こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、恋愛や夫婦関係で起き得る「もう受け止めきれない」と感じる気持ちについて触れてみたいと思います。

パートナーと一緒にいると、相手の主張が強く感じられるときってありますよね。

相手の主張の理屈は通っている。

言っていることも、間違ってはいない気がする。

でも、話を聞いているうちに、だんだん心が疲れてくる。

「ちゃんと受け止めなきゃ」
「分かろうとしなきゃ」

そう思えば思うほど、自分の中が苦しくなっていく感じ。

そして最後に、こんなふうに思ってしまう。

「私、受け止められない人間なのかな」
「器が小さいのかな」

カウンセリングでも、こうした言葉をとてもよく聞きます。

でも、ここで一度、立ち止まって考えてみてほしいのです。

本当にそれは、「受け止められていない」状態なのでしょうか。

「え、愛があるならこんなに苦しくならないのでは?」と思う方もいるようですが、僕の視点では「それはそれ、これはこれ」なのです。

今日はそんな話を一つ。


「もう相手のことを受け止めきれない」という気持ちの正体

「もう相手のことを受け止めきれない」という気持ちの正体。

それは、受け止めたくないという気持ちではなくて、

「すでに受け止めすぎている状態」を示しているかもしれません。

相手の言葉。

>>相手の感情。

>相手の立場や事情。

それらを、ちゃんと自分の中に入れて、考えて、咀嚼して、理解しようとしてきた。

だからこそ、これ以上は入らない。

心が「もういっぱいだよ」とサインを出している。

それを「受け止めきれない私はダメなんだ」と解釈してしまう人が、とても多いように感じます。

だとしたら、その人はきっと優しい人です・・・相手に対しては。


「受け止めすぎている」と理解しても苦しくなる理由

ただ、実際のカウンセリングでも起こることなのですが

「そっか、私は受け止めすぎているんだ」と理解しても、苦しさが消えないことって結構あるんです。

それはなぜか・・・。

これ、決して自分が弱いからとは限らないんですよ。

受け止めることをやめたくないという意思

まず、

「受け止めすぎていると理解しても、受け止めることをやめたくない」

という意思の影響。

パートナーのことを大切にしたい、仲良くしたい、良い関係のままでいたい。

そう思う気持ちはとても優しいものですよね。

だから、「受け止めすぎているのは分かった、けど、受け止めないわけにはいかない」と感じてしまう方もいるのです。

いわば、相手を受け止めきったら相手に私の気持ちが伝わるだろう、という強い意志がそこにあることも少なくないんです。

が、この道はある意味ハードモードなので、受け止めきれなくなることも少なくないんですよね・・・。

この場合、受け止めきれないことが問題なのではないです。

受け止めすぎて関係の構図が変わらなくなってしまったことが苦しいのだと思います。

相手の主張の主旨がわからない

また、相手を受け止めきれないと苦しくなっているときほど

「なぜ、相手がその主張をしているのかが分からない」

という場合が少なくないんです。

いろいろ考えてみるんですよ。

自分のあの時の発言が悪かったのかな?とか。

相手が不満に思っていることをきちんと謝らなきゃ、とか。

でも、理由や背景が見えないまま、相手の声だけがこちらに届き続けることってないですか?

すると、こちらは受け止めようとしているのに、足場がないまま重たいものを渡されているような感覚になることもあるようですよ。

だから、受け止めても受け止めても、全然受け止められている実感が湧かない。

ただ、また受け止めようとするけど、実はもういっぱいいっぱい・・・みたいな。

これは、「理解しようとする力がある人ほど起きやすいこと」の一つです。

決して、受け止めきれない未熟さの話ではないんです。


「受け止めすぎている側」と「受け止めてもらえないと感じている側」のすれ違い

ここで、もうひとつ視点を足しておきたいと思います。

受け止めすぎているけれど、「もう受け止めきれない」と感じている側は、もちろん苦しいです。

でも同時に、「受け止めてもらえていない」と感じている側も、同じくらい苦しさを抱えていることが少なくないようですよ。

・・・この話は、だからもっと受け止める側が頑張るべき、という話ではないので、そこはご理解くださいね。

たとえば、

受け止めている側が以前より静かになったり、距離を取っているように見えると、主張を繰り返す側にはどうしても「相手が離れていっている」「こちらを見ていない」ように感じてしまうからです。

