こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日も僕あてに送っていただいたご質問にお答えしたいと思います。

いただいたご相談はこちら

浅野さん、こんにちは。いつもブログ拝見しています。

夫とのことで相談させてください。

夫はいい人なんです。優しいし、私のことも大切にしてくれていると思います。

なのに、夫が何を考えているのか、ぜんぜん分からないんです。

たとえば、「こういうことをされると悲しい」「こうしてくれると助かる」と、けっこう具体的に伝えているつもりなんです。

でも、その時はいいのですが、しばらくするとまた同じことが起きます。

伝わってないのか。それとも、どうでもいいと思われてるのか。

あと、夫が黙っていると、怒ってるのかな、私に飽きたのかな、と、勝手にいろいろ考えてしまいます。

私から聞けばいいと思って聞くんですけど、聞いてもよく分からないままです。

私の伝え方がおかしいんでしょうか。

ネタ募集ネーム:MOAさん

「パートナーが何を考えているか分からない」にも、いろいろと種類がある

「パートナーが、何を考えているのか分からない」

「相手が何を考えているのか分からない」。

ご相談としてよくうかがうお話ですよ。

もちろん、分からない理由はさまざまなんですよ。

たとえば、相手が実際に何も話さない戦略を取り続けるとか、本心を明かさず嘘をつきつづけている、といったケースもありますからね。

その場合は分からなくて当然だし、信じられなくて当然でもあるのかな、と思います。

あとは、「相手が伝えていることの真意が理解できない」というケースもありますよね。

たとえば・・・「ちょっと一人にしておいてほしい」という言葉がその代表例なんですけどね。

「ちょっと一人にして」と伝える側は「二人の関係を維持するために時間や距離が必要」と思っていたりする。愛情がないわけじゃない。

けれど、受け止める側は「距離を置かれた、突き放された」としか解釈できない、みたいな。

これは、そもそも「相手が何を前提に話しているか」が通じ合っていないケースですね。

なぜ相手はそんな言葉を使うのか、その裏側にある気持ちが見えていない感じ。

では、なぜそんな事が起きるんだ?という話を今日は解説したいと思います。

特に、僕たちは「怖れや危機感が強くなると、相手の気持ちが見えなくなる」という、ちょっとした仕組みの話をします。

怖れると、視野が狭くなる

人は、過剰なストレスを抱えたり、不安や怖れを強く感じていると、相手の気持ちをうまく捉えられなくなる。

これはメンタライゼーションの文脈でよく言われることなんですけどね。

ただ、この話自体はちょっとややこしい話でもあるので、もう少し簡単に解説しますね。

心理学では「注意の狭窄」なんて言葉がありますが。

たとえば、大きなストレスを抱え込んでいたり、怖れや不安をいだいているときほど、注意(アテンション)の範囲が、ぐっと狭くなるんですよね。

トンネルの中を覗いてるみたいに視野が狭まる感じ、というとイメージしやすいでしょうか?

この状態にいる人が、パートナーと会話すると、相手の気持ちを推し量ることが難しくなるんですね。

相手の話がわからない、というわけじゃないんです。

言っていることは分かる。

たとえば、「私はこう言われると嫌だからやめてほしい」と言われれば、それは理解できる。

だから、一時的には言わなくなる。

けれど、「相手がなぜそう伝えているのか?」までを把握することが難しい。

そんな状態も実際にあるんですよ。

相手の言葉も聞いているし、会話もちゃんと成立している。

けれど、お互いの気持ちの中身まで見てるようで、見えていない。

そんな状態が繰り返されることもあるんですよ。

それってただ愛情がないだけじゃないの?

・・・え?それって相手が私への愛情がないだけじゃないの?

ちゃんと興味を持っていないだけなんじゃないの?って思われました?

それもある意味正解かもしれないです。

ただ、本当に愛情がないかどうかは検証したほうがいいですけどね。

たとえば、本当に「相手の気持に注意を払えていない」という場合もあるんですね。

いわば、ちょっと気を抜いてしまっている、安心しすぎてしまっている、という感じで。

ちゃんと興味を持てば理解できる人もすごく多いんです。

他にも、そもそも「相手の気持ちのカタチが分からない、想定できていない」という場合もありますよ。

今まで考えたこともない発想が相手の中にある、という状態。

たとえば、「信頼しているから無理難題を言う」「大切に思っているから距離を置く」などがその代表例かもしれない。

自分自身がそう考えないなら、そりゃ相手の真意が理解できなくなることもあります。

ここに横たわっている「なぜ相手が興味を持てないのか」という部分を曖昧にしたまま、「相手は私のことなんてどうでもいいんだ」と考えるのはちょっと危険なので避けたいところですねぇ(^^;

怖れると、悪いほうに考え、想像する

もう一つの話。

僕たちは気持ちに余裕がないときや不安が強いときほど、曖昧な情報を、悪いほうに解釈しやすくなります。

これもけっこう有名な話ですよね。

たとえば、パートナーの「ん、なに?」という一言。

穏やかなときなら「あ、聞き返されただけね」で済む。

でも、怖れが強いと、同じ一言が「怒ってる」「うざがられてる」に一気に化ける。

情報そのものは同じなんですよ。

読み取る側の状態で、意味が真逆になるという話。

・・・まぁまぁ、いい悪いの話ではないんですが、夫婦含めた男女の口論って、このあたりのズレを「どないやねん」と詰めあってる事が多くないでしょうかね?

