こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、「何を言っても黙って反応しない妻」と「どうしていいか分からなくなった夫」というテーマで、夫婦関係のすれ違いを心理的に読み解いていきましょう。
なぜ妻が黙るのか、無反応になったのかを理解することは、すなわち「愛や想い」について見つめ直すプロセスそのものなんですよね。
では、よろしければお付き合いくださいませ〜。
Index
妻が黙ってしまった。そのとき、起きていること
「何を言っても黙ったまま」「話しかけても、うなずくだけ」
長く夫婦関係を続けていると一時的にこの状態になることもありますよね。
・・・え?やけに実感がこもってるのはどうして、って?
いや、まぁそりゃねぇ、僕にもあるわけですよ・・・。
もとい、
「妻が黙り込んでしまってしばらく口を利いていない」という話があるわけですね。
そんな状況を前に、途方に暮れる男性もいらっしゃるのではないでしょうか?
その沈黙は確かに重さがありますね。
意図的に同じ空間で過ごす人と会話しないわけですから、まぁ理由がないってことはありえない。
ただ、それって実は“冷たさ”とは限らない、といいますかね。
「言葉や会話の限界」を悟った結果(防衛)かもしれないんですよね。
たとえば、奥さんが黙りつづけるとき、彼女の中ではこんな体験が積み重なっています。
「話しても、何かが変わるわけじゃない」
「伝えようとすればするほど、私が悪いことになっていく」
「言葉を尽くした分だけ、虚しくなる」
ここでいう“何か”とは、相手の態度や行動そのものよりも、「自分の存在の扱われ方」なんです。
まぁ明らかにご主人側の言動が奥様の存在を否定するものだったとしたら、原因は推測しやすいといえるかもしれない。
ただ・・・中には、ご主人さんもできる限り奥様に寄り添われているケースもある。
それでも沈黙が続く、というケースも実際にあるんですよね。
黙る妻が感じているのは「分かってもらえない」より、「私はどうでもいい存在」
さて、これは一般論になりますけれど、多くの女性にとっての会話って「何かを変えたいから」話しているのではないことが多いらしいです。
らしい、と書いたのは、僕は女性ではないので実感こもって話せるわけじゃないって意味ですね。
本当は、「この気持ちでここにいる私を分かってほしい」と願って話していることが多いようです。
ただ、妻が黙り続ける状態にまでなっているとすると・・・
夫に「分かってもらえない」より、「もはや私はどうでもいい存在なのだ」と感じている可能性が高いんですよ。
それは「夫に理解されないからどうでもいい存在だ」と思っているようで、違うニュアンスなのです。
書き方は難しいですが・・・
「私なりに良い関係を作ろうとしたり、夫の幸せを支えようとしたり、二人のいい関係を作ろうと努力したけれど、そんな私(その気持ち)に対して夫は関心を寄せていないということは、私にはそんな素晴らしい存在価値はないのではないか」
こんな感覚を感じていることが少なくないようです。
それぐらい多くの女性は「受け入れ、愛すること」ができる存在なんだな、と僕は理解しているところです。
だから、自分自身がきちんろ機能していないと感じると「私は無価値なのでは?」と疑いやすくなる、といいますかね。
妻の沈黙の理由を掴みきれない夫
一方、夫側からすると
妻の「ここにいる私の気持ちを分かってほしい」に込められた意味がいまいち理解しきれないことも少なくないようです。
これは、夫に理解力がないから、と限ったわけじゃありません。
この言葉、深すぎるのです、その意味と意図が。(詳しくは後述します)
よって、夫側は問題解決モードで返してしまうことが多くなるんですね。
妻:「最近、しんどいんだよね」
夫:「じゃあ休めば?」
この瞬間、妻の中では「私の気持ちは“処理された”」みたいに感じるって何となくおわかりいただけますかね?
もちろん二人の関係が良好なら、この会話も何ら問題ではなくなります。
が、二人の間にそこはかとなーい距離感や溝がある場合は、話は別なのですよ。
彼女が欲しかったのは提案ではなく、「最近しんどいんだよね」という言葉に込められた何かに対する”共鳴”。
今、自分が感じている感覚や感情に対して、共感・共鳴されたかどうか、なんですよね。
“理解されない”という痛みの本質は、「私の想いや感情が、正当なものとして扱われないこと」。
つまり、「何かを思い、感じる存在」としての自分が、どこにもいない感覚なんです。
だからこそ、何度もこの思いを感じた奥さん、つまり、女性は”黙る”ようになる。
これ以上、何かを伝えようとして傷つきたくない。
そう思う。
これが妻の沈黙の正体の一つの形のようです。
例外もあります
とはいえ、実はこの構図が男女逆転している場合もありますよ。
ご主人さんが懐深く、奥さんを受け止め続けたけれど、結果的に受け止めきれず(受け止めたとして状況が改善しない)沈黙するしかなくなる、なんてケースもあります。
夫が動けなくなるのは「罪悪感」と「怖さ」が混ざるから
一方、妻の沈黙の前で、夫は動けなくなる、というか・・・
一体なぜ沈黙が続いているのか、その理由がわからず途方に暮れることもあるようです。
「怒らせた?」
「なにか嫌なことした?」
そう考えてみてもわからない・・・。
ただ、わからないままそこにいるだけで、妻の態度はどんどん硬化していくばかり。
たとえ、「あ、あの時の・・・」と、妻が沈黙する理由がわかったとしても、それが沈黙となる理由の一端になるにせよ、全てではないことなんてザラなんです。
すると、夫側は
「責められたくない、でもこの空気に耐えられない」