なので、相手の意識をこちらに向けようと必死になる人もいます。

強い言葉を使ったり、自分を責めるような言葉を使ったり・・・。

このとき、訴える側も相当疲弊します。

それだけじゃなく「なぜ伝わらないんだ?」と怖くなるんですよね・・・。

もちろん、受け止める側が受け止めすぎて疲れている状態だったとしたら、それは拒絶ではないのです。

「今のままでは、これ以上近づけない」
「これ以上引き取る余裕がない」

そんな感覚に近いことも多いわけです。

しかし、受け止めてもらえていないと感じている側からすれば、そう思えない。

だから、さらに訴えたくなるの悪循環。

こうして、

  • 近づくことの苦しさ
  • 受け止めることの苦しさ
  • 訴えることの苦しさ

この三つが、同時に積み重なっていく。

このすれ違いは、誰かが悪いから起きているわけではありません。

それぞれが、それぞれの場所で、自分なりの考えを巡らせて頑張ってきた結果として起きていることも、とても多いのです。

ここまでの話を一度まとめると、

「受け止めきれない」という感覚は、拒絶ではなく、

すでに相手を引き受けすぎているサインであることが多い、ということです。


受け止めることと、引き受けることは違う

ここで、大事な区別があります。

受け止めることと、引き受けることは違うのです。

相手の言葉を聞くことと、
相手の世界をすべて自分の中に引き取ることは、同じではありません。

相手が自分の足で立っている場合、こちらがすべてを整えなくても、関係は壊れません。

でも、支えてきた人ほど、無意識に「引き受ける役割」を続けてしまう。

つまり、相手の話はわかったよ、ではなく、相手の感情や思いの責任まで「自分にある」と感じてしまうとしたら、引き受け続けることになるのです。

たとえば・・・

  • こんなに相手が苦しんでいるのは自分のせいだ、とか(こちらが加害しているわけでもないのに)。
  • 相手がつらそうにしているのは私が至らないからだ、とか。
  • 相手が怒っているのは私に非があるからだ(明確な理由がなくてもそう思う)とか。

その結果、引き受けすぎて心だけが先に限界を迎えてしまう。

これは、とても優しい人、相手を傷つけたくないと思う人ほど起こり得ることなんです。

なので、

「受け止める(反応する)こと」と「(因果を)引き受けること」は違うんだよね

と覚えておくことは役に立つと思います。

※ちょっと難しい話をすると、ここに「境界線の問題」「癒着の問題」が隠れているのですが、その話は別記事で解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

癒着を手放した忍耐女子
忍耐女子が引き起こす「癒着」を解決して幸せを手に入れる方法こんにちは。 心理カウンセラーの浅野寿和です。 今日はこのサイトではおなじみの”愛深き忍耐女子”と「癒着の心理」についてのコラムです...

「受け止めきれなくなった自分」を整える視点

もし今、

  • 相手の言葉がしんどい
  • 距離ができた気がする
  • 前みたいに戻れない感じがする

そんな感覚があるなら、

それは「関係が壊れている」サインではなく、
これまでの関わり方が、もう合わなくなってきたサインかもしれません。

受け止められない自分を責める必要はありません。

もしかすると、もう十分、受け止めてきたのかもしれない。

そう考えて、自分自身のケアを意識してみてもいいのではないでしょうか?

たとえば、抱えきれない気持ちを下ろす場所を持つこと。

信頼できる人に話を聞いてもらうこと。
安全な場所で自分の気持ちを解放すること。

そういった気持ちのケアを続けながら、その上で、「どこまで引き受けるか」を考える余地が、今、必要になっているのかもしれません。

この視点がないと

「一度自分の気持ちのケアをしても、また同じように引き受け続けなきゃいけないんでしょ〜」

と思いがちなんです(^^;

だから、「いいよ、もう。結果は同じだし、私が我慢してればいいんだから」と自分のケアを後回しにしがちというか・・・。

その結果「もう無理」とか「私には優しさが足りないんだ」となるケース、僕は結構見てきた気もしますよ。


こちらの記事も参考にどうぞ

最後に

もし、あなたがパートナーの主張を「受け止めきれない」と感じていたなら。

まず、自分を否定的に見つめ続けないであげてほしいなぁ、と個人的には思いますよ。

もしかすると、あなたはもう十分やってきたのかもしれませんしね。

その上で、

どこまでが自分の領域の話で、どこからが相手のものなのか。

少しだけ考えてみる余地が、今、目の前にあるのかもしれません。

もちろんこの記事を読んですぐに答えを出さなくても大丈夫です。

今日は、そんな視点を、そっと置いておくだけででも十分です。

もしこの文章を読んでいて、

「どこか引っかかる」「言葉にならない違和感が残る」

そんな感覚があったなら、それ自体が、あなたの大切な反応かもしれないですね。

では、今日は、ここまで。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたのに、どこか噛み合わない」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 正しさや結論だけを急がず、今どこに立っているのかを一緒に整理する個人セッション(カウンセリング)が人気。 キャリア16年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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そんなときに読める記事を、ほかにも置いています

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