なぜ彼は「話を聞かせてほしい」と言ったのか| 関係の役割が、少し緩んだときに起きること
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、以前ご相談をくださった方から届いたその後のご報告と、ひとつのご質問について、記事という形でお返事を書いてみようと思います。
今回のテーマは「なぜその彼はあなたの話を”聞いてみよう”と思ったのか」。
Index
ご質問内容はこちら(一部編集しております)
浅野先生への感想とご質問
「関係がよくなろうとすると、なぜ不安になるのか ──『支える私』を降り始めたときに起きること」の相談をさせていただいた毛糸です。
私なりに勇気を振り絞って彼に「昨年の夏(私がガトリング砲を撃ってしまった時)から色々考えていることがある」「私の準備が出来たら話を聞いてくれると嬉しい」ということを伝えました。
彼からは「話を聞かせてほしい」という旨の返信がすぐにきました。
今までの彼なら未読または既読スルーか「わかったよ!」という返信が多かったのですが、やはり彼も揺れながら進んでいるのかな?と感じて、不思議と温かい気持ちになりました。
関係については、役割を負ってしまうこともお互いにまだあって、本当に日々揺れながら進んでいる状態です。
でも、彼から初めて「話を聞かせてほしい」という返信があった、という事実が嬉しくてご報告をさせていただきました。関係修復と移行期に明るい兆しが見出だせた気がします。
(中略)
今振り返ると、昨年の夏頃に彼のほうが一足先に関係のステージを変えるために動いてくれたのだと感じられます。
彼は言葉での感情表現が苦手で、アプリや結婚の話題は、彼の中で防衛や自衛に入りやすい内容なのに、私に本音を話してくれたことに深く感謝をしています。
私が彼にガトリング砲を撃ってしまったのに、私が彼に救われました。今は不思議なこともあるのだな……と思えるようになりました。
とんでもない過程からの関係修復と関係の移行期への突入で、半年近く悩み続けたり、心の窮屈感を感じていましたが、ステージの変化に適応してきたのかな?と思っています。
これから先も、一進一退はあるかと思いますが、彼となら乗り越えることが出来そうな気がしています。
最後にちょっとした質問です。
普段の彼なら避けてしまうような、深めの話題を私から振ったのに、なぜ彼は聞く姿勢を見せてくれたのでしょうか?
ご回答していただけると嬉しいです。
また、私の話が誰かのお役に立てれば幸いです。
ネタ募集ネーム:毛糸さん
ご丁寧に、報告していただきほんとありがとうございますm(_ _)m
まだまだ揺れている、けれども進んでいる、そんなご様子が伝わってきましたよ。
では、今日は最後にしれっと書いていただいたご質問にゆるりとお答えしてまいりましょうか。
よろしければどうぞ。
まず結論から言うと
いつもは「わかったよ」とか、既読スルーだった彼が
「話を聞かせてほしい」と言った理由。
これ、はっきりした理由は、僕には分かりません(笑)
・・・いきなりそんなことを言ってしまってすみませんねぇ。
でもこれは逃げではなくて、事実であり、
この「わかんねー」という部分が、実は一番大事な前提だったりするのでございます。
人の反応って、
- ひとつの言葉
- ひとつの出来事
- ひとつの心理要因
だけで決まるほど、単純じゃないのです。
(もしそれで決まるなら、僕の仕事はもう少し楽なはずなんですが(^^;)
だから、わからないことをそのまま扱いながら物事を見つめる、ということが、非常に重要といいますか。
それ、そもそも分かる必要があるの?ということでもあるんです。
むしろ、わからない不安が強すぎて、「無理にでもわかろう」とするから、
- 揉めること
- 分からせてやろうと思うこと
- 相手の気持を無理やり引っ張り出そうとすること
ってないでしょうか。
そんなときほど、自分の気持ちの整理をしながら
「そっか、そういうことなんだと信じてみる」
という自分の選択を尊重することも大切なことなんですよねー。
ただ、その上で、
「こういう条件が重なったとき、人は話を聞く姿勢に移りやすい」
という構造は、確かにあります。
今日はその話を、ゆるりとしていきますね。
今回、彼の中で起きていたかもしれないこと
これはあくまで僕の見立てであり、確定事項ではないのですが
彼の中で起きていたかもしれないことを考えたとき、ポイントはこのひとつです。
「受け止めさせられる関係」から、「向き合える関係」へと少し変わった可能性。
以前のやりとりを見ていると、
- 不安が溜まる
- 言葉が強くなる(ガトリング砲)
- 彼は防衛に入る
- 話題を避ける/距離を取る
こうした流れが、関係の中にあったように見えます。
この構図だと、彼の側は無意識に、
「何か言うと、責められるかもしれない」
「ちゃんとした答えを出さなきゃいけない」
そんな緊張を抱えやすくなります。
