受け入れる力が強い人が、パートナーシップで消耗する理由|”受け入れる側”に自分を固定しすぎていませんか?
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、このサイトでおなじみの忍耐女子さん中でも、存在感がすごい「なんでも受け入れてしまう人」にまつわる心理のお話を一つ。
受け入れる力が強いがゆえに、いつのまにかしんどくなってしまう、というご相談。
相手のわがままも、機嫌の波も、無理な要求も、「まあ、いいか」「この人にも事情があるんだろう」と、受け止めてきた。
それが愛だと思っていたし、実際、そう信じてやってきた。
でも、ふとした瞬間に、「あれ、私ばっかり、受け止めてない?」と思ってしまう。
というか、もう限界なんですけど・・・。
僕は昔からこういうお話をうかがうこと、けっこうあるんですよね。
相手をまるごと受け止める。
それは、たしかに素晴らしいことですよ。
ただ、だからこそ、注意したいこともある、というか。
今日はあえて、そのあたりの話をしてみたいんです。
Index
受け入れることは、一人では完了しない
そもそも「受け入れる」という行為は、一人では完結しないですよね。
パートナーシップならば、まず「相手」がいる。
相手をあなたが受け入れる。
相手がそれを受け取って、今度は相手もあなたを受け入れる。
この、行ったり来たりがあって、はじめて、関係の中で「受け入れる」が循環するんです。
キャッチボールみたいなものですよね。
こっちが投げて、相手も投げ返してくれる。だから、続く。
ところが・・・。
相手が受け取るばかりで、投げ返さないタイプだったとしたら。
あなたは投げ続けることになる。
・・・まぁ、そりゃそうなるよな、って話ですけどね(^^;
受け入れて、受け入れて、受け入れて・・・でも、返ってこない。
キャッチボールのつもりが、いつのまにか、壁打ちになっている感じ。
そして思う。
「どうして受け止めてもらえないんだろう・・・」と。
さらに思う。
「受け止めてもらいたいと思っている私に問題があるんじゃないか」と。
・・・こうなると、けっこうしんどいかもしれないですね。
受け止めてもらいたいと思うことが問題、という問題意識
ここで登場しやすいものが
「受け止めてもらいたいと思うことが問題」という問題意識です。
実際にご相談をいただくと
「私のことをもっと受け入れてほしいと”思ってしまう”」とか
「受け入れてもらいたいと思うと苦しいので、そう思わないようにしてきた」といったお話をけっこう伺います。
ここにあるものは、切なさでもありながら、「自分のニーズを嫌って、退ける癖」のようなものです。
なので、逆説的に「私が誰かに受け止めてもらう」というニーズを嫌い、退けるために、つい意識が向きすぎてしまう。
そこがしんどい、という話になるんですね。
そもそも「受け止められることに慣れている人」は、そこまで意識してないようなのでね・・・。
「え、そんなの自然で、普通のことじゃないの?」と。
・・・はぁ?となりそうっすけどね、忍耐女子さんがそんなこと言われたら。
「おめー、ケンカ売ってんのか」ぐらい思う人がいても不思議ではないというか(笑)
だから、こちらの「受け止めてもらいたいと思っている私が問題」という問題意識自体が、どうして存在するのか理解できない、という人もいるようなのです。
・・・はい(^^;
これは僕も長くカウンセラーをやってきて感じた驚きの一つ。(僕もかなりニーズ嫌いでしたからねぇ)
ただ、私情を挟まず、冷静に考えてみると「そりゃそうよねぇ〜」と思うことの一つです。
「受け入れてほしい人」は、弱そうな人とは限らない
こういった話を書くと、「受け入れない相手が悪いんじゃん」という話になることが多いので、ここで補足を一つ。
「人の好意や善意を受け取ってばかりの人」と書くと、なんだか迷惑な人、エネルギーを奪う人、依存的な人を想像しやすいのかもしれません。
たとえば、過去の傷の影響で、誰かに受け入れてもらわないと不安な人、とか。
自分のやりたいことのためには他人に迷惑をかけても平気で、心が傷まない社会性のない人、みたいな。
確かに、そういう方もいらっしゃるのかもしれない。
ただ、そういった方ばかりではないのですよ。
むしろ、いろんな関係の中で「周りに受け入れてもらうことでうまくやってきた人」もいます。
ある意味、その形で成功してきた人、というか。
……こういうタイプも「受け入れてほしい人」だったりするんです。
魅力的で、堂々としていて、一見、むしろ強そうに見える。
でも、その人が回っている仕組みをよく見ると、「周りが受け入れてくれる」ことが、前提になっている。
受け入れてもらうのが、その人にとってはあまりに当たり前なので、本人も気づいていないことすらある。
で、こういう人と、受け入れる力が高い人が一緒にいると・・・どうなると思います?
