突然ですが、いい意味で「うるさくない人」いますよね。
いわゆる「声が小さい」とか、「自己主張が足りない」とか、そういう話じゃなくて。
なんというか、空気に波紋を立てずに存在できる人。
あえて言えば、「ノイズにならない人」なんですけどね。
SNS全盛の時代においては、こういう人ほど地味に損をしがちです。
誰かの発言に瞬間的にリアクションしたり、派手に反応したり、逆張りで目を引いたり。
そういう動き方が「面白い」とされやすい時代でもあるのでねぇ。
でもね、「ノイズにならない」というのは、決して「影が薄い」わけじゃない。
それはむしろ、“自分を濁さずに立つ力”でもあるんです。
ということで、僕のクライエントさんって、ホントいい意味でノイズにならない人が少なくないので、今日はそんなみなさんへの援護射撃をしたいと思います。
Index
「騒がしさ=価値」ではない世界
情報が多すぎる時代に、騒がしいものってすごく目立つわけですよ。
「あの人、なんか言ってる」
「え、あれ炎上してる?」
「この人、すごいこと言ってる風だな」
そんなふうに、“声の大きさ”や“ノイズ量”が、無意識に価値と結びついてしまうことがあります。
でも、それって結局、「演出」と言ってしまえばそれまでなんですよね。
あんまりハッキリ書くのはどうかと思うのですが・・・心理学をご存じの方ならこんな話を一度は聞いたことがないでしょうか?
【利用可能性ヒューリスティック(Availability Heuristic)】
→ よく目に入る・耳に入る情報のほうが“真実らしく”感じられる傾向のこと。
つまり、露出頻度の高い人=信頼できる人と錯覚しやすくなります。
たしかに目立って露出が多い人ほど真実らしく感じられやすいのでしょう。
ただ、どんなに目立っていても、ふと落ち着いた瞬間に、「で、何が本質だったんだっけ?」と自分で首をかしげる。
そこに深みがなければ、人は結局離れていくのかもしれません。
一方で、「ノイズにならない人たち」は、いい意味で“その場にいても邪魔にならず、でも必要なときにそっと手を差し出せる人”なんですよ。
だから、地味かもしれないですけど、徐々に信頼されていく。
これ、実は長期的に見るとめちゃくちゃ強いな、と僕は思っています。
ノイズにならない人が、幸せになれる理由
じゃあ、なぜ「ノイズにならない人」が“幸せ”になれる、と僕は言い切っているのか?なんですけどね。
それはね、「相手にとって、静かに安心できる存在」だからです。
たとえば
- 相手を圧倒しない。
- 話の主導権を奪わない。
- でも、どこかでちゃんと見ている。
そんな人が近くにいると、人は“気を抜ける”というか、落ち着けるんです。
大人であればあるほど、落ち着く相手と一緒にいることが幸せだ、と感じる人も少なくないのです。
もう少し突っ込んで解説しよう!
人は本能的に、“安全”を感じられる相手と一緒にいると、心と体の緊張がゆるみます。
それは単なる気のせいではなく、神経系の働き、とくに副交感神経が優位になることで、身体が「安心していいよ」と感じている状態なんです。
また、心理学では、「情動調整(emotion regulation)」という言葉があります。
これは、感情が揺れたときに、自分の中でそれをうまく整えていける力のことですが、実は人との関係性の中でこそ、この力が育ち、発揮されやすいとされています。
落ち着く相手というのは、無意識のうちに私たちの情動を調整してくれる存在。
たとえば、過剰に刺激してこない、過干渉しない、でもそっとそばにいる・・・。
そんな関係性は、安心感を通じて脳と心を「整えてくれる」関係でもあるんですね。
さらに、「安全基地(secure base)」という愛着理論の概念があります。
それは、人が外の世界に向かって挑戦したり、安心して戻れる場所を必要とするという考えです。
落ち着ける人の存在は、まさにこの「安全基地」として機能し、自己肯定感や自己効力感を静かに支えてくれる。
派手さはないけれど、いちばん深いところで“人生の質”を支えてくれるのが、「落ち着く人」と一緒にいる幸せなんです。
しかも「ノイズにならないタイプの人たち」って、自分が「主張しない」ことを美徳にしてきた分、人の内面にとても敏感。
だからこそ、“目立たないけどちゃんとわかってくれる人”になれるのです。
一時の高揚ではなく、じんわりと信頼を育める。
それって、「長く続く幸福の条件」だったりするんですよ。
とはいえ、「目立たない」ことがつらくなる日もある
とはいえ、もちろん「ノイズにならないこと」も、いいことばかりじゃないですよ。
ノイズにならない人は、目立たないがゆえに、「気づかれない」「求められない」「置いていかれる」と感じやすい。
恋愛でも、仕事でも、SNSでも、「結局は目立つ人、声が大きい人のほうが選ばれていくんじゃないか」と、なんだか切なくなる瞬間はあると思う。
だけどね、それでも僕は言いたいわけですよね。
「ノイズにならない人には、ノイズにならない人にしか育めない関係がある」と。
「喧騒のあとに残る、静かな存在感」
これって、たぶん人の記憶に一番残るんですよ。
「ノイズにならない」は、能力でもある
ここまで読んで、
「いやー、私はただ主張が苦手なだけです」
そう思った人もいるかもしれません。
でも、ノイズにならないというのは、単なる“個性”や“癖”じゃなくて、時に“高度な感性”や“対人バランスの知性”でもあるんです。
たとえば、場の空気を読む。
相手の感情を先回りして受け止める。
自分の言葉がどう届くかを考えてから話す。
これって、誰にでもできることじゃないですよ。
たしかに、キャッチーさや勢いはないかもしれない(^^;
だけど、「この人といると安心できる」と思わせる力って、長期的にはすごく大きな信頼に変わる。
その安心感が、信頼につながり、関係を育て、やがて“幸せ”と呼ばれるものを作っていくんだと思います。
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最後に:深読みさんと忍耐女子の皆さんへ
このブログを読んでいる方の中には、
相手のことを考えすぎて、自分を後回しにしがちな人もいるでしょう。
たしかにそれは、損な役回りかもしれません。
でも、その「ノイズにならなさ」が、誰かを救ってきたこと、ありませんか?
“気づかれないけど、実は一番効いてたあなたの優しさ”。
それを、ちゃんと信じていいと思います。
今はまだ届かなくても、誰かに見つけられなくても、きっとあなたは今も「誰かの安心を支えています」。
そしてそれが、ちゃんと“あなた自身の幸せ”につながっていくように、僕は日々応援していますよ。
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