過去の離婚に縛られている彼と、前に進みたい私|関係がパワーストラグルになる理由
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今回もこちらにお寄せいただいた読者様からのご質問にお答えします。
今回のテーマは
「彼は過去に縛られてると思います。このまま一緒に生きていくのは難しいのでしょうか」。
この組み合わせって、わりと高確率で、関係がパワーストラグル(力関係の綱引き)になりやすいんですよね。
もちろん、そうなってしまうのも悪意があるからではないんです。
お互いにちゃんと大事にしたい気持ちはある。
なのに、なぜか対立してしまい、苦しくなる。
進まない。噛み合わない。疲れる。
今日はその仕組みのお話です。
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浅野先生へのご質問
いつもブログを拝読しています。
書かれている内容がとても現実的で、読むたびに自分の状況と重ねて考えています。
今回は、離婚歴のある彼との関係についてご相談させてください。
彼は50代で、過去に離婚を経験しています。
離婚の理由は元妻の浮気で、それ以来「もう二度と結婚はしない」「誰かと一緒に暮らすことは考えていない」と話していました。
出会った当初から、その考えは聞いていましたが、それでも一緒にいる時間は穏やかで、価値観も合い、少しずつ距離が縮まっていきました。
私自身は40代で未婚です。
これまで受け身な恋愛が多く、「この年齢で、こんなにも人を好きになるとは思わなかった」という気持ちもあり、勇気を出して彼に好意を伝えました。
彼も気持ちは同じだと言ってくれましたが、その後も会うのは短時間だったり、車の中だったりで、関係はなかなか進みませんでした。
不安になり、「私は都合のいい存在なのではないか」と伝えたところ、彼は「君のことは大切に思っているし、できればこの関係は続けていきたい」と伝えてくれました。
私は迷いながらも、彼の事情を理解しようと決め、関係を受け入れてから約10ヶ月が経ちます。
ただ、関係は今までと何も変わりません。
会話の中で、「私がいなくなることへの不安」を感じることもあり、一方で、彼自身が過去に強く縛られているようにも見えます。
このまま一緒に生きていくことは難しいのでしょうか。
彼の過去を理解し続けることで、何かが変わる可能性はあるのでしょうか。
自分の気持ちをどう整理すればいいのか分からず、ご相談させていただきました。
ネタ募集ネーム:かえでさん
「過去に縛られている彼」と「愛して前に進みたい私」は、パワーストラグルになりやすい
ありがとうございます。
ご質問拝見しました。なんとも切ないお話ですよね。
近くにいるようで近くない彼、って感じでしょうか。
なかなかお気持ちの整理もむずかしいかもしれませんよね。
さて、この手の関係で起きやすいのは、ざっくり書きますとこんな感じになるんです。
- 彼:傷つく未来は避けたい(安全優先)
- あなた:愛があるなら前に進みたい(関係を育てたい)
この2つって、どちらが正しいとかではなく、目指している方向が違うんです。
そして、方向が違うまま「関係を続ける」と、どこかで綱引きになります。
これがパワーストラグル(主導権争い)ですね。
※パワーストラグル(主導権争い)に関する解説は以下の記事にあります。
たとえば、あなたの中に、うっすらこういう意識が芽生えます。
「なんで、そんなに縛られてるの?」
これ、意地悪で言ってるわけじゃないんですよね。
むしろ、愛してるからこそ出てくる意識です。
「あなたの人生、そこで止めちゃうの?」
「私たち、ここから何もできないの?」
こういう気持ちが、言葉にならないまま、関係の空気に混ざっていく。
で、彼は彼で、あなたのその空気を感じて、こうなることがあります。
「責められる感じがする」
「期待されると苦しい」
「またダメだったらどうしよう」
結果、彼は守りに入る。話を逸らす。距離を取る。
あなたは、「余計に不安になる」。
確かめたくなる。
前に進めたくなる。
…うーん、なんともいえないですが、”綱引きの成立”ですね。
「なんで縛られてるの?」という意識には、「相手への批判」と「愛情」が隠れている
ここ、けっこう大事な話なんですけどね。
「過去に縛られてる彼がムカつく」って話には、2つの要素が入っていると思うのです。
一つは、シンプルに「過去に縛られる彼への批判」です。
これは「好きじゃない」とか「このヘタレ!」ということではなく、
「なぜ私の愛情を受け取らないんだ!」という、気持ちを受け取ってもらえないことへの不満の表明。
そして、もう一つが「彼に向けた愛情」です。
- あなたをちゃんと大事にしたい
- 一緒に未来を作りたい
- あなたのままでいてほしい
- 私は、あなたと深い関係を持ちたい
そんな気持ちがあるから、過去に縛られている彼をしばきたい、
・・・もとい、もどかしい気持ちになるのかもしれませんねぇ。
つまり、あなたにとっての「立ち位置のズレ」があるとしたら、
それは、彼を罰したいという意味での立ち位置のズレじゃなくて、
愛するがゆえに、自分の立ち位置をズラさないと、もう立っていられない
そんな構図なんです。
ただ、こうなると、彼に純粋な気持ちが届く前に、
「なんで?」「ダメなの?」みたいな気持ちが届いてしまう。
私が私でいるために引き起こした立ち位置のズレが、結局本質的なコミュニケーションを阻んでいることになるんです。
なので、あなたの中の立ち位置がさらに揺れるのです。
「私じゃ、ダメ?」
このあたりから、関係はじわじわ苦しくなりやすいですよね。
