こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

このサイトでは、よく「立ち位置」という言葉を使います。

少し抽象的に聞こえるかもしれませんね。

今日は、立ち位置のズレとは何かを、できるだけ具体的に整理してみたいと思います。


立ち位置のズレとは何か

立ち位置のズレとは、

考え方の問題というより、今の自分の(心の)反応が固定されてしまった状態

のことを指しています。

本人はちゃんと考えている。
ちゃんと向き合おうとしている。
ちゃんと努力している。

それなのに、なぜか苦しい。

そのとき、起きているのは「未熟さ」ではなく、
どの位置から物事に反応しているかが少しズレている状態かもしれません。

たとえは、

  • 本来は優しさをもっている自分であっても、心の立ち位置がズレることでイライラしやすくなったり、批判的な言葉を口にすることもあります。
  • パートナーと理解し合いたかったとしても、つい黙り込んだり、相手の欠点や文句ばかり伝えてしまうこともあります。
  • 本当は努力したいと思っているけれど、成功することが怖くなったり、自分とは違う価値観を取り入れすぎて辛くなったりもします。

これは本来の自分らしい感じ(自分らしい立ち位置)からズレているときに起こると僕は考えています。

そして、多くの場合、立ち位置がズレているときほど、心は緊張・葛藤状態になっていることが少なくないんですね。

だから、なかなか冷静な判断ができなかったり、分かっていることができない、という状態になりやすいのです。

これは、本当にしんどい状態なんですよね。

分かっているのにできない、というのは、思っている以上に心を消耗させます。


具体例① 元カレのSNSを見てしまう

もう終わった関係なのに、ついSNSを見てしまう。

「こんなことしている私は依存的だ」
「もう手放さなきゃ」

そうやって自分を戒めるほど、なぜか気になってしまう。

執着している自分が情けない、と思えば思うほど、なぜかまたSNSを追いかけてしまう。

ここで起きているのは、意思の弱さというより、

刺激と自己罰が結びついた反応のループ

かもしれません。

見る → 傷つく → 自分を責める → また気になる

「見ない」と強く禁止するほど、
「私は依存的だ」という立ち位置が固定されてしまうことがあります。

もし物理的に見られない環境を作れるなら、それも一つの方法です。

ただ、現実にはそれが難しい場合もあります。

そのとき必要なのは、意志の強化よりも、神経の緊張を一度ゆるめることかもしれません。

たとえば、実際のセッションなどで

呼吸を整える。身体の感覚に意識を向ける。

そうして心の位置を整えていくと、緊張状態や強い思い込みが和らぐことがあるんですね。

すると、「見たい気持ちがゼロになる」わけではなくても、「見ない」という行動を選べる瞬間が生まれることがあります。

刺激や自己罰を呼び込んだり、冷静な判断ができなくなる緊張状態をできる限りリスクのない方法で整えていく感じです。


具体例② いつも無理をしてしまう

仕事でも恋愛でも、気づくと無理をしている。

本当はしんどい。
でも止まれない。

ここで起きているのは、

無理をする位置が“当たり前”になっている状態

かもしれません。

周囲の理解や支援があればよいのですが、
そうでない場合、緊張状態が続きます。

緊張が続くと、冷静な判断が難しくなり、
また無理をする選択をしてしまう。

その繰り返しになることも少なくありません。

ここで大切なのは、

無理をやめる決意をすることより先に、緊張をゆるめること

です。

たとえば、

実際のセッションでは、心の緊張を解放していくことがあります。

すると、

何をしているときに少し楽か。

どんな時間なら、ぼーっとできるか。

そういった事がわかってきます。

ただ、緊張が長く続くと、それすら分からなくなります。

だからこそ、セッションではまず身体と心の緊張をケアし、
そのうえで「自分らしさ(立ち位置)」を体感的に思い出していきます。

そもそも物事を背負い込んだり、断れない状態自体、葛藤や緊張状態から生じていることも少なくないのですよね。


具体例③ 夫婦の口論が止まらない

本当は口論なんてしたくない。
でも止まらない。

「私はやめたいのに、相手が理由を作る」

そう感じることもあるでしょう。

一見すると他責に見えるかもしれません。

ただ、口論が続く背景には、

口論でもしないと自分を守れない緊張状態

があることもあります。

怒りの奥には、悲しみや不安が隠れていることが少なくないんです。

自分を、今の関係を守らなきゃ、必死で頑張らなきゃ。

そう思えば思うほど、なぜかパートナーと対立を深めてしまう矛盾。

なので、実際のセッションでは、

今感じているお気持ちを素直に解放することと共に

心の緊張状態を整えることを続けていくんです。

すると、緊張状態が解けるだけ、口論のような戦い(自分を守る反応)が優位になっている状態が変化することがあります。

それは僕から「パートナーに優しくしましょう」と伝えることで実現しているわけじゃありません。

緊張を解くことで、多くの方の中から自然と回復してくる気持ちであることが多いです。

すると、「本当はどう感じているか」を伝える方向へ心の反応が変わることがあります。

本当の話し合いは、そこから始まることも多いのです。


なぜ人はズレた位置に居続けるのか

多くの場合、そのズレている位置は”かつて自分を守ってくれた位置”です。

  • その位置にいれば関係が壊れなかった
  • その位置にいれば必要とされた
  • その位置にいれば安心できた

だからこそ、そこを離れるのは怖いと感じることもあります。

ズレを手放すとき、それはあなたが正しくなることではなく、

今まで少し避けてきた感覚に触れる、

そんな感覚を覚えることもありますよ。

ここが、一人ではズレを戻しにくい理由の一つでもあります。

たとえば、今まで責任を背負うことが正しいと思ってきた人にとって、そこを下ろす、相手に任せることは、少し怖いことでもありますよね。

誰にも頼ってこなかった人、パートナーと口論を続けてきた人にとって、素直な気持ちで相手に関わると、どこか傷つきそうな気持ちになることもあります。

だから、無理なく丁寧にズレを修正することが大切だと僕は考えています。

ズレを直そうとして、かえって傷ついたり、不利な状況に追い込まれてしまうと、さらに苦しくなりますよね。

なので、今できる範囲のことを、丁寧に、自分や今ある状況と照らし合わせながら進めていくように僕は心がけています。


人は裁かない。でも、苦しさの起き方は整理する

このサイトが大切にしているのは、

人は裁かない。でも、苦しさがどう起きているかは整理する

という姿勢です。

「同じ位置に立ち続ければ、同じ反応が起きやすい」。

そこはなかったことにせず、丁寧に改善策を考えていきます。


立ち位置に戻るとは

立ち位置に戻るとは、

  • 自分の感情をなかったことにしない
  • 役割から一度降りてみる
  • 今、知らず知らずの内に抱えている緊張状態を和らげる
  • 反応のクセに気づく

そんな静かな作業です。

誰かを変えることではありません。

まずは、いま何が起きているのかを心理的に整理すること。

その作業を一人で行うのが難しいとき、
セッションという場が役に立つことがあります。


最後に

もしこの記事を読んで、

「自分も同じ(もしくは近い)状態かもしれない」と感じたなら、

それは、あなたが自分を否定したり、無理に変わるサインではなく、

一度ちゃんと今ある状況を整理するサインなのかもしれません。

一人でやらなくてもいい作業です。

まずは、どこに立っているのかを一緒に見ていくことからはじめてみてください。

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恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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