今日は夫婦再生・関係改善をテーマにしたコラムをお届けします。

パートナーの浮気、離婚の申し出があった、などのケースから、今のままでは夫婦関係が壊れてしまいそうで不安だ、というご相談まで、僕のもとにはたくさんのお声が届いています。

その中での最も多いお声が

「今の夫婦(恋愛)関係を良くしたくて頑張っているのに、なぜかうまくいかない」

「もう別れを受け入れたほうがいいのではないか・・・」

そういったものなんですね。

たとえば…

  • 本当は傷ついているのに「平気だよ」と笑ってしまう。
  • 本当は伝えたいことがあって苦しいのに、いつも言葉を飲み込む。
  • 言いたいことはあるのに「ここで言ったら雰囲気が悪くなる」と抑える。

大切な人との関係を守るためにやっているはずなのに、なぜか心は疲れていくあの感じ・・・。

むしろ「頑張っているのに、関係がどんどん苦しくなっていく気がする」とというケースも少なくないのです。

実際、カウンセリングの現場ではこうした声を何度も耳にしてきましたし、何度もサポートさせていただいてきました。

そこで今日は「関係改善のための努力が逆効果になってしまうとき」をテーマに、その心理を解説していきたいと思います。


「自分を横に置く努力」が苦しさを生む

関係改善には「相手を理解する」「優しくする」姿勢が大切。

おそらく多くの方がそう理解されているはずです。

だからこそ、優しくしても関係が良くならない、とか、優しくしたいけど苦しくて優しくできない、というお悩みが生じるわけですよね。

ただ、多く「苦しい気持ちを抱えながらもパートナーに優しさと理解を向けている人」の中に「自分の気持ちは押し殺しておいていいのだ・横に置いておこう」という思いが強まるとちょっと話は変わってくるのです。

たとえば、夫婦など男女関係の関係改善って、正直に言うと「お互いの心が無傷ではいられないプロセス」でもあるんです。

理想通り物事進んでくれればいいけれど、実際はそうはいかないものだという実感が僕にはあります。

「パートナーの言動で本当は深く傷ついている」

「本当は寂しいけれど、そんな素振りを一切見せないように振る舞っている」

「本当はもっと分かってほしい気持ちはあるけれど、相手にはそれを伝えない」

そういった気持ちを抱えながら「関係修復のために頑張ろう」とすると、それは「自分を否定する努力」になりかねないのです。

結果、相手に優しくするほど、自分の中に苦しさが積み重なる。

「関係を良くしたい」気持ちに罪はないのですが、その表現方法や自分自身の扱い方次第で、逆に関係を悪化させる要因になってしまうんです。


「本音を言わないほうがいい」場面もある

ここで誤解してほしくないのは、「全部本音で言えばいい」という話ではありません。

パートナーとの関係修復のプロセスでは、「あえて今は言わないほうがいい場面」も確かにあります。

一時の感情をそのままぶつけても、かえって関係を傷つけることもありますから。

ただし、心理的に「言いたいことが溢れているのに、ずっと抑え込んでいる」状態は危険です。

なぜなら、自分の気持ちに無理がかかり、心が折れてしまうからです。

それこそが「本当は大切にしたい関係」を大切にできなくなる理由。

こんなに悲しいことはありませんよね。


偽りの気持ちで進もうとする危うさ

また、関係修復を急ぐあまり、次のようなことをしていませんか?

  • 「私が悪いんだから」と自分の気持ちを否定する。
  • 「怒りはなかったことにしよう」と感情を封じ込める。
  • 「もっといい妻(夫)でいなきゃ」と役割を演じる。

一見すると努力や誠実さのように見えますが、これが「さらに自分を見失う理由」になることもあります。

たとえば、もっといい妻・夫でいなければと考えているとき、今までの自分は間違っていたと捉えている人って結構多いんです。

でも、そんな事言いきれないはずなんですよね。

いい部分もあればそうではない部分もあった、それが非常に現実的な捉え方なんだろうと僕は思うのです。

だから、こちらの言い分も「通していいもの」と「相手とのコミュニケーションが必要なもの」「思い返すといいもの」もあるのだと思うのです。

が、そのすべてを「間違っていた」と扱ってしまうと、ただ自己否定を強めることになりかねないんですよね。

特に、心優しい人、真面目な人ほど、そういった自己否定を自分に向けることが多いようです。

その結果、今の関係を本当に大切にする力を自ら弱めてしまい、「もう私じゃダメかも」「別れたくないけど、別れた方が楽かも」と感じやすくなってしまう。

自分を犠牲にした関係は、いつかどこかでさらに大きな歪となってしまうわけですね。


自分の本心に向き合うことが修復の第一歩

「自分の心を大切にすること」と「相手との関係を大切にすること」は、切り離せない。

これが僕が長年、関係修復のサポートをさせていただいてきた実感です。

関係修復を果たした方の多くが「自分自身が塞ぎ込んだり、自分をいじめる気持ちを手放している」のです。

むしろ、相手のことを想う気持ちがあったとしても、自分を適当に扱ってしまうと関係修復は非常に難しい。

その理由は明白で、今は関係が良くないパートナーであっても、あなたを積極的に傷つけ、つらい思いをさせたいわけではないからですよ。

だから、「自分の思いの価値や本心に向き合うことが関係修復にとって非常に重要なこと」なのです。

本当はたくさん傷ついてきた。

本当はもっと分かってほしかった。

本当は伝えたいことが山ほどある。

その気持ちを一度もケアせずに「関係を修復しよう」とするのは、土台を整えないまま家を建てるようなものです。

関係修復の前提は、自分の本心を否定しないこと。

もしパートナーに直接伝えるのが難しいなら、安心できる場所(カウンセリングなど)で表現し、整えていくことも大事です。

特に、僕のカウンセリングでは、クライエント様の自己犠牲的な態度も「あなたなりの必死さであり愛の示し方」と捉えていきます。

たとえ、今までパートナーとの関係修復に執着・固執しているような感覚があったとしても、そこにも「相手に伝えたいあなたの真心があるのだろう」と理解させてもらっています。

