストレスを感じる要因となっていくんです。
本来は相手のことを思っている二人が、どんどんムカつき、邪魔で、こちらの気持ちを考えないひどい人、のように感じるようになるんです。
ただ、どうしてそう感じるのでしょうね?
本当は分かり合いたいし、お互いに信頼し合いたいはずなのに・・・。
という話を、もう少し突っ込んで解説する上で重要な「オキシトシン」と「ドーパミン」の話をカンタンにまとめてみます。
愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」
オキシトシンとは下垂体後葉ホルモンの一つ。
乳腺の筋肉を収縮させることで乳汁を排出させる作用があり、射乳ホルモンとも呼ばれています。
また、分娩時に子宮の収縮を促す作用もあると言われています。
近年では、オキシトシンが老若男女問わずストレス状態を軽減させ、不安や心配などを緩和させてくれるといった働きがあることが分かっています。
オキシトシンが分泌されると、
ストレスを感じる要因に過剰に反応していた脳をなだめて平常の状態に戻したり
脳の疲れを癒したり、気分を安定させるなどの作用があると言われています。
また、オキシトシンが十分に分泌されているとセロトニンの分泌が増え、その相互作用によりストレス緩和につながる、とも言われています。
このオキシトシンの分泌アップに効果的な方法には、以下の通り。
- パートナーや家族とのスキンシップを図る
パートナー、家族などとのスキンシップはオキシトシンが分泌されるといいます。 - コミュニケーション(グルーミング)
人が一か所に集まってコミュニケーションを楽しむこと(グルーミング)によって分泌が促されます。 - タッチケア
マッサージなどでも分泌が促進されるといいます。
スキンシップやコミュニケーション、つまり、人と愛情や想いを交わしあったり、人とのつながりなどがあると気持ちが安定するというわけです。
やる気を生み出す「ドーパミン」
ドーパミンは神経伝達物質の一つで、快楽物質とも呼ばれるものです。
例えば、楽しいことをしている時や目標を達成したとき、褒められたときなどに分泌されます。
また、ドーパミンには「やる気」を出してくれる役割もあります。
また、ドーパミンが増えることでポジティブで意欲的になることができます。
ドーパミンが放出されて快感を得ると、脳がそれを学習して、再びその行為をしたくなると言われています。
よって、さらに大きな快楽を得ようとして努力をするようになります。
それが仕事や勉強といった自分にとってプラスに働くものであればOKなのです。
が、場合によっては依存症や中毒となってしまうことがあります。
例えば、ギャンブル依存、買い物依存、ゲーム依存、アルコール依存などがそれにあたりますね。
夫婦でいることがストレスではなく、幸せに変化させるために必要なこと
ここからは「幸せの定義は人によってさまざま」という前提の上でお話します。
もし、幸せな夫婦関係というものが
「夫婦でいることで幸せを感じる」だとか
「夫婦関係が、ストレス状態を軽減させ、不安や心配などを緩和させてくれるといった作用を期待できるものとする」ならば
コミュニケーションとスキンシップがある程度求められる、ということになります。
二人が関わり、共有できる物を増やし、言葉や想いを交わしあい、支え合い、スキンシップを増やす、などの行為によって癒やされたような、ジワる幸せを実感しやすくなる、という話なんですね。
一方、夫婦関係に関わりやつながりを期待せず
夫婦であっても
「今まで通り(独身時代のように)自分らしくいたい」
「とにかく仕事へのやる気があふれるように」
とだけを考えるなら、まぁパートナーや家族とのスキンシップやコミュニケーションはそこまで重視されないかもしれません。
よって、僕たちの心理学でいうところの「自立的な発想、行動」が増えるんですね。
もちろんどちらがいい悪いという話ではないのです。
こういった話はバランスの問題でもあるわけです。
やる気より気持ちの安定が先、という考え方
ただ、一つの考え方として
(今日は取り上げていないですが)不安感を和らげて精神を安定させる働きがある「セロトニン」と
「オキシトシン」による幸せが土台となって
ドーパミン的な幸せが最高のものとなる
という考え方があるんですね。
例えば
「毎日不規則な生活ばかりしていたり、無理に仕事や目標達成ばかりしていても、家庭が崩壊していたとすれば、それは幸せと言えるのか」
という話なんです。
