こんにちは、心理カウンセラーの浅野寿和です。
毎週月曜は「仕事や生き方」をテーマにしたコラムをお届けしています。
今日は、仕事をしているとふと出てくる言葉「もう無理」について、少し丁寧に観察してみたいと思います。
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たとえば、責任ある立場で仕事をしているとき。
職場でミスが続いたり、人間関係でうまくいかないことがあったり、
あるいは頑張っても頑張っても終わりが見えない。
そんなときに、心の中からふっと「もう無理」とつぶやいてしまうことって、ありません?
でも、「もう無理」と感じること自体を、「私って弱いのかもしれない」「無責任だ」と責めてしまう人も、また多いんです。
あるいは、「この程度で限界なんて、自分はまだまだ甘い」と思ってしまったりね。
けれど、僕はこう思うんです。
「もう無理」と思えることは、それだけ“自分の内側”を感じている状態である、と。
つまり、「自分の内側が出しているサインがとても強くなっている状態だ」と思うのです。
Index
「もう無理」は、外の出来事だけで起きていない
職場で「もう無理」と感じるとき。
本当に限界になっているのは、タスクの量やプレッシャーだけでしょうか?
実際のところ、外的な負荷よりも、
- 自分をずっと追い込んでしまっていた
- 自分の感情に気づかず我慢していた
- 期待に応えようとしすぎていた
そんな“内側の圧”が積み重なった結果、
心が「これ以上は無理です」と教えてくれている場合も少なくないんです。
つまり、「もう無理」と思った瞬間、それは
「今までのやり方では続けられない」という、心や身体からのフィードバックかもしれません。
「もう無理」と感じたときの、過ごし方と向き合い方のヒント
限界を感じたとき、「今のままではダメだ」と焦ったり、「変わらなきゃ」と思い詰めたりする方も少なくありません。
でも、そんなときほど、まずは“急がないこと”が大切です。
1. 「正しさ」より「体感」を大事にする
限界を感じたときほど、「これは正しい選択だろうか」と頭で考えてしまいます。
でも、今必要なのは“正しさ”よりも、“自分の感覚を取り戻すこと”。
- 食べたいものを食べる
- 眠いときに寝る(無理に寝ようとしないことも重要です)
- 話したい人とだけ話す
- 体をゆっくり休める
- 気分転換が可能ならそれを実践する
そんな「感覚を整える時間」を過ごすことで、 自分の声が少しずつ聴こえてくるようになります。
※睡眠に関しては、厚生労働省のホームページにあります「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をご覧になってもいいかもしれませんね。
2. 「役に立たない時間」を許可する
頑張り続けてきた人ほど、「なにか成果を出さないと」と思いやすい。
でも、限界を感じた今は“なにもしない時間”にも意味があります。
- 散歩をする
- ぼーっとする
- 音楽を聴くだけの時間をつくる
これは「回復のための土壌づくり」なんです。
特に、散歩やボーっとすることで心が落ち着いたり、不安や怖れに飲み込まれない時間を作ることもできるでしょう。ただ無理をしても辛いですから、無理に取り組むことではないと僕は思います。
3. 「頑張れない自分」を否定しない
「前みたいに頑張れない」ことが、不安になるかもしれません。
でも、それは壊れかけているからではなく、「今まで無理しすぎていた」サインかもしれない。
そんな自分を責めず、「ここから整え直すプロセスなんだ」と理解することが、 回復の第一歩になることも多いのです。
「限界」は“再起動”の前兆になることもある
さて、個々からは少し視点を変えた話です。
もし、あなたが今、「もう無理だ」と感じているなら。
その感覚は、“限界のサイン”であると同時に、“本当の自分に立ち戻る入口”でもあるかもしれないのです。
もちろん「限界を迎えることが正しい」と言いたいわけではありません。
本当に限界まで頑張り続けてしまうのは危険なことですし、そこで無理を押し通せば、心身に深刻なダメージを負うこともありますので、決して無理をしないでくださいね。
ただ、たとえば「もう無理」と感じたことで、今まで他人の期待に応えることを優先してきた人が、「もう無理」と感じて、自分の本音に気づいたり。
頑張り続けてきた自分を初めて労おうとしたり。
そういう「小さな立ち止まり」が、その後の人生を整え直すきっかけになることも少なくないんですね。
今は、無理だと感じる自分にがっかりしたり、責めたくなってしまうかもしれませんが、長いプロセスで見たときに、この経験が生き方の転換点となることも少なくないのかもしれません。
この話は「そう理解してほしい」ということではなく、少しだけ頭の片隅においておいてほしいな、と願って書いていることです。
自分の限界を迎えたときほど、今の状況や自分のあり方を否定的に見つめてしまうことが多いですからね。
無理を感じる感性は、決して悪いものじゃない
この仕事をしていると「もう無理と思ってしまった自分を責めたくなる」という声も、たくさん聞いてきました。
「無理なものは無理だし、しょうがない」。
そう言える人ならまだ楽なのかもしれません。
でも、それすら言えない真面目な方も少なくないのです。
けれど、「無理を感じる感性」が働いてくれていること自体、実は「回復へのキッカケ」なのかもしれませんよ。
なぜなら、本当に“無理”に麻痺してしまっているとき、
人は「もう無理」とすら思えないことがあるからです。
だから、「もう無理」と感じたら、
「よくここまで頑張ってきたな」
「自分の感覚を感じられるようになってきたな」
と、小さく自分をねぎらってみてほしいのです。
おそらく「ねぎらうこと自体が難しい」ということは僕も承知の上で書いています。
でも、この言葉を届けたいと思っています。
できなくてもいいんです。ただ、無理のない程度で、そんなまなざしを自分に向けてあげる時間が少しでも増えればいいですよね。
そして、何かしらの限界を感じているときには、
「無理に前向きにならなくていい」「急いで変わろうとしなくていい」
あなたの今を大切にしてほしいと思います。
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まとめ:限界のサインは、人生の舵を切り直すキッカケになることもある
職場で「もう無理」と感じるとき。
それは、今の自分の働き方や人との関わり方に、何らかのズレが生じているサインかもしれません。
だからこそ、その感覚を否定せず、
- 何が自分を苦しめていたのか
- どうすれば少しでもラクになれるか
- どこに自分らしさを取り戻せるか
を、丁寧に見つめることが、次のステージへの“再起動”につながっていくのだと思います。
「もう無理」を感じたときこそ、無理をやめるチャンスかもしれませんね。
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