「無理しない」を選ぶ前に考えておきたいこと
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、最近よく聞く言葉について、少しだけ立ち止まって考えてみようと思います。
「無理しなくていいですよ」
この言葉自体は、とても優しいし、間違っていないと思います。
実際、無理をしすぎて心や体を壊してしまう人もたくさん見てきました。
ただ、カウンセリングの現場で人の人生を長く見ていると、同時に、こんな場面にもよく出会うのです。
「無理しない」を早く使いすぎて、あとで取り返しがつかなくなるケースに。
今日はそんなお話です。
Index
「無理なものは無理」は、確かに正しい
まず、大前提として。
無理なものは、無理です。
体力的に限界なとき。
精神的にすでに削り切れているとき。
これ以上踏ん張ったら壊れる、と自分で分かっているとき。
こういうときに「まだ頑張れるはず」と自分を追い込むのは、ただの自己破壊です。
なので、僕は基本的に「無理しなくていいですよ」と言う側の人間でもあります。
安易に
- 「甘えるな」
- 「努力不足だ」
- 「逃げている」
と語るのは危険だと思うぐらいです。
なぜなら、相手のあり方を理解しないで、どうしてそう言える?と思うので。
ただし、問題はここからなんですね。
「今は無理」と「そもそも無理」は、まったく別物
心理学的に見ても、人の成長や変化には段階(プロセス)があります。
たとえば学習理論や発達理論では、
- 慣れていない段階では負荷が大きく感じられる
- 繰り返し経験することで処理能力が上がる
- ある地点を超えると、同じことが「無理」ではなくなる
という流れが確認されています。
つまり、
「今はしんどい」=「一生できない」ではないんですね。
ここを混同すると、問題が起きます。
量を通過しないまま「質」を語ると、何が起きるか
少し別の角度から見てみましょう。
以前、元サッカー選手の本田圭佑さんが、ある動画の中でこんなことを言っていました。
「仕事も練習も、質が大事と言えるのは、量をこなした人間だけだと思う」
その後で、彼はこうも言っていた記憶があります。
「どこまで体を追い込むと怪我をするのか、など、わからないことは危険」
そういえば、僕もお師匠さんも「カウンセラーに必要なのは量」といつも言っていましたっけね。
たとえば、
- 人と深く関わる経験
- 失敗する経験
- うまくいかない中で踏ん張る経験
こうした量のフェーズを通らずに、いきなり
「自分に合うやり方だけで生きたい」
「無理しない働き方がしたい」
と言い始めると、どうなるでしょうか。
だいたい、その後で行き詰まります。
応用が効かんのです。そして、経験した場面が足りない。
それは、その人がダメって話ではなく、経験から学ぶことの重要性は無視できないってことなんでしょう。
なので僕もずっと、カウンセラーの先輩には追いつけないままですよ(^^;
基本、僕の師匠や先輩はエゲツないので?、誰よりも動くんですよ。
実力あるベテランに本気でやられたら、そりゃフォロワーは追いつけないっすよ。
天才に必死で努力されたら、凡人(=僕)にはどうしようもない、ってアレと同じです(^^;
ただ、比較をやめれば、自分なりの蓄積はきちんと確認できますよね。
心理学的に見る「無理できない状態」
ここで大事なのは、
無理ができない=怠けているではない、ということです。
ここは勘違いしてほしくないんですよ。
心理的には、
- 慢性的なストレス状態
- 失敗体験の蓄積
- 自己効力感(やればできる感覚)の低下
が続くと、人は「挑戦そのもの」を危険だと認知するようになります。
この状態で
「無理しないほうがいい」
という言葉に出会うと、それが回復のための休息ではなく、撤退の理由として使われてしまうことがある。
これが一番もったいないところかな、と思います。
あと、撤退の理由にしたくなくて、無理をし続ける人もいますしね・・・。
「無理しない」を選ぶ前に、見ておきたい視点
なので、僕はよくこんな問いを投げます。
- それは今までの結果から生じる無理?
- それとも「怖くて手前で止まっている」無理?
どちらが良い・悪いではありません。
怖くて止まっていることが罪でもなんでもないし、なぜ怖いのかを突き詰めると、実は「向いてなかった・合わなかった」なんてこともザラにありますからね。
ただ、必要なことなのに「無理なことは無理だ」とを見誤ると、
本当は越えられたはずの地点で、人生が止まることがある。
これは、その時のプライドを優先して、結果後でプライドは傷つく、みたいなプロセスです。
これが「あとになって取り返しがつかなくなる」と感じるポイントです。
もちろん「できた、のに、やらなかった」ことに、大して価値はなかったのかもしれません。
でも、今、振り返って後悔するならば、きっと価値があるものなのでしょうね。
ただ、気づいた時点からでも、プロセスは再開できますよ。
無理を卒業するタイミングは、必ず来る
誤解しないでほしいのですが、
僕は一切「ずっと無理しろ」と言いたいわけではありません。
むしろ逆です。
しないでいい無理はする必要ありません、まったく。
ただ、しないでいい無理を見極めるにも、経験が必要かな、と思います。
言い方はアレですが、好きだなと思った人が常に理想の相手とは限らん、みたいなものですよ(笑)
そこを見極められるようになるには、望ましいことじゃないけど、まぁ手痛い失恋などが学びにつながりますよね。
これは、”先に傷つけ”と言っているのではありません。
いろんな経験をするうちに、それがどんなものか分かるようになる、ってことですよね。
なにより「無理は、必ず卒業するもの」であるべきだ思います。
ただしそれは、
- 量を通過し
- 失敗を経験し
- 自分なりの手応えを掴んだあと
に訪れるもの。
その段階での「もう無理しなくていい」は、人を壊さないし、むしろ人生を安定させます。
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最後に
「無理しない」は、とても大切な言葉です。
でも同時に、使うタイミングを間違えると、人生を止めてしまう言葉でもあります。
もし今、
「これは本当に無理なのか」
「それとも、まだ通過途中なのか」
で迷っているなら。
一人で判断しなくていい。
あなたの今のプロセスを一緒に整理するだけで、「無理」と「今はしんどい」の違いは、かなり見えてきます。
必要であれば、いつでもお手伝いします。
ではまた。
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