しかも、ここに「確証バイアス」という認知バイアスが乗っかることが多いんですねぇ。

一度「この人、私に冷めてるかも・どうでもいいかも」と思うと、その枠を裏づける証拠ばかり集め始めたりするんです。

逆に、それを否定する証拠、たとえば相手の好意とかは、「たまたまでしょ」と扱われたり、そもそもスルーされたりする。

……お気づきでしょうか。

ここなんです。

「パートナーがなぜそう言っているのか?」という推測がうまくいかない理由は。

相手が何を言っているかの「前提」に意識が向かなくなってしまう。

そんな仕組みがあるんですよ。

いちばん知りたいときに、読む力が落ちる

ここが、今日のテキストの中で、最も皮肉な部分なんですけどね。

個々で差はありますが、人間には「相手の心を想像する能力」があります。

「あの人、今こう感じてるのかな」と、相手の内面を推し量る機能。

ただ、この力、実は、自分の不安や興奮が強すぎるとうまく働かなくなるんです。

「相手の気持ちが知りたい」と切実に思っていると、まさにその瞬間に「相手の気持ちを読むための機能」がオフになってしまったりするんですよ。

相手のことを知りたい。でも読めないし気付けない。

だから、もっと不安になる。

しかし、さらに不安になるから、さらにわからなくなる。

……全く誰も望んでいないけれど、しかし見事な悪循環がここにあるって感じなのです。

「じゃあ、私が問題なの?」——そうじゃないんです

さて。ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。

「じゃあ、結局、私の問題ってこと?」

うーん、その要素もあるかもしれないけれど、断定できるものでもないんです。

確かに、こちらのコンディションによって、相手の気持ちが理解しづらくなっている可能性に関しては、丁寧に考えてみてもいいですよね。

ただ、先に書いたとおり、相手が実際に嘘をついていたり、不誠実だったというケースもありえます。

実際、あなたの感じている違和感が、正しいことも当然あるでしょうし。

僕が言いたいのは、こういうことです。

「相手が分からない」という状態には、相手の不透明さと、受け取る側の心理状態の影響、その両方が混ざっていることが多い、と。

で、たいていの場合、人は前者・・・「相手の不透明さ」ばかりを意識して、なんとかしようとするんですよ。

「きっと相手はこちらに興味など持っていないんだ、なんてやつだ、叩き直してやる!」

みたいな(^^;

でも、さっきの仕組みを思い出してください。

心の状態を無視したり、伝わらない理由をすっ飛ばして理解すると、もはや感情論にしかならないという「沼」が待っているわけですよ。

・・・何言ってんだ、このカウンセラー!私の気持ちも知らないで!というお声は、そうですよね、と思いますよ、僕も。

ただ、その状態が相手の気持ちや状態をうまく捉えられない理由につながる、という考え方もできるわけです。

つまり、どれだけ相手を調べても、このあたりが整っていない限り、答えはいつまでもはっきりしない。

むしろ、疑えば疑うほど、分からなくなるわけですよ。

とはいえ、疑ってしまうことも間違いじゃない、というか・・・疑うことで自分の心を守ろうとすること自体、批判されるべきことじゃない、とも思うわけです。

なので、このあたりは、今の自分自身の感情を無視せず、専門家に話すなどの方法で整えながら、今起きていることも無視せずに扱っていく、といったスタンスがいいかもしれませんね。

たぶん、順番が逆なんです

じゃあ、どうしたらいいの?という話なんですが。

相手をもっと見ようとする前に、自分が何を前提に関わっているか、を見つめ直したほうがいいと思いますよ。

そして、不安や怖れ(怒りや不満)が強いなら、そのケアを優先したほうがいいです。

これは何も道徳的にビビり散らかすな、怒るな、という話じゃないんです。

そうなればなるほど、相手の気持を想像する力がうまく作動しなくなるよ、という話。

逆に落ち着いてくると、「・・・ん?もしかして相手は〇〇って思ってる?」と理解しやすくなる、ということでもあります。

そのうえで、それでも「やっぱり、この人は何も考えていない」とか「不誠実だわ」と見えるなら、それはきっと事実に近いのかもしれない。

そのときは、その事実に基づいて動けばいいですよね。

ちなみに、ここでの例外は「相手がなぜそう考えるのか意味がわからない」という、お互いの価値観のズレ、です。

ただ、ここは「きちんと状況を把握して、相手の考え方、その流れを知ること」で埋められることでもあるんですよ。

知識と理解でカバーできる部分、といいますか。

しかし、自分が自分を追い詰めていたり、自分自身のケアを忘れていると、相手の気持ちを想像する力が落ちるので、ホントに「わからん」という状態が続くこともあるんですよ。

最後に

とはいえ、僕自身、怖れでものが見えなくなること、今でも普通にありますからね(笑)。

人間ってそういうふうにできてるんですよ。

だから、「見えなくなってる自分」を情けなく思う必要はないんです。

ただ、もし「相手が分からなくて苦しい」が、ずっと続いているなら。

ある程度の知識や、自分を整える時間があっていいのかもしれませんね。

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