こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

この記事は、

「不器用な自分を変えたいと努力しても失敗してしまう」
「どこへ行っても仕事ができない扱いをされる」
「指摘が続いて心が折れそう」

そんな状態にいる方に向けて書いています。

先にひとつだけ。

あなたが今感じているつらさは、根性や気持ちの問題だけで片づくようなものではないのかもしれません。

仕事ができないと言われること、評価されないこと、見下されるように感じること。

その積み重ねは、普通に人の心を削ります。

そして削られた心は、だんだんと「自分を責める」ほうへ向かいやすくなる。

今日はその仕組みを、できるだけ整理してみます。

いただいたご質問はこちら

浅野さんへ

私はどの職場へ行っても「仕事が出来ない」レッテルを貼られます。
人から言われたことの要点をまとめるのも苦手だし、集団行動や人間関係も苦手です。(ずっと慣れないことの方が多い)
おまけに要領が悪かったり、たまに見落としてしまったり・・

でも何より思うのは、自分ばかり出来てない奴扱いされることです。
他の人だって完璧じゃないのに、なんで自分ばかり指摘されてしまうのか
そんなに自分がダメなのかと思うと生きてくのが辛いです。

幸い吐き出せる人がそばにいますが、100%分かってくれるわけではないので、言ったことでより辛くなってしまうこともあります。
不器用な自分を変えたいと努力してもやっぱり失敗はするし、結局評価されるのは要領のいい人で・・

上司から『もう新人じゃないのにこの出来ではまずい。このままでは指導する立場は任せられないから頑張って改善して』と言われていて、できるように頑張るしかありませんが・・

気持ちは焦るばかりで、他人と比べては落ち込み、指摘されては落ち込み・・毎日会社や社会から逃げたいと思うばかりで、言われたことしかやる気が起きない、全然役に立たない情けない自分。

どこへ行っても人に批判され、バカにされ、見下される自分。
どうしたら少しでも楽になりますか?

ネタ募集ネーム:怖がりさん


「不器用でつらい」は、能力の問題だけでは終わらない

「私は不器用で、要領が悪くて、見落としもあって…」

そう感じている方は、たいてい真面目で、なんとか改善しようと努力しています。

でも、ここがつらいところで。

仕事がうまくいかない → 指摘される → 焦る → さらにミスが増える

この循環が起きると、途中からは「能力」ではなく、心の状態が問題の中心になっていきます。

たとえば、こんな状態です。

  • 言われたことが頭に入らない
  • 要点をまとめようとしているのに、途中で真っ白になる
  • 人の目が気になって、確認が雑になる(または過剰になる)
  • ミスが怖くて動けなくなる
  • 自分の判断が信用できなくなる

