「相手の気持ちを考える」の正体|わかることより、わかろうとすること
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
「相手の気持ちを考えてみてください」
これ、けっこう聞く話かもしれませんね。特に恋愛や夫婦関係の改善でも。
でも、これ、いざやろうとすると「ん?」となることってないでしょうか?
相手の気持ちを、考える。
いや、すでに考えてるつもりなんですよ、こっちはね、というお話、けっこううかがいます。
実際、相手のことを(自分なりに)考えておられる方はいます。
なのに「・・・ぜんぜん私の気持ちをわかってない」などと言われると、正直「どうすりゃいいのよ」ってなりますよね。
今日は、その「相手の気持ちを考える」って、そもそも何なんだろう、という話を、ゆるっとしてみますね。
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顔色をうかがうこととは、違うんですよ
まず、よくある誤解から。
「相手の気持ちを考える」を、「相手の顔色をうかがう」ことだと思ってる方がいるんです。
機嫌を損ねないように、先回りして、気を遣って。
相手が不機嫌にならないように動く。
・・・これ、相手の気持ちを考えてるようで、実は考えてない、なんて場合もあります。
まず、「相手の機嫌」と「相手の気持ち」って、常に一致するわけじゃないのです。
相手の機嫌が悪いからといって、相手が本当の気持ちを示しているとは限らない。
たとえば・・・
めっちゃイライラしている彼女に気を使ってそっとしておいたら、余計にイラつかせちゃった、みたいなケース。
機嫌が悪いのは事実なんですが、機嫌を取ってほしいわけではない。むしろ、そばにいるあなたにあーんなことや、こーんなことに気づいてほしかったのかもしれない。
もちろん何が正解って話ではないのですが、これも一つの機嫌と気持ちが一致していないという例ですね。
あと、「気遣い」も「自分が困らないため」と、「相手の内側を想定しているもの」に分けられますよね。
言動は一緒でも動機が違うし、見ているところが違う。
たとえ、顔色をうかがうとしても、本当に相手の様子を知りたがってる人もいれば、自分の身の安全のためにそうしている人もいる。
ちょっとドライな言い方になっちゃいましたけど。
でも、ここ、大事なところかな、と。
「考えてるつもり」が、いちばんやっかい
もうひとつ、これは「実際のトラブルの原因」になっているものがあるんですよね。
それが「私は相手の気持ちを考えてる」という自己認識だけ先行してしまっている場合。
確かに相手のことを「考えている」。
しかし、実際は、「自分の頭の中の相手のことを考えていただけだった」という話。
「あの人は、たぶんこう思ってる」
「どうせ、こう感じてるんでしょ」
「ここで困ってるに違いない」
とかね。
相手の話を聞いたうえで、それでもズレるならしゃーないです。相手が本当の気持ちを伝えていない場合もあるから。
しかし、相手とコミュニケーションせずに(もしくは一方的なコミュニケーションだけで)相手を推し量り、アレコレ考えているときって、さらにズレるですよね。
場合によっては、判断や決めつけになっていることもある。
自分の中の仮説を、事実だと思い込んでる、というケースですね。
たとえば、彼や夫が浮気した、みたいなケース。
まぁショックが大きければ冷静に状況を受け止められないこともあると思うんですよ。
ただ、何も話し合わないうちに「相手は私のことを愛していないし、私はもう飽きられたんだ」と考えているなら。
おそらくそれは「私の中にいる相手」が語っていることで、相手が実際にそう思っているかどうかは分からない。
実際、カウンセリングの中でも「自分のことを相手に気づいてほしかったから浮気した」みたいなケースもあるんですよねぇ。いいか悪いか別にしてね。
・・・かなり皮肉、いや、切ない話なんですけどね。
なぜ近い人ほどよくわからなくなるのか
長くカウンセリングしていると、「近い人ほどよくわからなくなる」と思います。
不思議に思われるかもしれませんけど。
ここにも理由があるんですよ。
まず、近い関係って、安心できるぶん、こっちの「わかってほしい」が、強く出るんです。
「なんで気づいてくれないの」「これくらい察してよ」。
近いからこそ、要求が大きくなりやすい。