そう感じ始めます。
実はその裏には、“誠実さ”とそれゆえの”罪悪感”が潜んでいることが多いものなんです。
「また何か間違えたんだろうか」
「これ以上、何を言っても悪化する気がする」
「自分が原因なんだろうけど、何を直せばいいのか分からない」
そうして、夫は「何もしない」という選択をとる。
それは冷たさではなく、「本当にわからない」という困惑と、“関係壊したくない気持ち”の裏返しであることは少なくないんですよね。
ただ、この“動けなさ”が続くと、妻の中の孤独をさらに深めてしまうことも事実。
そして、二人の沈黙が「関係が冷めた証拠」に見えてくる。
けれど、どちらもまだ、相手を傷つけたくないと思っているとしたら・・・。
そこに、関係を回復させる可能性が眠っているんです。
ただ、お互いに「傷つきたくない」のです。
だから、
「黙るしかない」「どうしたらいいかわからない」
という構図に陥ってしまうのでしょう。
妻の沈黙を解くカギは、“安心感の再構築”
夫婦関係が膠着すると、多くの人は「どうすれば話せるか」を考えます。
でも、先に必要なのは「話せる空気を取り戻すこと」です。
つまり、安心感の再構築。
たしか、先月のオンライン心理学講座でもお話したと思いますが、夫婦関係など人間関係が壊れる最も大きな要素は”安心感が失われるから”なのです。
相手に魅力を感じなくなった、異性として見れなくなった、価値観が合わない、といった意識も突き詰めてみるとそこです。
安心できないからこそ、話せない。黙るしかない。
つまり、もう信じられない。
これは「安心とは真逆の”傷つくリスク”」を感じている状態なんですよね。
つまり、妻が黙るのは「安心できない」と感じているから。
夫が動けないのは「安心できない」と感じているから。
取り戻すべきは“安心感”なのです。
たとえば、こうした声がけが役に立ちます。
「急いで話さなくても大丈夫だよ」
「今のままでも、俺はここにいるから」
「わからないことがあってもちゃんと受け止めようと思ってる」
この「変わらず在る」というメッセージは、“安心感”を少しずつ回復させることがありますね。
妻が沈黙で守っている”想い”とは
かつ、女性側もできれば少し視点を変えてみる必要があります。
それは夫を許せ、とか、受け入れろという話とは少し違います。
あなたが守ろうとしている”想い”を(それをあなた自身が言語化すること自体難しいかもしれませんが)
明確に言葉として、思考として理解できる男性は非常に少ないかもしれない、ということです。
僕が途中で「あまりに深すぎる」と書いたのはそのためです。
おそらくそこにあるものは・・・
「あなたがその存在をかけて大切にしてきた想い」があるのだと思います。
夫への思い、家族への思い。
そして、一人の女性として自己の存在価値をかけた思い。
文字にすると軽くなってしまうのが悔しいですが、その思いには大変な価値があります。
それは今でも、です。
もちろん、あなたがどれだけ想っても明らかに夫側が攻撃するのであれば、できる限り自分の安全を守っていただきたいのです。
が、そうではなく、あまりの「伝わらなさ」に、黙るしかない(このままでは自尊心が傷つきすぎてしまう)と思われるならば・・・。
そのあなたが守ろうとしている”気持ち”って、男性にはなかなか理解しがたい感覚なのだ、とだけ、理解しておいてもらうといいのかもしれません。
この理解ができることで、「夫に伝わっていないこと」と「自分の存在理由が失われるように感じること」は、一致するものではない、と理解できるからです。
「言葉をやめた関係」は終わりではない
また、夫側も、妻の沈黙を“拒絶”と見るか、“防衛”と見るかで、夫婦の未来は変わるやもしれません。
もちろん、妻の内面で感情が溢れきってしまい、もう元には戻らない、なんて状態が来てしまっているなら、うーん、関係修復は難しくなることもありますよ。
ただ、まだそうではないとするならば・・・
妻の沈黙は「もう終わり」というサインではなく、
「もうこれ以上、痛みを増やしたくない」というサインだと理解してみてください。
あなたというパートナーの手で、これ以上自尊心を傷つけられることを拒んでいるのです。
その沈黙の奥には、まだ“諦めきれない愛情”があるかもしれません。
だからこそ、焦らず、でも理解を続けるのです。
彼女が何を言っているのか、何を伝えようとしているのか、を。
その答え自体はそんなに難しいものではありません。
ただ、その答えを感覚的に理解するには、少し女性の内面のあり様を理解する必要があるやもしれません。
男性的な感覚、思考では、届きにくい思考回路の先に”解”があるのです。
そこが理解できると、「わからない」という靄が少しづつ晴れて、「妻にできること」が見えてきます。
すると、夫側の気持ちにも安心が芽生え、二人ん関係を育てるほうへ舵を切ることができるようにもなるのです。
こちらの記事も参考にしてください
まとめ:沈黙の裏には、まだ愛があるかもしれない
「何を言っても反応しない妻」も、
「どうしていいか分からない夫」も、
どちらも“関係を壊さないために”守りの姿勢を取っているだけです。
言葉が出ないのは、愛が尽きたからではなく、「これ以上、すり減りたくない」から。
動けないのは、冷めたからではなく、「また傷つけてしまうのが怖い」から。
だから、沈黙の中で、まだ終わっていない何かを見てあげてください。
関係を変えるのは「正しい言葉」ではなく、“安心をもう一度つくろうとする誠実さ”なんですよね。
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