これって、能力が低いからというより、

「緊張と恐怖のモード」で仕事をしている状態に近いんですよね。

つまり、仕事の問題がいつの間にか、心の問題になっていく。

そして心の問題は、放っておくと自己否定を強めます。


不器用さが“自己否定”に変わっていく心理プロセス

ここが今回の核心です。

「不器用だからつらい」だけじゃなく、

不器用さが、いつの間にか“自分の価値”の問題にすり替わっていく

そのプロセスは、ざっくり言うとこうです。

1)指摘が続くと、判断力が奪われる

指摘が続くと、人は「次に怒られないこと」を最優先にし始めます。

そうなると、頭の使い方が変わります。

  • 自分で考えて動くより、言われた通りに動く
  • 確認してから進むより、とにかく早く終わらせる
  • 工夫するより、失点しないことを優先する

これは怠けではなく、心の防衛反応です。

ミスそのものより、「否定される痛み」を回避しようとする。

ただ、この防衛が続くと、

「自分で判断する力」そのものが弱っていくんですよね。

結果的に、ますますうまくいかなくなる。

2)「考えながら動く人」ほど評価されにくい構造がある

これ、地味に大事な話です。

世の中には、

「考えながら丁寧に動く人」より「迷いなく速く動ける人」が評価されやすい環境があります。

もちろんそんな環境が全てじゃないですけどね。

あなたが不器用というより、

あなたの仕事のスタイルと、職場の評価軸が噛み合っていない可能性もある。

たとえば、

  • 慎重に確認する人が「遅い」と言われる
  • 要点を整理してから話す人が「反応が鈍い」と言われる
  • 丁寧に考える人が「要領が悪い」と言われる

本当はこれ、能力が低いというより、タイプの違いの問題でもあります。

ただ、環境が合っていない状態で指摘が続くと、何が起きるか。

人は比較の中で、自信を失います。

比較しても意味がないと分かっていても、

比較の中で「自分だけダメだ」という感覚が強くなる。

このとき、

「不器用な自分でいい」と思えるリアリティが消えていくんです。

3)自己否定は“緊急避難”として心を安定させることがある

ここは、少し嫌な話に聞こえるかもしれません。

でも現場にいると、こう感じることが多いんです。

自己否定って、心を閉ざすことで、一時的に安定することがあるんですよね。

たとえば、

  • 「私が悪い」と決めると、考えなくて済む
  • 「どうせダメ」と思うと、期待しなくて済む
  • 「私には価値がない」と思うと、傷つく前に先に降りられる

もちろん、長期的には苦しいです。

でも短期的には、心を守るための緊急避難として機能してしまうことがある。

イメージとしては、「心を閉ざし、自分を責めることで、外側からの刺激(声や価値観、考えなども含む)をシャットアウトしようとしている」感じ。

自分の内なる世界を守るために、いい刺激も悪い刺激も受けないように、他人に踏み込まれないように。

自分を強く責めているときほど、誰も関わってほしくないと思うのは、おそらくそのためですよ。(結果、支援の手も突き放すことになることもありますけど。)

多くの場合、外側に向かって怒りを発することで抵抗するんだけど、内向的な正確の方の場合は、その怒りが内側に向くこともあるんです。

だから、苦しい。孤立したような、自分に価値がないような気がする。

と同時に、「責めるのをやめよう」と言われても、簡単ではない。

責めない代わりに、別の方法で心のバランスを取る必要があるからです。

その移行は、実はかなり大変です。

なぜなら、自己否定の下には、たくさんの感情が隠れていることが多いから。

悔しさ、怒り、悲しさ、恥ずかしさ、孤独、怖さ。

そして「それでも頑張りたいのに」という願い。

カウンセリングの現場で見えるのは、だいたいこのあたりです。


「自分が不器用すぎる」と感じるとき、まず確認してほしいこと

ここからは、現実に役立つチェックです。

1)あなたの「不器用」は、状況で変動していませんか?

たとえば、

  • 特定の上司・特定のチームだと極端にミスが増える
  • 急かされると頭が真っ白になる
  • 否定されると、急に理解力が落ちる

こういう場合は、心理的安全性の問題が絡んでいる可能性があります。

2)「要点をまとめるのが苦手」は、情報処理のタイプかもしれません

要点をまとめるのが苦手な人は、

頭が悪いというより、情報の扱い方が丁寧すぎることがあります。

一気に要点を出すより、

一度全体を理解して、関連づけて、構造化してから話すタイプ。

このタイプは、慣れると強い。

でも急かされると弱い。

あなたが今いる環境が「速さ・即答」を重視しているなら、しんどくなりやすいです。

3)「死にたくなるほどつらい」は、心が限界サインを出している可能性があります

原文にあるこの感覚は、とても重いものです。

もし今、同じような感覚が頻繁に出ているなら、

あなたの根性が弱いのではなく、負荷が強すぎる可能性があります。

こういうときは「改善」よりも先に、

安全に呼吸できる状態を作ることが優先になります。

身近な人に話してもつらさが増してしまうのは、

あなたが弱いからというより、今の心が「言語化の途中」にあるからかもしれません。


「立ち位置」を変えると、少し楽になることがある

ここで、浅野のスタンスの話を少しだけ。

あなたは今、

「評価される私」=「生きていていい私」

みたいな立ち位置に、追い込まれているかもしれません。

この立ち位置だと、仕事のミスは“能力の問題”ではなく、

存在の否定みたいに感じられます。

そりゃ苦しいです。

でも、現実には、

仕事がうまくいかないことと、あなたの価値は別物です。

ただし。

この言葉は、言うのは簡単で、受け取るのは難しい。

だからやることは、「自分を責めない」ではなく、

責める以外でバランスを取る手段を増やすことです。

たとえば、

  • 今日できたことを1つだけ記録する(小さくていい)
  • 「できない私」ではなく「今の負荷が強い」を主語にしてみる
  • 比較したくなったら「比較している時点で消耗している」と気づく
  • 指摘されたら、反射で自己否定に入る前に深呼吸を一回入れる

全部、地味です。

でも、こういう地味な操作が、心の立ち位置を少しずつ変えます。


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最後に

不器用な自分を責めるのをやめたい。

そう思っているのに、やめられない。

それは、責めることでしか保てない心のバランスが、今はあるのかもしれません。

だから、まずは自分にこう言ってあげてください。

「責めたくなるほど、きつかったんだろうね」

そして、できれば責めない自分を目指すより、

責める以外の支え方を少しずつ増やす

もし一人では難しいと感じるなら、

安全に整理できる場(相談できる相手、専門家、医療機関を含む)を使うのも、立派な選択です。

あなたがもう少し呼吸できる位置に戻ること。

まずはそこからだと思います。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー・トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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