合うんですよ、最初は。
片方は受け入れてほしい、片方は受け入れるのが得意。
ピタッとはまる。
だから、いい関係にも見えるし、実際関係もうまく回るし、自分の存在理由もけっこう明確に感じる。
相手と一緒にいて得るものも、ちゃんとある。
ただ、受け入れる側は、だんだん、引っ張り出されていくわけです。
何を引っ張り出されるのかって、自分に持っているものを、です。
(実際は、引っ張り出されるのではなく、差し出すしかなくなる感じなんでしょうけどね。相手の影響を勘案すると「引っ張り出される」という表現が的確かな、と思うんですけども。)
もっと与えて、もっと受け入れて、もっと合わせて・・・。
これが続く。
相手は、ただいつものように受け入れてもらっているだけ。
ただ、それが続くことですり減っていく、というかね。
これは、どっちが悪い、という話じゃないんです
ここ、大事なところなんですけど。
じゃあ、受け入れてもらう側が悪い人なのか、というと。
たぶん、そうじゃないです。
その人も、そういう関係の中で生きてきただけなので、悪意から搾取しているわけじゃないんですよね。
心理学っぽく言うと、これは「利己」と「利他」のバランスの話に似ています。
片方が利他(相手を優先する)に振り切っていて、片方が利己(自分が受け取る)で安定していると、その二人の間では、利他の人ばかりが、出し続けることになる。
どっちかが極端に悪いわけじゃなくて、組み合わせとバランスの問題なんです。
だから、「あの人がひどい」「あいつはワガママだ」と責めても、あんまりいいことはない。
かといって、「受け入れすぎる私が悪い」と、自分を責めるのも違いますよ。
このような「問題意識を持てば持つほどしっくりこない感じ」。
これがこのテーマの最も厄介なところなんですよね。
受け入れる力は、手放さなくていい。自分の中でのバランスが重要。
実際、こういったご相談をいただくと
「じゃあ、受け入れるのをやめたほうがいいの?」
と思われる方もいるんですけどね。
うーん、そうじゃないんです。
確かに、受け入れすぎている部分や、関わりすぎている部分などは、バランスを取るために、あえて「手を引く」とか「意識しない」ことをオススメする場合もあります。
ただ、受け入れる力自体を抑え込む必要はないのですよ。
受け入れることを、愛だと感じてきたこと。
それ自体は、間違っていないんですよ。
むしろ逆の提案を僕はします。
「私は受け入れることが得意な人でね。だから、その私を大事にしてくれないなら、受け入れてなんてやんねーぞ」
という意識があってもいい、というか。
これは、相手に意地悪をするのではなく、力の出し惜しみをするという意味でもなく、です。
お伝えしたいことは「あなたの中で自尊(自分を尊ぶ意識)が欠如することが最もしんどい」という話なんですね。
たとえば、自分の中にある受け入れる力を「当たり前」もしくは「まだ足りない」と思うことがしんどい、というか。
場合によっては、受け入れることでしか関係を続けられない、と思っている人もいる。
もちろん、その切実さには僕も寄り添わせてもらいますよ。
ただ、受け入れる力は、何かしらのマイナスを埋めるものではなく、プラスに作用するべきなんです。
つまり、極端に書くと
「私の受け入れる力は宝物で、素晴らしいものなんだ。簡単には渡さねーぞ。」
みたいなノリがあってもいい、という話。
それ、受け入れられることに慣れている人ならば、「あぁ、そりゃそうだよね」と理解できることなので。
よって、受け入れる力はそのまま持っていていい。
ただ、その力をどう使っているか。
そして、自分の中でバランスが取れているのか。
そこを、いちど、見てみる価値はあるかもしれません。
最後に
昔からこの手の話はよくうかがっているのですが、どうやら極端になりやすい性質があるらしく・・・。
「受け入れる側が悪いのか?受け入れられている方が悪いのか?」
そんなポジショントークになりやすい側面があるようですよ。
まぁ、そう思うお気持ちも分からんでもないんですけどね。
ただ、そのポジションを取ることで、大切なことを見逃すかな、とも僕は思っています。
・・・そもそも、心理学を知る、心を知るということは、「善悪判断から抜け出して物を見るためのもの」であって、「こういう心理だからヤバい」みたいな話として理解すると、人の心を切り裂くナイフにしかならんと思うのですよ。
そういう視点で見れば、いわゆる利己も利他も、どちらがいい悪いで語れない。バランスの問題でしょうし。
受け入れる、も、受け入れられる、も、バランスの問題なんですよ。
ただ、このバランス感覚、なかなか気づきにくい部分かもしれないですね。
受け入れるのが上手な人ほど、「私さえ受け止めれば」で、また抱えてしまうので。
だから、こういうのは、誰かと一緒に「今、何が起きているのか」を、眺めてみるくらいが、ちょうどいいのかもしれませんけどね。
こちらの記事も続きにどうぞ
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- 勇気を出して伝えたのに、彼にスルーされた|自己開示の”タイミング”の話
- 心理カウンセリングのご案内
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