つまり、他人とのコミュニケーションほどの「相手への注意や関心」が向かなくなりやすいのです。
また、自分の中の「わかってほしい」が膨らむと、相手の気持ちを見にいく余裕がなくなることもあります。
こっちが受け取ってほしくて必死だから、相手の内側まで意識が向かないんですよね。
さらに言えば・・・恋愛や夫婦関係などでは、「すでに相手の影響を受けている」という部分も見逃せないんですよ。
長く一緒に過ごせば、知らず知らずのうちに相手の影響を受けているし、自分でも受け入れようと思っていたりする。
つまり、「相手を感じる時間」が長くなる。
だからこそ、「相手のことは知っている、感じている、感覚として捉えている」と思いやすいんですよね。
分かったつもりになってる、というより、「分かっているような感覚を得やすい」ということなんです。
じゃあ、どうする?「答えだけを当てにいかないこと」も重要です
では、「どうすれば相手の気持ちを理解することになるのか」ですけど。
まず、100%分かることはない、と理解されておくことが大切です。
分からないから興味を持たない、と考えるのではなく、すべて分かるわけがない、と理解する感じですかねぇ。
お互いに気づかないこと、気付けないこと、スルーすることはある。
それを前提として許しておくことって、相手の気持ちに近づく際に重要なポイントになります。
*
昔、こんなことなかったです?
親から「あんたはこうだから」「こうしておきなさい」と決め打ちされてイラッとした、みたいな経験。
でも、親が「母さんはあなたのことが全部わかるわけじゃない。あなたにはあなたの気持ちがあるよね。ただ、私があなたを見ていると、〇〇かな、って思うんだよね。」と伝えてきたとしたら、「親なのに分からんのか」という子供らしい依存心とともに、ちょっと安心できるかもしれない。
つまり、相手のことを考えることの意味は、「正解を当ててもらえるから安心だ」とは限らないんですよ。
興味を持ってもらえていること、そのものにあるのです。
そもそも、人って「わかろうとしてくれてる」と感じたときのほうが、安心できたり、心がゆるむものですよ。
「この人は私に興味を持ってくれている」と思えると、「私はこの人に愛され、助けられる存在だ」と感じやすくなる。
これは愛着理論から引っ張ってこれる考え方なんですよ。
つまり、正しい答えを教えてもらえるから救われるのではなく、興味を持ってもらうことで「自分の存在理由がポジティブになりやすい」という感じ。
もちろん、心理学でも使って相手の心理を解き明かして、「こうでしょ」と言ったほうが早い気がする、なんて考えも分からんでもないです。
ただ、それを相手の同意なくやっちゃうと・・・「じゃ、どんな気持ちを優先したくて、心理学を使って私の気持ちを解き明かしたの?」という部分が残る。
それがいくら相手のためであっても、なぜか違和感が残る、というか。
もし、心理学を使うなら、心理学を学び知ったことを直接使うのではなく、「知っていて、でも当てはめない」というスタンスで使うことがオススメなんです。
おわりに
実際、相手の気持ちを考えるという言葉には、いろんな意味があり、いろんな使われ方をしますよね。
ただ、恋愛、夫婦関係や人間関係全般をより良くすることが目的なら
「この人は、何を感じてるんだろう」と、興味を持って接することに意味が出てきます。
わかろうとする。
それだけ、と言えば、それだけ。
ただ、その「それだけ」が、近い関係ほど難しい。
それは「分かった気になっちゃうから」ではなく、「それだけじゃ愛したことにはならない」と自分自身が思い込んでしまうから。
もっとしてあげたいことがある。助けてあげたいことがある。楽にしてあげたいことがある。
そう思えば思うほど「分かるだけじゃ足りないでしょ」と思ってしまう。
そう考えると、相手への思いがあるから、分かろうとする前に正解を求めてしまう人もいるのかな、と思いますよ。
だとしたら、正解もいいけど「相手は私に見てもらいたいのかもな」と思ってみてもいいのかもしれないですよ。
あなたではない、別の人に見てもらいたいなら、あなたに対して不満も要求も不機嫌も見せないかもしれないのでね。
こちらの記事も続きにどうぞ
「もっとうまく関わり合えないだろうか」
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