彼が「過去に縛られている」ときに起きていること
さて、少し視点を変えましょう。
離婚歴に縛られている男性の多くは、こんなふうに世界を見ています。
「未来は、また同じ痛みを連れてくるかもしれない」
だから、彼にとっての正解は、だいたいこれです。
- 波風を立てない
- 期待を持ちすぎない
- 深く入りすぎない
- “確定”を避ける(結婚・同居・将来の約束など)
これは、あなたを大事にしていないからというより、
自分を守るための生存戦略みたいになっていることが多いんですね。
同時に、今のパートナー(あなたのこと)を傷つけたくないとも思っています。
もちろん、だからと言って、それが「良い」わけでもないし、
あなたがそれに合わせる必要があるわけでもありません。
ただ、構造としてはこうなりやすい、という話ですね。
ここで起きやすい落とし穴:「彼の事情を理解しよう」とするほど、あなたが“我慢役”に固定される
ここに一つ落とし穴があるんですね。
彼の過去を知ると、あなたのようにやさしい方は、こう思いやすいのです。
「仕方ないよね」
「私が急かしたらダメだよね」
で、気づくと、あなたの役割が決まっていきます。
- 理解する役
- 待つ役
- 刺激しない役
- 不安を飲み込む役
この役割は、短い期間なら健全に機能します。
でも長い期間になると、あなたの中で「尊厳」が削れていく理由になることが多いのです。
「私は、何を大事にされているんだろう」
「私は、未来を持てない関係に居続けてるのかな」
ここからパワーストラグルが強まるんです。
あなたが未来を求めるほど、彼は守りに入る。
彼が守りに入るほど、あなたは確かめたくなる。
これ、努力で解決しようとすると、だいたい疲れます。
「彼がズレている」ことが分かってしまうとき、あなたはどう立てばいいのか
ここからが今日の本題です。
あなたが気づいている通り、これは「彼が悪い」でも「あなたが悪い」でもなく、
お互いの立ち位置がズレて固定される問題です。
だから、この時点でできることは2つぐらいかな、と思います。
1:彼の過去を“理解”しつつ、あなたは我慢役を引き受けない
これ、矛盾するようで、両立します。
「あなたの過去がしんどかったのは分かる」
でも、
「私は、未来が見えない関係を続けるのは難しい」
この2つを、同時に持つこと。
理解してあげる=合わせる、ではありません。
理解しつつ、条件を出す。これは冷たいのではなく、対等です。
言い方の例を出すなら、こういう感じ。
(※そのまま使う必要はないですよ。雰囲気だけどうぞ)
あなたの過去がしんどかったのは分かるし、無理に急かしたいわけじゃない。
ただ、私は「将来の話ができない関係」を続けるのは苦しくなる。
だから、今すぐ答えを出してほしいというより、話し合える関係になりたい。
ポイントは、「責めない」けど「飲み込まない」ことです。
もちろんそう伝えたとて、彼の反応が良くなるとは限りません。
しかし、ここは避けて通れない道でもあるんですよ。
・・・ちょっと怖いですよね、関係が壊れそうで。
でも、あなたが本来立ちたい”立ち位置”をズラさないためには、必要なことなんですね。
2:彼が向き合える人かどうかは、“あなたが頑張った量”ではなく“彼の反応”で見る
厳しめに聞こえるかもしれませんが、ここも大事なことです。
過去に縛られている人が変わるには、
本人が自分の恐れを自覚して扱う必要があります。
あなたがどれだけ愛しても、支えても、待っても、
彼が「扱わない」と決めているなら、状況はあまり変わらない事が多いです。
もちろんかなりの長期戦覚悟で、
彼に寄り添い続ける、彼の今を受け止め続ける、という方法もありますよ。
ただ、この場合は”彼のために私の時間を使ってもかまわない”という覚悟が必要になります。
だから、まずは彼の様子を見てほしいのです。
- あなたとの話し合いから逃げないか
- 結論を曖昧にして終わらせないか
- あなたの苦しさを“現実”として受け取れるか
- 彼の苦しさも素直に話してくれるか
- 関係の形を一緒に作ろうとするか
ここがあるなら、ゆっくりでも前に進む可能性がないわけじゃないです。
逆にここがないなら、あなたが頑張るほど、あなたが削れてしまうかもしれません。
もちろん彼に悪意はないと思うんですけどね・・・。
恋愛や結婚って、この手の自己開示の怖れとぶち当たることが多いので、ここを避けようとすると停滞する関係になりやすいですかね。
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まとめ:「過去に縛られている彼」との関係が苦しくなるのは、愛が足りないからではなく“ズレ”が固定されるから
過去に縛られている男性と、愛して前に進みたい女性。
この関係が苦しくなるのは、
- あなたが悪いからでもない
- 彼が完全に悪いからでもない
- 愛が足りないからでもない
「守りたい彼」と「育てたいあなた」のズレが、関係の中で固定されるからです。
そして、そのズレは放っておくと、パワーストラグルになりやすい。
だから必要なのは、彼の心理を当てることよりも、
あなたが我慢役で成立させないこと
理解しつつ、条件を出して立ち位置を戻すこと
彼が向き合える人かどうかを、彼の反応で見ること
このあたりが整ってくると、あなたの迷いはかなり減ります。
「どうすればいいか」より先に、「私はどう立ちたいか」が見えてきますからね。
今日は以上です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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