ただ、その自分の気持ち、まず自分で受け止めるからこそ、相手に伝えられる本音が育つ、という側面は否定できないんです。

これなしに関係改善を進めようとすると、どこかであなた自身が息切れしてしまうのです。

ここで、一つ、「あくまで架空のケース」としてご相談事例をご紹介したいと思います。

架空のケース:Fさん(仮名・40代)

美咲さんは40代前半の女性。結婚生活10年以上。

彼女のお悩みはこうです。

「夫との関係が冷えてしまっている気がする。どうにか修復したいのに、私ばかり頑張って空回りしている」

詳しく話を伺うと、彼女は冷え切ったご主人との関係改善のために、気を遣いすぎるくらい気を遣っていました。

疲れていても「大丈夫だよ」と笑う。

本当は寂しくても「私は平気だから」と取り繕う。

喧嘩になりそうになると、すぐに自分を抑えて「私が悪かった」と謝る。

一見すると自己犠牲的な行動なんですけどね。

でも、その話を伺って「彼女の根底にあるのは「この関係を守りたい」「夫と一緒に生きたい」という強い思い」なんだろうな、と感じたことを思い出します。

「その自己犠牲も、あなたなりの必死さであり、愛の示し方なんですよね。

それだけ失いたくないのがご主人様との関係なんですよね。

だとすると、今まであなたはどれだけの気持ちをご主人に差し出してきたんでしょうか。

僕がお伝えするのもおかしな話なんですけどね。

でも、その思いが届かないってつらすぎますよね・・・。

すごく苦しいと思うんです。

でも、気持ちが届かないからと言って、自分に無理ばかりさせていても、自分のことを信じられなくなるって思いませんか?

僕から見れば、あなたの気持ちは十分すぎるほど、なんですよ」。

そのとき、Fさんは泣きながら「そんなふうに言われたのは初めて」と思われたとか、なんとか。

今まで「気持ちが伝わらない、私ではダメなのかも」と自己否定してきたけれど、その我慢には「夫に伝えたい真心」があった。

だからこそ、傷つきながらも関係修復に固執してしまったのだと。

この気づきから、Fさんは少しずつ変わっていきました。

自分と向き合うことで「届く言葉」が出てくる

「怒りたいわけじゃない」

「相手を傷つけたいわけじゃない」

「ただ、自分の思いを分かってほしい」

誰かを大切に思っている人ほど、本当に伝えたいことはシンプルです。

でも、そのシンプルさは「自分の気持ちを丁寧に、そして価値あるものとして扱うプロセス」を経ないと伝わらないのです。

今のあなたがあなたの味方であり、あなたの価値を認めるからこそ、「相手に届く言葉」が育つ。

たとえばですが・・・

もし僕がカウンセリングの場で

「うーん、僕はカウンセラーとして自信ないのでお役に立てるかどうかわからないですけど、でも、こうするといいかもですね?」

と言ったとしたら、その言葉、提案、あなたに届きます?(笑)

さらに「いや、僕はカウンセラーなんでね、あなたより心のことには詳しいんですよ、だから僕の提案を飲むべきです」と言ったとしたら、その言葉はあなたに届きます?

・・・ね、そういうことなんです。

自分を過小評価しても、正論や外側の何かを使って強く装っても、まぁ届かんですよ、気持ちはね。

だから、あなたがあなたであることを取り戻すことが最優先なんです。

その上で出てくる言葉こそが「関係を守る力」になるのです。

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まとめ:自分に嘘をつかないから「本当に伝えたいこと」が出てくる

「怒りたいわけじゃない」

「相手を傷つけたいわけじゃない」

「ただ、自分の思いを分かってほしい」

誰かを大切に思っている人ほど、本当に伝えたいことはシンプルです。

でも、そのシンプルさは「自分の気持ちをちゃんと扱うプロセス」を経ないと出てきません。

嘘をつかずに自分の感情を認めるからこそ、相手に届く言葉が育つ。

そして、その言葉こそが「関係を守る力」になるのです。

「関係を良くしたい」と思うあなたは、すでに十分誠実で優しい人です。

その優しさを活かすためにも、自分の心を偽らないことが大事です。

もし「どうしても自分の気持ちが整理できない」「パートナーの前で言えない本音が溜まっている」という方は、ぜひカウンセリングや心理学講座をご活用ください。

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心理カウンセリング(個人セッション)のご案内ご覧いただきありがとうございます。 こちらは、心理カウンセラー浅野寿和の心理カウンセリング(個人セッション)のご案内ページです。 心...

安心できる場所で自分の気持ちを整理することが、結果的に関係を大切にする力を取り戻すことにつながります。

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浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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