で、人って緊張すると
だいたい黙るか、逃げるか、防御姿勢になるんですよねぇ。
(これは心理学的には「闘争か逃走反応」と呼ばれるやつですね。
まぁ、要は人間も追い込まれると(緊張状態が続くと)黙るか逃げるかする、という話です。)
なので、「聞く」より先に、自分を守る反応が出やすかったのかもしれません。
今回、何が違っていたのか
今回のメッセージには、以前と決定的に違う点がありました。
それが、
「私の準備ができたら、話を聞いてくれると嬉しい」
という一文です。
この一文、よく見ると、
- 今すぐ答えを求めていない
- 正解を出させようとしていない
- 話す・話さないの主導権を相手に渡している
という要素が、全部入っているんですよね。
つまり彼にとっては、
「受け止めさせられる場」ではなく、「自分が立ったまま関われる場」
として、その会話が立ち上がった可能性がある。
だからこそ、
「話を聞かせてほしい」
という言葉が、比較的すっと出てきたのかもしれません。
……いやまぁ、本人に聞いたわけじゃないので断言はしませんけども(笑)
これは「〇〇したから報われた」という話にしないほうがいい
これ、余計なお世話かもしれないですが(^^;
わりと、いや、かなり大切な話なので一応書いておきます。
今回の出来事は、関係がいい方向に流れはじめたのは
- 勇気を出して伝えたから
- 我慢をやめたから
- 正しい伝え方をしたから
というストーリーにしないほうがいい気がします。
もちろん、あなたの勇気を否定するつもりもありません。
我慢をやめたからうまく伝えられたこともあるでしょう。
正しさを全面に押し出さずに言葉を繋いだことにも意味があると思います。
僕もテクニック的には、そうお伝えすることがありますしね。
ただ、僕がお伝えしたいのは・・・
関係の中の「役割の重なり方」が、ほんの一瞬、ふっと緩んだ
その結果として起きた、ひとつの反応のように思えてなりません。
なので、
- また揺れる日もあるでしょうし
- 前みたいに戻りそうになることもあるでしょうし
- 「あれ?今日は聞く気ないな?」みたいな日も、たぶん来ます
それで普通、というか、そうなることがある意味自然、というか。
そうなったとしても、それは「後退」ではないのです。
ご本人も書かれていましたよね。
本当に日々揺れながら進んでいる状態です
それがめちゃくちゃリアリティのある実感であり、それでいいんだと思います。
新しい高難度な役割を生み出さない視点があってもいい
逆に、関係が良くなったのは
「勇気を出したから」「我慢をやめたから」「正しさを使わなかったから」
という認識も体験も間違いじゃないんですけど
強くそう思い込むと、
「勇気を出して・我慢をやめて・正しさを使わない私」
という、わりと高難度な役割ができあがっちゃう可能性があるのですよね。
そして、その役割に今後縛られ続けたり、
そうなれない自分を責める、という悪循環も生じやすい、といいますか。
だから、心理学的にも、関係を良くする方向としても間違っていないことであっても、
そこにしがみつき続けるのは違う、といいますか。
よって、僕は冒頭に
「わからん」
と書いておるわけでございます。
「今、いい感じ」と感じておくことをおすすめするのでございます。
「聞いてもらえた」という事実の扱い方
ただ、そうは言えども、お伝えしておきたいことがあります。
今回の「聞いてもらえた」という出来事は
事実として
「関係の中で何かが動いた瞬間」
でもあることは確かです。
なので、
- うまくいきそうだから頑張ろうと思いすぎなくてもいい
- でも「なかったこと」にもしなくていい
このくらいの距離感が、ちょうどいいかなと思います。
「なるほど。この感じでいると、今までとちょっと違う立ち位置に立てるんだな」
くらいの捉え方ができると、楽ですよね。
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最後に
今回のご報告を読ませていただいて、
僕がいちばん印象に残ったのは、この一文でした。
不思議と温かい気持ちになりました
もしかすると、あなたの不安が完全に消えたわけでもないのかもしれない。
しかし、あなたは温かさを感じられた。
これは、
あなたは自分の立ち位置を見つめ直して
相手をコントロールせず、
自分を消さずに関われた瞬間があった、ということではないでしょうか?
その感覚を「温かい」と感じられたこと自体が、
今のあなたの立ち位置を、とてもよく表している気がします。
そしてこれから
- 無理に支え続けなくていい
- 無理に理解しきらなくていい
- 無理に前向きにならなくていい
そんな位置から関係を眺められる時間が、少しずつ増えていくのかもしれませんね。
というわけで、今日はそんな話でした。
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