ただその一方で、いわば自分を整えたり、自らが癒やしの要素を受け入れることで
「やる気や意欲を失うのではないか」
と不安になる人も一定数いるだろうな、と僕の経験上思います。
例えば、夫婦や家族のために必死こいて稼がなきゃ、という意識が強いときに、癒やされて幸せになる、とはなかなか思えないもの。
自分が折れないように必死で頑張るはず。
が、その状態を続けるなら、夫婦・パートナーとの関わり、コミュニケーションの優先順位は下がってしまう可能性がある。
それが何をもたらすか、というと・・・。
そうです、もうおわかりですよね。
「夫婦でいることがストレス」を卒業するために必要な「関わり」
こじれた夫婦関係をより良い形にしたい、再生させたい。
「夫婦でいることがストレス」な現状を変えていきたい。
そんなクライエント様からのお声を伺うたびに、僕もお力になれるように、と心から思うのです。
ただ、夫婦関係をより良くするために
今まで散々寂しい思いをしたり、怒りや虚しさを抱えているにも関わらず
それでも頑張ってポジティブに振る舞ったり、やる気を奮い立たせようとされている。
そんな女性の皆さんとお会いすることも少なくないです。
もちろん、夫婦関係をより良い形にするには、自分自身の意志、決意も必要なんです。
が、あまりに自立的な発想を強くしてしまうことで、弊害も生まれるといいますかね。
特に、あなたが自立的であればあるほど、パートナーと関わるときに癒やしの要素を提供できなくなることもしばしば起こります。
また、夫婦間に失われたコミュニケーションやスキンシップを、気合と根性で実現すると考えすぎることもまたしんどいもの。
あなた自身が「誰かとの心のふれあい・関わり合い」を持ってみてください
だから、「夫婦でいることがストレス」を卒業したいならば
あなたご自身が「誰かと関わり、想いを交わし、抱えてきた感情を外に出す」といった経験を積んでいただきたいのです。
一人で悩み、追い詰められている状態を抜け出しておいていただきたいのです。
ここでのポイントは「あなたが誰かと関わる」という部分。
それはご両親やご家族でもいいし、信頼できてどんな話でもできる仲間でもいいし、僕たちカウンセラーでもいいんです。
「ちゃんと話し合える、関わりあえる誰かと関わる」
ということが大きく影響するポイントなのでね。
そのあとで、パートナーとの関わることを実践することを僕はオススメしています。
そもそも長年パートナーをされてきた方ほど、相手のことはある程度理解されているはずなのです。
だから、僕からパートナーとの関わり方を細かくお伝えするなんて、そりゃちょっと失礼かな、と思う部分があるぐらい。
ただ、こちらの行動を跳ね除けられるような経験を積むと
「何を言ってもダメ」「何を伝えてもダメ」
と思ってしまうものなんですよ。
ただ、ここでよく理解していただきたいのは「何をやってもダメ」なのではないんです。
「お互いがお互いの影響を受け止めあっていないなら、何をやってもダメになってしまう」のです。
最後に
この間もこのブログに夫婦再生と女性性の話について書かせてもらったんですけどね。
https://www.asanohisao.jp/archives/15698.html
例えば、あなたが一人で頑張ることが悪いわけじゃないんです。
ただ、夫婦や恋愛というものは「関わり合い」なんですよね。
だから、自分のスタンスが自立的であればあるほど、パートナーと関わる意味合いが削がれることにもなります。
また、多くの人にとって「パートナーの行動って支持したいもの」になりますよね。
だから、自分が自立的であればあるほど、相手もそれにならえといいますか、その態度に合わせてくることも少なくないです。
「お互いに一人で頑張っているから、自分もそうするべき」
と考えてしまうといいますかね。
特に、パートナーのことをどこかで見上げていると、相手に態度が正しいように感じて何も言い出せなくなる人も少なくないです。
結果、「本当は関わりたいのに」という気持ちを押し殺し合う、半ば犠牲的な関係ができあがってしまう場合もあります。
それほどまでに、「夫婦でいることがストレス」を卒業するためには
「人とつながる・関わり合うプロセス」
を進んだほうが幸せになる場合もある、と僕は考えるんですね。
もしあなたにキチンと心を見つめながら話し合える人が必要なら、カウンセラーもその一つの選択肢に加えていただければ幸い、と思います。
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