深読みさんと忍耐女子

『私にはもう何もできない』と感じる心理|「必要とされない立ち位置」が心を追い詰めるとき

私には何もできないという気持ちのシンボル

こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、カウンセリングや講座の中で伺う感覚について書いてみたいと思います。

「私には、もう何もできない気がします」

そう口にされる方は、決して怠けているわけでも、投げやりなわけでもないんですよね。

むしろ、これまで本当によくやってきた方が多いのです。

しかし、きっと僕のこの言葉も、なかなか心の奥まで届かないのではないかな?とも思いますよ。

この「私にはもう何もできない」という気持ちは、

確かに燃え尽き、疲れ果てたときにも感じますけれど

たとえば、

恋愛、夫婦関係、職場、友人関係などの中で

「私がいなくても、特に困らないんだろうな」 

そんな考えが頭をよぎる瞬間も、「もう何もできない」と感じている事が多いのです。

「私はもう求められていないのではないか?」

「相手の迷惑になっているのではないか?」

「だとしたら、もう何もやらないほうがいいのではないか?」

・・・なんとも切ない話なんですけどね。

そこで今日は、この気持ちを抱くようになる心理的背景とともに、「私には何もできない」と感じる理由をまとめていきます。

よろしければお付き合いください。


「もう何もできない」と感じるほど、心が追い詰められている

この感覚が強く出るとき、よくよくお話を聴いていくと、共通しているものがあります。

それは、

「自分は、必要とされていないのではないか」

という立ち位置に、長いあいだ立ち続けてきた感覚です。

たとえば、

  • 子どもの頃、厳しく育てられた
  • あまり褒められた記憶がない
  • 役に立つことが評価の条件だった
  • 学校や社会の中で、居場所がある実感を持ちにくかった

こうした経験が重なると、人は知らず知らずのうちに、

「誰かに必要とされていなければ、ここにいてはいけない」

という立ち位置を、生きる前提にしてしまいます。

なので、どうしても「自分を許しましょう」「自分を受け入れましょう」と言われても、

なかなか気持ちが前に進まないことも多いんですよね。

なぜなら、

そもそも「自分は必要とされない」という立ち位置で、自分を許し、受け入れることは

「誰にも必要とされていないんだ」と受け入れなきゃいけないのだ、

と感じてしまうことが多いからです。

この状況になると、どうしても「自分を褒めたり、認める作業」を頑張ってみても、

しっくりこない感覚が続くんですね。


「必要とされない不安」が心を静かに削っていく心理構造

この立ち位置に長く立っていると、表面上はちゃんとしていても、

  • 人の期待に応えようとしすぎる
  • 自分の気持ちを後回しにする
  • 迷惑をかけないように、無理をする

といった形で、エネルギーを使い続けることになります。

そしてある時、ふと心が限界を迎えます。

身体が重い。

やる気が出ない。

考える力が残っていない。

そのとき出てくる言葉が、

「私には、もう何もできない」

なのです。

でもこれは、能力の問題ではありません。

「必要とされない不安」を抱えたまま、 ずっと踏ん張り続けてきた心の反応なのです。


その不安は、心を守るために生まれた反応かもしれない

ここで、ひとつ大切な視点があります。

それは、

「この不安は、もう解放していいものかもしれない」

という考え方です。

これまでの人生で、

  • 誰かに必要とされるために
  • 役に立つ存在であるために
  • 居場所を失わないために

あなたは、たくさんの感情を抱え、飲み込み、頑張ってきたはずです。

その不安は、あなたを守り、時には人生を前に進めるために必要だった時期もあったのではないでしょうか?

でも今、「もう何もできない」と、心が動けなくなっているとしたら、

「その役割は、もう終えていい」

というサインなのかもしれませんよね。


「必要とされない立ち位置」から降り、感情を解放するというアプローチ

だから大切なのは、

  • もっと前向きになること
  • 自分を奮い立たせること

ではありません。

必要なのは、

「私は、必要とされていない」という立ち位置から、一度降りること。

これは、

これまで抱えてきた感情を、

「不安な自分」ではなく 「役目を終えた感情」として、解放していくこと

によって徐々に進んでいきます。

繰り返しになりますが、大切なことは

「私は何もできないとか、必要とされないという気持ちは、もう自分を守るという役目を終えているのだ」

と理解することです。

「今まで抱えていたこの気持ちは、もう手放していいんだ」

「私は、何か証明しなくても、ここにいていいんだ」

そう感じられるようになると、不思議と、少しずつ力が戻ってきます。

こうなってくると、自分を認める、許す、褒める、という行為も効果を発揮しやすくなります。

つまり、「私には何もできない」という思いは、

そう思うことで今までの自分を支える価値観だった、ということです。

そして、この自分を支える価値観を、今までとは違うものにシフトしていくことで

より気持ちも軽くなり、自分を大切にする視点も持ちやすくなるんですね。

このプロセスは、個人セッションの中でも、よく一緒に扱っています。


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最後に|「何もできない」と感じているあなたへ

「何もできない」と感じているあなたは、

本当は、何もしてこなかった人ではありません。

むしろ、

必要とされない不安を抱えながら、 それでも頑張って生きてきた人です。

だから今は、自分を責めるよりも、

「よくここまで耐えてきたこと」

をねぎらっていただきたいのです。

今までが決して間違っているわけではないのでしょうから。

そして、あなたの心の”立ち位置”が変われば、

人生の見え方は、静かに、しかし確実に、変わっていきますよ。

今日はここまでにしますね。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたのに、どこか噛み合わない」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 正しさや結論だけを急がず、今どこに立っているのかを一緒に整理する個人セッション(カウンセリング)が人気。 キャリア16年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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